新・スペースわん通信第30号「『基礎』の積み上げ方」 [2017年02月10日(Fri)]
新・スペースわん通信第30号(通算150号2017年2月8日発行)は 生徒さんそれぞれの「『基礎』の積み上げ方」について 書いています。
これを書いていた時、たまたま録画していた健康番組を観て、 「一般の塾は西洋医学、 『スペースわん』は漢方に例えられるかも?」 とふと思いました。
その番組では、 近年、医学界で特に注目の不調改善法として、 漢方を紹介していました。 15年前、大学病院の漢方外来は19しかなかったのが、 今は81病院中79病院に漢方外来があり、 9割以上の大学病院で漢方治療が行われているそうです。 今は、 科学的根拠に基づいた漢方薬の効能のガイドラインも作成され、 様々な病への漢方薬の有効性が明らかにされているとのこと。
その番組で、 日本初の女性専門外来を立ち上げた医師が、 次のように話しておられました。 「そもそも女性外来を始めたら、いろんな患者さんが来て、 西洋薬だけでは太刀打ちできなくなった。 特に女性というのは、生理の前後だとか、排卵の時だとか、 血液検査や画像検査をしても、全然どこも悪くないのに、 でも体調がおかしいと訴える人はいっぱいいる。 そういう人たちを治療するのに、 漢方はもっていこいなんです」
私も、 そもそも、教師時代、いろんな生徒さんがいて、 高校のカリキュラムにのっとって進めるだけでは 太刀打ちできない状況に出くわしたことで、 どうしたらいいのか考え悩むうちに 「らくだメソッド」に出会いました。 さらに、「スペースわん」を始めたら、 おそらく学校の授業だけでは 太刀打ちできないであろう状況の子らに たくさん出会いました。 「太刀打ちできない」というのは、 医学の世界であれば、 「西洋薬だけでは治らない」「西洋薬が合わない」 ということですよね。 教育の世界で言えば、 「学校の授業だけでは学力を伸ばせない」 「学校の授業が合わない」 ということになります。 そこで、多くの親御さんが 「塾はどこがいいか」と探すことになるのでしょうが、 その「塾」も、 医学の世界でいう「西洋薬」の範疇であれば、そこでも、 「その塾でも学力を伸ばせない」 「その塾も合わない」 ということが起こり得ます。
この医師のお話で、 生理や排卵といったその時の身体の状態によって 病院で検査をしてもどこも悪くないのに、 体調がおかしいと訴える女性が多いというのも、 教育に置き換えれば、 次のようなことになるのではないでしょうか。
その子の能力の問題ではないのに、 その時々のその子の状態によって、 学校や塾の授業がいくらすばらしくても、 今のその子には、 難しすぎたり、わからなかったり、納得いかなかったり、 逆に、簡単すぎてつまらなかったり、 といったことが起きる。 そして、 その子の能力を伸ばすことにつながらなかったり、 勉強ぎらいになったり、 自分はダメだと自信を失ったり、 逆に、 学校や塾の先生を悪く言ったり、 また、できない子を見下したりバカにしたり、 といったことにつながってしまう。 そんな、その子にとってよくない状態に陥っている場合が多い、と。
で、この医師が、 「そういう人たちを治療するのに、漢方はもっていこい」 と言われたのと同じように、 私は、 「そういう子どもたちに『らくだメソッド』はもってこい」 だと思っているのです。
この番組で、別の医師が、漢方について、 「その人に応じた治療」と話しておられました。 漢方の治療では、 「問診」「脈診」「舌診」「腹診」で、 一人一人の患者さんの 「現在の身体の状態」をよく診ることから始めるそうです。 その医師は、西洋医学と比較して、 次のように話しておられました。
「西洋医学の診察は、何のためにやってるかというと、 病名を診断しようとしてるわけですね。 それに対して漢方は、 病名を診断するんではないんです、実は。 その方の、現在の状態・状況を把握するのが、 漢方の診断なんですね」
「その人の体質を見極め、 個人(一人ひとり)に応じた治療を行う。 漢方の神髄は、オーダーメイド治療」
「通常の薬(西洋薬)の成分は一種類で、 病にピンポイントで効く。 ただし、効き目が強いので副作用が出る恐れもある。 それに対して、漢方薬は、 複数の生薬で、複数の症状を改善する。 自然由来の生薬が原料なので、 効果は緩やかでマイルドに効く。 なので、比較的身体に優しい。 ただし、漢方薬でも副作用が出る場合があるので、 用法・用量や医師の指示通り飲むことが大切」
これに当てはめてみると 学校や塾が、 テストで学力を診断したり成績をつけたりするのに対して、 「らくだメソッド」は、 まず、その子の現在の状態・状況を把握します。 そして、その子が今しなければならないことを見極め、 個人(一人ひとり)に応じたプリントから始める。 つまり、「らくだメソッド」の神髄は、 「オーダーメイド学習」だとも言えます。
また、例えば、 「定期テストで○○点アップ!」 といったことをうたっている塾は、 定期テストにピンポイントで効き、 点数アップにつながるかもしれません。 でも、「副作用」が出る恐れもあります。 その「副作用」とは、 「定期テストでは点数を取れたけれども、 実力テストや、入試では点数が取れない」とか、 「入試は突破できたけれども、 入学した学校でしんどい思いをする」とか、 「取りあえず、短期間はしんどくても頑張れたが、 長期間は無理」とか、 「与えられたことをやることに慣れて、 自分では勉強できない」とかです。 それに対して、「らくだメソッド」は、 無理せず、基礎から積み上げるので、 すぐに目に見える効果がなくても、 緩やかでマイルドに効く、 つまり、時間はかかっても、 続けていれば、いつのまにか力がついているのです。 ただし、漢方が 「用法・用量や医師の指示通り飲むことが大切」なように、 「らくだ」も、 生徒さんがプリントを好き勝手にやるだけでは力はつきません。 「用法・用量」を守る、 つまり、プリントには、 次に進んでいいかどうかの条件 (目安時間とミスの数)がありますし、 プリントを、気分でたくさんやったりやらなかったりしては、 力はつきません。 また、漢方で、 「漢方認定薬剤師」という 漢方の知識を持つと認められた薬剤師が その人の体質に合った漢方薬を出してくれるのと同様に、 指導者が、その子の現状を見た上で、 提案したり、選択肢を出したりしますので、 それを全く無視して好き放題するのとは違います。
でも、好き放題してしまう、という現状を見た上で、 どういう提案をするかも指導者の仕事。 どんな子に対しても「オーダーメイド」の学習ですから。
長くなってしまいましたが、 健康番組を見て、そんなことをつらつらと考えたのでした(^^)
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