【レポート】水上さんと町井さんにきく「お金の話」(2019年1月17日開催) [2019年01月21日(Mon)]
2019年1月17日に一般財団法人22世紀に残すもの主催で開催された「水上さんと町井さんにきく「お金の話」」に参加しました。
町井さんは元日本財団職員で、私の先輩でもあり、一緒にプロジェクトも進めたご縁のある方なのですが、久しぶりにお会いしたら充実してお元気そうでうれしかったです。 ということで、今回は「お金の話」をテーマとしたトークセッションに参加しましたので、備忘録的なメモをアップします。 【レポート:水上さんと町井さんにきく「お金の話」(2019年1月17日開催)】株式会社シンカ代表取締役社長) ・世界ではキャッシュレス化が進んでいる。 ・日本ではまだまだリアルマネーしか使えないことが多い。 ・この原因は、お金(リアルマネー)に対する信用が高いから。 ・日本は、お金に対する信用が世界でも極めて高い。 ・アダム・スミス「人々が自分たちの利益を追求することで社会に富が生まれていく」 ・ジョン・ロック「貨幣システムは厳密かつシンプルなルールに従うべきである」 ・ユヴァル・ノア・ハラリ「フィクションを信じる力(サピエンス全史)」 ・国とはなにか?実態がないのに実態があるように感じる。 ・人類統一のための3つのフィクション(@宗教、A貨幣、B帝国) ・@宗教は、社会秩序を守るため。 ・A貨幣は、世界を征服する最強の征服者。 ・B帝国は、境界線を変え、無尽蔵な欲を持つ。 ・資本主義は、世界を統一した唯一の宗教である。 ・小麦を生産するようになり、人類の労働時間は伸び、貧富の差や支配と被支配が生まれた。 ・監視資本主義(富や権力が一握りのリーダーに握られる) ・GAFAの時価総額は、国家予算の10以内に相当する。 ・フリードリヒ・ハイエク「文明が発展できたのは、人間が市場の力に従ってきたから」 ・2050年までに、世界人口の70%は都市に集中する。 ・経済は予測や合理性が追求され、数字がものを言う世界。自由や偶然性は失われる。 ・権力は腐敗し、合理性には限界がある。社会の生産性よりも人間の自由の方が大切。 ・成長資本主義の危険性と限界。 href="/kaizokudan/img/IMG_1001.jpg" target="_blank"> ・気にしておきたいキーワード。 ・今後5年ほどは、なんといっても「AI(人工知能)」。 ・産業革命の比ではない。 ・産業革命は100年くらいの時間をかけて進んだので、世代間継承が可能だった。 ・AIは10年くらいの時間で進むので、世代間ギャップが激しくなる。 ・「シンギュラリティ(技術的特異点)」。 ・2035年くらいには。量子コンピューターが実現するとさらに前倒しの可能性も。 ・4歳で成長がとまってしまった女性(実年齢は18歳)の存在は、人間とは?という問題提起をした。 ・テクノロジーと倫理のせめぎ合い。 ・ゲノム操作の是非はその典型。 ・悪化する地方財政。 ・基礎自治体の多くが、ベーシックインカム級の公費投入で支えられている。 ・「ESG(環境、社会、企業統治)」とは? ・SRI投資(社会的責任投資)からESG投資へ。リスクだけでなく、リターンまで含めた投資。 ・7ベンチャーへの投資額(2016年)は、米国7.1兆円。中国2.5兆円に対して、日本は0.13兆円。 ・GPIFがESG投資を開始。 ・ESG投資の規模(投資残高)は、全世界では2500兆円。日本は1兆円。 ・現状は、投資資金は集まっているが、投資先が少ない。 ・経済合理性から見ても、企業はESG投資との接続に取り組むべき時代。 ・ESGを組織戦略できる社員が少ない。 ・「仮想通貨(キャッシュレス)」。 ・「ブロックチェーン」。 ・ブロックチェーンは、分散型台帳技術。 ◆トーク2 水上貴央氏(Socio Forward株式会社代表取締役) ・国の借金は1300兆円弱まで膨らんでいる。 ・10年後には、国の借金が個人資産額を超えてしまう。 ・つまり、国民全員で借金を返そうとしても返せない金額になってしまうということ。 ・外国(人)に買ってもらうと?インフラ→円安につながる。 ・金融マーケットは3年先を読む。 ・つまり、10年後ではなく、7年後に危機が来る。 ・GPIFが日本の株式を大量に購入しているので、株価は上昇している。 ・しかし、間も無く、年金を払うために株を売却しなければいけなくなり、株価も下がり始める。 ・いくら下がるかは分からないが、構造的には下がらざるを得ない。 ・世界の平均成長率は約3%。日本は約1%。 ・20年間で成長量では1.5倍置いていかれてしまった。 ・日本の企業がそこそこ儲かっているのは、輸出と財テク。 ・企業の内部留保が大幅(年平均8%)に増えている。 ・この8%は、所得倍増計画の時代の成長率(7%)よりも高い。 ・インフレと円安が進むと、個人の貯金は目減りし、国の借金も目減りする。 ・日本の潜在成長率を世界平均の3%まで持っていくには? ・石炭経済から石油経済に移行したように、原発経済から再エネ経済への移行が必要。 ・長期的には、ソーシャルな企業の方が成長率が高い。 ・日本は、国民一人当たりの自然遺産が非常に高い。 ・東京オリパラが終わると不況がやってくるので、パラダイムシフトしないといけない時期は早い。 ・日本の危機は残念ながら避けられない。ソフトランディングも難しい。 ・しかし、日本円が暴落しても、日本が滅亡するわけではない。 ・経済危機が生じても、日本人が死んでしまわなければ、経済は復活できる。 ・通貨の下落は可逆的だが、人の死は不可逆的。 ・同じことは幕末にも起きた。 ・江戸時代は銀本位制であり、かつ、コメペック制(武士の給料はコメで支給)の貨幣経済だった。 ・江戸時代には3回の経済危機(亨保、寛政、天保)があった。 ・江戸時代にコメの生産量は倍増したが、強烈なデフレが起きなかったのは、実態的には管理通貨制度(藩札)が導入されていたから。 ・幕末には、大量の金が海外に流出し、金融大混乱が起きたが、日本人は死ななかった。 ・それは、エネルギーが自給され、日常の決済通貨は藩札で維持され、コミュニティも仕事も変わらずあったから。 ・日本の経済が破綻しても、その先の明るい未来も描けるはず。 ・そのためにはテクノロジーの活用が肝。 ・ブロックチェーンとAI。 ・日本円から独立したSMS(ソーシャルマネーシステム)が必要。 ・SMSとビットコインは異なる。 ・ビットコインは通貨ではなく、新たな投機手法。 ・ブロックチェーン技術をマイニングと紐付け、投機手段にしたのがビットコイン。 ・SMSが貨幣システムとして機能するには、発行と吸収が機能することが必要。 ・寄付と有価証券の違い。 ・寄付は規制が低く、融通も利く。 ・SMSの発行は、ふるさと納税の返礼品、環境価値や省エネ価値などとの交換品などで。 ・SMSの吸収は、ふるさと納税(地方税の納税)、公共サービス利用料、未利用時の価値減価などで。 ・SMSは現代版の藩札とも言える。 ◆フリートーク ●参加者から ・小麦の話。食だけでなく、衣食住で、綿のことも今後は触れてほしい。 ・藩札の話。 ・「22世紀に残すもの」の企画化も。 ●町井さん ・日本経済の見立て。 ・地方の衰退を目の当たりにしている。 ・東京でどんなに稼いでも、地方での間違ったお金の使われ方が変わらないと厳しい。 ・一回ポシャらないとダメかもしれない。 ・今の日本はなんでも守り。 ・戦後もそうだったと思うが、一度壊れた後の日本は強い。 ●水上さん ・今のままだと、金融危機が発生した時に、人が本当に死んでしまうかもしれない。 ・(参加者から)東京一極集中を変えないといけないのでは? ・経済を労働力ベースで考えることを変える必要がある。 ・例えば、国富の利回りをベースにする、あるいは、一人当たりの自然エネルギー量をベースにするなど。 ・エネルギーとモビリティがキーワード。 ・自動運転はキーになるテクノロジーの一つ。 ・例えば、寝てる間に自動運転で移動ができれば、秋田に住んで、東京で働き、移動は寝てる間に行うということも可能になる。 ●参加者から ・7年くらいで危機がくるというのは賛同。 ・東京はエネルギーや食などが自給できないから厳しい。 ・自給を考えると、地方に行かざるを得ないのではないか。 ・もう一つは地震。 ・2030年までに東京に大地震が発生する可能性は高い。 ●水上さん ・労働人口が足りなくて困っているのが日本。 ・他の国は、AIや新技術の話をすると、雇用が奪われると暴動になる。 ・AIの活用も、こんなに条件が揃っている国はほかにない。 ●参加者から ・SMS(藩札)について、具体的な実現可能地域のイメージは? ●水上さん ・辺境から。 ・沖縄や北海道。 ・政治的合理性、エネルギーや食料の自給可能性など。 ・もう一つは民間企業から。 ・例えば不動産関連企業が、賃料の一定割合を地域通貨で行うなど。 ・賃料の値下げ競争ではなく、地域通貨で地域を活性化する方向へ。 ・企業城下町的な大企業などが、その地域全体でSMSにチャレンジするなど。 ●町井さん ・農業も工業化していく。 ・空きビルや空きテナントでの工業的農業の普及は、日本でも進むだろう。 ・電気は、太陽光発電で自給的にできる唯一のエネルギー手段。 ・東京は景観的にも太陽光発電のマッチングハードルは低い。 ●水上さん ・電力会社という既得権益のあり方を変えられるかがポイント。 ・会計上のルールを変えてあげる必要がある。 ・巨大自動車会社が燃料電池車をやめると、既存の系列支配が崩壊する。 ・燃料電池車ではなくロボットにシフトしてもらいたい。 以上 |