【レポート@】PR3.0カンファレンス「企業と『個』の新しい関係構築(Public Relations to Personal Relations)」(2018年11月27日開催) [2018年11月29日(Thu)]
2018年11月27日(火)にPR Table Community(株式会社PR Table)主催で開催された「PR3.0カンファレンス「企業と『個』の新しい関係構築(Public Relations to Personal Relations)」」に参加しました。
ネスレ日本の高岡社長の基調講演はとても迫力がありました。 「広告ではなく、ニュースをつくっていく時代」「顧客が認識できていない問題を発見し、解決するのがイノベーション」など、ご本人の言葉になっているので、聞いていても引っかかることなく入ってくるすごさがありました。 高岡社長の基調講演を含めてオープニングセッショの他、Lunch Session「変化する企業は、経営戦略としてのPublic Relationsを再評価すべきだ」、セッション「新しいルールを作って事業を創造する。今、日本にはパブリックアフェアーズが必要だ」の3つのセッションに参加しましたので、備忘録的なメモをアップします。 【レポート@:PR3.0カンファレンス「企業と『個』の新しい関係構築(Public Relations to Personal Relations)」(2018年11月27日開催)】 ◆Opening ・PRTableとは? ・「ポスト2020の日本社会にハートのある技術をインストールする」をミッション。 ・PRを一気にアップデートしたいという思いで、このカンファレンスを企画。 ・これまでのPRはメディアリレーションズが起点。 ・これからは、あらゆるプレイヤーとのリレーションへ。 ・パーソナルリレーションズがキーワード。 ・テクノロジーにより、個人の解像度があがった。 ・個人が企業とつながっていく時代。 ・企業はマスではなく、個人と向き合っていく時代。 ・HR(Human Resources)のマーケットのポテンシャルの大きさ。 ・オープンな時代。社内と社外、社員と非社員を切り離すことはできない。 ・「あらゆる会社に表現力を。すべての個人に選択力を。」がキーコンセプト。 ・事業にかけている資産、思いをコンテンツ化し、届けていく。 ・コンテンツのテーマ、届けたい対象を設定することで、コンテンツのフレームを提案するサービスを提供。 ・将来は、企業のコンテンツづくりをAI化し、起こることを予測するサービスを。 ・総額4億円の資金調達を実施。新たなサービスと研究開発に投入。 ・本日のカンファレンスに参加されるみなさんで、PRをアップデートしていきたい。 ◆Keynote Speech 「イノベーション企業は、Public Relationsを経営に取り入れている」 高岡浩三氏(ネスレ日本株式会社代表取締役社長兼CEO/ケイアンドカンパニー株式会社代表取締役社長) ●経緯 ・ネスレの子会社に入ったときから、これからは広告ではなく、PRの時代だと言ってきた。 ・21世紀は「ブランドでニュースをつくる」時代。 ・ニュースはストーリーと同義語。 ・「人にしゃべりたくてしょうがないもの」をつくりだしていくこと。 ●日本社会 ・日本は高齢化と人口の減少。 ・古き良き時代は1年で100万人も人口が増えた。今はわずか35万人。 ・胃袋の数も減り、食品業界の行く末は厳しい。 ・バブル崩壊以降の失われた25年。 ・20世紀のエネルギーでつくってきた時代から、ネットとAIという新たなエネルギーでつくりだしていく時代へ。 ●ネスレ日本 ・世界一の食品企業であり、日本法人のトップとして、社会に発信する義務がある。 ・ネスレ日本の売上は、2001年から2009年まで赤字。 ・2010年から2017年は、売上3.2%アップ。黒字かつ利益15%アップ。社員数は3000名→2500名へ減。 ・ネスレグループ世界全体では、2012年以降は成長率が下がり続けている。 ・これは、BRICs等の新興国の売上が伸び止まり、下がり始めたため。 ・ネスレ日本のネスレグループ内での役割は、「高齢化と人口減少により縮小しつつある先進国市場における持続的な利益成長モデルを確立すること」である。 ・これを実現するにはイノベーションが必要。 ●リノベーションとイノベーション ・イノベーションとリノベーションの違いが分からなかった。 ・新たなチャレンジ。 ・ブランドマーケティングを否定。 ・新興国依存モデルから先進国成長モデルへの脱却。 ・新たなマーケティングとイノベーションが必要。 ・20世紀型ではなく、21世紀型の新たなイノベーションとは? ・21世紀のマーケティングをフィリップ・コトラーと一緒に著作。 ・これからのマーケティングは、顧客の問題解決による市場の付加価値想像活動である。 ・顧客が認識している問題はリノベーションで。 ・顧客が認識していない非認識問題はイノベーションで。 ・市場調査でリノベーションは起こせるが、イノベーションは起こせない。 ・例えば、「室内が暑すぎる」という顧客の問題解決。 ・うちわ→扇風機→エアコンはイノベーション。 ・扇風機やエアコンの機能向上はリノベーション。 ・クリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」という著作。 ・破壊的イノベーションと持続的イノベーション。 ・持続的イノベーションはリノベーション。 ・産業革命を引き起こしたのは、新しいエネルギーや技術の出現。 ・蒸気機関(第1次産業革命)、石油・電気(第2次産業革命)、ネット(第3次産業革命)・・・ ●高岡流ノウハウ ・問題解決ではなく問題発見が重要。 ・インスタントのネスカフェコーヒーの立て直しを求められた。 ・正直、自分自身、インスタントコーヒーを飲んでいなかった。 ・当時、TVCMに400億円/年も払っていた。 ・プロ(レストラン、カフェなど) ・一流ホテルのラウンジのコーヒーは酸化しているので、実際にはネスカフェよりも美味しいものはない。 ・ミシュランの星付きレストランでネスカフェが出てきたらどうなるか?顧客の問題解決になるのか? ・京都の菊乃井の村田氏に相談しにいった。 ・予想に反し、わずか30分で取り扱いOKが出た。 ・菊乃井では、365日同じ味を提供することにプロのこだわりを持っていたが、コーヒーだけは自分でなんとかできないことに問題意識を抱えていた。 ・そこで、365日いつでも同じ味が提供できるネスカフェを評価して受け入れてくれた。 ・顧客の新しい問題を発見し、解決するのがマーケティング。 ・菊乃井ほかの一流シェフが取り扱い始めた結果、わずか3ヶ月で、レギュラーコーヒーのイメージはネガティブからポジティブに変わった。 ●これからの日本「家族消費から個人消費へ」 ・日本における新しい現実とは? ・これまでは家族単位、家庭内調理、家族消費が主だったが、現在とこれからは、個人単位、外食が主へ。 ・ネスカフェも、1杯ずつ抽出可能なカプセル式が伸びている。フィルター式はマイナス。 ・ネスカフェアンバサダーのビジネスモデルは、顧客の家庭外消費を促すイノベーション。 ・家庭外消費の6割はオフィス。 ・市場調査では、このオフィス利用状況に関して不満が見えてこない。 ・しかし、実際には、わざわざオフィス外のカフェに買いに行くのが面倒だったり、サービスマシーンのコーヒーが不味いなどの不満を抱えている。 ●これからの日本「健康寿命」 ・日本人の平均寿命は伸びているが、健康寿命は伸びていない。 ・平均寿命と健康寿命には約9歳の差がある。 ・ネスレウェルネスアンバサダーのサービスをスタート。 ・ネスカフェアンバサダーもネスカフェウェルネスアンバサダーも、100%ネットプロモーション。 ・2017年10月開始、2018年9月時点で12万人を突破。 ・ユーザーが選ぶのではなく、ウェルネスアンバサダーが提案をする処方箋方式。 ・血液検査やDNA検査のサービスも提供。 ・検査結果に基づいたパーソナルサービスを提供。 ●これからの日本「宅配の問題」 ・仕入れ小売業から製造小売業が主流へ。 ・ネスカフェアンバサダーもウェルネスアンバサダーも製造小売モデル。 ・宅配業界は人手不足で配達ができないという新しい現実。 ・一方で、定年後の再就職先が見つからない高齢者がたくさんいるという現実、顧客の課題がある。 ・そこで始めたのがMachiECO便。 ●おわりに ・「ブランドは広告でつくれない」(アル・ライズ著) ・広告を全否定はしないが、広告だけの時代は終わった。 ・いかにしてポジティブなニュースをつくるかが肝。 ・そして、そのニュースをタダで広げる、これが可能なのが21世紀。 ・ケイアンドカンパニーは、次世代のみなさんに伝えたい、育てたいという思いで活動。 以上 |