【レポート】第5回 NPOへの資金提供・助成の最適化に関する勉強会「助成事務のIT化の効果と可能性を学ぶ」in東京(2008年12月18日開催) [2008年12月19日(Fri)]
昨日、東京都港区で、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]さん主催により、
第5回 NPOへの資金提供・助成の最適化に関する勉強会 「助成事務のIT化の効果と可能性を学ぶ」 が開催されました。 この勉強会には、16名(荻上カウントで)の方にご参加いただきました。 みなさま、どうもありがとうございました。 それでは、この勉強会のレポートをお送りします。 【レポート】 第5回 NPOへの資金提供・助成の最適化に関する勉強会 「助成事務のIT化の効果と可能性を学ぶ」 ■趣旨説明 ○趣旨説明 ・助成の最適化をねらいとした調査と勉強会。 ・団体に求められる適切な情報開示のあり方 ・団体の助成機関の適切なコミュニケーションのあり方。 ・助成機関の事務の効率化の具体的な手法について学ぶ。 ○調査の概要報告 ・調査は、48機関、助成総額約110億円を対象に。 ・ウェブサイトによる広報は進んでいる。 ・改善課題:審査結果の活用や助成事業の進捗管理。 ・改善課題:申請書類の受理チェックや申請情報のデータ化。 ・改善課題:事業評価の活用。 ・改善課題:助成プログラムそのものの評価と改善。 ■事例報告1「サポート資源提供システムのビジョンと、団体情報データベースを活用した助成の展開」 加藤哲夫さん(せんだい・みやぎNPOセンター) ○せ・みの取り組み ・2001年にサポート資源提供システムの運用開始。 ・2003年みんみんファンドの運用開始。 ・2001年から約7年で、約6000万円相当のお金や物品の流通実績。 ○サポート資源提供システムの背景 ・地域での支援が広がらないのはなぜか? ・地域のNPOの存在と価値が地域で理解されていないことが大きな原因。 ・NPOの情報が不足していることと、どこが信用できる団体か分からないことも大きな原因。 ・地域貢献したくても小さな会社、組織ではそのコストを負担しきれないので仕組みが必要。 ○NPOの現状 ・イベント情報などのフロー情報と信用につながるストック情報をリンクした情報活用ができていない。 ・事業報告書が2ページ以下の団体が80%もある。 ○サポート資源提供システム導入時のポイント ・2年間の準備期間で下地をつくった。 ・準備の研究会にNPOを入れなかった。→お金ちょうだいという話ではなく、企業とNPOがパートナーになるための仕組みを考えるため。 ・まずは企業が拠出しやすい什器備品からはじめ、徐々に資金や人材の提供へと拡大。 ・ルールとシステムをしっかり構築することが重要。(これがないとひろがらない) ・本体のファンドと冠ファンドの2部構成。 ○NPO情報ライブラリーの重要性 ・冠ファンドが増えていく中で、ファンドごとに団体登録することの無駄を省き、共通化することで情報のもつ信用力を向上することをねらった。 ・網羅するためのデータベースではなく、信用力を高めるためのデータベースにこだわる。(財務情報も詳細に公開するなど) ○地域ファンドの充実のために ・みんみんポータル(http://minmin.canpan.info/)の運営をCANPANと連携して開始。 ・ポータルサイトを運営することで、ここにくればサポート資源のことが分かるという状態にできる。 ・さらに、他のシステム(CANPAN)と連携することで得られる効果を高めることができる。 ・ブログの活用で、会員数が半年で3倍になったという団体も出てきた。 ○助成の事務 ・手書きの申請書は1割くらい。ワードの場合もファイルと紙を両方やってもらう。(いいかげんにならないようにするため) ・助成金の説明会・相談会を開催する。これをやらないと申請数も増えないし、むしろ減ってしまう。 ・合格した団体の審査結果は開示し、不合格の団体には理由を説明している。 ・審査基準については全労済のやり方を参考に事前に公開している。 ・事業報告書もホームページで公開している。 ・地域の小さな助成制度なので、手間をしっかりかけることが肝になる。 ■事例報告2「日本財団の助成システム概要と導入効果、助成業務とCANPANの連動による可能性」 荻上健太郎(日本財団) ■質疑応答 Q.(みんみんへ)評価に関連して、書類作成の上手、下手が評価結果にも影響を与えるのでは? A.たしかにそういう側面はあるが、それだけが全てではない。 評価に際しては、書類だけではなく、現場の確認やヒアリングなども行い、総合的な評価を行っている。 Q.(日本財団へ)事務の効率化に関するシステムの導入や業務改革はどのように進めたのか? A.システムの導入と業務改革の実行はトップダウンで決定した。 このトップダウンによる決定方針に基づき、実際のシステム導入の推進や業務改革のための各種作業はボトムアップで推進した。 Q.(日本財団へ)情報開示やブログの使い方の団体へのサポートは? A.プログラム的にではなく、単発対応的に行っている。 現状は、荻上が各地の中間支援組織と連携してブログ講座などを開催するという、単発的な方法で行っている。 Q.(日本財団へ)職員のブログは検閲などするのか? A.まったくしていない。 トップが最初に、「ブログは検閲したら意味がない。みんな自由にやってよい。もし問題が発生したらトップが責任を取るから。」と宣言したので、みんな自由にブログに取り組んでいる。ちなみに、日本財団の職員がやっているブログは50近くある。 Q.(日本財団へ)職員の意識向上などの施策は行っているのか? A.特には行っていない。習うより慣れろ。 その変わり、ブログの活用方法は職員毎にかなり差がある。 (補足)ちなみに、CANPANの推進については、トップと職員がCANPANをテーマに語り合う語り場という機会を半年ほど毎週2回開催した。 ■グループワーク ○グループ分け(審査期間が長いところ(3ヶ月半以上)と短いところ(3ヶ月半以下)で分ける) ○個別ワーク ・各自の助成制度について、募集から評価までのプロセスについて、取り組んでいる内容、課題、他の機関と連携できそうなこと、を書き出してみる。 ○グループワーク ・個別ワークの内容を共有する。 ・「よそと違う点、特徴」「課題」「共同で取り組みそうなこと」を発表。 ○発表(審査期間が長いグループ) ・募集の段階で評価までしてしまうのは、内部審査方式の特徴。 ・件数が少ないので丁寧なフォローをしている。 ・出会いたい、ストライクゾーンの団体と出会うためのマッチング(広報など)の方法に課題。 ・そのために、中間支援組織との連携施策ももっと必要。複数の助成機関で連携することも必要。 ○発表(審査期間が短いグループ) ・申請を電子データでもらうか紙でもらうか。 ・締め切り間際に申請が集中することをどう避けるか。 ・事業の評価の方法は課題が多い。 ・助成が終わったあとのフォローアップをどうしていくか? ・公募の広報が効率悪い。もっと効率よく広報できるとよいのだが。 ○川北さんからコメント ・募集の段階で良い事業を見つけるために時間を割くには、審査や事務にかかる時間をいかに合理的に減らすかも必要。 ・申請データのデジタル化(内部システムに登録)の作業を省力化したいというニーズが多い。 ・審査事務のIT化には3段階ある。 ・第1段階:広報、考えを伝えるためのIT化。 ・第2段階:申請データの入力などのIT化。 ・第3段階:審査結果や事後評価、情報公開などのIT化。 ・団体の基礎情報については、ネット上に公開されている情報を共通利用するというのも検討してほしい。 ・IT化そのものよりも、助成機関同士で共有化していくことも大事な課題。 ■意見交換 ・小規模の助成機関の場合、アウトソーシングすることへ考え方は?ニーズがあるのであれば、助成機関向けキンコーズ的な取り組みを福祉施設と連携して取り組むというのも良いのでは? ・事後フォローをやってくれる機関や、や二重登録防止などの意味でも信用保証機関があるといい。 ・今後大規模な助成機関ができるというよりは、小規模な助成機関が増えるだろうから、そういう小規模な助成機関の事務代行のサービスもニーズがあるかも。 ○加藤さんからコメント ・地域の小さな助成機関はきちんとしたフォローがとても大切。 ・助成プログラムの社会への最適化も課題として取り組んで欲しい。 ○パナソニックファンドの取り組みから ・パナソニックのファンドは決定してからが重要。そこで、テクニカルアシスタンスに重きを置いている。 ・このテクニカルアシスタンスができる人材が少ない。助成機関同士の連携も必要。 ○日本財団山田さんから ・申請入力事務を福祉工場に一括発注するなどの連携を助成機関どうしでする手もある。 ・事務の効率化だけでなく、助成機関のSR推進にもなる。 ■開催要項 開催要項はこちら 以上 |