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先輩研究者のご紹介(田中 志歩さん) [2019年07月02日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「バングラデシュの少数民族クミ族の学校教育制度受容」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、広島大学国際協力研究科所属(助成当時:香川大学教育学研究科所属)の、田中 志歩さんから専攻されている研究について、コメントを頂きました。

<田中さんより>
 世界には少数民族や先住民族と言われる人が約3億人暮らしています。彼らの多くは、様々な開発へのアクセスが困難であるといわれています。私の研究対象であるバングラデシュには、どのくらいの少数民族が暮らしてるか皆さんご存知でしょうか?諸説ありますが、45民族と言われ、居住地域によって大きく2つに分けることができます。

写真1.jpg
(写真1:バングラデシュの少数民族の地域別の分類)

 私は、5年前に日本語教師としてバングラデシュの中でも少数民族が多くを占めるチッタゴン丘陵地帯の少数民族寄宿舎学校で暮らしました。

写真2.jpg
(写真2:チッタゴン丘陵地帯の様子)

 ここで暮らしていく中で、少数民族の中にも注目を浴びやすい民族やそうではない民族がいることを感じました。開発現場で少数民族として政策や支援の対象になっているのは、その国の中でも人口が多い場合や、政治的な力の強い民族であることや、少数民族は多様性にあふれているけれども、単純化されて語られてしまっていることに気がつきました。
 そこで、少数民族の中でもマイノリティな存在である小規模少数民族の「今」を知りたいと思い、修士時代よりクミ民族の教育に関する研究を始めました。
 クミ民族は、人口約3,000人(SEAD2017)、バンドルバン県にその多くの人口が集中しており、ミャンマーとの国境付近に暮らしています。また、人口の9割が現在も焼き畑農業で生計を立てています。シナ・チベット語族のクミ語を母語とし、宗教はキリスト教や仏教、土着信仰となっています。

写真3.jpg
(写真3:クミ民族の人々)

写真4.jpg
(写真4:焼き畑の風景)

 バングラデシュの初等教育純就学率 は97%、初等教育終了率は78%(外務省2017)と、目覚ましい発展を遂げている一方で、今回の研究対象である小規模少数民族クミの就学率は2008年には僅か18%であり、その差は大きく開いています。

 今回の研究では、メインの調査としてクミ6村落で88世帯に対する悉皆調査を実施しました。調査から、祖父母世代の就学率が0%、親世代が34.4%、子世代が87.6%と祖父母世代や親世代と比較して学校教育にアクセスを可能にした人数が増加してきていることが分かりました。また、僅かな現金収入の中でも子どもの教育費に世帯収入の大部分を当てているケースも見られました。
 悉皆調査に加えて、子どもたちへのインタビューを行い、非就学や中途退学が起きている要因を分析しました。経済的な要因だけでなく、本人の就学意欲の低下や、それをフォローアップしたり、ロールモデルとなる存在が身近にいないことで引き起こされていることが明らかになりました。

 この4月からは、香川大学から広島大学の博士課程へと進学し、バングラデシュの少数民族の研究を継続しています。博士課程では、修士で行った小規模少数民族だけではく、大規模少数民族や中規模少数民族の調査を行い、少数民族内での比較分析を可能とする枠組みを提示することに取り組んでいきたいと考えています。そして、多様な少数民族に対する効果的な教育政策に関する研究・提言ができるように頑張っていきたいです。
<以上>


 田中さんはバングラデシュに関わって、なんと8年となるそうです。現地で暮らしたり、少数民族の方と同じような生活をしたりすることで、独自の目線からの発見があったのではないかと思います。今後も研究をつづけ、バングラデシュのためにも頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 08:50 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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