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日本科学協会が"今"やっていること

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再告知:2020年度笹川科学研究助成の募集について [2019年10月09日(Wed)]
2020年度笹川科学研究助成の募集を行っております。
間もなく締切(10月16日23:59まで)となりますので、お早目のご申請をお願いいたします。

◆申請について
詳細については、下記の本会Webサイトをご確認ください。
・本会Webサイト
https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/

■申請期間
【学術研究部門】・【実践研究部門】
・申請期間 :2019年 9月17日 から 2019年10月16日 23:59 まで

■募集部門
【学術研究部門】
 ・大学院生(修士課程・博士課程)、所属機関等で研究活動に従事する方
 ・35歳以下の若手研究者
 ・1件あたりの助成額の上限は100万円

【実践研究部門】
 ・博物館、NPOなどに所属している者
 ・1件あたりの助成額の上限は50万円

■申請方法
 Webからの申請です。

◆ご周知について
下記の本会Webサイトへのリンクや、ポスターを印刷し、ご周知頂けますと幸いです。
・本会Webサイト
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/ 
・募集告知ポスター
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/data/poster.pdf
Poster2020.jpg


<問い合わせ先>
公益財団法人日本科学協会 笹川科学研究助成係
TEL 03-6229-5365 FAX 03-6229-5369
https://www.jss.or.jp
E-mail:josei@jss.or.jp
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:26 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(田中 俊一さん) [2019年10月07日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「X線結晶構造解析によって解明する、抗体ミミックペプチドが酵素の基質特異性を改変する分子メカニズム」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、京都府立大学大学院生命環境科学研究科所属の、田中 俊一さんから最近・助成時の研究について、コメントを頂きました。

<田中さんより>
 酵素と聞くと、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか?ここ数年、酵素ダイエットが話題となり、ダイエットのサポート役というイメージを持たれる方も多いとは思いますが、教科書的には、カラダの中で起こる化学反応を促進する生体触媒です。およそ2,000種類といわれる多様な酵素の働きによって、私たちの生命活動は維持されています。他方、酵素はカラダの外にも働く場を持っていて、具体的には、食品加工、医薬品合成、化粧品、繊維加工、製紙、洗剤などの多くの産業分野で、様々な酵素が利用されています。今後も産業分野においてますますの利用拡大が期待される酵素ですが、実は課題もあります。それは、自然界から得られる天然の酵素では触媒機能が不足していて、そのままでは利用できないケースが多いということです。
 そこで私の研究では、酵素を人工的に改変して機能を高めたり、その改変を効率良く行うための新しい技術を開発しています。2018年のノーベル化学賞受賞となった分子進化工学やファージディスプレイ法を基盤に、異分野の技術とも融合させながら研究を進めています。これらの研究を進める中で最近、抗体様の小さなペプチドを酵素にくっつけるだけで、酵素の触媒機能(具体的には基質特異性)をいとも簡単に改変できる、そんな新しい方法論を提唱し、実証しました。

20190830_figure01.jpg

 けれども、方法論は実証できたのですが、抗体様ペプチドがどのように酵素の基質特異性を変えているのか、その分子メカニズムについては分からないままでした。私の性格上、“分からないままは許せない”ということで、このメカニズムを解明するという研究課題を笹川科学研究助成に提案し、採択いただきました。周囲の先生方や学生たちのおかげもあり、研究はとても順調に進み、研究課題タイトルのとおりX線結晶構造解析によってメカニズムを分子レベルで解明することに成功しました。学術論文発表はこれからですが、複数の学会で発表することができています。

20190830_figure02.jpg

 今後、明らかとなった分子メカニズムを基に、方法論の更なる改良や、新しい方法論の提案に繋げていきたいと思います。将来的には、自身の開発した方法論が広く研究者の間で浸透し、数多くの酵素で機能改変が実現され、酵素利用産業の発展に貢献できることを期待しています。
<以上>


 最近、健康診断に引っかかり、ダイエットの話か!と期待しましたが少し違いました。研究を進めていくには、“分からないままは許せない”という性格や、異分野の技術を融合させるという姿勢が、非常に重要なのかと思いました。酵素利用産業を発展させられるよう、これからも頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:04 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(早川 千尋さん) [2019年09月30日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。本日は、2018年度に「女性主導の森林管理とREDD+への応用〜ネパールコミュニティフォレストを事例に〜」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、名古屋大学大学院生命農学研究科森林・環境資源科学専攻所属の、早川 千尋さんから研究分野・助成時の研究について、コメントを頂きました。

<早川さんより>
 私は現在、森林社会共生学研究室というところに在籍しています。大学以外のところで話すと「何それ・・・?」という反応が返ってきます。今回は「森林社会学」と呼ばれる私の専門分野と研究を通して学んだことなどについて書いてみたいと思います。

 森林社会学、あまり聞きなれない言葉だと思います。私たち先進国は科学技術を大きく進歩させ豊かな生活を手に入れています。しかし、その背景には森林破壊や地球温暖化など多くの犠牲を伴っています。そうして招いた森林減少の結果、困るのは途上国に住む森林と隣り合わせで生きている地域住民です。森林社会学の分野では現地でのフィールドワークに重点を置き、地域住民たちや行政、ときにはNGOからも話を聞きながら様々な観点から現場を見つめ、地域社会に何が起きているのか何が求められているのか研究を行います。机上だけの議論にとどまらず、「現場に赴く」という行為が研究を何倍も味わいのあるものにしています。

写真1(早川).jpg
写真1:聞き取り調査の様子

 それでは森林社会学の醍醐味と言えるフィールドワークについて私の調査対象地であるネパールでの経験も交えながら自分なりに記してみたいと思います。私は学部4年生の頃より現在に至るまでネパールの農村でホームステイをしながら研究を行ってきました。まさに現場の最前線。ボロボロの服を着ている子供、昼間からお酒を飲んでいる世帯主、頻繁に停電する家屋・・・そこには論文や書籍、写真では感じることのできない生々しいリアリティがあります。当然、学ぶことも多くあります。

写真2(早川).jpg
写真2:筆者が森から家畜のエサを運んでくるところ(かなり重たいです)

 私は研究の過程で農村に住む人々への聞き取りを主な調査としていましたが、これが大変難儀なものであることに早々に気が付かされました。日本であらかじめ考えていった質問項目を聞いて答えをもらえばおしまいだと思っていたのですが、村人が質問の内容を理解してくれません。それどころか、雇っていた通訳も私の質問を理解していないようでした。なんとか自分の意図を伝えても、的外れな回答が返ってきます。後から考えてみればこれは当然のことで、私がした質問には専門用語が含まれており村人が理解できるはずもないのです。私はそのとき何を聞くかにばかり気を取られて、質問される側のことを何も考えていませんでした。でもいったいどうすればうまく聞き出せるのか。極限まで質問をかみ砕くしかない。しかしそうしているうちに自分が何を聞きたかったのか分からなくなる。このジレンマの中でもがき苦しんでようやく本質が見えてくる気がします。まだまだ駆け出しの私ですが、質問の仕方、これはフィールドワークにおいてかなり重要なことと認識しています。
 また、国の文化・慣習にも気をつけねばなりません。普段日本で生活していると電車も人もだいたい時間通りに来てくれます。そうした日本での生活に慣れていた私は、ネパールで日本とのギャップに苦しむことになりました。迎えはいつまでたっても来ないし、通訳は約束していた日に手伝ってくれないし、今日やるはずだったことが明日、明後日に先延ばしされていく・・・予定していたことが何も終わらない。明日は何ができるのだろう。日本にはいつ帰れるのだろう。停電して明かりのともらない部屋の中で、不安と焦りに押しつぶされながら何度も泣きました。
 当たり前だと思っていたことは、場所や状況が変われば簡単に崩れ去っていきます。どんな場面でも慢心せず、あの手この手でやり方を変容させていかなければ自分の欲しい結果は得られない。そんな教訓をフィールドワークから学びました。そして、こうした試行錯誤の連続であるフィールドワークから得た調査データはなによりも貴重です。自分の体を使って得た情報というのは、苦労した思いがそのまま乗っかっている分、ネットや本から得た情報とは重みが全然違います。決して一筋縄ではいかないという部分がフィールドワークを味わい深いものにしているのでしょう。これからもこの味をかみしめつつ、まだまだ未知なるフィールドワークなるものについて知りたいと思っています。

 このような人生における貴重な経験ができたのは笹川科学研究助成によりご支援していただいたからです。助成していただいていた期間の研究生活は私のこれからの将来の選択肢をぐっと押し広げてくれました。申請書作成時に助力してくださった同研究室の先生方、先輩、友人、そして日本科学協会の皆様には心より感謝しています。
<以上>


 一瞬、当会の助成のせいで酷い目に合ってきたのかと思いましたが、貴重な体験ができたとのことで、よかったと思います。大変ですが、現場に赴かないと分からないことがたくさんあるのだと思います。この経験を活かして、様々な場所でのフィールドワークを行い、これからも頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:05 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(柴田 明裕さん) [2019年09月24日(Tue)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「新規光活性化型CaMKIIを用いた、長期増強を誘起するシグナル伝達機構の解明」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、自然科学研究機構 生理学研究所所属の、柴田 明裕さんから最近の研究について、コメントを頂きました。

<柴田さんより>
私たちの研究室では、記憶の仕組みについて研究しています。私たちが日頃から当たり前のように行っている記憶という行為は、脳内の神経細胞の働きによって行われていると考えられています。この脳内では、多くの神経細胞が神経ネットワークを形成しており、各神経細胞は、シナプス(神経細胞同士の結合領域)を介して情報伝達を行っています。このシナプスは、外部から強い刺激(勉強学習やスポーツなどの反復練習、恐怖体験、成功体験など)により情報伝達量が長期的に増加することが分かっています。この現象は、長期増強と呼ばれており、神経ネットワークの情報伝達の基礎となるため、記憶の根幹を成していると考えられています。

笹川ブログfig1.jpg
図1、記憶と脳の関係

特に私たちの研究室では、脳への記憶方法が、長期増強のOn・Offを信号伝達の有無に変換するデジタル方式(ハードディスクのように0と1のような仕組み)なのか、長期増強の強弱をそのまま信号として利用するアナログ方式(磁気を用いたビデオテープの仕組む)なのかを研究しています。

笹川ブログfig2.jpg
図2、デジタル式とアナログ式

しかし、現在では神経細胞全体を活性化させる方法はありますが、特定のシナプス群を活性化させる方法がありません。そのため、脳への記録方法が、デジタル方式なのかアナログ方式なのか、全く分かっていません。そこで、私たちは、特定のシナプスに長期増強を誘起することが可能な新しいツールの開発を行いました。

 それには、記憶の形成と、長期増強の誘起に必須のシグナル分子、カルシウムカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(CaMKII、カムケーツー)に着目し、光を用いて制御することができる新しい光遺伝学的ツール、光活性化型CaMKIIの開発に成功しました。

 そして、ラットの海馬領域の(記憶に重要な領域)神経細胞に光活性化型CaMKIIを遺伝子導入し、特定のシナプスに光刺激を行いました。その結果、シナプスの長期増強を誘起するために必要なシナプスの体積増加、 受容体(AMPA受容体)の集積、シナプス間の電気信号量(興奮性シナプス後電位)の増加を誘起することに成功しました。これらの結果から、特定のシナプスに長期増強を誘起可能な、新たなツールの開発に成功しました。

笹川ブログfig3.jpg
図3、光活性型CaMKII

 また、これまで、シナプスの長期増強に必要なシグナル伝達機構は、ほとんど分かっていませんでした。なぜなら、一般的には、シナプスに長期増強を誘起すためには、100種類以上のタンパク質、200種類以上の遺伝子発現の増減が関与しているとされています。そのため、非常に多くのタンパク質によるシグナル経路があり、軸となるシグナル経路の同定は非常に困難でした。

 しかし、今回の研究結果により、必要なシグナルCaMKIIを用いてシナプスに長期増強を誘起させるため、長期増強にはCaMKIIから始まる細胞内シグナル伝達経路が必要であることが分かってきました。今後は、プロテオミクスやゲノミクスを用いて、必要なタンパク質や遺伝子を網羅的に同定していく予定です。そして、ラットやマウスを用いた行動実験により、特定のシナプス集団に長期増強を強制的に誘起させ、全てOn(ハードディスク上の1の状態)にすることで、記憶が消去されるのか(デジタル方式の場合)、それともさらに強力に記憶されるのか(アナログ方式)を明らかにしてく予定です。

笹川ブログfig4.jpg
図4、今後の予定

<以上>

 遺伝子組導入と光刺激によって、記憶の仕組みについて研究をされているとのことでした。勉強しなくても賢くなれたらいいなぁと思いますが、遺伝子組み換えではない私には、この方法は使えなさそうなので諦めることにします。まだまだ分からないことの多い記憶について解明が進むよう、これからも頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:40 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2020年度笹川科学研究助成の募集について [2019年09月17日(Tue)]
2020年度笹川科学研究助成の募集を開始いたしました。本年度も、よろしくお願いいたします。

◆申請について
詳細については、下記の本会Webサイトをご確認ください。
・本会Webサイト
https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/

■申請期間
【学術研究部門】・【実践研究部門】
・申請期間 :2019年 9月17日 から 2019年10月16日 23:59 まで

■募集部門
【学術研究部門】
 ・大学院生(修士課程・博士課程)、所属機関等で研究活動に従事する方
 ・35歳以下の若手研究者
 ・1件あたりの助成額の上限は100万円

【実践研究部門】
 ・博物館、NPOなどに所属している者
 ・1件あたりの助成額の上限は50万円

■申請方法
 Webからの申請です。

◆ご周知について
下記の本会Webサイトへのリンクや、ポスターを印刷し、ご周知頂けますと幸いです。
・本会Webサイト
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/ 
・募集告知ポスター
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/data/poster.pdf
Poster2020.jpg


<問い合わせ先>
公益財団法人日本科学協会 笹川科学研究助成係
TEL 03-6229-5365 FAX 03-6229-5369
https://www.jss.or.jp
E-mail:josei@jss.or.jp
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:33 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(東 里香さん) [2019年09月17日(Tue)]
先輩研究者のご紹介(東 里香さん)
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「動物園動物の人工繁殖技術に貢献する新規ユニバーサル卵子の作出に関する技術開発」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、近畿大学大学院生物理工学研究科所属の、東 里香さんから最近・助成時の研究について、コメントを頂きました。

<東さんより>
 全国の動物園や水族館等の展示施設で飼育されている動物は、現在、深刻な高齢化問題を抱えています。ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の締結により、国内展示施設においても新たな動物を海外から導入することが困難になることが予想され、飼育下繁殖技術のさらなる向上が求められています。さらに、これまでに試みられている人工授精やペアリングによる自然交配を基本とした技術に加えて、生殖細胞以外の細胞を用いる研究調査の進展は、次世代に向けた個体の管理や増殖に大きく貢献すると考えられています。

 私は、体細胞核移植技術を学部生の頃に習得し、大学院ではこの技術を用いた研究を進めてきました。体細胞核移植技術という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、一般的にはクローン技術と言われ、培養細胞(体細胞)から直接的に遺伝情報を評価することが可能で、一部の動物種では個体を作製できることも報告されています。体細胞核移植実験には、マイクロマニュピレーターを用いた顕微鏡下での繊細な操作が必要となります(写真1)。私は、この装置を用いて体細胞や卵子等を操作することにより、日々研究活動を行っています。

Leica 顕微鏡写真.jpg
写真1 マイクロマニュピレーター

 近年、私たちの研究グループは、マウス体細胞を用いた個体作出効率を改善する方法を見出し技術的負担の軽減に成功しました(Azuma et al.,2018, Miyamoto et al.,2017)。私は、この新しい体細胞核移植技術を用いて、さらなる応用研究を検討することにしました。そこで、野生マウス由来の体細胞を用いた異種間核移植への応用と高齢マウス由来クローン個体の作製に挑戦しました。この研究助成期間中においては、異種間クローン胚の作製は可能であることが確かめられ、卵細胞質内で野生マウス由来のヒストン修飾のメチル化状態を検証することができました。また、高齢マウス由来体細胞を用いたクローン個体の作出が可能であることを検証することができました。これらの成果の一部は、第52回日本実験動物技術者協会総会や日本動物学会第89回大会そして第65回日本実験動物学会総会にて報告するに至っております。

 笹川科学研究助成への採択のご連絡を頂いた時は、正直驚きました。博士後期課程に進学を決めた時から、自分の研究費を獲得することが1つの目標でもありましたので、非常に嬉しかったです。また、一大学院生の私に研究者としてのチャンスを頂き、自信を付けて頂きました。現在、研究結果については詳細をまとめて学術誌への投稿を考えているところです。ありがとうございました。
<以上>

 高齢化問題は人間だけではなく、動物園の動物たちにも人間と同じように、高齢化問題が起きていているようでした。クローン技術というと、絶滅したマンモスを復活させるという話が話題になっていましたが、今生きている種の絶滅を防ぐためにも、頑張っていただければと、陰ながら応援させて頂きます。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:21 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(久保 篤史さん) [2019年09月09日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「小型CO2濃度連続測定装置の開発」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、静岡大学理学部地球科学科所属の、久保 篤史さんの研究について、コメントを頂きました。

<久保さんより>
 私は沿岸海域における物質循環研究を行っています。特に、人間活動の影響を強く受けている海域の炭素・栄養塩類(窒素・リン・ケイ素)循環研究を行っています。観測は東京湾・荒川・浜名湖などで行っており、さまざまな船に乗ったり、橋からのバケツ採水を行ったりしています(写真1)。

図1.jpg
写真1 採水場所

 沿岸海域には流域で生活している多くの人々の生活排水が下水処理場を通して流入してきます。下水処理水も昔(1980年代)と現在で大きく変化しています。昔は下水処理場での汚水処理は有機物を減らすことがメインとなっていました(二次処理)。一方、現在ではバクテリアによりさらに有機物や栄養塩の除去を行うようになってきました(高度処理)。その結果、東京湾では1990年代から2000年頃にかけて濃度のピークを迎えた栄養塩濃度が低下傾向にあります。
 また、流入する有機物の質と量にも変化が見られます。当然のことながら東京湾に入ってくる有機物量は減少しています。さらに、有機物の多くが難分解の有機物となり、東京湾では有機物が分解して生成する二酸化炭素が減少しました(分解しやすい有機物は下水処理場ですでに分解されているため)。その結果、東京湾は強い二酸化炭素の吸収域となっています。これまで、沿岸海域は陸域からの有機物供給・有機物分解に伴い二酸化炭素の放出域であるとされてきました。しかし、流域で下水処理場の整備が進むことにより沿岸海域における炭素循環像が従来考えらえているものから大きく変化することがわかってきました。
 このように、私の研究は過去の先人たちが積み上げた研究結果に現在の現場観測結果を加えることで、沿岸域の都市化に伴いどのように物質循環が変化しているかを定量的に明らかにしようとしています。
<以上>

 東京湾は東京2020オリンピック・パラリンピックのトライアスロン会場となっており、テストイベントではパラトライアスロンの水泳が水質悪化のために中止され、最近話題となっておりました。このような大きなイベントも沿岸海域の物質循環にも影響を与えるかと思いますので、オリンピックの成功のためにも(?)、測定を続けて頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:30 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(相田 裕介さん) [2019年09月02日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「障害者に対応するための3Dプリンタを用いたハンズオン資料の作成とその活用」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、坂東市立南中学校所属(助成当時:ミュージアムパーク茨城県自然博物館所属)の、相田 裕介さんから助成時の研究について、コメントを頂きました。

<相田さんより>
 ミュージアムパーク茨城県自然博物館は、年間48万人以上の来館者があり、そのなかで障がい者の団体や個人が多数来館しており、その人数は年々増加傾向にあります。障がい者が一般の人と同じように学ぶことができるためには、展示方法や解説方法などに様々な工夫が必要とされます。
 博物館の資料は直接触れることができるものが非常に少ない現状があります。これまでは標本を「物」として「見せる」だけの展示が主流でしたが、現在学校や博物館に求められているものは「体験を伴った学び」であり、従来の「見せる」だけの展示だけでは十分に博物館の標本を生かしきれていない現状があります。この課題を解決するための方法の一つとしてハンズオン資料の活用が考えられます。

写真1 ハンズオン資料.jpg

 2018年度に笹川科学研究助成をいただき、3Dプリンタを用いたハンズオン資料の製作および活用について研究することができました。昨今、3Dプリンタは家庭用も普及し始め、以前よりも身近なものとなりました。今回は3Dプリンタを用いて資料を製作し、博物館の常設展示に取り入れることで、障がい者の方が触れて学べる展示を製作し、その効果について研究を行いました。

写真2 ハンズオン資料体験者.jpg

 ハンズオン資料は展示だけでは学習効果はあまりありません。体験者が自発的に学ぶことができるように学習プログラムを検討し実践しました。ハンズオン資料のすべての部分についてではなく、形状において一番顕著であり分かりやすい内容についてクイズ形式の学習プログラムとしました。例えば、蚊と蠅の拡大模型では、口器の形状の違いについてクイズを製作しました。視覚障がい者のための学習プログラムであるため、問題文や解説については点字を付けることで自発的に取り組むことができる工夫を行いました。

写真3 学習プログラム.jpg

 今回の研究では、製作した資料を、博物館のアウトリーチ事業で行っている「移動博物館」でも活用しました。茨城県内の盲学校において、3Dプリンタで製作した資料を持参し、多くの児童・生徒に触れてもらいました。ハンズオン資料を細かく触り、小さな特徴にも疑問を持ちながら観察する姿が見られました。

写真4 盲学校写真.jpg


 今回の研究をとおして、視覚障がい者の方からとても重要な意見をいただきました。それは「小さなものを大きくして製作したものに触れて学びたい」という意見でした。大きなものは実際に触れて自分の体の大きさと比較することで大きさを実感できます。また形状も理解することができます。しかし、小さなもの(蚊やハエなど)は、小さすぎて触ってもどのような形状のものなのか分からないとのことです。そのような小さなものを大きくして製作することができるのも3Dプリンタの良いところと考えます。今後は、より小さなもの(微化石や花粉など)についてマイクロCTなどを用いて3Dデータ化し、それらの拡大模型を3Dプリンタを用いて製作することで障がい者のニーズに合った資料を製作していきたいと考えています。
<以上>

 博物館で、障がいのある方も自発的に学習ができるように、3Dプリンタも用いた新しい展示の方法を研究されたとのことでした。私は、3Dプリンタは空想上のアニメキャラクタ等を立体化するような使い方しか思いつきませんでしたが、現実にあるものでも大きくしたり小さくしたりすることで、様々な活用方法があることに驚きました。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:21 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介(杉山 由里子さん) [2019年08月19日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームの豊田です。
 本日は、2018年度に「狩猟採集民ブッシュマンの再定住に伴う葬儀の変容と社会再編に関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科所属の、杉山 由里子さんから研究について、コメントを頂きました。

<杉山さんより>
私は南アフリカのすぐ北に位置する、ボツワナという国で調査をしています。写真はボツワナの首都ハボロネのショッピングモールです。首都ハボロネは、おしゃれなカフェがたくさんあり、また人々はとてものんびりと生活していて、皆さんがイメージするアフリカとは少し異なるかもしれません。ボツワナは政府がダイヤモンドで得た利益を国の発展のために使い、アフリカの奇跡と言われています。

写真1.jpg
写真1:ボツワナの首都ハボロネのようす

一方、私が調査しているブッシュマンというボツワナの先住民族は、スーパーや水道・電気のない村に住んでいます。首都ハボロネとは全くの別世界です。そこでの生活は「不便」とも言えますし、同時に「豊かな自然の中で人々が豊かに生活している」とも言えます。

写真2.jpg
写真2:ブッシュマンの家族と私のテント

少数民であり先住民でもあるブッシュマンの生活は、伝統的な狩猟採集を営みながらの遊動生活から、定住・集住生活へと大きく変化してきました。マジョリティであるツワナと呼ばれる民族が主導する政府によって、対ブッシュマン政策が行われてきたからです。定住化政策が何度も実行され、多くのブッシュマンが従来の生活域を追われ、なじみのない土地での新たな生活を余儀なくさせられました。写真3はボツワナの人口密度を表しています。カラハリ砂漠にポツンとある場所が、定住化政策によってつくられたブッシュマンの村であり私の調査地のニュー・カデです。

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写真3:ボツワナの人口密度分布図

私はこれまで、ブッシュマンが新しい環境下でどのように死と対峙しているのかという疑問から、彼らの葬儀をテーマに調査してきました。商品経済が浸透し、またツワナ式の新しい葬儀の導入によって、遊動時代に見られたシンプルな埋葬は姿を消し、人々は葬儀の食事、種類の多様化する棺や墓にお金をかけるようになりました。葬儀を通して死者とその家族の財力の多寡が可視化されるにもかかわらず、「平等主義的」と特徴づけられてきたブッシュマンはこうした変化を積極的に受け入れています。

写真4.jpg
写真4:現在行われている葬儀のようす

不平等を避けてきた彼らですが、近年の露骨な経済格差を前に、物持ちの生き方を否定的に捉えるのでなく、それこそが再定住地でのあるべき姿だという新しい価値観が葬儀の場で共有されつつある、と調査を通して感じました。

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写真5:物持ちブッシュマンは車も所有している

少数民族や先住民族の人権保護と、近代化を進めたい国民国家との狭間で見過ごされつつある、ブッシュマンが外生的な変動に対応しながら営んでいる日常生活を捉え、その力強さや柔軟性にこれからも注目していきたいと思います。

写真6.jpg
写真6:親戚から分けてもらったクドゥの肉を調理する家族

<以上>

 その地域の方々の日常生活や思想などを研究するには、現地の方々と同じように生活することが大事であると伺います。その結果、葬儀といった繊細なテーマを取り扱えたのかと思います。また、写真2のようにテントを張って長期間研究をされていたというのも驚きです。フィールドワークを行う研究は毎年何件か採択されておりますが、研究者の生活については、報告書に記載されていることがほとんど無いため、個人的には貴重な写真でした。様々な研究方法があるかと思いますが、安全にも気を付けて、頑張っていただきたいと思います。

 日本科学協会では過去助成者の方より、近況や研究成果についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 09:55 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
第7回サイエンスメンタープログラム研究発表会 [2019年08月14日(Wed)]


 2019年8月10日に東京都多摩市の多摩永山情報教育センターで、第7回サイエンスメンタープログラム研究発表会を開催しました。

 当日は、全国各地からメンティの指導者や学校の先生などが集まり、口頭発表とポスター発表を行いました。


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 発表会の最後に、15名のメンティのうち次の4名に優秀賞を授与しました。


「オジギソウの葉が閉じなくなる現象について」 
 広島県立広島国泰寺高等学校 木上 晴登


「新規骨格の発光材料を作ろう!」
 灘高等学校  川口 聡貴


「回折格子を用いた流星の分光観測」
 宮城県古川黎明高等学校 伊藤 颯矢


「セイヨウミツバチは人工甘味料を飲むのか?」
 安田学園高等学校  飯田 和生


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 今回は4名が選ばれましたが、他の高校生も優秀賞に選ばれてもよいくらいレベルの高い研究をしていました。



Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 13:34 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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