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先輩研究者のご紹介 前原 ななみさん [2026年10月07日(Wed)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2024年度「疾患のサインを捉え、進行度を見積もる高分子MRIプローブの開発」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、東京科学大学大学院医歯学総合研究科の前原 ななみさんからのお話をお届けします。

<前原さんより>

 2024年度笹川科学研究助成にご採択いただきましたこと、またこのたび執筆の機会を賜りましたこと、関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。
 私は現在、東京科学大学大学院医歯学総合研究科の博士後期課程に在籍し、高分子材料を基盤とした、疾患の早期発見を可能とするMRIプローブの開発に関する研究を行っています。
 加齢と関連するさまざまな疾患では、発症前から慢性炎症が生じることが知られています。慢性炎症では、炎症性サイトカインや活性酸素種(ROS)の増加に加え、血管内皮のバリア機能が低下し、血管透過性が亢進します。私たちは、この血管透過性の変化に着目し、血管内の物質が漏れ出しやすくなった部分を「血管の窓」と捉えました。そして、この窓を手掛かりに慢性炎症を非侵襲的に検出できないかと考えています。そこで着目した診断技術がMRI(磁気共鳴画像法)です。MRIは、放射線被曝を伴わない非侵襲的な画像診断法であり、造影剤を用いることで病変をより明瞭に描出できます。一方、一般的な低分子MRI造影剤は1ナノメートル以下と小さく、正常な血管からも組織へ移行し得ます。そこで私は、高分子材料を用いて造影剤を数ナノメートルの大きさに精密に制御することで、正常血管からは漏れにくく、「血管の窓」からは選択的に漏れ出すMRIプローブの開発に取り組んでいます。また、診断後の体外排出も考慮し、腎排泄可能な範囲で粒子径を1ナノメートル単位で制御しています。これにより、慢性炎症部位に選択的に集積するMRIプローブを実現し、疾患の兆候をより早い段階で捉えることを目指しています。
 本研究は、笹川科学研究助成への申請をきっかけに本格的に開始した研究です。助成により研究を進展させるだけでなく、国際学会にも参加し、世界中の研究者に成果を発表し評価いただいた経験は、視野を大きく広げ、研究者として歩む決意を強くしてくれました。(図1、2)

図1.jpg
図1参加した国際学会の様子

図2.jpg
図2国際学会での発表の様子

 大学院生が自ら申請できる助成金は決して多くありません。申請書の作成は、自身の研究の意義を見つめ直し、専門外の方にもその面白さや社会的意義を伝える力を培う貴重な機会であると感じていますし、研究実績がまだ十分でない段階でも、自らのアイデアを形にし、次の成果へつなげる第一歩になります。現在、助成金への申請を迷っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ積極的に挑戦してほしいと思います。

<以上>

 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※テキスト、画像等の無断転載・無断使用、複製、改変等は禁止いたします。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:06 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介 花�ア 拓人さん [2026年09月30日(Wed)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2024年度「持続的Ia線維活動抑制のIa線維興奮性入力と運動機能への影響について-新規痙縮治療法確立を目指して-」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、名古屋大学大学院(助成時)の花�ア拓人さんからのお話をお届けします。

<花�アさんより>
【助成内容】
 私は修士課程から博士課程にかけて、脳梗塞や脊髄損傷後に生じる痙縮という運動機能障害について研究をしてきました。痙縮は、自分の意思とは関係なく筋肉が過剰に収縮し、痛みや関節可動域の制限を引き起こすことで、運動機能の回復を妨げる要因となります。痙縮には、筋肉の長さの変化を感知する固有感覚神経(Ia線維)、筋肉を収縮させる運動神経(α運動神経)、などから構成される脊髄の伸張反射の過剰な活動が関係しています(図)。私は、Ia線維の活動を抑制することで痙縮が軽減されることを確認し【1】、この知見を新たな治療法の確立につなげたいと考え、本助成に応募しました。
助成期間中は、三次元動作解析装置を用いて、Ia線維の活動抑制による基本的な運動機能への影響や、痙縮発症後の運動機能回復を解析しました。さらに、Ia線維の神経活動や、Ia線維とα運動神経細胞との接続(シナプス)の数を解析しました。

笹川ブログ_図.png
図: 脊髄伸張反射の概要

【申請を検討されている方へ】
 私が博士課程へ進学し、初めて獲得した研究助成が笹川科学研究助成でした。当時は学生で論文を発表した経験もありませんでしたが、「まずは挑戦してみよう」と申請を決意しました。申請書を何度も推敲する中で、自分が何を明らかにしたいのかを改めて考え、研究そのものをブラッシュアップすることができました。採択決定のメールを受け取った際は、これまで取り組んできたことや、これから実現したい研究を評価していただけたことがとても嬉しかったです。
また、助成金のおかげで、念願だった国際学会への参加も叶えることができました。この経験をきっかけに、国際的な環境で研究に取り組みたいという思いが強くなり、現在は、国内でも特に国際色豊かな沖縄科学技術大学院大学(OIST)で、感覚神経と発達に関する神経科学研究に取り組んでいます。OISTでは公用語として英語が使われていることに加え、学内シンポジウムやセミナーなどを通して、国内外の研究者と交流しながら日々刺激を受けています。
本助成に挑戦し、自分の研究を評価していただけた経験は、今も私の背中を押してくれています。申請を検討している方にも、まずは一度挑戦してみていただければと思います。
最後になりますが、このような貴重な機会とご縁をいただき、研究活動を支えてくださった日本科学協会の皆様に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

笹川ブログ_写真1.jpg
写真1: ウィーンでの国際会議

笹川ブログ_写真2.jpg
写真2: OISTラボ棟からの風景

【1】Hanasaki, T., Hanaki, K., Sako, Y. et al. Effect of continuous Ia fibre activity suppression on hyperreflexia-related spasticity and maladaptive synaptic connections in the spinal cord after injury. Sci Rep 15, 23764 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-09397-x


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:30 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介 酒嶋 恭平さん [2026年09月16日(Wed)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2024年度「前期ローマ帝国におけるペルシア人イメージに関する研究」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、千葉大学の酒嶋 恭平さんからのお話をお届けします。

<酒嶋さんより>
 2024年度に笹川科学研究助成に採択いただいた、酒嶋恭平と申します。この度は執筆の機会をいただきまして、誠に感謝申し上げます。
 私は本助成採択まで、古代ギリシアにおいて形成された「ペルシア人」のイメージが、その後どのように受け継がれていったのかを研究してきました。博士論文では、とくにヘレニズム時代(前323-30年)を対象に、前5世紀に起きたペルシア戦争(アカイメネス朝ペルシアによるギリシア本土への侵攻)の記憶が、後世の古代ギリシア世界でどのように語り直されたのかを検討しました。そのなかで、〈ペルシア=東方=野蛮〉という古典期以来のイメージが、戦争の記憶を通じて繰り返し再生産される一方、ペルシア戦争をめぐる〈ギリシア対野蛮人〉〈ヨーロッパ対アジア〉〈文明対野蛮〉という三つの対立軸は、必ずしも互いに一致するものではないことが見えてきました。こうした差異は、古代を〈西洋対東洋〉という後世の二項対立から理解するなかで、見えにくくなってきた可能性があります。
 そこで本助成の採択時には、ギリシア文化を広く受容したローマ帝国に目を移し、紀元後1〜2世紀を中心に、ローマ人がこうしたペルシア人イメージをどのように受け継ぎ、作り変えたのかを調べていました。本助成では、とくに、将軍や皇帝が東方での戦争や支配を正当化する際に、ペルシア人や「東方」のイメージをどのように利用したのかという問題に取り組みました。たとえば初代皇帝アウグストゥスは、現在のイラン・イラクを中心に、西アジアの広い範囲を支配したアルシャク朝パルティアからローマ軍旗の返還を実現したことを記念し、アテナイにペルシア人を表したモニュメントを奉納したと考えられてきました。そこでは、ギリシア人に馴染み深い過去の「ペルシア」と、ローマが実際に対峙していたパルティアとが重ね合わされていた可能性があるのです。
 ローマは多民族からなる帝国であり、しかも自らの祖先をアナトリア半島北西部(つまり、古代の「アジア」の一部)のトロイアに結びつけてもいました。そうした社会で「アジア」や「ペルシア」は何を意味したのでしょうか。私の研究は、古代の他者認識をたどることで、今日しばしば自明視される「西洋」と「東洋」という枠組みそのものの歴史性についても考察する試みでもありました。

 私が本助成に申請したのは、ちょうど博士号を取得することになった一方で、学振PDに不採用となった時期でした。当時は留学を終えて日本に帰国したばかりで、西洋古代史を教えられる大都市圏に生活の基盤を置くことができず、平日は関西で非常勤として講義を行い、休日は実家のある鳥取で過ごすという二重生活を送っていました。経済的にも苦しい状況にあるなかで、本助成をいただけたことは、2024年度における研究活動継続を可能にしてくれただけでなく、その後も研究者として生きていくための大きなモチベーションになりました。

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[写真1 史資料調査を行ったエディンバラ大学。]
 
 本助成の担当の方々に柔軟に対応していただいたことにも触れておく必要があります。研究計画書で予定していたイギリスでの研究報告を取りやめ、ガーナで3年おきに開催される大規模な学会で研究報告を行うことに決めた際にも、迅速に対応していただき、無事に報告を行うことができました。日本やヨーロッパにいるとなかなか気づきにくいのですが、アフリカでは植民地支配の歴史とも関わって、西洋古典・西洋古代に関する研究が盛んに行われています。その一方で、ヨーロッパ中心的な古代史研究を相対化しようとする試みも進められており、それはちょうど、私自身の研究の方向性とも重なるものでした。この研究報告と、そこで得られた研究者との交流は、その後の私の研究を考えるうえで極めて大きな意味を持つものとなりました。その機会を快く認め、送り出してくださった本助成の担当の方々には、改めて深く感謝申し上げます。

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[写真2 ガーナで参加した学会(3rd International Classics Conference in Ghana)の様子。]

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[写真3 学会後に立ち寄った、ガーナ初代大統領クワメ・ンクルマの記念公園。訪問した日はちょうどンクルマの生誕を記念する催しが行われており、多くの人々で賑わっていました。]

 本助成による研究成果の一部は、来年にも論文として公刊される予定です。また、そこで得られた成果は、現在出版を目指している博士論文を基にした書籍にも取り入れる予定です。本助成によって進めることのできた研究は、2024年度だけに留まらず、それ以降の研究の展開に、非常に大きな意味を持っています。

 これまでのブログの記事でもたびたび言及されていますが、本助成は非常に幅広い研究者を対象としており、研究テーマについても多様なものが採択されています。ぜひ一度、申請を検討なさってください。

【本助成による研究論文】
酒嶋恭平「プルタルコス『アリステイデス伝』におけるプラタイアの位置付け」『西洋古典学研究』72、40-52頁、2025年3月
酒嶋恭平「勇敢なペルシア王――ユスティヌス『ピリッポス史抄録』におけるダレイオス 3 世――」『西洋古典学研究』74、頁数未定、2027年3月刊行予定

<以上>

 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 16:00 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介 飯塚 夕夏さん [2026年09月11日(Fri)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2024年度「ヘテロアレーンアミド基を活用した触媒創製による、四置換不斉炭素を有する非天然α-アミノ酸構築」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、名古屋工業大学・スタートアップ助教/博士後期課程(現所属)の飯塚夕夏さんからのお話をお届けします。

<飯塚夕夏さんより>
 この度、このような執筆の機会をいただきましたこと非常に光栄に思います。関係者の皆様に心より御礼申し上げます。本執筆が笹川科学研究助成をこれから受けられる方、申請を検討している方への一助になれれば幸いです。

 私は有機合成化学を専門に研究しており、天然には存在しない非天然型アミノ酸の合成に取り組んでいます。創薬分野では、天然アミノ酸では実現できない機能を付与する手段として、非天然型アミノ酸を組み込んだ中分子ペプチドが次世代医薬品として注目されており、非天然アミノ酸の効率的合成法の開発が精力的に行われています。本申請研究で私は、[非天然アミノ酸のライブラリ−拡充を志向した新規触媒の創製]を研究テーマに設定し、ご支援いただきました。笹川助成金の使用用途は柔軟で、私は本研究の鍵である触媒の創製に多くの試薬を購入する必要があったため、主にこの費用に充てさせていただきました。本研究は全く結果のない段階から始めましたが、笹川助成金のおかげで、初期段階から円滑に研究を進めることができました。その結果、反応基質の協働的な活性化を可能にする二金属触媒の開発およびこの設計した新規触媒を用いることで、従来合成困難であった非天然型アミノ酸の合成が可能となることを明らかにすることができました(図1)。
図1本申請研究の概要.png

(図1:本申請研究の概要)

助成期間終了後も本研究に引き続き取り組み、2026年に化学系論文の最高峰の一つである、JACS誌への論文投稿に至りました[1]。本学のプレスリリースおよびカバーピクチャーへの選定や、国際学会での招待講演で本研究成果を発表させていただき、研究成果を広く発信することができました。

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(写真1:本申請研究は論文投稿に至り、カバーピクチャーに選定していただきました)

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(写真2:国際学会で招待講演する機会をいただきました)

笹川科学研究助成に私は、博士前期課程2年時に申請しました。本研究助成は、実績がまだ十分に積めていない修士学生にも採択をいただけるチャンスがある点が本当に魅力的だと思います。また自身の研究テーマを採択頂けたことは研究を遂行する上で経済面だけでなく、精神面においても大きな励みとなり、研究活動を邁進することができました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。

[1]Yuka Iizuka, Sayuri Okajima, Yamato Ueno, Tsunayoshi Takehara, Takeyuki Suzuki, Satoshi Maeda, Shuichi Nakamura. J. Am. Chem. Soc. 2026, 148, 2600–2608.
https://doi.org/10.1021/acsphotonics.6c00724

<以上>

 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:30 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2027年度笹川科学研究助成の募集について [2026年08月18日(Tue)]
2027年度笹川科学研究助成の募集要項を公開いたしました。
今年度も、よろしくお願いいたします。

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◆申請について
詳細につきましては、下記の本会Webサイトをご確認ください。
・本会Webサイト
https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/

■申請期間
・申請期間:2026年9月15日〜10月15日 17:00まで

■募集部門
【学術研究部門】
・新規性、独創性または萌芽性があるが、他からの助成が受け難い研究を募集します
・35歳以下の大学院生、雇用研究者(非常勤、任期付き)が行う研究
・「海に関係する研究」は雇用形態を問いません
・学年、職によって区分を分けて募集いたします。
<研究助成�T(学部・博士前期)>
 1件あたりの助成額の上限は100万円
 現在、学部4年生の申請も可

<研究助成�U(博士後期以上)>
 1件あたりの助成額の上限は150万円

【実践研究部門】
・地域文化の保存・継承・発展等、社会が抱えている多くの課題を解決するために必要な研究を支援します
・博物館、図書館、文書館、美術館、資料館、文学館、科学館、天文台、プラネタリウム、動・植物園、水族館、その他文化施設等の学芸員・司書・アーキビスト等の専門職が行う研究
・年齢は問いません
・1件あたりの助成額の上限は50万円

■申請方法
Webからの申請です。

◆ご周知について
下記の本会Webサイトへのリンクや、ポスターを印刷し、ご周知頂けますと幸いです。
・本会Webサイト
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/
・募集告知ポスター
 https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/data/2027poster.pdf

皆様のご申請、お待ちしております。

<問い合わせ先>
公益財団法人日本科学協会 笹川科学研究助成係
TEL 03-6229-5365 FAX 03-6229-5369
https://www.jss.or.jp
E-mail:josei@jss.or.jp
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 11:09 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介 横山 雄大さん [2026年08月12日(Wed)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2024年度「戦後東アジア漁業秩序の形成と変容:日中台漁業交渉史(1950-80s)」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科の横山 雄大さんからのお話をお届けします。

<横山さんより>
 2024年度笹川科学研究助成にご採択いただきましたこと、またこのたび執筆の機会を賜りましたこと、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
私の研究は冷戦期の東アジアの国際関係、とくに海洋漁業問題をめぐる国際関係です。笹川科学研究助成が海洋問題に注力なさっていることから、私の研究も助成対象として採択いただいたのではないかと考えております。海洋分野の専門家も含む審査員から私の研究の価値を認めていただいたことは、その後研究を遂行する上で大きな励みとなりました。
 近年、中国の海洋進出がとみに注目されていますが、この問題はおもに領土紛争、軍事・安全保障の観点から議論されています。漁業問題もこうした文脈の中に位置づけられて議論されることが多く、結果として領土紛争に関連する漁業問題ばかりに注目が集まっています。また現在の東シナ海では、日本漁業がその規模を大きく縮小させている一方で、中国漁業が大きな存在感を示しています。ただし1980年代以前の東シナ海の状況に目を転じてみれば、実のところ日本漁業が大きな勢力を誇っており、中国大陸近海にまで出漁して漁撈を行っていました。それでは、日中間の漁業関係はどのようにして逆転していったのか、その間に漁業問題をめぐってどのような外交交渉が展開されていたのか。こうした疑問が私の研究の出発点です。
 2024年度笹川科学研究助成にご採択いただいたことによって、中国や米国での長期間の資料調査に取り組むことができました。とりわけ、目下の著しい円安のために、米国への渡航・滞在には金銭的な困難が伴うことに鑑みますと、もし今回の助成がなければ、研究プロジェクトを順調に進めることはできなかったと思います。本助成のおかげで、査読付きジャーナルに拙稿を発表するとともに、博士論文を完成させて学位を取得することができました。
 現在、博士論文を単著として出版するための準備を進めています。また東シナ海以外の海域にも目を向けて、北洋漁業をめぐる戦後日ソ関係についても研究を進めています。

写真1 横山雄大.jpg
(写真1 北洋漁業をめぐる戦後日ソ関係について、函館で資料調査を行いました。
夜の時間を使って訪問した函館中華会館です。)

 私は博士4回生の期間中に、本助成を受給いたしました。人文社会系の場合、オーバードクターは必ずしも珍しくないのですが、他方でオーバードクターでも申請可能な研究助成は限定されているのが現状です。結果として、研究活動に専念できずに博士号の取得がますます遅れるばかりか、ひいては博士課程への進学そのものをためらわせることにもつながっています。より多くの若手研究者が将来の道を切り拓くべく、笹川科学研究助成に挑戦することを切に願ってやみません。

写真2 横山雄大.jpg
(写真2 台湾での日本研究支援事業に協力しました。
派遣先の一つである成功大学のキャンパスです。)

<以上>

 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※テキスト、画像等の無断転載・無断使用、複製、改変等は禁止いたします。
Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 14:07 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介 堀田 奈穂さん [2026年08月03日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2024年度「沖縄の女たちと美容室――美と粧いをめぐるグローカルな経験」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程(現所属)の堀田奈穂さんからのお話をお届けします。

<堀田さんより>
 この度は、このような執筆の機会をいただき、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
 2024年度笹川科学研究助成に採択いただいた、堀田奈穂と申します。私は民俗学を専攻しており、採択された研究はタイトルのとおり、沖縄の女性たちと美容室についてのものです。
 民俗学ではこれまで、美容室がメインテーマとして扱われることは基本的にありませんでした。髪型や化粧といった美容に関する研究は存在しますが、歴史的変遷の記述や、まじないや俗信といった事例を取り上げることが多く、美容を実践する当事者には焦点が当てられてきませんでした。しかし、美容やよそおい(粧い・装い)に関する実践や経験、それらに関する選択は人びとの日常生活に根付いているものです。そのため、私は美容やよそおいに焦点を当て研究を進めていました。申請時は、沖縄で最初期に美容室を開いた新垣美登子さんという女性に着目し、沖縄の美容室の変遷について修士論文を執筆している途中でした。その修士論文の内容をさらに進めるべく、笹川科学研究助成に申請しました。
 そのため申請時は修士2年であり、学振が残念な結果となってしまい落ち込んでいたのですが、学振の結果の後でもまだ申請が間に合ったのが笹川科学研究助成だったため、急いで申請の準備をしました。採択の連絡が来たときにはとても嬉しかったのを覚えています。

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写真1:瀬長島から見た沖縄の海(フィールドワークの途中に立ち寄りました)

 笹川科学研究助成を受けたことにより、フィールドワークの旅費を負担していただけたことがとても大きな助けとなりました。また、書籍をはじめとした資料収集の費用も、助成によって賄うことができました。
 本助成のおかげで、修士論文を深化させた論文を執筆することができ、査読付きジャーナルの掲載に繋がりました。また、本助成で収集した資料から理論枠組みを構築した「心なおし」(簡単にいうと、日常を維持・強化するため、心の意識変革として個々人のなかで何らかのハレの儀礼に相当する行為を行なうことです)という概念は、学会発表を行なうとともに、現在の研究テーマにも繋がっています。

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写真2:那覇市の商店街(商店街のなかにあるお店でも聞き取り調査をしました)

 修士課程で申請できる助成金の数は多くはないと思います。そのなかで、さまざまな分野や研究内容でも申請できる笹川科学研究助成は非常に心強い味方です。申請を検討されている方は、ぜひ一度挑戦してみてください。

<以上>


 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 10:56 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介 小山 悠太さん [2026年07月30日(Thu)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2024年度「海洋の摸擬生態系を用いた物質循環の定量化と環境変動が生物に与える影響の検証」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、浅野中学・高等学校の小山悠太さんからのお話をお届けします。

<小山さんより>
[助成研究の内容]
 本研究では、海洋の模擬生態系を製作して内部の物質循環を定量化し、中高生に対してその仕組みを分かりやすく伝えることを目的としました。さらに、本研究を基盤として生徒の発案による実践研究へと発展させ、学会発表や他校の生徒・研究者との交流の機会を創出することで、生徒の視野や知見を広げることを目指しました。

 海洋生態系を模した水槽の製作にあたっては、生徒と共に城ケ島にて生物採集を行うとともに、現地での環境調査や生息環境の観察を実施しました。また、海水水槽にとどまらず、河川・湖沼(琵琶湖水槽)や亜熱帯地域のマングローブ生態系を模した水槽も製作し、栄養塩類や溶存酸素量の変化を測定・比較することで各生態系の特性を明らかにしました。さらに、同一の模擬生態系を複数構築し、水温や塩分濃度といった環境要因を制御・変化させることで、地球温暖化の進行が生息生物に及ぼす影響についての検証も行いました。

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【写真1】採集の様子 

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【写真2】製作した水槽の展示(文化祭)

 水温を上昇させた水槽で飼育したクビレズタ(海ブドウ)は、通常区と比較して個体が小型化し、多くの個体で葉緑素量の減少が確認されました。また、塩分濃度を変化させたマングローブ生態系(オヒルギ)においては、高塩分化に伴う落葉の促進や各器官の生育不良が観察され、地球温暖化が生態系やそこに生息する生物に及ぼす負の影響の大きさが示唆される結果となりました。

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【写真3】クビレズタの比較
 
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【写真4】オヒルギの比較

 本研究に参加していた生徒の中には、海洋の模擬生態系水槽を活用し、アオザメの尾鰭が発生させる水流が他のサメと異なることを発見し、多くの学会で表彰される機会にもつながりました。

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【写真5】学会発表の様子

 本研究を軸として生徒考案による研究活動が活発化したことで、本校では初となる「学内研究発表会」の開催へとつながりました。自ら研究発表を行った生徒はもちろんのこと、これから研究を始めたいと考えている生徒にとっても、大変貴重で刺激的な機会になったと感じております。

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【写真6】学内研究発表会

[学会発表での受賞歴]
・サイエンスキャッスル関東大会2024 最優秀賞受賞
・第11回高校生国際シンポジウム 全国大会優秀賞受賞
・2025年度日本魚類学会(中高生発表) 最優秀賞受賞
・第73回日本生態学会(中高生発表) 最優秀賞受賞

[申請を検討されている先生方へ]
 現在、中学校や高等学校において探究活動への取り組みが活発化しており、指導にあたる先生方の中にもご苦労されている方が多いとお伺いしております。そうした中、本助成を活用させていただいたことで、測定機器の購入にとどまらず、生徒の学会発表にかかる交通費の補助や、生徒が考案した新規研究への初期投資にも充てることができました。探究活動の過程そのものも重要ですが、生徒が成果を発表する機会を得られたことは、生徒一人ひとりにとっても大変貴重な経験になったと感じております。多くの生徒が研究の楽しさや探究の面白さを実感するためには、教員自身も一緒になって研究活動に取り組み、共に楽しむ姿を見せることが大切だと実感いたしました。本助成の活用を通じ、生徒と有意義な時間(青春)を過ごす先生方がさらに増えていくことを願っております。

<以上>

 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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先輩研究者のご紹介 中嶋 梨花さん [2026年07月06日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2023年度「細胞質雄性不稔性ジャガイモ品種の稔性回復」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、筑波大学大学院理工情報生命学術院生命地球科学研究群生物資源学科学学位プログラム(助成時)の中嶋梨花さんからのお話をお届けします。

<中嶋さんより>
 この度はこのような執筆の機会をいただき、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。私は現在、東京大学大学院生命科学研究科の博士後期課程に在籍し、植物のミトコンドリアについて研究しています。
 ミトコンドリアは真核生物(動物、植物、菌類などすべての多細胞生物と多くの単細胞生物)の細胞内にある細胞小器官です。ミトコンドリアは生物の生存に必要なエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を生産する重要な存在です。遺伝情報であるDNAは多くが細胞の核にありますが、ミトコンドリアは独自のDNA、ミトコンドリアDNAを保持しています。ミトコンドリアDNAは核DNAに比べてDNA量は少ないですが、ATP生産に関わる重要な遺伝情報です。ミトコンドリアDNAに変異(塩基の置換や挿入、欠損)が生じると、動物ではミトコンドリア病と呼ばれる疾患につながることもあります。植物も同様で、ミトコンドリアDNAが植物の成長や生育に様々な影響を与えています。私は2023年度の笹川科学研究助成をいただき「細胞質雄性不稔ジャガイモ品種の稔性回復」について研究しました。細胞質雄性不稔とは植物のミトコンドリアDNAにコードされている遺伝子が原因で異常な花や花粉ができる現象です。ジャガイモでは多くの品種が細胞質雄性不稔であるため、植物が花を咲かせても受粉ができず種子ができません、そのため育種が困難で種イモによる繁殖が必要です。私はこの問題を解決するため、いただいた助成金で花粉や原因となる遺伝子の解析を行いました。研究の成果は2026年に論文として発表することができました。
写真1 ジャガイモの花(左)と果実(右).png   図1細胞質雄性不稔の概念図.png
写真1: ジャガイモの花(左)と果実(右)           図1:細胞質雄性不稔の概念図

【申請を検討している方へ】
 私が笹川科学研究助成に申請したのは学部4年生の時で、翌年の修士1年生の時に助成をいただきました。今振り返ると、当時は研究を始めたばかりで、もちろん業績もありませんでした。ただ、この研究はとても面白いし、将来的になにか大きな発見につながっているのではないかと思っていました。笹川科学研究助成は私のように業績や経験がなくても研究テーマの面白さや斬新さを評価してもらえます。良いアイデアがあるけれど研究をする予算がない、研究実績がないといった方にはぜひチャレンジしていただきたいです。

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写真2:日々の研究の様子

論文情報
Nakajima R, Sanetomo R, Shirasawa K, Ariizumi T, Kuwabara K. Relationship between open reading frame 320, a gene causing male sterility in tomatoes, and cytoplasmic male sterility in potatoes. Plant Cell Physiol. 2026 Apr 14;67(3):289-300. doi: 10.1093/pcp/pcaf157. PMID: 41288592.

<以上>

 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 13:12 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
先輩研究者のご紹介 小平 友大さん [2026年06月29日(Mon)]
 こんにちは。科学振興チームです。
 本日は、2023年度「メタン発酵消化液とバイオ炭の共施用による環境負荷低減型営農技術の確立」という研究課題で笹川科学研究助成を受けられた、(現)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(助成時:創価大学大学院理工学研究科・博士課程学生)の小平友大さんからのお話をお届けします。

<小平さんより>
【助成研究の内容】
私の研究は、有機物の分解処理後に得られるメタン発酵消化液(以下、消化液)と、有機物の炭化後に生成されるバイオ炭を土壌に共施用するという、環境負荷を低減した有機営農技術の開発に取り組みました。窒素肥料は作物生産に欠かせない一方で、土壌中に施肥された窒素の大部分は地下水への流亡や、温室効果ガスとして大気中へ放出され、肥料効果の減少だけでなく環境負荷の原因となります。そこで私は、有機性廃棄物から得られる消化液とバイオ炭を活用し、窒素を土壌中に長く保持できないかを調べました。
具体的には、異なる温度で作製したバイオ炭の性質を分析し、アンモニウム態窒素や硝酸態窒素をどの程度保持できるかを評価しました。また、土壌に消化液や尿素肥料とともにバイオ炭を加え、土壌中で窒素がどのように変化するかといった動態について調査しました。更に得られたデータをもとに、土壌中の窒素移動を数値モデルで解析しました。

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写真1.日々の研究の様子

その結果、バイオ炭の炭化温度によって窒素を保持する仕組みが異なり、肥料の種類によっても土壌中の窒素動態が大きく変化することが明らかとなりました。この研究はその後、国際学会での発表や国際学術誌3本の論文掲載にも繋がり、現在の私の研究活動の大きな基盤となっています。

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写真2.口頭発表の様子

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写真3.ポスター発表の様子

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写真4.開催地付近の壮大な湖:Great Salt Lake

【申請を検討されている方へ】
私は修士2年生の時、博士課程に進学して研究者を目指す覚悟を決めました。しかし、その第一歩として申請した日本学術振興会特別研究員DC1は非常に厳しい結果で返ってきました。当時は、「自分は研究者としてやっていけるのだろうか」と強く落ち込み、研究者としての将来へ絶望した気持ちを抱えていました。
その時に、私を救ってくれたのが笹川科学研究助成でした。申請時点で私は論文を1本も発表しておらず、「採択は難しいかもしれない」と思いながら申請書を提出しました。それでも私の研究計画を評価していただき、採択の知らせを受けた時には、「こんな自分でも研究者として挑戦して良いのかもしれない」と、未来に対して初めて前向きな気持ちを持つことができました。
助成金によって、大学院入学以来の夢であったアメリカ土壌学会(世界最大規模の国際学会)で研究発表を行うこともできました。世界中から優秀な研究者が集まる場で自分の研究を発表し、評価された経験は、私の視野を大きく広げ、研究者として生きていく覚悟をさらに強くしてくれました。これらの成果は博士論文の核をなす主要な研究成果となり、2026年の博士(工学)学位取得へと繋がりました。現在は(国研)農研機構で土壌・リモートセンシング・機械学習等を組み合わせた、我が国が推し進めている「スマート農業」へ貢献する新たな研究へと発展しています。この助成が、現在の研究活動や私の研究者人生の大きな出発点になったと感じています。

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写真5.博士号取得(右:筆者,左:指導教授)

これから申請を考えている方には、実績が十分でないと感じていても、ぜひ挑戦してほし
いです。大切なのは、現時点で完璧な研究者であることではなく、自分の研究で何を明らかにしたいのか、そしてその先にどのような面白くなる未来があるのかを、自分の言葉で誠実に伝えることだと思います。その申請書作成の過程で、更に研究内容を整理することにも繋がります。笹川科学研究助成は、特に経験の少ない発展途上の研究者の挑戦を本気で後押ししてくれる助成だと感じています。自信をもって申請し、未来を切り拓いて共に世界の舞台で活躍していきましょう!!

【助成を受けての出版論文】
◆ Kohira, Y., Fentie, D., Lewoyehu, M., Wutisirirattanachai, T., Gezahegn, A., Addisu, S., Sato, S. (2024). Mitigation of ammonia volatilization from organic and inorganic nitrogen sources applied to soil using water hyacinth biochars. Chemosphere, 363, 142872. https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2024.142872
◆ Kohira, Y., Fentie, D., Lewoyehu, M., Wutisirirattanachai, T., Gezahegn, A., Addisu, S., Sato, S. (2025). Elucidation of ammonium and nitrate adsorption mechanisms by water hyacinth biochar: effects of pyrolysis temperature. Environmental Science and Pollution Research, 32, 762–782. https://doi.org/10.1007/s11356-024-35808-z
◆ Kohira, Y., Fentie, D., Lewoyehu, M., Wutisirirattanachai, T., Gezahegn, A., Addisu, S., Kurosawa, N., Sato, S. (2026). Contrasting mechanisms of biochar–nitrogen interactions under inorganic and organic fertilizers: Integrated evidence from incubation, volatilization, leaching, and apparent nitrogen partitioning. Science of The Total Environment, 1043, 181941. https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2026.181941

<以上>

 日本科学協会では過去助成者の皆様より、研究成果や近況についてのご報告をお待ちしております。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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Posted by 公益財団法人 日本科学協会 at 15:39 | 笹川科学研究助成 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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