他の先進国と比較しみても、日本の子どもたちは、明らかに国から不遇を強いられている。乳幼児期の家族関係支出から、教育費、子ども手当にいたるまで、OECDの平均を大きく下回り、その負担はすべて保護者にしわ寄せされています。。
裕福な家庭に生まれた子どもは、健康的リスクが少なく、学力も高い。
貧困な家庭に生まれた子どもは、虐待のリスクが高く、学力は低く、進学や就職の不利は明白です。
当然ながら、子どもは生まれる家庭を選べません。だから、世界各国で、できるだけ不公平にならないように、様々な施策が施されている。豊富な手当、教育費の無償化、無償の医療費、育児休暇の充実 etc,etc
ようやく実現した公立高校授業料無償化は、世界の中では当然です。日本ではいまだに「お金がないから高校に行けない」子どもがいるのです。子ども手当を貯金して、高校の入学金や制服代にしているご家庭がどれだけあるでしょう?
子ども手当はバラマキではないと私は思います。
今まで高齢者に異常に偏っていた福祉のアンバランスを、ほんの少しだけ解消しただけです。その背景には、少子化問題、児童虐待、学力低下(所得が低いほど学力が低いという明確な調査結果が裏付けている)など、解決しなければならない大きな課題がたくさんあるのです。
その課題解決に向けての、最初の一歩が「子ども手当」だったはずです。
「票を獲得するためのバラマキ」なのか、「日本の将来を考えたときに必要な政策」なのか、冷静に考えればだれにでも答えは出ているのではないでしょうか?
確かに、該当する子ども(0歳〜15歳まで)が家族にいない人にとっては「子ども手当」はムダ以外のなにものでもないのかもしれません。街頭インタビューの、既に子育てを終えた世代の方々の「ムダよねぇ」という発言を聞くたびに悲しくなります。
でも、あなたの隣にいる、あなたの街にいる子どもにとって、間違いなく子ども手当は必要なのです。
自分のことだけでなく、あなたの隣にいる子どものことを、思いやってみていただけないでしょうか?
子ども手当は2010年度に始まったばかりです。時限立法のため、3月末までにつなぎ法案が通らないと、子ども手当は支給されなくなり、今までの児童手当にもどります。中学生400万人には1円も支給されなくなります。どんなに生活が苦しいご家庭の子どもたちにも1円も支給されません。
日本のこどもの貧困率は14.3%。
この数字を当てはめれば、約60万人の中学生は、年収が220万円以下の家庭に暮らしています。このようなご家庭にとっては、子ども手当が廃止されれば、生活の設計が狂うことは間違いありません。子どもに部活動をやめさせたり、はじめたばかりの塾をやめさせたり、母子家庭のお母さんの夜勤を週2日から週4日に増やしたりしなければならなくなるのです。
さらに問題なのは、そのようなご家庭の多くは「子ども手当がなくなるかもしれない」ということすら知らないのです。
生活に追われる、仕事に追われるご家庭は、新聞もとっていません。ニュースも見られません。
6月に、学校の子どもの引き落としが足りなくて、「まさか」と思うのです。そして金策に頭を悩ませる姿を想像してみてください。
子ども手当は今、政争の具となっています。
民主党の目玉政策であるがために、「これだけは通さない」という空気があるそうです。
政党の意地のつっぱりあいで、貧困状況にある60万人の中学生の健康と未来が脅かされないように切に願います。
震災の復興はもちろん重要です。だからといって、その重荷も子どもたちの小さな肩に背負わせるのは、どう考えてもおかしくないでしょうか?