おにいちゃん [2006年12月12日(Tue)]
今日から少しずつ、家族ワーキンググループ(以下WG)が経験したことをつづった「闘病記」の一部をご紹介していきたいと思います。。。
闘病を経験された方なら、きっとうなずいていただけることがたくさんかかれています。 闘病経験のない方にも「そんな世界があるのか、、、」と過酷な闘病生活の一部を知っていただけると思います。 今日は、家族WG ともこちゃんの闘病記「おにいちゃん」をご紹介します。 小児がんの闘病をする家族は病気と闘う以外にさまざまな問題とも同時に闘わなければなりません。 その中の大きな問題のひとつ、、、「きょうだい児」が今日のテーマです。 最後までお付き合いください。。。 では、ともこちゃんの「おにいちゃん」です。 娘が入院したとき、長男は幼稚園に入園して1ヶ月も過ぎていないときでした。一番かわいい盛りで、初めての幼稚園にもやっと慣れたかな・・・というときでした。 取り乱した私たちを必死で静めようとするかのように、文句も言わず、涙も見せずに誰よりも気丈にしていました。 これからどうなるのか・・・どのくらいの入院なのか・・・などまったく分からず、出口のないトンネルに入っていくようで・・・息子にもうまく説明もできませんでした。 ほとんどの闘病経験のある方は経験したかと思いますが、何の準備もなくいきなり入院になり、何からどう整理して手をつけたらいいのか、パニックになります。娘のことはもちろん心配ですが、残された息子のことも心配で、毎日毎日、身が引き裂かれてしまいそうな思いでした。本来ならまだまだ母親が恋しくてずっとそばにいてあげたい年頃なのに、淋しい思いをさせてばかりで申し訳ない気持ちでいっぱいでした。 「いつまで待てば・・・お母さんと妹はお家に帰ってくるの?」と周りの大人に気遣いながら初めてそう言ったときも「もう少ししたら絶対みんなで一緒に暮らせるよ」とあまりにも漠然とした返事しかできず、悔しい思いでした。 私も主人も息子の前ではいつも明るく元気に振舞うことが精一杯で、妹の状態を詳しく話しすることもできませんでした。 娘がターミナル期に入り一時外泊を許されたときは「もう少しで本当に妹とお母さんが帰ってくるんだ」と、とても喜んでいる姿をみて、後ろめたい申し訳ない気持ちで胸が張り裂けそうでした・・・。近い将来にやってくる妹の死について、、、どうしても言えませんでした。最後の最後に大きな嘘をついているような罪悪感でした。小さな息子に妹の死の準備を前もってするのはあまりに残酷で・・・それが良いとは思いませんが・・・ 何の疑いもなく、最後まで元気に帰ってくるという私たちの言葉を信じている息子に対して、なんの前触れもなく、辛い現実を突きつけてしまったことを後悔しています。 とても難しい問題で、どうしたら良かったのかわからないのですが、やはり小さな息子にもわかりやすく「病気」と「命」のことを教えるべきだったのだと思います。話をするタイミングや場所も配慮し、場合によっては第三者の人(心のケアのプロの人)から家族と一緒に聞くものいいかもしれませんし、あまりリアルに悲しい話にならないように絵本などを使って間接的なほうが良いのではないでしょうか? いずれにせよ「死」という辛い現実に対しての心のケアは絶対に必要なことだと思います。 子供は大人が思っている以上に心の中が急激に成長していて驚くほどの理解力があります。その反面恐ろしい不安や恐怖にも必死で耐えて我慢したりしているんだと思います。 小さな小さな心の中が、大きな悲しみで一杯になってしまわないように、辛い現実を経験してからのケアはもちろんですが、辛い現実を受け入れるためのケアが必要だと思います。 正しい知識を正確に良いタイミングで子供に伝えるために、心のケアのスペシャリストのサポートが絶対に必要だと思います。 まさみさま |