「秋の日に、湯に浸り」「四行詩」と中原中也日記・書簡を読む @ 第184回中原中也を読む会
[2019年09月25日(Wed)]
9月27日(金)、第184回中原中也を読む会「「秋の日に、湯に浸り」「四行詩」と中原中也日記・書簡を読む」が中原中也記念館であります
中原中也を読む会は、テーマに沿って中也の詩を読み込んだり、詩に曲をつけたものを聞いたり、記念館の展示を学芸員の解説とともに見学するなど、気軽におしゃべりしながら、中也の詩の世界を楽しく味わう会です。
詩にちょっと興味はあるけど、なんか難しそう…という方にお薦めです。
日 時 2019年9月27日(金)13:30〜15:00(予定)
場 所 中原中也記念館
内 容 「秋の日に、湯に浸り」「四行詩」と中原中也日記・書簡を読む
参加費 無料
連絡先 中原中也記念館
083-932-6430
083-932-6431
秋の夜に、湯に浸り
秋の夜に、独りで湯に這入ることは、
淋しいじやないか。
秋の夜に、人と湯に這入ることも亦、
淋しいじやないか。
話の駒が合つたりすれば、
その時は楽しくもあろう
然しそれといふも、何か大事なことを
わきへ置いといてのことのやうには思われないか?
――秋の夜に湯に這入るには……
独りですべきか、人とすべきか?
所詮は何も、
決ることではあるまいぞ。
さればいつそ、潜つて死にやれ!
それとも汝、熱中事を持て!
※ ※
※
四行詩
おまへはもう静かな部屋に帰るがよい。
煥発する都会の夜々の燈火を後に
おまへはもう、郊外の道を辿るがよい。
そして心の呟きを、ゆつくりと聴くがよい。
中也には、もう一つ四行詩があります。
四行詩
山に登つて風に吹かれた
心は寒く冷たくあつた
過去は淋しく微笑してゐた
町では人が、うたたねしてゐた?
前者の四行詩は富永太郎の次の詩に似ていると思いませんか?
無題 京都
富倉次郎に
おまへの歯は よく切れるさうな
山々の皮膚が あんなに赤く
夕陽(ゆうひ)で爛らされた鐃鉢(ねうばち)を
焦々[いらいら]して 摺り合せてゐる
おまへはもう 暗い部屋へ歸つておくれ
おまへの顎が 薄明(うすあかり)を食べてゐる橋の下で
友禪染を晒すのだとかいふ黝(くろ)い水が
産卵を終へた蜉蝣(かげろう)の羽を滲ませる
おまへはもう 暗い部屋へ歸つておくれ
色褪せた造りものの おまへの四肢(てあし)の花々で
貧血の柳らを飾つてやることはない
コンクリートの護岸堤は 思ひのままに白(しら)けさせやう
おまへはもう 暗い部屋へ歸つておくれ
ああ おまへの歯は よく切れるさうな
中原中也を読む会は、テーマに沿って中也の詩を読み込んだり、詩に曲をつけたものを聞いたり、記念館の展示を学芸員の解説とともに見学するなど、気軽におしゃべりしながら、中也の詩の世界を楽しく味わう会です。
詩にちょっと興味はあるけど、なんか難しそう…という方にお薦めです。
日 時 2019年9月27日(金)13:30〜15:00(予定)
場 所 中原中也記念館
内 容 「秋の日に、湯に浸り」「四行詩」と中原中也日記・書簡を読む
参加費 無料
連絡先 中原中也記念館
083-932-6430
083-932-6431
秋の夜に、湯に浸り
秋の夜に、独りで湯に這入ることは、
淋しいじやないか。
秋の夜に、人と湯に這入ることも亦、
淋しいじやないか。
話の駒が合つたりすれば、
その時は楽しくもあろう
然しそれといふも、何か大事なことを
わきへ置いといてのことのやうには思われないか?
――秋の夜に湯に這入るには……
独りですべきか、人とすべきか?
所詮は何も、
決ることではあるまいぞ。
さればいつそ、潜つて死にやれ!
それとも汝、熱中事を持て!
※ ※
※
四行詩
おまへはもう静かな部屋に帰るがよい。
煥発する都会の夜々の燈火を後に
おまへはもう、郊外の道を辿るがよい。
そして心の呟きを、ゆつくりと聴くがよい。
中也には、もう一つ四行詩があります。
四行詩
山に登つて風に吹かれた
心は寒く冷たくあつた
過去は淋しく微笑してゐた
町では人が、うたたねしてゐた?
前者の四行詩は富永太郎の次の詩に似ていると思いませんか?
無題 京都
富倉次郎に
おまへの歯は よく切れるさうな
山々の皮膚が あんなに赤く
夕陽(ゆうひ)で爛らされた鐃鉢(ねうばち)を
焦々[いらいら]して 摺り合せてゐる
おまへはもう 暗い部屋へ歸つておくれ
おまへの顎が 薄明(うすあかり)を食べてゐる橋の下で
友禪染を晒すのだとかいふ黝(くろ)い水が
産卵を終へた蜉蝣(かげろう)の羽を滲ませる
おまへはもう 暗い部屋へ歸つておくれ
色褪せた造りものの おまへの四肢(てあし)の花々で
貧血の柳らを飾つてやることはない
コンクリートの護岸堤は 思ひのままに白(しら)けさせやう
おまへはもう 暗い部屋へ歸つておくれ
ああ おまへの歯は よく切れるさうな