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研究員からの情報
「NPO法人『日本で最も美しい村』連合」加盟町村・地域の実態に関するアンケート調査・結果報告書[2016年03月13日(Sun)]

 今日の日本の多くの地方は、若者と農業等の後継者が少なく疲弊しているといわれている。このような状況を打破するためには、地元に根差した地域づくりを進める必要がある。「NPO法人『日本で最も美しい村』連合」(以下「連合」という)の取組は、この新しい時代の要請に応えた社会運動であるといえる。そこでフランスで始まった最も美しい村づくりを進めていくための一助とするために、「連合」に加盟している町村・地域の実態を明らかにすることとした。


小見出しは次のとおり
  1 調査の概要
  2 結果
   2-1 加盟のきっかけ
   2-2 加盟に当たっての住民への対応状況
   2-3 加盟に当たっての議会への対応状況
   2-4 地域の宝
   2-5 目的を実現するための取組内容
   2-6 推進に当たって困っていること
   2-7 「連合」への要望
   2-8 国・県への要望
   2-9 自由意見
  3 まとめ
  謝辞


1 調査の概要
 調査方法は、アンケート調査票を郵送し、返信用封筒にて返送する方法とした。
 調査対象は、「連合」のホームページに掲載されている2015年3月1日現在の加盟町村・地域である47町村7地域である。
 調査項目は、加盟のきっかけ、加盟に当たっての住民への対応状況、加盟に当たっての議会への対応状況、地域の宝、目的を実現するための取組内容、推進に当たって困っていること、「連合」への要望、国・県への要望、自由意見とした。
 調査時期は、2016年1月20日から2月29日である。
 回収状況は、協力を依頼した54町村・地域に対して、回答が寄せられたのは29町村・地域(回収率:53.7%)であった。「連合」との共同の調査ではなかったにも関わらず、半数以上の協力が得られた。

2 結果
 半数以上の町村・地域から協力が得られたものの、29の町村・地域からの回答であることから、集計の意味合いは薄いものの、加盟している町村・地域の現状についての一定の傾向が伺える。その集計結果は次のとおりである。
なお集計に当たっては、問1から問3までは、複数の回答になる場合も考えられるが、集計の都合上、複数の回答及び無回答の場合は「不明」として集計した。さらに問4では特に重要な地域の宝を◎印で回答することになっているが、◎印のない場合は「不明」として処理した。また問7から問9までの記入欄の語尾は、「です・ます調」で回答された場合も、「である調」として記載している。

2-1 加盟のきっかけ
 まず加盟のきっかけについて質問した。「首長の意向による」という回答が最も多くが29町村・地域中21か所(72.4%)であった。続いて、3町村・地域(10.3%)が「住民からの要請による」と回答し、「その他」と「不明」がいずれも2町村・地域(6.9%)で、「議会あるいは議員の提起による」との回答が1町村・地域(3.4%)であった。「職員の提案による」と回答した町村・地域はなかった。なお「その他」としては、「村づくり協議会での提案」、「村外の出身者からの提案」といった回答であった。
 回答のあった町村・地域の7割以上が首長の意向により加盟しており、首長のリーダーシップが加盟の大きな要因となっている。一方で「その他」の2町村・地域も住民からの要請による加盟と考えられ、住民の提案による加盟は1割半強あり、最も美しい村づくりを進める上で重要な要素の1つである「住民の自主的参加」という点から、好ましい加盟のきっかけといえる。一方、職員の提案により加盟した町村・地域はなかった。万が一職員から加盟の必要性が提案されたとしても、その実現には非常に大きなハードルがある。しかし地元に目指した地域づくりが求められる今日、先見性のある職員の登場も必要である。

図2-1 加盟のきっかけ
2-1.jpg
【凡例】
  1 首長の意向による
  2 議会あるいは議員の提起による
  3 職員の提案による
  4 住民からの要請による
  5 その他


2-2 加盟に当たっての住民への対応状況
 最も美しい村づくりを進めるためには、そこで暮らす住民の理解と協力が不可欠である。そこで加盟に当たっての住民への対応状況を尋ねた。「住民の皆さんに周知するために、広報紙に内容等を掲載した」と回答のあった町村・地域が29町村・地域中18か所(62.1%)と最も多かった。続いて「住民の皆さんへ十分周知するために、地域ごとの説明会を開催した」、「住民の皆さんへ周知するために、1か所の会場のみで説明会を開催した」、「その他」が、それぞれ2町村・地域(6.9%)であった。「加盟に当たって事前に住民の皆さんからの意見を求めた」、「特に行っていない」と回答のあった町村・地域がそれぞれ1か所(3.4%)で、「不明」が2町村・地域(6.9%)あった。なお「その他」としては、「各種会議等で周知を図った」、「加盟時の審査に当たり、美しい村運動推進の核となる地域づくり団体等の方々と資格審査委員との交流会を開催した」といった回答であった。
 加盟に当たって、6割以上の町村・地域で、広報紙による周知を行っている。ヨーロッパでの事例に見られるように、最も美しい村づくりを進めるためには、そこに住んでいる人が具体的に行動することによって、初めて実現するものである。多くの町村・地域で首長の意向により加盟しており、様々な方法によって住民の自主的参加を求める努力が必要である。

図2-2 加盟に当たっての住民への対応状況
2-2.jpg
【凡例】
  1 住民の皆さんへ十分周知するために、地域ごとの説明会を開催した
  2 住民の皆さんへ周知するために、1か所の会場のみで説明会を開催した
  3 住民の皆さんに周知するために、広報紙に内容等を掲載した
  4 加盟に当たって事前に住民の皆さんからの意見を求めた
  5 特に行っていない
  6 その他


2-3 加盟に当たっての議会への対応状況
 最も美しい村づくりを進めるためには、住民の理解と協力が不可欠であると同時に、議会の理解と協力も必要である。そこで加盟に当たっての議会への対応状況について尋ねた。「議会の協力を得るために、全員協議会で説明した」が最も多く29町村・地域中10か所(34.5%)であった。続いて「議会の積極的な協力を得るために、加盟了解の議決をお願いした」と9町村・地域(31.0%)が回答し、「加盟に当たって事前に議員の皆さんからの意見を求めた」、「その他」がそれぞれ3町村・地域(10.3%)で、「特に行っていない」、「不明」がいずれも2町村・地域(6.9%)であった。なお「その他」としては、「予算措置での説明」、「加盟したい旨の報告を行った」、「定例議会、産業建設委員会で説明した」といった回答であった。
 亊業を進めるに当たっては、議会の理解と協力が不可欠である。各議員に個別の説明までした町村・地域はなかったが、全員協議会で説明した町村・地域と加盟了解の議決まで求めた町村・地域を合わせると、3分の2近くあった。その一方で、特に行っていない町村・地域が2か所あり、その対応は、町村・地域によってまちまちである。地域を良くしたいという願いは、どの議員も同じであり、最も美しい村づくりを進めるためには、議会の理解と協力が不可欠である。

図2-3 加盟に当たっての議会への対応状況
2-3.jpg
【凡例】
  1 議会の積極的な協力を得るために、加盟了解の議決をお願いした
  2 議会の協力を得るために、全員協議会で説明した
  3 各議員に個別の説明をした
  4 加盟に当たって事前に議員の皆さんからの意見を求めた
  5 特に行っていない
  6 その他


2-4 地域の宝
 最も美しい村づくりを進めるに当たって、なにを“売り”にするかは重要である。そこでどのようなものを地域の宝と考えているかについて尋ねた。その結果が次のとおりである。
 最も重要だと考えている地域の宝としては、「自然と人間との調和した景観」と回答した町村・地域が29町村・地域中12か所(41.4%)と最も多かった。続いて「手の付けられていない自然」、「地域の人材」がいずれも4町村・地域(13.8%)で、「地域の行事・文化」が2町村・地域(6.9%)であった。「地域の特産品」、「オリジナルの加工品」、「オリジナルな施設」と回答した町村・地域はなかった。なお「不明」が7町村・地域(24.1%)あった。
 複数回答としては、「自然と人間との調和した景観」との回答が最も多く22町村・地域(75.9%)であった。続いて、「地域の行事・文化」と回答のあった町村・地域が17か所(58.6%)で、「手の付けられていない自然」との回答が14町村・地域(48.3%)、「地域の人材」との回答が13町村・地域(44.8%)、「地域の特産品」との回答が10町村・地域(34.5%)、「オリジナルの加工品」との回答が8町村・地域(27.6%)、「その他」と回答のあった町村・地域が1か所(3.4%)であった。「オリジナルな施設」、「特にない」と回答した町村・地域はなかった。なお「その他」としては、「眺望・地形」といった回答であった。
 最も重要だと考えている地域の宝として4割強が、また複数回答では4分の3の町村・地域が、「自然と人間との調和した景観」を挙げた。また複数回答として6割弱の町村・地域で、「地域の行事・文化」を挙げた。一方「手の付けられていない自然」と回答のあった町村・地域は、複数回答でほぼ半数であった。このように人間の手の入らない自然より、人間の営みと調和した自然や地域の行事・文化といった人の手の加わったものが、「連合」に加盟している町村・地域にとっての宝と評価されている。また最重要で4つの町村・地域が、複数回答では13の町村・地域が、「地域の人材」を地域の宝としている。最終的には人材が地域を支えることとなり、最も美しい村づくりとって重要な要素といえる。その一方で「オリジナルな施設」は複数回答においても挙げられなかった。
 なお最も重要だと考えている地域の宝で、「不明」と回答した町村・地域が4分1近くあったのは、地域の宝を1つに絞りにくいということで◎印の回答ができなかったものと考えられる。

図2-4-1 地域の宝(最重要)
2-4-1.jpg
図2-4-2 地域の宝(複数回答)
2-4-2.jpg
【凡例】
  1 手の付けられていない自然
  2 自然と人間との調和した景観
  3 地域の特産品
  4 オリジナルの加工品
  5 地域の行事・文化
  6 地域の人材
  7 オリジナルな施設
  8 特にない
  9 その他


2-5 目的を実現するための取組内容
 最も美しい村づくりという目的を実現するために、どのような事業に取り組んでいるのかということについて、複数回答可で尋ねた。その結果は次のとおりである。
「住民の協力が必要であり、住民への広報や協力要請に取り組んでいる」との回答が最も多く、29町村・地域中18か所(62.1%)であった。続いて「魅力を発信し、交流人口の増加による地域経済の発展に取り組んでいる」と回答した町村・地域が16か所(55.2%)で、「他の加盟町村・地域との情報交換や交流に取り組んでいる」との回答が14町村・地域(48.3%)、「固有の景観や文化を守り育てるための亊業に取り組んでいる」との回答が13町村・地域(44.8%)、「1次産業の6次産業化を進め、地域資源の活用に取り組んでいる」との回答が11か所(37.9%)、「職員研修など職員の意識改革に取り組んでいる」、「議員の協力が必要であり、議員への十分な説明に取り組んでいる」、「特別な取組は行っていない」がいずれも2町村・地域(6.9%)で、「その他」が1町村・地域(3.4%)であった。なお「その他」としては「現在は原発災害でストップ」といった回答であった。
 6割強の町村・地域で、「住民の協力が必要であり、住民への広報や協力要請に取り組んでいる」との回答があった。この運動は草の根的な取組が重要であることを担当者として十分認識している様子が伺える。半数以上の町村・地域で、「魅力を発信し、交流人口の増加による地域経済の発展に取り組んでいる」との回答があった。またほぼ半数の町村・地域で、「他の加盟町村・地域との情報交換や交流に取り組んでいる」との回答があり、情報発信や交流の場の提供といったことも「連合」に求められる役割の1つといえる。「職員研修など職員の意識改革に取り組んでいる」との回答のあった町村・地域はわずか2町村・地域(7.1%)であった。しかし、従来の行政の発想とは異なるこのような事業を進めていくためには、時間がかかっても職員の意識改革に取り組むことが重要である。
 最も美しい村づくりを進めるために取り組んでいる亊業を把握しようと、任意で関連事業に関する資料を同封してもらった。「連合」に加盟していることを町外者に知らせるチラシや「美しい村町民運動」への協力を町民に要請するチラシ、「美しい村づくり亊業」の内容を整理した資料の送付があった。美しい村づくり協議会の設置や美しい村だよりの発行、美しい村づくり条例の制定など、地域住民を巻き込む努力が伺える。

図2-5 目的を実現するための取組内容
2-5.jpg
【凡例】
  1 職員研修など職員の意識改革に取り組んでいる
  2 議員の協力が必要であり、議員への十分な説明に取り組んでいる
  3 住民の協力が必要であり、住民への広報や協力要請に取り組んでいる
  4 他の加盟町村・地域との情報交換や交流に取り組んでいる
  5 1次産業の6次産業化を進め、地域資源の活用に取り組んでいる
  6 魅力を発信し、交流人口の増加による地域経済の発展に取り組んでいる
  7 固有の景観や文化を守り育てるための亊業に取り組んでいる
  8 特別な取組は行っていない
  9 その他


2-6 推進に当たって困っていること
 本事業の推進に当たって困っていることについて、複数回答可で尋ねた。「推進のための予算不足」と回答のあった町村・地域が最も多く、29町村・地域中9か所(31.0%)であった。続いて「住民の自主的な参加不足」、「目指す目標が明確でない」との回答がいずれも6町村・地域(20.7%)で、「行政内部での不理解」、「行政内部での連携不足」、「住民の無理解」、「特にない」と回答した町村・地域がいずれも5か所(17.2%)、「その他」との回答が2町村・地域(6.9%)、「推進に当たっての情報不足」との回答が1町村・地域(3.4%)であった。また「不明」が1町村・地域(3.4%)あった。なお「その他」としては、「人員不足」、「連合の目指すべき目標が明確でない」といった回答であった。
 3分の1近くの町村・地域で、「推進のための予算不足」との回答があった。税収が伸び悩んでいる今日の各地方自治体の置かれた状況を考えるとやむを得ない。とはいえ、これからの時代を切り開く亊業であることから、必要な予算措置をするといった努力をしなければならない。と同時に予算不足は知恵と汗でカバーするといったことにも尽力が求められる。2割以上の町村・地域で、「目指す目標が明確でない」との回答が寄せられた。「連合」は明確な目標を掲げており、意外な結果であった。またフランス、イタリアに目指すべき姿があり、各町村・地域によって置かれた状況は異なるものの、目指す目標は明確であるといえる。もちろん、それを実現するためには各町村・地域で工夫が必要である。「住民の自主的な参加不足」、「住民の無理解」が課題だとした町村・地域もあり、本事業の推進の難しさが伺える。住民の中に分け入って、協働を進めていく努力が求められる。「行政内部での連携不足」、「行政内部での不理解」が課題だとした町村・地域もあり、行政内部での連携の難しさが伺える。本事業の推進に当たっては、明治以来営々と築かれてきた縦割り行政を克服する必要がある。そのためには職員の努力だけでは困難であり、首長のリーダーシップが求められる。なお「特にない」と回答した町村・地域が5か所(17.2%)あり、その町村・地域の最も美しい村づくりの先導的な役割を期待したい。

図2-6 推進に当たって困っていること
2-6.jpg
【凡例】
  1 行政内部での不理解
  2 行政内部での連携不足
  3 住民の無理解
  4 住民の自主的な参加不足
  5 推進のための予算不足
  6 推進に当たっての情報不足
  7 目指す目標が明確でない
  8 特にない
  9 その他
  10 不明


2-7 「連合」への要望
 「連合」への要望を尋ねたところ、次の要望が出された。
・連合としての目指すべき方向性が明確でない
・連合はリーダーシップを発揮してほしい
・地域指定なので連合からの各種情報の提供、自活するための方策
・メディア等に情報発信してもらいたい
・要望ではなく、加盟町村で「ふるさと納税」で連携したいと考えている
・サポーター企業との連携
・各加盟町村単位でのPRは必ず必要であるが、連合としてのPRの推進をお願いしたい。特に「ロゴマーク」の知名度を高めていただきたい
・情報発信がまだまだ弱いので、効果的な情報発信ができるよう努めてほしい
 連合としての目指すべき方向性は明確になっていると考えるが、機会あるごとの周知が求められている。また情報発信がまだまだ弱いと受け取られているようで、効果的な情報発信の要望が出された。「ふるさと納税」での加盟町村との連携、サポーター企業との連携のために、連合の役割を期待したいといった要望も出された。

2-8 国・県への要望
 国・県への要望を尋ねたところ、次の要望が出された。
・美しい村連合の理解、支援
・連合を運営していくに当たっての、人件費の補助やアドバイス
・審議会等への連合の参画
・小さな町村の取組について、今後の国、県の施策の中に具体的に必要なものはなになのか、調査していただき、盛り込んでいただきたいと考える
・連合加盟地域連携亊業の財政支援
 国・県に対して、連合への人件費の補助などの財政支援や小さな町村の取組への支援策さらに連合への理解・活用といった要望が出された。

2-9 自由意見
 最後に、「連合」の目的を実現するための意見等を求めたところ、次の意見等が寄せられた。
・設立10年の連合であるので、各種広報、メディア等への積極的なアピールを行ってほしい
・美しい村推進委員を設けているが、高齢化が進み体力の限界が問題視されている。若者も若干参加しているが、収入面でも、不安な要素がある
・当村の魅力をさらに発信し、交流人口を増加させることで、地域経済を発展させることが必要と考えている
・加盟している各地域の住民に対して、連合の目的を周知し理解を得ること
・外部(都市部)への認知度を高めること
・ロゴマーク等のブランド力を向上させること(全加盟町村及び連合の努力が必要だと思う)
・美しいまちづくりに向けて、今後とも努力していきたい。
 都市部への認知度を高めるために、ロゴマーク等のブランド力を向上させるなど広報活動の充実といった連合への要望も出された。また地域住民へ連合の目的を周知し理解を得ることを挙げた町村・地域もあった。さらに魅力を発信し交流人口を増加させることで地域経済を発展させる、美しい村づくりに向けて今後とも努力していくといった決意表明もあった。その一方で、関係者の高齢化と若者を関わらせるには収入面で不安だといった本亊業を進めるに当たっての問題点も指摘された。

3 まとめ
 協力を依頼した54町村・地域に対して、半数以上の町村・地域から回答が寄せられたものの、残念ながら29町村・地域(53.7%)からの回答にとどまった。
 今回の集計結果から次のことが言える。
・回答のあった町村・地域の7割以上が首長の意向により加盟しており、首長のリーダーシップが加盟の大きな要因となっている。その一方で住民からの要請による加盟といえるものも1割半強あり、最も美しい村づくりを進める上で重要な要素の1つである「住民の自主的参加」という点から、好ましい加盟のきっかけといえる。
・加盟に当たっての住民への対応状況については、6割以上の町村・地域で、広報紙による周知を行っている。ヨーロッパでの事例に見られるように、最も美しい村づくりを進めるためには、そこに住んでいる人が具体的に行動することによって、初めて実現するものである。その意味から様々な方法によって、住民の自主的参加を求める努力が必要である。
・亊業を進めるに当たっては、議会の理解と協力が必要である。各議員に個別の説明までした町村・地域はなかったものの、全員協議会で説明さらには加盟了解の議決まで求めた町村・地域が合計で3分の2近くあった。その一方で、特に行っていない町村・地域が2か所もあり、その対応は、町村・地域によって異なっている。
・最も重要だと考えている地域の宝として4割強が、また複数回答では8割弱の町村・地域が、「自然と人間との調和した景観」を挙げた。また複数回答として6割の町村・地域で、「地域の行事・文化」を挙げた。一方「手の付けられていない自然」と回答のあった町村・地域は、複数回答で半数であった。このように人間の手の入らない自然より、人間の営みと調和した自然や地域の行事・文化といった人の手の加わったものが、「連合」に加盟している町村・地域にとっての宝と評価されている。
・目的を実現するための取組内容としては、6割強の町村・地域で、「住民の協力が必要であり、住民への広報や協力要請に取り組んでいる」との回答があった。この運動は草の根的な取組が重要であることを担当者として十分認識している様子が伺える。半数以上の町村・地域で、「魅力を発信し、交流人口の増加による地域経済の発展に取り組んでいる」との回答があった。またほぼ半数の町村・地域で、「他の加盟町村・地域との情報交換や交流に取り組んでいる」との回答があり、情報発信や交流の場の提供といったことも「連合」に求められる役割の1つといえる。「職員研修など職員の意識改革に取り組んでいる」との回答のあった町村・地域はわずか2町村・地域(7.1%)であった。しかし、従来の行政の発想とは異なるこのような事業を進めていくためには、時間がかかっても職員の意識改革に取り組むことが重要である。
・推進に当たって困っていることとして、3分の1程度の町村・地域で、「推進のための予算不足」との回答があった。今日の状況からやむを得ない面はあるものの、これからの時代を切り開く亊業であることから、必要な予算措置をするといった努力が求められる。と同時に予算不足は知恵と汗でカバーするといったことにも尽力が求められる。2割以上の町村・地域で、「目指す目標が明確でない」との回答が寄せられた。「連合」は明確な目標を掲げており、意外な結果であった。フランス、イタリアに目指すべき姿があり、各町村・地域によって置かれた状況は異なるものの、目指す目標は明確であるといえる。もちろん、それを実現するためには各町村・地域で工夫が必要である。「住民の自主的な参加不足」、「住民の無理解」が課題だとした町村・地域もあり、本事業の推進の難しさが伺える。住民の中に分け入って、協働を進めていく努力が求められる。「行政内部での連携不足」、「行政内部での不理解」、が課題だとした町村・地域もあり、行政内部での連携の難しさが伺える。本事業の推進に当たっては、明治以来営々と築かれてきた縦割り行政を克服する必要がある。そのためには職員の努力だけでは困難であり、首長のリーダーシップが求められる。
 以上の調査結果を踏まえて、@「連合」による実践型職員研修の開催、A首長のリーダーシップによる縦割り行政の克服の2つを提案させていただく。

@「連合」による実践型職員研修の開催
 最も美しい村づくりを進めるには、住民の自主的な参加が必要である。このことは、従来の行政マンには必要のなかった資質であり、担当する職員の意識改革が強く求められる。特に縦割り行政の弊害の中で担当する職員にとっては、従来の行政職員としての発想では、本亊業の推進は困難である。また最も美しい村づくりの目標が明確でないといった意見も聞かれる。そのため担当職員に対する研修にも尽力する必要があるといえる。さらに地域の課題をどう解決していくかといった手段を見出すことが難しいのである。具体的な解決手法を持つ専門家らと現実の地域で検討する実践的なワークショップを取り入れた研修の実施が必要である。そのため「連合」による実践型職員研修の開催をお願いしたのである。

A首長のリーダーシップによる縦割り行政の克服
 最も美しい村づくりを現実に進めていくためには、各行政分野の協力体制づくりが必要である。つまり縦割り行政の克服が求められる。このことを縦割り行政の真っただ中にいる職員に背負わせるには、あまりにも大きな負担であり、実現できない可能性の方が大きい。ここは行政全般を見渡せる首長のリーダーシップに寄らざるを得ない。最も美しい村づくりは、閉塞感の漂う日本を救う地域づくりの1つである。首長のリーダーシップの下、新しい発想のできる職員がいかんなく力を発揮できることを期待したい。

謝辞
 業務ご多用の中、調査に協力いただいた皆さまに、この場を借りて、感謝申し上げます。日本においても、ユニークな最も美しい村づくりが進むことを祈念しています。
タグ:東孝次

Posted by 東 at 18:39 | 研究員からの報告 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

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