【レポート】多摩大学社会的投資研究所設立記念講演会(2019年1月21日開催) [2019年01月22日(Tue)]
2019年1月21日に多摩大学主催で開催された多摩大学社会的投資研究所設立記念講演会に参加しました。
この研究所には、以前、日本財団でも一緒に働いた伊藤健さんや小林立明さんが研究員になられたり、アライアンスパートナーに社会的投資推進財団が入っていたりと、なにかと日本財団とのご縁も深い研究所になります。 SDGsやESG投資などの世界的な流れもある中で、まだ日本が遅れている社会的投資の領域でも、研究所やアライアンスが広がることで取り組みが加速していくことを期待します。 備忘録的なメモをアップします。 【レポート:多摩大学社会的投資研究所設立記念講演会(2019年1月21日開催)】 ◆所長挨拶(徳岡晃一郎所長) ・イノベーターシップを教えるMBAコース。 ・研究開発機構を活用した社会実装的活動。 ・2017年にはルール形成に関する研究所(ルール形成戦略研究所)を設立。 ・社会的投資研究所は2つ目の組織。 ・社会的課題を大きく捉え、ファイナンスの力を活用して解決に取り組む。 ・日本は人口減少社会、人生100年時代。 ・社会的課題は山積していく一方で、解決の道筋はまだまだ。 ◆研究所の事業計画(堀内勉副所長) ・リーマンショック以降、経済的リターンだけを追い求める金融の限界。 ・社会的価値の実現も同時に目指すソーシャルファイナンスへの注目が高まっている。 ・マネーが社会の中で好循環することで、社会がより良い方向に変わっていく未来を構想。 ・社会的投資推進財団(日本財団グループ)、AVPN、新経済連盟、Japan Times(ESG推進コンソーシアム)等の幅広い機関と連携して取り組んでいく。 ・SDGsの考え方が浸透していく中で、コーポレートファイナンスとソーシャルファイナンスの領域の重なりが拡大。 ・社会的投資のためのエコシステムを形成していきたい。 ・株式会社ボルテックス、ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン株式会社、日本たばこ産業株式会社、株式会社ジャパンタイムズ等のスポンサー。 ・当面のテーマは、教育事業とジェロントロジー(高齢者学)の2大テーマを設定。 ・具体的な事業としては、ライフイズテック株式会社と連携し、ソーシャルIPOの検討を実施。 ・インパクトと利益の両立を目指すIPOがソーシャルIPO。 ◆基調講演(寺島実郎学長) ・社会的投資 ・インテグリティ(全体知)が必要。 ・多摩大学は社会人大学院。社会人の知の再武装。 ・知の武装は3層で必要。 ・1層目は18歳人口(大学進学)を対象にした知の武装。 ・2層目は40〜50代を対象にした知の武装。 ・この世代は知の資産形成ができていない。 ・3層目は60代以上(定年移行)の知の武装。 ・65歳以上は非生産人口。この非生産人口は30年以上生きる。 ・ルール形成は非常に広い概念。 ・このルール形成において日本は非常に遅れている。 ・私の問題意識をヒントにしてもらいたい。 ・三井物産の長期基本戦略に関与。 ・三井物産は1979年のイラン革命により、IJPCで7000億円を失った。 ・その後1987年にブルッキングス研究所に赴任。 ・赴任直後に、マイケル・ミルケン(ジャンクボンドの帝王)の前年度収入が、マクドナルドの売り上げより大きいという記事を読んだ。 ・当時の私は、ジャンクボンドのようなマネーゲーム的手法に否定的で、マイケル・ミルケンのことも批判していた。 ・一方で、ジャンクボンドという仕組みが、米国のITベンチャーを育てたとも言える。 ・ジョージ・ソロスとも3回本気で議論をした。 ・ソロスは最大の投機家でもあり、社会的投資家でもある。 ・一方で、金融の景色が変わるきっかけをつくったとも言える。 ・1999年から銀行と証券の垣根がなくなり、ますます金融が複雑化。 ・冷戦終了後なにが起きたのか? ・驚くほどの勢いで、マネーゲームや商業主義が東側諸国を飲み込んでいった。 ・2008年のリーマンショック。 ・実体経済と金融経済の乖離。 ・実体経済は、約3%の成長(GDPは増大)。 ・金融経済がGDPの4倍を超える。 ・借金もGDPの4倍を超える。 ・金融資本主義が肥大することで、格差と貧困が拡大。 ・国際連帯税の議論。 ・国際金融取引等に広く薄く課税する。 ・当初は技術的に不可能だったが、ビッグデータ等の技術進歩により、技術的にも可能になってきた。 ・社会的投資研究所は、できるだけ実際の事業を推進する。 ・ジェロントロジーは、高齢者学ではなく、高齢化社会工学と訳すべき。 ・インバウンド6000万人を支えるには、ハイエンドのリピーターの受け入れを支える英語ができる高齢者が必要。 ・世界にも貢献する新しい産業をイノベートしていく。 ・防災はその一つ。 ・防災に関して、25年前の阪神淡路大震災の頃から進化したことと全く進化していないことがある。 ・進化したことの代表例は、スマホとコンビニ。 ・スマホは情報通信手段として。 ・コンビニは物資配給等の支援拠点として。 ・全く進化していないことの代表例は、避難所や仮設住宅等の災害時の住環境。 ・防災に関しては、輸出産業になれる可能性もある。 ・日本総研、社会的投資研究所、ルール形成戦略研究所は気持ちとしては一体。 ◆来賓祝辞 ●青柳光昌氏(社会的投資推進財団代表理事) ・社会的投資推進財団は2年前に日本財団グループとして設立。 ・エコシステムを構築していくために、ファンド事業、ハブ事業、シンクタンク事業の3つの柱で取り組む。 ●ナイナ・バトラー氏(AVPN代表) ・ビデオメッセージ。 以上 |