多良間カニある記2009(その2):多良間のヤシガニ [2009年03月07日(Sat)]
|
2009年2月18〜19日に、多良間島に行ってきました。「多良間カニある記」では、そこで出会った生き物、風景、思ったことなどを綴っていきます。
今回の調査目的は、ヤシガニと洞穴エビの採取でした。現在、多良間島のヤシガニについて、生物学的な調査結果のみならず、民俗学的な資料(というほど大げさではないですが、人とヤシガニとの関わりについての文献および聞き取り調査)についてまとめているのですが、投稿前にもう一度聞き取った事項を整理しておこうと思い、多良間村ふるさと民俗学習館の垣花さんに色々とお話を聞きました。他の島では聞いた事ないような面白い話も沢山聞けました。中には「活字にしても大丈夫かなコレ?」みたいな艶話もありました(多分駄目な気がして来た.....)。 聞き取りが終わり、あらかじめ目星をつけていた飛沫転石帯を探しに行きました。多良間島は、砂浜がとても発達していて、飛沫転石帯がさほどないので、良い場所には稚ヤシガニがいるだろうと思ったからです。で、30分ほど探すと、写真ほどの大きさのものが3個体ほど採集できました。そのうちの1個体は、聞き取り調査のお礼も兼ねて、多良間村ふるさと民俗学習館にあげました。飼育方法も伝えてきたので、なんとか飼育してもらえると嬉しいです。 |



今回の調査目的は、ヤシガニと洞穴エビの採取でした。現在、多良間島のヤシガニについて、生物学的な調査結果のみならず、民俗学的な資料(というほど大げさではないですが、人とヤシガニとの関わりについての文献および聞き取り調査)についてまとめているのですが、投稿前にもう一度聞き取った事項を整理しておこうと思い、
聞き取りが終わり、あらかじめ目星をつけていた飛沫転石帯を探しに行きました。多良間島は、砂浜がとても発達していて、飛沫転石帯がさほどないので、良い場所には稚ヤシガニがいるだろうと思ったからです。で、30分ほど探すと、写真ほどの大きさのものが3個体ほど採集できました。そのうちの1個体は、聞き取り調査のお礼も兼ねて、多良間村ふるさと民俗学習館にあげました。飼育方法も伝えてきたので、なんとか飼育してもらえると嬉しいです。
今回の調査では、いつも宿泊している「ペンションあだん」ではなく、「
で、これが僕の宿泊する和室宿泊棟です。うん、でかいね。なんとリビング・キッチンをはさんで17畳の大部屋が2部屋もありました。合宿や研修などで使われるそうです。
建物の中です。片方の大部屋から撮影しています。広さが伝わるでしょうか?大部屋が2部屋あるので、当然大画面テレビも2台あります。でも、一番置くに寂しげに布団が一組だけ.....
「布団を敷いて、一人で寝る」の図。
ウワサ通りサンゴの状態はとても素晴らしかったです。基盤の大部分がサンゴで覆い尽くされていました。テーブル状、樹枝状、被覆状、塊状、教科書通りの様々な群体を見る事ができました。特にテーブル状のサンゴ群体が目立ったのですが、これを見るとなぜだかテンションがあがります。水の透明度も素晴らしかったです。ただ、サメ所で有名な多良間だけに、ちょっとビクビクしながらのスノーケリングでした。
こちらはイノー内のサンゴの様子。枝状のサンゴがびっしりです。サンゴの周りには、スズメダイ類やチョウチョウウオ類がたくさんいて、とても賑やかでした。
サンゴのまわりをツノダシが群れていました。ほんとに魚が多いです。スズメダイ類やチョウチョウウオ類の他にも、ブダイ類やベラ類が群れで摂食している様子もいたるところで観察できました。小魚も多く、それを狙ってかカスミアジもまわってきていました。
北側の海岸でもイノー内にはたくさんのイソギンチャク(ハタゴイソギンチャクやイボハタゴイソガインチャク)を見る事ができました。カクレクマノミもたくさんです。でも、イノーの水深が浅過ぎて、干潮時にはイソギンチャクがたくさん干上がっていました。こういうとき、クマノミはどうなっているのでしょうか? 確かめればよかった。次回の宿題です。






19日の午前中には、多良間村教育委員会の主催(共催:多良間村子ども育成会連絡協議会)による「夏休み子ども教室 たらま島史跡めぐり」がありました。小学生5〜6年生と中学生を対象に、「多良間島の史跡めぐりを体験することで、島の文化や歴史を身近なものと感じ、郷土の文化を大切にする心を育てる」という目的で実施されました。僕は、湧水の自然環境についての講師(案内人)として参加させていただきました。洞穴調査を行うために多良間村教育委員会に現状変更申請書類を提出した際に、「せっかくの機会なので子ども達にエビやヤシガニの話をして欲しい」と依頼されました。僕もこういう活動には大賛成なので、直ぐに参加を決めました。多良間の文化財を解説付きで見るチャンスでもありますし。
多良間村の「ふるさと民俗学習館」に集合し、自転車で史跡を巡りました。多良間島はとても平らな島なので、自転車で十分まわることができます。いつもは調査器材も多いので、レンタカーで島をまわっていたのですが、自転車だと景色も違って楽しいです。資料館→八重山遠見台→土原御願→多良間神社→ウツバルウガム°→ウプミャーカ→アマガー→マイドマリ°ミツ→運城の森と御嶽→里之子墓→(宮古遠見台)→泊御嶽→仕上世所跡→ウェンマの母子像→シュガーガーのコースでまわりました。
こちらは、土原御願(ンタバル ウガム°)です。土原豊見親の両親を祀る祠があって、周辺が土原 ウガム°遺跡となっています。また、仲筋字の八月踊り祭場でもあります。多良間の八月踊りは、国指定重要無形民俗文化財として有名ですよね。いつか見に行きたいです。さらに周辺には古木も多く残っていて、県指定の天然記念物になっています。文化が大切にされると自然も残るという一例ですね。人の暮らしを無視して自然環境を守ることはやっぱり難しいのだなと改めて思いました。
最後にシュガーガーに行きました。自然洞穴の井戸です。かつて、この湧水を中心に古いムラがあったそうです。ここには、ドウクツヌマエビが生息しています。また、大ウナギの目撃談があるようです。僕は、ドウクツヌマエビやヤシガニの解説をしました。子ども達はとても喜んでくれたようで、ほとんどの感想文でエビのことに触れてくれていました。
多良間島調査の中で、生物の保護・保全に配慮した興味深い取り組みに出会ったので紹介したいと思います。島の周回道路を車で移動をしている際、道路側溝中に小石を積んでいる光景をあちこちで目にしました。地元の方に聞いた話によると、これらは、陸性小動物が道路側溝を横断する際にそこを渡れるように、また、落ちた場合に容易に這い上がれるようにとの配慮で行われているとのことでした。多良間島の道路側溝の大部分はU字溝であったので、小動物(特に幼体など)にとって側溝への落下は死に直結する深刻な問題となると思います。
一般的には、環境に配慮した側溝としてはスロープ付き側溝や粗面側壁の側溝などが良く知られていますが、今回見た多良間島の手法は、小石を側溝に積み上げるだけというシンプルなものです。でも、この手法は、1) とても安価で実施できる、2) U字溝の完成後でもいつでもできる、3) 水は小石間を通過するので側溝の機能はさほど損なわれない(大雨のときは問題あるかもですが)、4) 新たなスロープ付き側溝の設置工事による環境への負荷を省ける、などの点でとてもいい手法だなあと感じました。目詰まりはどうしても起るでしょうけれども、小石を移動させるだけで容易にメンテナンスは行えますし、そのメンテナンス作業を学校教育現場や地域の人々で共同して行えば、環境教育にもなると思います。今時期ですと、オカガニ類やオカヤドカリ類が放卵(放幼生)のためにここを通るでしょうから観察会もからめると面白そうです。
昨年11月の調査では、ヤシガニの小型個体がこの道路側溝の石積みを渡った内陸部の場所で見つかりました。実際に、この手法が有効であることの証明と言えると思います。最近流行の環境配慮型道路とかいうと予算もかかって大変そうですけれども、環境や生物に配慮するって、シンプルに考えてもできるんですね。地元の方々が思い立って実行していることが素晴らしいです。
洞穴を調査し終わった後は、海岸を歩きました。オカガニ類の珍しい種がいるかなと思って探したのですが、残念ながら見つける事ができませんでした。
海岸探索をしているとき、同行者が写真のオカヤドカリを見つけてくれました。ムラサキオカヤドカリですが、貝殻のかわりにテリハボクの実に入っていました。多良間島では、以前にはボトルキャップに入ったオオナキオカヤドカリも見つけました。その他小さめの貝殻に入っているオカヤドカリ類も度々見たので、よほど貝殻が不足しているのでしょう。多良間島ではアフリカマイマイを見かけませんでしたが、その影響も大きいかもしれません。
一方、アガリ°アカダントゥブリは、水深もとても浅くてフィンも必要ないほどでした。アガリ°アカダントゥブリの「トゥブリ」とは「海への降り口」という意味だそうです。多良間島では、道路が島の内側を走っていて、防風(潮)林と砂浜(や岩礁)が道路よりも海側にあるので、道路からあまり海が見えません。でも、道路から海側には舗装されていない小道があり(すべて「○○トゥブリ」と書いてあります)、防風(潮)林を抜けて海につながっています。道路から海がよく見えない分、この「トゥブリ」を抜けるとき、とてもワクワクするんです。素敵な島です。ホントに他の島も見習って欲しい。
アガリ°アカダントゥブリの先海の中は、サンゴが多くてとても楽しめました。サンゴ食のチョウチョウウオもたくさんいました。特に幼魚がたくさんいてかわいらしかったです。また、砂地には藻場もありました。サンゴやサンゴ礁の微環境が健全に保たれているせいか、なんか賑やかです。海の中が。僕が学生のころ(1998年以前)は沖縄島でも当たり前のように見られた風景です。
僕はなぜかここ最近、「
両海岸では、なぜかハタゴイソギンチャクをたくさん見ました。10個体以上は見ました。たいていカクレクマノミが共生していたので、ニモ好きな方はたまらないでしょうね。
アカボシカニダマシもよく見ました。宿主イソギンチャクが多いので、見つけるのも簡単です。この個体はこの種としては大きく、そのせいか、カメラを近づけててもひるむ事無く堂々としていました。モデルとして最高です。いろいろ試行錯誤して、縦位置で渋めに撮影してみました。おーなかなかカッコいいじゃないか。男前に撮れているよ。でも雌だけど。
宮古島から多良間島への飛行機は、RAC(琉球エアコミューター)のプロペラ機です。僕は、なんとなくジェット機よりもプロペラ機の方が乗っていて安心できます。
多良間に到着しました。車を借りて、軽く島を走ってみました。青空が広がっていて、とても気持ち良かったです。多良間島は島の最も高いところで海抜32m(34mという記述もあります)の平らな島です。空がとても広い島です。
調査同行者が船で宮古島から多良間島に来るので、港に迎えに行きました。昨年、初めて多良間に来た時はこの船に乗ろうとしていたのですが、海況が悪く、欠航してしまいました(結局飛行機で向かいました)。次は船旅でもしたいものです。
とはいえ、今日の多良間島は、天気、海況ともに最高!洞穴調査は夜に行うので、昼間は海で泳ごうと思って海辺に向かいました。多良間島には、自然の海岸線がとても良く残っています。青い空に、エメラルドグリーンの海、そして白い砂浜。小さいけれど、ホントに素晴らしい島です。島を一周する道路も、砂浜と防風(潮)林の内側にあり、とてもよく考えられています。沖縄の他の島々でも見習って欲しいものです。