本の紹介です。
「新田次郎」という小説家。山岳小説などを書いていたと知っていましたが・・・・今まで一度も読んではいなかったです。ということで、今回「アラスカ物語」を読ませていただきました。
簡単なあらすじを書きますね。
明治中期の時代、キャビンボーイとしてアメリカ沿岸警備隊の一員となり、同船の船員の不祥事がきっかけで罪を押し付けられた。そんな状況の中で警備船が氷に阻まれ身動きができなくなり、食料もなくなっていく。ポイントロバーまで救援に行かなければ船員の犠牲者が出る状況だ。船の中では、罪を押し付けられたフランク安田に責任を取るかたちで、歩いてポイントロバーまで行くこととなった。
ポイントロバーまでたどり着くが食料がなくなり疲労で倒れてしまい、通りがかったエスキモー(イヌイット)たちに助けられて養生し体力が回復していく。
船の食料も届けられ犠牲者もなく難無く過ごすことができた。警備船の船長の救援を伝えた。
氷が溶け出し船が動くと沿岸警備隊の船長がフランク安田に乗船するのかと尋ねると、フランク安田は極地で生活すると決意する。
ポイントロバーのイヌイットは海の狩猟民族である。多くはアザラシやクジラを食べてきたが、文明の波が押し寄せてきた。クジラなどが取れない状況が続く。なぜ捕れなくなったのか・・・大型船による大量の水揚げで資源が枯渇し、さらに白人がもたらした病気などにより感染して近郊の部落がなくなっていく状況であった。
フランク安田は、このままであれば自分たちも食糧難や病気で部落が危うくなることを悟り、新天地を探すことになった。妻のネビロと数名のイヌイットと共にインディアン居住区近くに金山を発見して、それをもとにユーコン河沿岸にビーバーという街を造ることができた。
この小説は、実話をもとにして書かれたものです。主人公の日本名の安田恭輔(のちのフランク安田)は、実在の人。著者の新田次郎氏もアラスカや日本の出生地を取材したと書かれています。
日本人が、文明が入ってきたエスキモー社会の混乱の中でエスキモーとして生きていく安田さんとネビロ夫妻の壮絶な生きざまに感動しました。