条例の会仙台 各位
皆さん、お疲れ様です
以下の要望書を、仙台市と市議会宛に提出しましたので、ご報告致します。
再々要望書ということで、再三要望をおこなっています。
内容は「仙台市議会本会議場における車いす使用者の傍聴環境の改善について」になります。
皆さんも、内容をご確認下さい。
(※ファイルでも添付致します)
04_仙台市職員対応要領 留意事項(案).docx------------------------------------------------------------------------
仙台市議会本会議場における車いす使用者の傍聴環境の改善について
緊急 再々要望書
1.差別事例第1号にならないように、あらゆる手段を使い合理的配慮をして
ください
私たちは、車いす使用者も、健常者と同じように、安心安全な環境で議会を傍聴できることを強く望んでいます。そして、それを可能とする合理的配慮の提案として、本会議場の3階議場に、議場と傍聴席の間に線を引くなどをして分け、傍聴席を設けて欲しいという要望も再三してきました。それに対して、3階での傍聴はできないという回答を受け続けています。しかし、やはり私たちは納得できません。
この、提案し求めている対応は、車いすを持ち上げて運ぶなどの人手としても、そして改修工事などでのお金もかからないので、まったく過重な負担を強いることではありません。また、障害者差別解消法をつくった時に、障がい者制度改革推進会議の室長であった東俊裕弁護士にお聞きしたところ「仙台市議会傍聴規則には、傍聴席を一般席と報道関係者席にわけ、議場に傍聴人が入ることを禁止しているものの、規則上、どこを一般席にするか、どこを議場とするか迄は書いてありません。ですので、議場に臨時的に線を引いたり、臨時的に仕切りを作り、一般席として指定し、議場と傍聴席を分けることは可能だと思います。」というご意見をいただいております。また、過去の本会議の開催について調べたところ、1989年から2年間の仙台市合併に関する議会が開催された際に、仙台市役所8階ホールに会場を移して、実際にそのホールで議場と傍聴席を臨時的に分けるという方法で本会議が開催された記録があったことが分かりました。
ようは、そのような対応は、過去にも実際にあったわけで、今回、私たちが要望している3階議場に臨時的に線を引いたり、仕切りをして、議場と傍聴席を分けることで議会を開催することは、やろうとすれば実現可能な提案だということも証明しています。
また、議会運営の仕方と、規則の運用と解釈について、特に特記しておかなくてはならないのは、条例は規則よりも上に立つものです。規則があるという理由で、車いす使用者の3階での傍聴を拒むことは、障害者差別をなくす趣旨の条例内容が実現できないという事態は、矛盾しており、行政として義務を果たせていないことになることも、重く受け止めていただき、解釈の仕方や運用の仕方についても、障害者差別解消法などの趣旨を十分に理解した上で、改善していただきたいと強く要望します。
ですので、私たちは上記の真っ当な主張と過去の実績によって、改めて3階議場での傍聴を強く要望します。
2.仙台市は、合理的配慮の義務を果たし、その姿勢を示して下さい
もし、今のまま3階議場で傍聴できず、議会で条例が可決した場合には、今回の車いす使用者は議会を傍聴できない、という事例が、条例制定後最初の行政による合理的配慮の義務を怠った事例、分かりやすく言えば、これが仙台市における行政による障害者差別第1号になることを忘れないで下さい。上記の「1」に書いたように、けして無理難題な提案ではありません。そして、この提案のような対応は、障害者差別解消法の合理的配慮に資する提案であるとともに、行政には合理的配慮をおこなう義務があります。ですので、この案を採用しないというのは、合理的配慮というものを理解しておらず、仙台市は合理的配慮を実施する姿勢が無いと解釈されてもおかしくありません。
仙台市は以下の条文案にもあるように、障害及び障害者に対する理解の促進を図り、障害を理由とする差別の解消に関する施策を実施すると共に、市民が障害や差別について理解を深めるための啓発をおこなう義務があります。
(啓発活動及び交流の推進)
第十条 市は、事業者及び市民の障害及び障害者に関する関心と理解を深めるために必要な啓発活動を行うとともに、障害者と障害者でない者又は障害者同士の交流の推進に必要な施策を実施するものとする。
(市の責務)
第四条 市は、基本理念にのっとり、障害及び障害者に関する理解の促進を図るとともに、障害を理由とする差別の解消に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
そしてまた、仙台市は以下の条文案にあるように、障害者から社会的障壁の除去を必要としている意思の表明があった場合に、負担が過重でないときは、合理的配慮をしなければならないという義務があります。
(市が行う合理的配慮)
第八条 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。
そしてまた、仙台市は以下の条文案にあるように、不特定多数の者の利用に供されている建物において、当該利用を拒否し、若しくは制限し、又は当該利用に条件を付することその他の障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすることは禁止と謳っています。
七 障害者が不特定多数の者の利用に供されている建物等又は公共交通機関を利用する場合において、建物等又は旅客施設若しくは車両等の構造上やむを得ないと認められる場合その他の客観的に合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、当該利用を拒否し、若しくは制限し、又は当該利用に条件を付することその他の障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすること
上記のこれらは、障害者差別解消法にも同じように書かれている内容です。
ですので、今回の仙台市の合理的配慮の実例は、条例施行後に広く市民や事業所などに障害理解や差別禁止を促進していく上で、非常に大きな合理的配慮の判断基準を示す事例になります。それは、この条例が謳う「客観的に、やむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、障害を理由として提供を拒否し、若しくは制限し、又は提供に条件を付すること、その他の障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすること」という「不当な差別的取扱いの禁止」事項の合理的配慮について、実例をもって行政が市民に示すことになるからです。もし、差別事例第1号になれば、これは非常に恥ずかしい出来事です。また、そういった仙台市の姿勢をみた一般市民や事業者は「合理的配慮の義務が課せられている仙台市の行政ですら、あのくらいの合理的配慮なのだから、私たちも、合理的配慮の提供はできない」と考える合理的配慮の基準となります。
仙台市は、下記の前文案で謳っている通り、市民に、この条例の意味を示すためにも、まずは仙台市議会も仙台市行政も積極的に取り組み、見本となる態度を示し、実施を行って下さい。
仙台市 障害を理由とする差別をなくし
障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例(案)
(前文)
すべての人は、かけがえのない個人として尊重されるものであり、市民一人ひとりが、多様な人格と個性を尊重し合いながら、支え合い、生きがいを持って、安心した生活を送ることができる社会の実現は、わたしたちの共通の願いである。
しかしながら、障害のある人は、心身の障害による生活のしづらさに加え、周囲の理解の不足や偏見、障害への配慮が十分ではない仕組みや習慣等のさまざまな社会的な障壁による困難を抱え、時には障害者虐待など人権を侵害される深刻な状況に置かれることもある。また、未曽有の被害をもたらした東日本大震災においては、災害対策や地域生活において障害への配慮が不十分な現状が明らかになった。
障害を理由とする差別をなくすためには、市民一人ひとりがこの問題を深く受け止め、自分たちの暮らしの中で向き合い、差別の解消に向けて共に取り組むことが必要である。
わたしたちのまち仙台には、「健康都市宣言」や日本で初めての「身体障害者福祉モデル都市」指定など、障害者の生活圏拡張運動や福祉のまちづくりの発祥地と言われる、障害のある人自身が発信し、市民とともに福祉のまちづくりに取り組んできた歴史がある。また、「仙台市ひとにやさしいまちづくり条例」をいち早く制定し、さまざまな施設がすべての人にとって利用しやすいものとなるように、その整備に努めてきた。
こうした福祉のまちづくりの歴史を継承し、市民、事業所、行政が共に知恵と力を出し合い、障害を理由とする差別をなくすことを決意し、一人ひとりの多様な人格と個性を認め合い、障害のある人もない人も自分らしく、自立と社会参加を実現できる共生のまち・仙台を目指すため、この条例を制定する。
3.別室に設けられたスクリーンにて議会を観ること等の提案について
議員運営委員会から提案があった、車いす使用者には別室のスクリーンで議会を観てもらうという対応について、これは健常者と障害者を別々に分け障害者を議場から遠ざけるということですが、これはインクルーシブという考え方からはかなり外れています。この発想が障害者差別につながっていることは市会議員にも市役所職員にも分かって欲しいのです。ただし、今回に限って緊急対応ということで言えば、市民全体に3月14日の傍聴呼びかけをおこなっており、車いす使用者が10名以上になることが考えられるので、モニター室を設けていただくことは、ありがたいことだと思っています。
また、4階傍聴席の席を外し、車いす席を設けるという対応については、まず昇降機を使用できない車いす使用者がいるということ、そして昇降機で登るのに少なくても1人10分を要するということから10名いた場合には計1時間40分もかかるということ、また傍聴中にトイレに行きたくなった車いす使用者がいた場合には、他の車いす使用者が場合によっては昇降機で階段を下りるなど道を空ける必要があり、非常に出入りが混雑し時間がかかるということがあります。
私たちは、けして特別な扱いを要求しているのではありません。私たちは、議会規則の解釈と運営の仕方一つで実現可能で、尚且つ、過剰な負担がかからない、3階議場での傍聴という合理的配慮の方法があるわけですから、ただ、その実施をしていただいて、車いす使用者も健常者と同じように、安心安全な環境で議会を傍聴できることを望んでいるだけです。別室にスクリーンを設けるという方法よりも、もっと歩み寄った合理的配慮の対応をして欲しい、つまりは3階議場での傍聴を私たちは望みます。
4.車いす使用者が4階傍聴席に登る際の介助を要請します
車いす使用者の中には、普段、介助者を付けずに1人で外出されている方もいます。しかし、そういった方でも物理的に障壁がある場所では、キャタピラ式昇降機への乗り移り介助、車いすへの乗り移り介助、席への乗り移り介助、もしくは昇降機に乗り移ることができない方に対しては、車いすごと持ち上げて階段を登るといった介助など、そういった介助がバリアを解消するには絶対に必要となります。そのため、私たちは、そういった介助を必要とする車いす使用者への介助を提供してくださるように再三要望してきましたが、仙台市からは、危ないし何かあったら責任を持てないという理由から、そういった介助はできないという回答を受けました。
この、危ないから手を出すことはできないという判断は、条例施行後、あらゆる事業所でも当てはまる判断基準と実例になることも忘れないで下さい。例えば、事業所の階段を登りたい車いす使用者や、お店の段差を登りたい車いす使用者などの介助についても、危なくて責任が取れないからできないという判断基準となり、それが過剰な負担がかかる過剰な範囲となってしまいます。ですので、私たちは、市民に、この条例の意味を示すためにも、まずは仙台市が積極的に取り組み、見本となる態度を示し、実施を行うことを強く要望します。
また、仙台市では障害者差別解消法施行に基づいて、対応要領が整備されることになりますが、今回の“危ないから介助することができない”という対応の仕方について、仙台市は法施行後どのように考え、対応しようと考えているのか、その考えを文書にて示していただきたい。
以上
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以上
ぜひ、皆で3月14日の、条例が可決成立する議会は、傍聴しに行きましょう!!
宜しくお願い致します
事務局