「科学者を目指している若者の育成について」
[2016年07月21日(Thu)]
竹内啓先生から、寄稿いただきましたので、ご紹介いたします。
先生は、平成9年から約20年にわたり日本科学協会の理事・評議員としてご活躍いただき、平成28年6月に顧問に就任されました。東京大学・明治学院大学の名誉教授・特に統計分野で優れた業績を残され日本学士院の会員でいらっしゃいます。ご専門分野は、統計学、計量経済学、数理統計学、日本経済論、近代社会論、科学技術論です。
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「科学者を目指している若者の育成について」
竹内 啓
竹内 啓
1.「神童」あるいは「天才少年少女」を育成することを目的としてはならないと思う。天才は自ら育つものであって、指導して育成されるものではない。それよりも「普通の科学好きの少年少女を一人前の科学者」にすることを目標とすべきである。
2.それには、科学的なものの見方、考え方を身につけること。つまり客観的な事実を注意深く観察すること、論理的に考えることが大切である。従って、最初から「独創性」や「目覚しい結果」を求めるべきではないと思う。重要なのは、手続きであって結果ではない。国際コンクールに入賞することは結構であるが、そのこと自体を目標とすべきではない。
3.「仮説を立てる」ことから出発することには反対である。何よりもまず対象をよく観察することから始めるべきで「仮説」はその中から生まれて来るものでなければならない。
そうして「仮説」は研究の中で、深められて発展していくもので、最初に思いついた仮説を検証すればそれで終わりではない。
4.対象をよく観察する過程で、データを適切に扱うこと、つまり統計的処理が大切である。「研究者のための統計的方法」(R.Aフィッシャーの著書)を理解する必要がある。それは、決して形式的な「統計的検定」の方法を当てはめればよいというのものではない。
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2.それには、科学的なものの見方、考え方を身につけること。つまり客観的な事実を注意深く観察すること、論理的に考えることが大切である。従って、最初から「独創性」や「目覚しい結果」を求めるべきではないと思う。重要なのは、手続きであって結果ではない。国際コンクールに入賞することは結構であるが、そのこと自体を目標とすべきではない。
3.「仮説を立てる」ことから出発することには反対である。何よりもまず対象をよく観察することから始めるべきで「仮説」はその中から生まれて来るものでなければならない。
そうして「仮説」は研究の中で、深められて発展していくもので、最初に思いついた仮説を検証すればそれで終わりではない。
4.対象をよく観察する過程で、データを適切に扱うこと、つまり統計的処理が大切である。「研究者のための統計的方法」(R.Aフィッシャーの著書)を理解する必要がある。それは、決して形式的な「統計的検定」の方法を当てはめればよいというのものではない。
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竹内先生ありがとうございました。