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先輩研究者のご紹介(菅 忠明さん) [2019年05月23日(Thu)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「膵臓がん組織の多色深部観察に基づく空間分布制御型DDSキャリアの構築」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、長崎大学大学院所属の菅 忠明さんの研究について、コメントを頂きました。

<菅さんより>
 私の所属する長崎大学大学院医薬品情報学分野では、リポソーム製剤を利用したがんへの薬物送達システム(DDS)の開発を行なっています。リポソームは、約100 nm(1万分の1 mm)のカプセルであり、抗がん剤を内部に封入することでがんへ効率よく抗がん剤を運ぶことが出来るため、治療効果の向上や副作用の軽減に繋がります。現在、抗がん剤であるドキソルビシンを封入したDOXILや、抗真菌薬であるアムホテリシンBを封入したAmBisomeなどが既に臨床で実際に利用されています。また、2016年にはリポソーム製剤の開発に関するガイドラインを厚生労働省が発出しており、リポソームを利用した新たながん治療法の開発が期待されています。
 近年、リポソームをさらに選択的にがんに送達するため、リポソーム表面にがん細胞に結合する分子を修飾した標的指向型リポソームが注目されています。しかしながら、実用化へ向けては、リポソームを標的指向化するための脂質の機能性や品質の向上が課題でした。そこで本研究では、がん細胞や腫瘍血管を認識するRGDペプチドをリガンド分子とする、高機能・高品質脂質(RGD-HFQ Lipid)を新たに開発しました。HFQ Lipidは、スペーサー構造の最適化によってリガンド分子のがん細胞への認識性を向上させ、単一の分子となるように設計しました。実際に、RGD-HFQ Lipidで修飾した標的指向型リポソームは、細胞を用いた評価において従来のRGD修飾リポソームよりも標的細胞に高い結合性を示しました。
 また、腫瘍に到達した標的指向型リポソームの腫瘍内における分布は、標的指向型リポソームの機能性を評価する上で重要な情報です。しかしながら、従来の組織切片の観察による二次元的な情報では、腫瘍内で不均一に分布する標的指向型リポソームの解析を行うことは難しく、新たな評価法の確立が必要でした。そこで、リポソームの腫瘍内分布の評価系として、組織透明化を用いた腫瘍組織の多色深部イメージング法を新たに構築しました。本評価系を用いることで、腫瘍におけるリポソームの分布を3Dで観察可能であり、腫瘍内におけるリポソームと腫瘍血管などの組織構造の空間的な位置関係を解析することが可能になりました。本評価系を用いて、がんモデルマウスにおいてRGD-HFQ Lipidで修飾したリポソームが標的細胞へ効果的に集まることを明らかにしました。本研究成果は、Molecular Pharmaceuticsに掲載されました(T. Suga, et al., Molecular Pharmaceutics, 2018, 15, 4481−4490.)。これらの知見は、標的指向型リポソームを利用した効果的ながん治療法の開発に繋がることが期待されます。

図1.jpg

 不治の病と言われていたがんについても、研究者たちの努力のお蔭で、かなり解明が進んできたようです。高齢化社会となった日本では、がん治療法の開発は重要な課題であるため、これからも頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:19 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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