同じ病名で、同じ治療をしても、治る時と治らない時があります。
これはなぜでしょうか?
いろいろと理由はありますが、その理由のひとつは、同じ病名でも同じ病気ではない、ということです。
病名は人間が勝手に分類したものですから、その分類が間違っていれば、同じ治療をしても治る時と、治らない時があります。
病気の方から見れば、「人間たちよ、あの人の病気と私を同じに分類しているけれど、違うよ」っていう感じです。
もちろん、医学の進歩に伴い、分類の精度は上がっていますし、その病気の原因が分かってきました。
そうなると、この原因を治す薬が開発されるでしょう。
例えば、5歳の子どもが標準リスク急性リンパ性白血病を発症しました。翌日その原因が分かりました。翌々日、その原因を治す薬が完成しました。その薬を1週間内服すれば病気は治る、と理論上導き出されたとします。
一方、今までの経験から約2年間の抗がん剤治療をすれば80〜90%は治癒することが分かっている病気です。
どちらの治療を選択しますか?オーダーメイドの新薬ですか?今までの治療ですか?
オーダーメイドの新薬は、最先端医療です。メリットは、治療負担が少ないことです。デメリットは実績が無いこと。そして、病気の原因が本当にそれだけなのか、最新医療でも見つけられていない他の原因があるかもしれないことです。
今までの治療は、標準治療です。メリットは実績があること、デメリットは治療負担が新薬よりは大きいことです。
この例は極端ですが、医療が進歩するためには、新薬または新しい治療法を選択してくれる患者さんがたくさんいて、実績を作る必要があります。
しかし、医療を進歩させるために、治療をしているわけではありません。
この選択を、100%患者さん(または家族)に丸投げするわけにはいきません。
医師が、目の前の患者さんに、できるだけわかりやすく説明し、納得のいく選択をしてもらうことが大切です。
医師がどちらの治療が良いと考えているかを伝えることも、時には必要だと思います。
医師が「こちらの治療の方が良いと思う」と伝える時には、「その考えが本当に正しいのか」「100人医師がいたら何人がそのように考えるか」など、もう一度自分に問い直し、細心の注意を払う必要があると思います。
この60年間で、小児がん医療は進歩しました。ということは、それぞれの時代で新しい治療を受けてくれた子どもたちがたくさんいるということです。
小児がん医療を進歩させてくれた子どもたちが。
そして、その治療を選択する決断をしてくれた家族が。
小児がんの治癒率が向上した今、標準治療をするのか、最先端医療をするのか、ますます難しい選択だと思います。
s.kusuki(Just giving 挑戦中
http://justgiving.jp/c/7074 )
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