【レポート】2018年ふるさとテレビ第11回(通算第122回)月例セミナー(2018年12月26日開催) [2018年12月26日(Wed)]
2018年12月26日(水)にふるさとテレビ主催で開催された「2018年ふるさとテレビ第11回(通算第122回)月例セミナー(←PDFファイル)」に参加しました。
ふるさとテレビの月例セミナーに参加するのは10年ぶりくらいではないかと思いますが、今回は住友林業の市川社長がご登壇。 日本は国土の3分の2が森林というのは以前から言われていることですが、この50年間、森林面積はほぼ横ばいだけど、森林蓄積量(木の量)は約3倍に増えている、つまり、日本の山々は木で溢れかえっているということですね。 一方で、林業従事者はピーク時の44万人から約4万人と10分の1に減少しており、単純に労働力確保という問題だけでなんとかなる状況ではなさそうです。 備忘録的なメモをアップします。 【レポート:2018年ふるさとテレビ第11回(通算第122回)月例セミナー(2018年12月26日開催)】 「SDGsと住友林業グループの取り組み」 市川晃氏(住友林業株式会社代表取締役社長) ◆1.住友の歴史 ●住友の祖 ・住友の祖、住友政友。 ・文殊院旨意書「商売はいうまでもないが、すべてのことについて心を込めて励むように」。 ・もう一人の住友の祖、蘇我理右衛門。 ・「自利利他公私一如」 ・1691年別子銅山の開坑を創業年としている。 ●大造林計画 ・住友家初代総理事の広瀬宰平が近代化に貢献。 ・銅山をベースに各種産業を展開。 ・銅山の発展とともに、別子山の環境は破壊された。 ・上申書に基づき、別子支配人の伊庭貞剛が大造林計画を発令。 ・現在の別子山は自然豊かな山に戻っている。 ・新入社員は別子山を必ず訪れる。 ●住友の近代 ・精錬所を瀬戸内海の無人島に移転。 ・その後、亜硫酸ガスが海へ影響を。無害化する対策から住友化学がスタート。 ・第二次大戦後の財閥解体。 ・「正しい事業を進めていく。住友の各事業は兄弟分。精神的に提携を」 ●住友の遺産 ・日暮別邸(当時は四阪島に。現在は新居浜に移転) ◆2.日本の森林 ●森林の現状 ・国産材の蓄積量は毎年増加。 ・木材自給率は36.1%(2017年)。最低時の18.8%(2002年)からは上昇中。 ・為替変動の影響もあり、木材価格は低迷を続けている。(木材需要低迷の一因) ・素材と構造物は分けて考える必要がある。 ・建物の強さは、素材そのものではなく、建て方が重要。 ・建築基準法が整備されたのは戦後。耐震基準についてはさらに後(1981年)。 ・戦後、木造建築物を避ける傾向もあり、木材需要低迷が加速。 ・林地も農地も、一度人の手を入れたら、入れ続けないと荒れてしまう。 ・人工林の荒廃が深刻化し、森林が持つ公益的機能が著しく低下している。 ・林業従事者は44万人→4万人まで減少。 ●木が持つ能力 ・木は二酸化炭素を吸収し、炭素として固定する。 ・伐採して燃料として燃やしても、固定した炭素が放出されるだけなので、炭素フリーである。 ・木を植える、育てる、伐る、使う、また植えるという循環が重要。 ・木は強くて軽い。 ・軽い家の方が地震の際の揺れが小さい。 ・木は火にも弱く無い(熱が伝わりにくい)。 ・一度火が付いても、表面が焦げて炭素化すると、中は燃えていない。 ・調湿作用と熱伝導率の低さ(熱を奪わない)が住みやすい環境を提供。 ・集中力やリラックスにもプラス効果。 ・木材自給率50%を目指し、森林・林業再生プラン。 ・公共建築物等における木材の利の促進に関する法律が2010年に制定。 ●中大規模木造建築物の普及促進 ・住友林業のmoccaプロジェクト。 ・木造×rcビル、体育館、図書館など。 ・世界では、木造で80mを超すビル建造物も建てられている(ノルウェー)。 ◆3.住友林業の事業概要 ・取り扱い高国内No.1の木材・建材商社。 ・1975年から注文住宅事業も。 ・旧家リフォームも。できるだけ元の材を活かしながら、耐震基準と快適性を両立。 ・豪州と米国での戸建住宅事業も展開。 ・48,000haの社有林(日本の国土の約800分の1)。 ・林業の近代化推進のためのアセットマネジメントやICT化など。 ・育苗による苗木生産。 ・木質バイオマス発電。 ・川崎の発電所は都市廃材(建築廃材)を100%利用。 ◆4.住友林業グループの取り組みとSDGs ・CSR中期計画を財務計画と連動して作成。 ・環境木化都市W350計画。 ・2041年の創業350年に、高さ350mの木造建築物の実現を目指す。 ・住友林業一社では実現できないので、オープンイノベーションのプラットフォームに。 以上 |