【レポート】NPO支援財団研究会シンポジウムin関西 [2008年02月25日(Mon)]
先日大阪で開催されました、
NPO支援財団研究会シンポジウムin関西 地域社会の活性化に向けて助成財団の役割と助成金活用法 のレポートをお送りします。 このシンポジウムの開催要項はこちらをご覧ください→開催要項 今回はあまりにも長文になってしまいました。 ☆★☆☆★☆ とっても大事なことがぎっしりなのですが、私なりに特にここは読んで欲しい、ここは伝えたい、と思う箇所は赤字にしておきました。 お時間が無い方は赤字だけひろってください。 ※パネルディスカッションも充実してましたのでぜひ読んでください! ↓↓↓本記事の最下部にある「続きを読む・・・」をクリックしてください。 ☆★☆☆★☆ 【レポート】 ■NPO支援財団研究会とは? 少子高齢化が急進展する21世紀のわが国にあっては、社会の発展・変革に重要な役割を期待されているのが、市民活動の活性化です。また、その活動を担う市民団体が健全に発展するには、活動資金と優秀な人材の確保が必要です。 一方で、民間の助成財団はそのようなリソースを提供できる可能性をもっていますが、長引く低金利、制度上の制約など、財団が社会からの期待に思うように応えられないのが現状です。 このような状況の中、助成財団と市民活動団体がともに活動を活性化させ、わが国の社会システムを変えていこうと、各分野の有志が集まり、平成13年度に発足させたのがNPO支援財団研究会です。 最近は、NPO活動が地域社会に根をおろすための支援について考えることとし、「地域社会の活性化と助成財団の役割」をテーマに全国でシンポジウムを開催しています。 (以上NPO支援財団研究会資料より引用) ■基調講演「活動を支える資金源はどうあるべきか」 講師:松原明さん(シーズ=市民活動を支える制度をつくる会 事務局長) ○NPOの資金源について ・NPOは非営利活動組織だが、非営利活動=非資金ではない。非営利活動でも活動をするためには資金が必要。 ・助成金はもらえればいいというものではない。 ・失敗事例:とあるNGOは、国際シンポジウムの開催に助成金を3年間3千万円もらっていた。助成金をもらえているうちは良かったが、その後の展開ができず、助成金の終了とともに事業も終了してしまった。 ・資金について理解すべき視点。@資金の種類 A資金の性格 B資金源のトレンド C経営の視点から資金を考える。 ・資金の性格を考えることは、相手(資金の出し手)のことを考えるということ。 ○助成金について ・助成金にもいろいろな形式・種類がある。さらに、助成する助成財団によって趣旨、考え方も異なる。 ・形式、種類、趣旨、考え方も様々なので、まずは聞いてみる・相談してみるということが大切。 ・経営上注意しなければいけないことの一つは支払い方法。精算払いの助成金の場合は、資金繰り能力が強く要求される。 ・助成金は本来の性格上も長期にわたる継続支援は難しい。そこで、助成金を活用するNPOには、助成金のその後の展望をきちんと描けることが必要。 ・団体の管理運営費が対象外であることが多いのも、継続性がない資金を継続性が必要な管理運営費に投入することが、NPOの自立や継続を阻害する危険性があるから。 ・助成金の競争率は高い。10倍以上の競争率も当たり前。なので、申請しても落ちて当たり前。一度ダメでもあきらめず、再チャレンジを恐れない。 ○助成財団について ・助成財団にもミッションがあり、NPOはミッション達成のためのパートナーと位置づけている。 ・助成財団自身も出資者に対して大きな責任を負っていることを理解することが必要。 ・助成財団自身も社会的成果や影響に対して大きな責任を負っていることを理解することが必要。 ・助成財団自身も資金を獲得して経営することが必要。 ・助成財団とNPOが相互に発展するためにも、助成を受けたことや成果は積極的にアピールすることが重要である。 ○助成金応募の際の心がけについて ・やたらめったら申請・利用しようとしない。 ・団体の経営ビジョンや事業計画と照らし合わせて利用を検討する。 ・申請書は計画書。問題や思いの記述だけではダメ。その問題や思いをどのように解決するのか、実現性のある解決策を提案する。 ・申請書には、助成金によって何がどのように変わるのか、変わる可能性があるのかを分かりやすく記述する。 ・申請する前に団体内部できちんと共有することが重要。共有していないと経営が破綻したり、その後の展開につながらなかったりする危険性がある。 ○最後に ・助成財団も様々である。今日を機会に理解を深めてほしい。 ・NPO側も助成財団に何が提供できるのか?パートナーシップとして考えてほしい。 ・このシンポジウムをパートナーシップを深めるきっかけにしてほしい。 ■フロアディスカッション「助成財団の特徴を理解し、役割を考える」 登壇財団: ・田中恭一さん(トヨタ財団) ・富沢泰夫さん(損保ジャパン環境財団/損保ジャパン記念財団) ・水野淳二郎さん(三菱財団) 参加財団: 大阪コミュニティ財団/キリン福祉財団/助成財団センター/日本財団/日立環境財団/三井物産環境基金/郵便事業株式会社/読売光と愛の事業団(五十音順) コーディネーター: 松原明さん(シーズ=市民活動を支える制度をつくる会 事務局長) ○審査について(トヨタ財団) ・選考委員会は外部有識者のみ(8名)で構成されている。 ・選考基準は、触媒的役割、資源の有効活用、発信力と表現力、 ・触媒的役割とは、事業がきっかけに広がりができていくこと。 ・資源の有効活用とは、色々あるが大事なことはネットワークができること。 ・発信力と表現力とは、ただ単に発信するだけでなく、伝えることができる表現力を求めている。 ・地域の眠っている資源を発掘し、発信することで地域活性化につながることを期待している。 ・成果の表現方法について。研究事業の場合、論文だけでは不十分と言われるようになってきた。 ・研究助成であっても成果の社会的インパクトが必要。これからの検討課題。 ○審査について(損保ジャパン記念財団) ・助成のミッションに合っているかどうかを重視して審査している。 ・新しいアイデア、地域でリーダーシップを発揮できるかどうか。 ・申請書は団体自身の言葉で記述してほしい。(代筆はやっぱり分かる) ○審査について(三菱財団) ・審査委員が各自ABCDEの評価をつけ、その後審査委員会で討議を行う。 ・審査委員会の討議で絞り込み、最終的には面接を行い決定する。 ・開拓的・実験的事業への支援を重視している。 ・そのため、失敗してしまうこともある。失敗はないに越したことはないが、失敗から何を学び次につなげるかどうかが大切と考えている。 ・申請書作成のポイントは、正直に書くこと。簡潔に箇条書きで書くこと。何をやるたいのかを明確に書くこと。 ○審査について(大阪コミュニティ財団) ・コミュニティは人の集まり。そして基金の集まり。 ・審査基準は3つ。ニーズが明確かどうか、先進的であるか、広がりや影響度。 ○審査について(三井物産環境基金) ・社会への貢献度。 ・地域や多くの関係者を巻き込む活動。 ・申請書が分かりやすく、何をどうしたいのかが明確に記述されていること。 ○審査について(読売光と愛の事業団) ・応援したいと思う事業であること。 ・審査員には女優もいる。つまり、専門家ではない人にも伝わるような ○審査について(日本財団) ・事務局審査なので、事務局はみなさんの代弁者となる。みなさんの代弁ができるように積極的に情報をほしい。 ・審査基準は分野によって異なる。 ○審査について(郵便事業株式会社) ・ホームページに審査基準などを全部公開しているので見てもらいたい。 ○審査について(キリン福祉財団) ・審査基準は募集要項上には明記していない。 ・呼び水事業と思っているので、活動のステップアップに積極的に活用してほしい。 ○審査について(松原さん) ・審査委員が専門家でない、専門性が低いことを批判する団体もいるが、これは思い上がり。 ・市民活動は、地域の中で地域課題を解決していく活動。であれば、専門家ではない人にも伝える、巻き込むことができなければダメ。 ■シンポジウムの模様 ○会場は大阪NPOプラザ ○基調講演はシーズの松原さん ○事例紹介のパネルディスカッション ○130名強の大勢の方にご参加いただきました 以上 |