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生還 [2018年01月18日(Thu)]

去年 カヌーの師匠であるラッコさんから借りた本があります。

読んでいくと・・・・・「うん〜もしかして」一度読んで本だと思い出しました。

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夕張の家に帰り書棚から・・・やっぱりあった。


ヨットのたか号で海上遭難に合ったクルーたちが一人ひとり死んでいく中、最後に助けられた佐野三治氏の手記です。
ノンフィクション作品で27日間を救助ボートで漂い、飢餓状態の中で人の尊厳とは何かを考えさせられました。


最近、北海道付近でも北朝鮮の漁船が打ち上げられているという状況の中で、7名の遺体があったという痛ましい事件が起きています。

個人的には、海の事故はとっても怖いと感じています。



海の事故。そして木の葉のようになる船。

乗っている船員の感情に・・・・圧倒されました。
Posted by いしだ at 20:36 | 本の紹介 | この記事のURL
アウトドア志向の読書 [2017年11月23日(Thu)]

本の紹介アップ・・・がご無沙汰でした。

アウトドア志向の本を読んでいました。

ラッコさん推薦の『たった一人の生還』「たか号27日間の闘い」佐野三治著。夕張の我が家の本棚にもあり再読の書。この本は人の極限の環境を冷静に見まわした内容です。

 さて、服部文祥著 「百年前の山を旅する」・増田 俊也著 「シャトゥーン ヒグマの森」・宮城公博著 外道クライマー。そして、関野吉晴著 写真集「世界に生きる」

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北海道では冬本番となってきていますが、長い日本列島・・・読書の秋真っ盛り。
今、ストーブに温まりながらページをめくっています。






Posted by いしだ at 21:06 | 本の紹介 | この記事のURL
アラスカ物語 [2017年10月21日(Sat)]

本の紹介です。

「新田次郎」という小説家。山岳小説などを書いていたと知っていましたが・・・・今まで一度も読んではいなかったです。ということで、今回「アラスカ物語」を読ませていただきました。

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簡単なあらすじを書きますね。

明治中期の時代、キャビンボーイとしてアメリカ沿岸警備隊の一員となり、同船の船員の不祥事がきっかけで罪を押し付けられた。そんな状況の中で警備船が氷に阻まれ身動きができなくなり、食料もなくなっていく。ポイントロバーまで救援に行かなければ船員の犠牲者が出る状況だ。船の中では、罪を押し付けられたフランク安田に責任を取るかたちで、歩いてポイントロバーまで行くこととなった。
ポイントロバーまでたどり着くが食料がなくなり疲労で倒れてしまい、通りがかったエスキモー(イヌイット)たちに助けられて養生し体力が回復していく。

船の食料も届けられ犠牲者もなく難無く過ごすことができた。警備船の船長の救援を伝えた。

 
氷が溶け出し船が動くと沿岸警備隊の船長がフランク安田に乗船するのかと尋ねると、フランク安田は極地で生活すると決意する。

ポイントロバーのイヌイットは海の狩猟民族である。多くはアザラシやクジラを食べてきたが、文明の波が押し寄せてきた。クジラなどが取れない状況が続く。なぜ捕れなくなったのか・・・大型船による大量の水揚げで資源が枯渇し、さらに白人がもたらした病気などにより感染して近郊の部落がなくなっていく状況であった。
 フランク安田は、このままであれば自分たちも食糧難や病気で部落が危うくなることを悟り、新天地を探すことになった。妻のネビロと数名のイヌイットと共にインディアン居住区近くに金山を発見して、それをもとにユーコン河沿岸にビーバーという街を造ることができた。

この小説は、実話をもとにして書かれたものです。主人公の日本名の安田恭輔(のちのフランク安田)は、実在の人。著者の新田次郎氏もアラスカや日本の出生地を取材したと書かれています。
日本人が、文明が入ってきたエスキモー社会の混乱の中でエスキモーとして生きていく安田さんとネビロ夫妻の壮絶な生きざまに感動しました。




Posted by いしだ at 08:32 | 本の紹介 | この記事のURL
母が読みたかった本 [2017年10月07日(Sat)]

本の紹介です。
我が母が私に買って来て欲しいと頼まれた本。佐藤愛子さんの「九十歳。何がめでたい。」という本です。
我が母も今年で89歳です。この本の題名から何かをイメージして、「買って読みたい。」と思ったのでしょう。
母が読んで、借りて読ませてもらいました。

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時代の変動の中で感じてきたこと、さらに変わってしまってはいけないことをウイットある表現で私たちに問いかけている一冊です。

あるこんなエピソードが書かれていました。
プラットホームの隅に見るから粗末な身なりのホームレス風の老人が立っていて、マンガの本を読んで大口を開けて笑っている。その姿が実に無邪気な、憂いさを忘れた無垢な笑顔。著者の佐藤愛子さんは、「よかったね。そんなに笑えて」と言いたくなったらしい。さらに、そんなに笑えるマンガであれば自身も見たくなったと・・・。
そして、マンガを描いたマンガ家にも称賛し「本が売れるよりも、有名になるよりも、この淋しい人生に耐えて老いてきた人に、あんなに笑ってもらえるなんて最高の喜びにちがいない。」と解釈して・・・感じた。何とも心が温かい気持ちになったらしい。
しかし、 後日、その出来事を友人に話したらしいが、このご時世は過酷な社会。成功者はマンガを見ても笑ったりしないのよと言われ釘を刺されたらしい。佐藤愛子さん。・・・「なるほど」と思ったが・・・・だからこそ老ホームレスの人は「幸せを心に持っている人」と感じた。
Posted by いしだ at 16:40 | 本の紹介 | この記事のURL
川旅 [2017年08月01日(Tue)]

北海道の渚滑川の川下りをして以来、カヌーに乗っていませんが、なんだかムズムズしてきました。

廣川まさきさんの「ウーマンアーロン」を読みました。

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アメリカ合衆国アラスカ州にあるユーコン川を川下りする紀行文。第二回開高健ノンフィクション賞受賞作です。
新田次郎氏の小説「アラスカ物語」の主人公のモデルであった安田恭輔さんの生活していた土地にカヌーで行くという体当たり紀行。

ウーマンアーロンとは、女性一人ということでしょうか。

カヌーに乗ったことのない著者が、いきなりユーコン川に流れていく。不安と希望・・・・冒険心いっぱいのビビットな文章。そしてなんといっても、人との出会いがユーコン川の旅を深めていく。

人生もそうだと思うのですが、良くても悪くても「出会い」が人生を変える」こと なのではないでしょうか。

大自然に抱かれている小さな著者が、感性豊かに伝えている本です。

Posted by いしだ at 20:39 | 本の紹介 | この記事のURL
滞在記 [2017年07月26日(Wed)]

今回も本の紹介をしたいと思います。

「私の名は、ナルヴァルック」 著者 廣川 まさき
出版社 集英社

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この本は、インターネットで北極に関するサイトを閲覧し紹介されて読んでみたいと思いました。

著者の廣川さんの文章は、なんだか自分もアラスカ州に滞在しているかのような感じにさせてくれました。というのも、私は、エスキモーに関しての情報が少ないこともあってだと思いますが、そのアラスカに住んでいるエスキモーの人たちの生活イメージというものが、昔のままで変化なく現在も進行していると感じたためです。
実は、冒険家の植村直己や写真家星野道夫たちの住んでいたイメージから抜けていないからでしょう。

そんな著者の廣川さん自身も、「えっ。そうなのか。」と感じた記述が多く、時代の流れの中で、狩猟を主体とした生活から 今は若者たちはファーストフードの味を好み、生活全体の変化を余儀なくされた「極北の地」の現状を少し理解できたように感じました。


著者の滞在の土地はアメリカのアラスカ州 英語名ではポイントポープ村(ティキヤック村)で、その周辺(チュクチ湖の近くオゴトルック谷)は極北の地であるため、1958年に水素爆弾を使って実験をしようとしたり(女性活動家によって中止とされた)=チャリオット計画、ネバダ州核実験場の汚染された土砂を持って埋め立てられ、30年間放置されていたりして、都会から見ればへき地のポイントホープ(ティキヤック村)を核の実験場・核の廃棄処理地としての活用地としか考えていなかった。そういう意味では、極北の民族がないがしろされたところだと思います。

エスキモーの生活および伝統的な狩猟は、アメリカの同化政策で非常に大きく変わった。その変化が、極北の地に住んでいる人たちが本当に良かったと言える状況なのかは、たいへん疑問であると感じました。




Posted by いしだ at 20:46 | 本の紹介 | この記事のURL
1年前の惨事 [2017年07月19日(Wed)]

本の紹介をします。
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「正義」がゆがめられる時代  著者片田 珠美(精神科医師)

昨年の7月26日。19名の障がい者が殺害された事件「津久井やまゆり園」。戦後最悪の殺人事件がありました。あの時のニュース報道を聞いて、身体が震えたのを今でも覚えています。深く考えたくない自分と「なぜ、何だろう。」という自分の感情が入り混じっていました。

その首謀者である植松聖被告が、ゆがんだ正義感を抱くようになったのかを精神科医の立場から分析し、その背景から見受けられる、社会に潜んでいる閉塞感や絶望感・ルサンチマン(怨恨)が蔓延し今も不気味にうごめいていると警鐘している。

私が怖いと感じたことは2つあって、植松被告が衆議院議長の公邸から直接渡した手紙の内容が「障がい者が安楽死できる世界を」という趣旨のこと。もう一つは、植松被告を考え方・行動をネット上で「よくやった。」などと評価する人たちがいること。・・・が恐ろしい。

誰も好きで病気や障がいになることはないと思うのだが、高齢になり動けなくなったり、生まれた時や事故・病気などで障がいになったりするものだと思うのだが、「役に立つ・立たない」だけで安楽死できる世界と振りかざす「怖さ」を感じた。


「津久井やまゆり園」の亡くなられた19名の皆様。 謹んで心から哀悼の意を表します。
また、怪我を負われ皆様・この事件で心に深い傷を負われた皆様、衷心よりお見舞い申し上げます。
Posted by いしだ at 19:44 | 本の紹介 | この記事のURL
跳びはねる理由 [2017年07月04日(Tue)]

本の紹介をします。

「自閉症の僕が跳びはねる理由」と「続・自閉症の僕が跳びはねる理由」

 著者 東田 直樹  発行所(株)エスコアール出版部

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コミュニケーションが難しいとされている自閉症の皆さん。
この本は、その疾病を持っている自閉症の東田さんが筆談というコミュニケーションを使って心の中の思いをつづった内容です。質問形式で東田さんが答えるという形をとっています。
例えば、時間の感覚はありますか?という質問に
ずっと続いているのが時間です。だからこそはっきりとした区切りがなく、僕たちは戸惑ってしまいます。(割愛)僕たちの1秒は果てしなく長く、僕たちの24時間は一瞬で終わってしまうものなのです。場面としての時間しか記憶に残らない僕たちは、1秒も24時間もあまり違いはありません。いつも次の一瞬、自分が何をしているのか、それが不安です。・・・・という。

続・自閉症の僕が跳びはねる理由では、高校生になった東田さんが書いたもので、同じような質問などがされていますが、中学生の時とは違った思いもありつづられています。

東田さんは、まだ沢山の執筆があり現在作家として励んでおられます

是非、お読みになってください。



Posted by いしだ at 19:40 | 本の紹介 | この記事のURL
容姿について [2017年06月24日(Sat)]

市川海老蔵さんの奥さんが亡くなられたと報道がされている。乳がんであったとのことなのだが、自分の闘病の状況をつづったブログが、多くの人たちに希望と勇気を与えていたという。
病気の状況で、自分の感じたことを書きとめるということは、簡単にできることではないと思う。体調がすぐれない時、気持ちの浮き沈みなど本音を伝えるということは、同じような境遇の人に対して不安を取り去り、何らかの指針となっていく。
闘病のありのままの自分を伝えていく姿には、強さを感じる。
ただ、小さな子供たちとの別れ。もう少し、子供たちには甘えさせてあげてほしかったと・・・・・神様に伝えた。


さて、先日読んだ本を紹介したい。「顔ニモマケズ」という本。

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この本は、「見た目」のしょうがいのある人たちの対話集である。顔の部分にハンディーがある人たちが自分のそのしょうがいと向き合っている心境をつづった内容。
心も容姿も整っているのが良いという社会。しかし、病気により顔にハンディーとなる症状があらわれると、社会は「見た目」ということで受け入れられない状況となる。そんな社会の中で、「見た目」のハンディキャップを持った人たちの本音を知り、言葉の重みと勇気をいただいた。
Posted by いしだ at 09:36 | 本の紹介 | この記事のURL
民族誌 [2017年05月18日(Thu)]

図説で丁寧にそして容易に生活文化の内容を紹介して、大変分かりやすい本です。著者アーネスト・SバーチJr氏が書かれています。訳はスチィアート ヘンリ氏。そして、写真がウエーナー・フォーマン氏。写真は口絵だけがカラーで、挿絵は白黒の写真でちょっと残念。

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まず、エスキモーという呼称であるが、私たち日本人に紹介された過去のメディアの「エスキモー」は一般に東カナダとグリーンランド・エスキモーの人たちを代表しているようだが、エスキモーは9つの言語集団にわかれているという。
ユーラシア大陸の東端チュクチ半島からグリーンランドまでの約1万キロにわたる広い地帯で自然環境に適応して生活している人たちであるため、文化は一様のはずがない。
だから、「エスキモー」と言う呼称にも、地域によって言語に対する意味の違いがあり複雑。本書の中でアラスカ・エスキモーにも触れていることで、一般的な思いとズレがあるのを感じる。ということで、極地・極北で暮らす人々の生活文化を画一的には語れないと感じた。

 私が何故 極北の文化に興味があるのかというと、「生き抜くたくましさ」にあると思う。約4000年前から極地に住んでいる彼らは、現代に劣らないぐらい高度な文化を得ていたように感ずる。極北地帯での過酷な自然環境では、誰もが生きてこれないと思ってしまうが、先人のエスキモーたちは、ないなりの生活様式を工夫し、過酷環境の中で自然現象を鋭く観察しながら精神文化・シャーマン思想世界を創りあげてきた。

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家族生活や一族の複雑さ。やってはいけないしきたりの多さ。余暇時間を過ごすための数多い遊びやゲーム。伝承の豊かな表現と踊り。当たり前の話だが、エスキモーの文化は密接な人と人との間で培われたものと思う。

過酷な生活を豊かな生活に変化させる業を身に着けて生活していくすべは、現代も見習う必要があると痛感した。

Posted by いしだ at 20:56 | 本の紹介 | この記事のURL
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