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先輩研究者のご紹介(宮前 二朗さん) [2019年06月03日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「再生医療実現のためのイヌ移植免疫学的知見の収集」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、日本大学獣医学研究科所属の、宮前 二朗さんから、最近・助成時の研究について、コメントを頂きました。

<宮前さんより>
 ヒト医療では、骨髄移植や臓器移植などにより、多くの人の命が救われています。また、iPS細胞などの体性幹細胞移植による再生医療の実現も目前に迫っています。拒絶反応を抑制し、これらの移植医療(他家移植)を成功させるためには、ドナーとレシピエントの間で主要組織適合性複合体(Major histocompatibility complex: MHC)の遺伝子型を一致させることが非常に重要です。しかし、このMHC遺伝子は非常に多型性に富んでおり、これまでにヒトでは21000種類以上の対立遺伝子が報告されているため、この中からレシピエントとMHC型が一致したドナーを探し出すことは困難な場合が多いのも現状です。
 私たちの研究室では、獣医療における幹細胞他家移植による再生医療を実現するため、イヌMHC遺伝子の研究をしています。これまでの研究から、イヌMHC遺伝子の対立遺伝子は約500種類でありヒトと比較して多型性が低いこと、さらに、移植医療において最適なドナーとなるMHC遺伝子ホモ接合個体の割合はヒトと比較して非常に高いことが分かってきました。つまり、イヌでは移植時のドナーの選択が容易であり、他家移植による移植医療を導入しやすいことが考えられました。このようにイヌMHC遺伝子の多型情報が明らかとなってきた一方で、イヌにおいてもドナーとレシピエント間でMHC型が一致していれば拒絶反応を抑制できるのかどうかは、正確に評価されていませんでした。

図1.jpg


 そこで、この疑問を解明するために、混合リンパ球反応法を用いて、リンパ球の活性化(増殖)を評価しました。その結果、2頭のイヌの間で、MHC型が一致している場合はリンパ球の増殖は観察されなかったのに対し、MHC型が不一致の場合は顕著なリンパ球の増殖が観察されました。よって、イヌでもMHC型を一致させることで移植時の免疫反応を低減し、移植拒絶反応を抑制することが可能であると考えられました。これらの研究成果は第14回国際比較免疫学会(アメリカ)および第161回日本獣医学会学術集会にて発表いたしました。
 実際に獣医で移植医療を行う際には、免疫学的、細胞学的、さらには倫理学的にまだまだクリアしなければいけない課題が多く存在します。研究者として、そして獣医師として、さらなる獣医学の発展のために、これらの課題に取り組んでいきたいと思います。


 移植医療では、科学的な問題だけでなく倫理学的な問題も多くあり、思うように研究を進められないこともあるかと思いますが、病気などで苦しんでいる動物たちのためにも、頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:23 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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