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こどもと本ジョイントネット21・山口


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冬の長門峡を歩きました@中原中也「冬の長門峡」詩碑 [2019年03月03日(Sun)]
2018年3月2日、冬の長門峡を歩きましたぴかぴか(新しい)

冬というより早春でしょうか、オオイヌノフグリが咲いていました。
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ヒイラギナンテンも咲き始めていました。
IMG_1819.JPG 
アオキの蕾です。
IMG_1937.JPG

中原中也に「冬の長門峡」という詩があります。

長門峡に、水は流れてありにけり。
寒い寒い日なりき。

われは料亭にありぬ。
酒酌(く)みてありぬ。

われのほか別に、
客とてもなかりけり。

水は、恰(あたか)も魂あるものの如く、
流れ流れてありにけり。

やがても密柑(みかん)の如き夕陽、
欄干(らんかん)にこぼれたり。

ああ! ――そのやうな時もありき、
寒い寒い 日なりき。


長門峡の入口にある洗心館のそば、洗心橋を臨む場所に、「冬の長門峡」の詩碑が建っています。
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長男文也が1936(昭和11)年11月10日亡くなり、12月12日に「文也の一生」と題した文也の短い生涯を綴った日記、12月24日に文也と孝子夫人と三人で行った博覧会の思い出「夏の夜の博覧会はかなしからずや」を書き、続けて、「冬の長門峡」を同じ毛筆で墨書します。
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中也の友人 安原喜弘は、1932(昭和7)年3月24日中也が帰省していた湯田温泉を訪れ、中也と共に長門峡に行きます。

 手紙三十三 三月七日(はがき)   (山口より)
(略)この葉書をかきながら、窓外をみると、山のてつぺんの、樹と樹とのすき間をとほして雲の流れてゆくのがみえます(煙は空に身を慌び、日陰怡しく身を嫋ぶ)昔の歌。おいで待ちます。
(略)二十三日着かれること好都合ですが、尤も君の都合次第では、何時だつて結構です 何卒、お待ちしています、田舎だつてヒト味です。
一緒に山登りをしませう

 手紙三十四 三月二十二日(はがき)   (山口より)
 先日来、雨や雪がよく降りましたが、今日あたりから晴がつづくだらうと思はれます。
                      中也

 私への温かいいざないのはがきです。
 私はこの月の二十四日に「おみこし」を挙げ詩人の郷里訪問の途についた。そして5日の間彼及彼の家族の方々の誠に心からの手厚い歓待に身を委せた。この間彼はくさぐさの心遣いを以て私を労わり、細心の準備を以て私に郷土を紹介した。彼はそこの気候、風土、地勢、歴史、人情、物産、酒、女のことごとくを私に語るのだつた。或時は長門峡の流れに盃を挙げ、或る時は秋吉の鍾乳洞の神秘を探つた。長門峡では俄雨に襲われた。岩を噛む清流は忽ち滔々たる濁流となつた。私達は岩陰にあるたつた一軒の休み茶屋の縁に腰を下ろし、耳を聾する流の音を聞きながら静かに酒を汲んだ。彼は少しずつではあるが絶えず物語つた。やがて真赤な夕陽が雨上りの雲の割れ目からこの谷間の景色を血の様に染めた。詩人は己を育てたこの土地の中に身を置いて今しきりに何事かを反芻するものの如くであつた。そしてそれを私に語ろうとした。然しながら彼の顔には何事か語り尽し得ぬ焦燥と失望の色が漂うのであつた。私は今もそれを思うのである。何事であるか。
 帰途彼は汽車で途中まで私を送つて来た。彼は未だ何か私を離したくない様子であつた。何事か重大な事柄が彼の心の中に残されている風であつた。途中天神様のある古風な町で下車してそこのうらさびれた街々をあてもなく逍遥つた。彼は遂に語らなかつた。私は夜遅い汽車で東に去つた。

(『中原中也の手紙』(書肆ユリイカ 1950) より)
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上掲2枚の写真は、2014年10月25日〜11月24日(月・祝)、洗心館2階で「中也と長門峡」展(主催:長門峡観光協会)が開催された時のパネルです。中也と長門峡に遊んだ思い出を書いた安原喜弘『中原中也の手紙』、長門峡に行きたいと書かれている中也の竹田鎌二郎宛書簡(昭和9(1934)年9月1日付)、「冬の長門峡」原稿などが展示されたそうです。

洗心橋
密柑の如き夕陽、欄干にこぼれたり。」とよんだ橋です。
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長門峡は紅葉の名所なので、モミジがデザインされています。
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橋から篠目川を臨みます。
大野岳の山容がきれいです。
左端には、洗心館が見えます。
IMG_1804.JPG11:30

古い橋の欄干が、長門峡の道の駅に飾られています。
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対と思われるものが洗心館の前にもありました。昭和28年9月建立。
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こちらは大正期のもの。
この橋を中也は渡ったのでしょう。
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洗心館
われは料亭にありぬ。」の料亭の跡です。
残念なことに2012年に営業をやめています。
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来て見れば日本無比の長門峡
聴秋

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洗心橋と洗心館は花乃本聴秋が名付けたそうです。
花乃本十一世聴秋は本名上田肇(一八五〇―一九三二)岐阜県大垣の人にて友人の技師三村順助氏の招きで大正六年から同十一年頃迄度たび来遊、かごに乗って探勝し俳句及び画の揮毫会を開いてその都度一切の収入を保勝会に寄付した。洗心館、洗心橋の命名者でもある。
  長門峡観光協会

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洗心館の前にこんなふうに並んでいます。
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ところで、最初の詩碑の写真ですが、何を表していると思いますか?
「盃に蜜柑がのっている。」
と分かった方はすごいです。
初めて見たとき、ミカンは分かりましたが、みかんがのっている台座が盃だとは気付きませんでした。
密柑の如き夕陽」からミカン、「酒酌みてありぬ」から盃なのでしょうか……exclamation&question
シュールexclamation×2な詩碑です。
2019年2月24日(日)県立山口図書館での講演会「福田百合子が中原中也を語る」で、中原中也記念館名誉館長の福田百合子先生も1988(昭和63)年3月20日の除幕式に列席し、初めてこの詩碑を見て驚かれたお話をされていました。
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【次回に続く】
中原中也とお酒 [2019年02月28日(Thu)]
以前、湯田温泉観光回遊拠点施設狐の足あと 2階多用途スペースで「山口市の地酒展・文学者編」が開催されていました。

カフヱーにて
狐の足あと 山口市の地酒展・文学者編.jpg

醉客の、さわがしさのなか、
ギタアルのレコード鳴つて、
今晩も、わたしはここで、
ちびちびと、飮み更かします

人々は、挨拶交はし、
杯の、やりとりをして、
秋寄する、この宵をしも
これはまあ、きらびやかなことです

わたくしは、しよんぼりとして、
自然よりよいものは、さらにもないと、
悟りすましてひえびえと

ギタアルきいて、身も世もあらぬ思ひして
酒啜ります、その酒に、秋風沁みて
それはもう結構なさびしさでございました



(酒は誰でも酔はす)
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酒は誰でも酔はす
だがどんなに傑れた詩も
字の読めない人は酔はさない
――だからといつて
酒が詩の上だなんて考へる奴あ
「生活第一芸術第二」なんて言つてろい

自然が美しいといふことは
自然がカンヴアスの上でも美しいといふことかい――
そりや経験を否定したら
インタレスチングな詩は出来まいがね
――だが
「それを以つてそれを現わすべからず」つて言葉を覚えとけえ

科学が個々ばかりを考へて
文学が関係ばかりを考へ過ぎる
文士よ
せち辛い世の中をみるが好いが
その中に這入
(はい)つちや不可(いけ)ない


夜空と酒場
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夜の空は、広大であつた。
その下に一軒の酒場があつた。


空では星が閃めいて[きら]めいてゐた。
酒場では女が、馬鹿笑ひしてゐた。


夜風は無情な、大浪のやうであつた。
酒場の明りは、外に洩れてゐた。


私は酒場に、這入[はい]つて行った。
おそらく私は、馬鹿面さげてゐた。


だんだん酒は、まはつていつた。
けれども私は、醉ひきれなかつた。


私は私の愚劣を思つた。
けれどもどうさへ、仕方はなかつた。


夜空は大きく、星もあつた。
夜風は無情な、波浪に似てゐた。



湖上
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ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、

沖に出たらば暗いでせう、
(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇
(ちか)しいものに聞こえませう、
――あなたの言葉の杜切
(とぎ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇
(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言
(すねごと)や、
洩らさず私は聴くでせう、
――けれど漕ぐ手はやめないで。


ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。



月夜の浜辺
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月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。


それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂たもとに入れた。


月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。


それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
   月に向つてそれは抛はふれず
   浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。


月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁しみ、心に沁みた。


月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?



「湖上」や「月夜の浜辺」がお酒をうたった訳ではないのですが、
4篇ほど酒にまつわる詩、2篇の随筆をあげます。


(酒)



原因が分りません
蜘蛛は五月雨(さみだれ)に逃げ場を失ひました

キセルを折れ
キセルを折れ
犬が骨を……
ヘン、何故(なぜ)です?



渓流

渓流(たにがは)で冷やされたビールは、
青春のやうに悲しかつた。
峰を仰いで僕は、
泣き入るやうに飲んだ。

ビシヨビシヨに濡れて、とれさうになつてゐるレッテルも、
青春のやうに悲しかつた。
しかしみんなは、「実にいい」とばかり云つた。
僕も実は、さう云つたのだが。

湿つた苔も泡立つ水も、
日蔭も岩も悲しかつた。
やがてみんなは飲む手をやめた。
ビールはまだ、渓流(たにがは)の中で冷やされてゐた。

水を透かして瓶の肌へをみてゐると、
僕はもう、此の上歩きたいなぞとは思はなかつた。
独り失敬して、宿に行つて、
女中(ねえさん)と話をした。



青木三造

序歌その一
こころまこともあらざりき
不実といふにもあらざりき
ゆらりゆらりとゆらゆれる
海のふかみの海草(うみくさ)
おぼれおぼれて、溺れたる
ことをもしらでゆらゆれて

ゆふべとなれば夕凪[ゆうなぎ]
かすかに青き空慕[した]
ゆらりゆらりとゆれてある
海の真底の小暗きに
しほざゐあはくとほにきき
おぼれおぼれてありといへ

前後(ぜんご)もあらぬたゆたひは
それや哀しいうみ草の
なさけのなきにつゆあらじ
やさしさあふれゆらゆれて
あをにみどりに変化(へんげ)すは
海の真底の人知らぬ
涙をのみてあるとしれ

その二
  冷たいコップを燃ゆる手に持ち
  夏のゆふべはビールを飲まう
  どうせ浮世はサイアウが馬
   チヤツチヤつぎませコップにビール

  明けても暮れても酒のことばかり
  これぢやどうにもならねやうなもんだが
  すまねとおもふ人様もあるが
   チヤツチヤつぎませコップにビール

  飲んだ、飲んだ飲んだ、とことんまで飲んだ
  飲んで泡吹けあ夜空も白い
  白い夜空とは、またなんと愉快ぢやないか
   チヤツチヤつぎませコップにビール



宿酔

朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケットボールする。

私は目をつむる、
  かなしい酔ひだ。
もう不用になつたストーヴが
  白つぽく銹(さ)びてゐる。

朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケットボールする。



散歩生活
「女房でも貰つて、はやくシヤツキリしろよ、シヤツキリ」と、従兄みたいな奴が従弟みたいな奴に、浅草のと或るカフエーで言つてゐた。そいつらは私の卓子(テーブル)のぢき傍で、生ビール一杯を三十分もかけて飲んでゐた。私は御酒を飲んでゐた。好い気持であつた。話相手が欲しくもある一方、ゐないこそよいのでもあつた。(略)


亡弟
(略)
九月八日の宵であつた。私はその夜の汽車で東京に向けて立つことにしてゐた。弟の寝てゐる蚊帳(かや)のそばにお膳を出して、私はそこで、グイグイと酒を飲んでゐた。『今度はうんと、勉強すらあ』なぞと、時々蚊帳の中の、よくは見えない弟に対して話しかけながら、私は少々無理にお酒を飲んでゐた。(略)
やがて母が俥が来たと知らせた声に、弟は目をパチリと開けた。『あんまり酒を飲まないやうにしてくれ。』といふなり弟は目をつむり、もう先刻さつきから眠つてゐるもののやうになつた。『ぢや大事に。』けれども弟はそのまゝであつた。目を開けさして、私はもう一度言葉を掛けようと思つた、『泰三、――泰三。』『およしおよし』と蚊帳のそばまで来てゐた母が云つた。私は諦めて蚊帳を出ると、飲み残しの酒を急いで飲んだ。(略)
友達を訪ねて、誘ひ出し、豪徳寺の或るカフヱーに行つて、ビールを飮んだ。その晩は急に大雨となり、風もひどく、飮んでる最中二度ばかりも停電した。客の少ない晩で、二階にゐるのは、私と友達と二人きりであつた。(略)
私は同宿人のゐないことが、つまり六畳と三畳二間きりのその二階が私一人のものであることが、どんなに嬉しかつたか知れはしない。存分に悲しむために、私は寝台にもぐつて、頭から毛布をヒツかぶつた。息がつまりさうであつた。が、それがなんであらう、私がビールを飲んでゐる時、弟は最期の苦しみを戦つてゐた!(略)



原田和明さんのオートマタ「或る中也」
中也が酒瓶を振り回しています。
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湯田温泉の「白狐伝説」のオートマタもあります。
キツネがつるはしを持つ作品は「キツネの入った池を掘ると湯が出た」という伝説に因んだものです。
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私達も作家さんなどが来られると、湯田温泉で冬はフグ刺しを肴に県内のお酒の利き酒を楽しみます。
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中原中也の春の詩 [2019年02月27日(Wed)]
以前、湯田温泉観光回遊拠点施設 狐の足あとの2F通路で「タペストリー展」があり、中原中也の春の詩とイメージシルエットのタペストリーが飾ってありましたぴかぴか(新しい)

(吹く風を心の友と)
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吹く風を心の友と
口笛に心まぎらはし
私がげんげ田を歩いてゐた十五の春は
煙のやうに、野羊のやうに、パルプのやうに、


とんで行つて、もう今頃は、
どこか遠い別の世界で花咲いてゐるであらうか
耳を澄ますと
げんげの色のやうにはぢらひながら遠くに聞こえる


あれは、十五の春の遠い音信なのだらうか
滲むやうに、日が暮れても空のどこかに
あの日の昼のまゝに
あの時が、あの時の物音が経過しつつあるやうに思はれる


それが何処か?――とにかく僕に其処へゆけたらなあ……
心一杯に懺悔して
[ゆる]されたといふ気持の中に、再び生きて、
僕は努力家にならうと思ふんだ――



春の夜
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燻銀(いぶしぎん)なる窓枠の中になごやかに
  一枝の花、桃色の花。


月光うけて失神し
  庭
(には)の土面(つちも)は附黒子(つけぼくろ)

あゝこともなしこともなし
  樹々よはにかみ立ちまはれ。


このすゞろなる物の音(ね)
  希望はあらず、さてはまた、懺悔もあらず。


山虔(つつま)しき木工のみ、
  夢の裡
(うち)なる隊商のその足竝もほのみゆれ。

窓の中(うち)にはさはやかの、おぼろかの
  砂の色せる絹衣
(ごろも)

かびろき胸のピアノ鳴り
  祖先はあらず、親も消
(け)ぬ。

埋みし犬の何処(いづく)にか、
  蕃紅花色
(さふらんいろ)に湧きいづる
      春の夜や。



春と恋人
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美しい扉の親しさに
私が室
(へや)で遊んでゐる時、
私にかまわず実つてた
新しい桃があつたのだ……


街の中から見える丘、
丘に建つてたオベリスク、
春には私に桂水くれた
丘に建つてたオベリスク……


(しじみ)や鰯(いわし)を商(あきな)ふ路次の
びしょ濡れの土が歌つている時、
かの女は何処
(どこ)かで笑つてゐたのだ

港の春の朝の空で
私がかの女の肩を揺つたら、
真鍮
(しんちゅう)の、盥(たらい)のようであつたのだ……

以来私は木綿の夜曲?
はでな処
(とこ)には行きたかない……


早春の風
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  けふ一日(ひとひ)また金の風
 大きい風には銀の鈴
けふ一日また金の風


  女王の冠さながらに
 卓
(たく)の前には腰を掛け
かびろき窓にむかひます


  外吹く風は金の風
 大きい風には銀の鈴
けふ一日また金の風


  枯草の音のかなしくて
 煙は空に身をすさび
日影たのしく身を嫋
(なよ)

  鳶色(とびいろ)の土かをるれば
 物干竿は空に往き
登る坂道なごめども


  青き女(をみな)の顎(あぎと)かと
 岡に梢のとげとげし
今日一日また金の風…… 




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春は土と草とに新しい汗をかゝせる。
その汗を乾かさうと、雲雀は空に隲
(あが)る。
瓦屋根今朝不平がない、
長い校舎から合唱は空にあがる。


あゝ、しづかだしづかだ。
めぐり来た、これが今年の私の春だ。
むかし私の胸摶
(う)つた希望は今日を、
(いか)めしい紺青(こあを)となつて空から私に降りかゝる。

そして私は呆気(ほうけ)てしまふ、バカになつてしまふ
――薮かげの、小川か銀か小波
(さざなみ)か?
薮かげの小川か銀か小波か?


大きい猫が頸ふりむけてぶきつちよに
一つの鈴をころばしてゐる、
一つの鈴を、ころばして見てゐる。



春と赤ン坊
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菜の花畑で眠つてゐるのは……
菜の花畑で吹かれてゐるのは……
赤ン坊ではないでせうか?

いいえ、空で鳴るのは、電線です電線です
ひねもす、空で鳴るのは、あれは電線です
菜の花畑に眠つてゐるのは、赤ン坊ですけど

走つてゆくのは、自転車々々々
向ふの道を、走つてゆくのは
薄桃色の、風を切つて……

薄桃色の、風を切つて
走つてゆくのは菜の花畑や空の白雲
(しろくも)
――赤ン坊を畑に置いて


春宵感懐
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雨が、あがつて、風が吹く。
 雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵
(よひ)
 なまあつたかい、風が吹く。


なんだか、深い、溜息が、
 なんだかはるかな、幻想が、
湧くけど、それは、掴
(つか)めない。
 誰にも、それは、語れない。


誰にも、それは、語れない
 ことだけれども、それこそが、
いのちだらうぢやないですか、
 けれども、それは、示
(あ)かせない……

かくて、人間、ひとりびとり、
 こころで感じて、顔見合せれば
につこり笑ふといふほどの
 ことして、一生、過ぎるんですねえ


雨が、あがつて、風が吹く。
 雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵。
 なまあつたかい、風が吹く。




その他中也が春をうたった詩は以下のようなものがあります。
タイトルに「春」がある、詩の中に「春」の字がある、詩の中に春を表わす語句がある、そんな詩を拾ってみました。

の日の夕暮」 
トタンがセンベイ食べて 
の日の夕暮は穏かです
 

はるかぜ」 
あゝ、家が建つ家が建つ。 
僕の家ではないけれど。 
  空は曇つてはなぐもり、 
  風のすこしく荒い日に。


の思ひ出」 
摘み溜めしれんげの華を 
  夕餉
(ゆふげ)に帰る時刻となれば 
立迷うの暮靄
(ぼあい)の 
    土の上
(へ)に叩きつけ

散歩」 
空は晴れてても、建物には蔭があるよ、 
、早は心なびかせ、
 

(とにもかくにも春である)」 
とにもかくにもである、帝都は省線電車の上から見ると、トタン屋根と桜花(さくらばな)とのチャンポンである。

の雨」 
昨日は喜び、今日は死に、
明日は戦い?…… 


の消息」 
生きてゐるのは喜びなのか 
生きてゐるのは悲みなのか


悲しき朝」 
河瀬の音が山に来る、 
の光は、石のやうだ。


幼なかりし日」 
在りし日よ、幼なかりし日よ! 
の日は、苜蓿
(うまごやし)踏み 
空を、追ひてゆきしにあらざるか?


の日の歌」 
(ながれ)よ、淡(あは)き 嬌羞(けうしう)よ、 
ながれて ゆくか 空の国?


雲 雀」 
ひねもす空で啼きますは 
あゝ 雲の子だ、雲雀
(ひばりめ)

閑寂」 
土は薔薇色(ばらいろ)、空には雲雀(ひばり) 
空はきれいな四月です。

思ひ出」 
ポカポカポカポカ暖かだつたよ 
岬の工場はの陽をうけ、
煉瓦工場は音とてもなく
裏の木立で鳥が啼
(な)いてた

わが半生
(そと)では今宵(こよい)、木の葉がそよぐ。
はるかな気持の、の宵だ。
そして私は、静かに死ぬる、
坐つたまんまで、死んでゆくのだ。


また来ん……」 
また来んと人は云ふ
しかし私は辛いのだ 
が来たつて何になろ 
あの子が返つて来るぢやない


正午
   丸ビル風景

空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……
なんのおのれがかな、桜かな桜かな


日狂想」 
愛するものが死んだ時には、 
自殺しなけあなりません。



中原中也記念館のテーマ展示「四季詩集――中也とめぐる春夏秋冬」(2019.2.20〜2020.2.11)では、「第1章 春」として、「春の日の夕暮」「春宵感懐」「(とにもかくにも春である)」「(吹く風を心の友として)」の4篇が取り上げられています揺れるハート
テーマ展示「四季詩集――中也とめぐる春夏秋冬」 @ 中原中也記念館 [2019年02月26日(Tue)]
中原中也記念館で、2019年2月20日(火)から第16回テーマ展示「四季詩集――中也とめぐる春夏秋冬」が始まっていますぴかぴか(新しい)

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中原中也は生涯に360篇ほどの詩を作りましたが、そのなかには季節に触れたものが数多くあります。そこで中也がうたったのは、四季それぞれが持つ風情と、それによってわきあがるさまざまな感情でした。生きることと詩作が強く結びついた中也にとって、その時々の季節の感触は、詩にうたう思いを生き生きと伝える上で重要な要素であったといえるでしょう。
本展では、季節にかかわる中也の作品を集め、あわせて書簡などからわかる季節ごとの中也の暮らしぶりを紹介します。詩集をめくるように四季の詩を楽しみながら、あなたの心に響く言葉を見つけてください。
中原中也記念館HPより)


るんるん会 期るんるん 2019年2月20日(火)〜2020年2月11日(水・祝)
       特別企画展示期間(8月1日〜9月23日)を除く
るんるん時 間るんるん 5月〜10月 9:00〜18:00(入館は17:30)
       11月〜4月 9:00〜17:00(入館は16:30)
るんるん休館日るんるん 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、毎月最終火曜日、
       年末年始、展示替えのための臨時休館日
るんるん場 所るんるん 中原中也記念館
       山口市湯田温泉1-11-21
       電話083-932-6430
るんるん入館料るんるん 一般320円(270円)、大学生・高等専門学校生210円(162円)
       70歳以上、18歳以下無料
       ( )は20名以上の団体料金
       2019年10月に料金改定予定

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「やまぐち朗読Cafe 〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 」に参加しました [2019年02月08日(Fri)]
2019年2月6日に行われた第10回「やまぐち朗読Cafe 〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 」に参加しましたぴかぴか(新しい)
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中原中也記念館の中原豊館長の司会で進行しました。
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第1部 オープニング朗読
Kさんが、コピーライターの中村直史さんの「旅する言葉」を朗読されました。
2012年のJFNヒューマンコンシャスラジオCMです。
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オープニング朗読にふさわしい言葉で、Kさんのチョイスはいつも素晴らしいと感心していまするんるん


第2部 蓄音器ジャズ
今日は、中原館長がネットオークションで手に入れられたキャピトルレコードの「The History Of Jazz Vol.2 - The Golden Era」より4曲です。
The History of Jazz Vol.2.jpg IMG_1338.JPG

このアルバムにはライナーノート(解説書)が付いていました。
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@Jack Teagarden's Chicagoans 演奏の「Stars Fell On Alabama(アラバマに星落ちて、星降るアラバマ)」
歌は、Jack Teagarden(ジャック・ティーガーデン)です。
1934年に作られたジャズのスタンダード曲で、100組以上のアーティストたちによって演奏されています。
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APaul Whiteman And His Orchestra演奏の「Wang Wang Blues」
チューバが低音部を担当しています。
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BJay McShann's Kansas City Stompers演奏でJulia Leeが歌う「Trouble In Mind」
Julia Leeはジャケットとライナーノートの絵の女性です。
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CRed Nichols And His Pennies演奏の「I'm In The Mood For Love」
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今日のレコードは、ノイズも少なくクリアな音質でした。
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第3部 自由参加の朗読
@麻生有里さんの自作詩「南口から」
麻生さんの自作詩の朗読を聴くのはこれで2回目ですが、やっぱりいいですねわーい(嬉しい顔)
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A中原中也「寒い!」

寒い!

毎日寒くてやりきれぬ。
瓦もしらけて物云はぬ。
小鳥も啼かないくせにして
犬なぞ啼きます風の中。


飛礫つぶてとびます往還[おうかん]は、
地面は乾いて艶[つや]もない。
自動車の、タイヤの色も寒々と
僕を追ひ越し走りゆく。


山もいたつて殺風景、
鈍色
にびいろの空にあつけらかん。
部屋に籠
[こも]れば僕なぞは
愚痴つぽくなるばかりです。


かう寒くてはやりきれぬ。
お行儀のよい人々が、
笑はうとなんとかまはない
わめいて春を呼びませう………


一九三五、二

1935年2月とあり、その時期、中也は山口に帰省していて、ランボー詩を訳していたそうです。
山口市で作られた詩と言われています。84年前のことです。

B原明子さんによる坂口安吾「机と布団と女」(『坂口安吾全集 06』(筑摩書房 1998.7)(初出:『マダム 創刊号』(マダム出版社 1948(昭和23)年2月1日発行)) 
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小説新潮の新年号に、林忠彦の撮影した私の二年ほど掃除をしたことのない書斎の写真が載ったから、行く先々で、あの部屋のことをきかれて、うるさい。しょっちゅうウチへ遊びにきていた人々も、あの部屋を知ってる人はないのだから、ほんとに在るんですか、見せて下さい、と云う。見世物じゃないよ。(以下略) 
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中原中也記念館では、2019年4月14日(日)まで企画展U「文士の肖像―林忠彦写真展」をやっています。
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Cウー・フェイさんとMさんのコラボによる『山羊之歌―中原中也詩選』(中原中也/著 吴 菲/訳 新星出版社 2018.6)より「サーカス」
ウー・フェイさんは中国から来日されて約20年になります。
中原中也の詩を中国語に翻訳し、昨年6月に中国で出版されました。
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まずMさんが『サーカス (声にだすことばえほん) 』(中原中也/詩 にしむらあつこ/絵 齋藤孝/編 2008.9)を朗読されました。
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そして、ウー・フェイさんが、中国語に訳した「サーカス」を朗読され、Mさんがそれに対応する絵本の頁をめくっていかれました。 
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次に、Mさんが中国語で朗読され、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」というオノマトペの部分を一緒に読まれました。
息のぴったりあった空中ブランコのようでした。

サーカス

幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処
(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁
(はり)
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒
(さかさ)に手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋
(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値
(やす)いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
  咽喉
(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


     屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) (くら)の闇(くら)
     夜は劫々(こふこふ)と更けまする
     落下傘奴
(らくかがさめ)のノスタルヂアと
     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


DOさんによる尹東柱(ユンドンジュ)『空と風と星と詩―尹東柱全詩集』(尹 東柱/著 尹 一柱/編集 伊吹郷/訳 影書房 第2版:1984.11)より「星を数える夜」
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EOさんによる中原中也「月夜の浜辺」
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月夜の浜辺

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。


それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂
たもとに入れた。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。


それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
   月に向つてそれは抛
はふれず
   浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。


月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁
み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?


FHさんによる中原中也「月夜の浜辺」パロディ

GKさんによる夏目漱石『吾輩は猫である』の冒頭部分
3分間朗読された後、最後に「続く」と言われました。
次回、続きを聴くのが楽しみでするんるん

HAさんによる『しっぽ しっぽ しっぽっぽ』(木曽秀夫/作・絵 フレーベル館 2011.3)
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紐を使ったおもしろい絵本でした。 
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ITさんによる夏目漱石『夢十夜』(新潮文庫『文鳥・夢十夜』)より「第三夜』
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寒い夜がますます寒くなりました雪

JMさんによる佐藤春夫「秋刀魚の歌」

秋刀魚の歌

あはれ
秋風よ
〔こころ〕あらば伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉
〔ゆふげ〕に ひとり
さんまを食
〔くら〕ひて
思ひにふける と。


さんま、さんま
そが上に青き蜜柑の酸
〔す〕をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。
そのならひをあやしみてなつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。
あはれ、人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、
愛うすき父を持ちし女の児
〔こ〕
小さき箸
〔はし〕をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸
〔はら〕をくれむと言ふにあらずや。

あはれ
秋風よ
〔なれ〕こそは見つらめ
世のつねならぬかの団欒
〔まどゐ〕を。
いかに
秋風よ
いとせめて
〔あかし〕せよ かの一ときの団欒ゆめに非〔あら〕ずと。

あはれ
秋風よ
情あらば伝へてよ、
夫を失はざりし妻と
父を失はざりし幼児
〔おさなご〕とに伝へてよ
――男ありて
今日の夕餉に ひとり
さんまを食ひて
涙をながす と。


さんま、さんま
さんま苦いか塩つぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あはれ
げにそは問はまほしくをかし。


とても有名な詩ですが、中原中也記念館企画展U「文士の肖像―林忠彦写真展」で観た
暗闇から出てきたキリンのような感じがしました。
(中央文庫『文士の時代』(林忠彦/著 中央公論社 2014.9)P.71)
佐藤春夫の顔が忘れられません。

K防府市立桑山中学校3年生の詩「待つ」
おばあちゃんとの生活の中から身を持って学んだ「待つ」ことの大切さを描いた詩です。

L谷川俊太郎「違う心はそのままで」
トヨタ財団広報誌「ジョイント」No.28「特集:NPO法施行20周年 市民社会は、今」(2018.10)に掲載されていたそうです。


次回の第11回「やまぐち朗読Cafe」は、2019年4月18日(木)20:00〜です揺れるハート
第10回「やまぐち朗読Cafe」〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 @ ジャズスポット ポルシェ [2019年02月06日(Wed)]
詩などの朗読と、蓄音器から流れるジャズを楽しむイベント 第10回「やまぐち朗読Cafe」が、今日 6日(水)20:00から、山口市の老舗ジャズ喫茶 ポルシェでありますぴかぴか(新しい)
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元々は中原中也記念館で開かれていた中原中也の時代の音楽をSP盤(78回転のレコード)で楽しむ「蓄音器と朗読の夕べ」をリニューアルしたイベントで、今回で10回目となります。

るんるん日 時るんるん 2019年2月6日(水)20:00〜
るんるん場 所るんるん ジャズスポット ポルシェ
        山口市葵1-1-28           
        電話083-924-4616
るんるん内 容るんるん @オープニング朗読
       ASPレコードで聴くジャズ
       B自由参加の朗読
        ※詩でも小説でもエッセイでもジャンル不問
         お気に入りの作品を朗読
         もちろん、聞くだけでもOK
るんるん参加費るんるん ノーチャージ/1ドリンク
       お好きなドリンクをご注文ください
るんるん主 催るんるん 中原豊さん(中原中也記念館長)


かわいい前回の第9回(2018年12月13日)の様子かわいい

@オープニング朗読はOさんによる「耳なし芳一」クリスマス

ASPレコードで聴くジャズは、クリスマス音楽特集でしたクリスマス
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B原明子さんによるポーランドのノーベル文学賞受賞詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカ『橋の上の人たち』( 工藤幸雄/訳 書肆山田 1997)の朗読や
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中原館長による中原中也の友人 高森文夫『浚渫船』より「雪の夜」の朗読を楽しみましたクリスマス
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わたしの四季詩集―詩のワークショップ @ 中原中也記念館開館25周年記念 [2019年01月14日(Mon)]
中原中也記念館は、2019年2月18日で開館25年を迎えます。
それを記念して「わたしの四季詩集―詩の創作ワークショップ」2月23日(土)に開催されますぴかぴか(新しい)

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詩人の渡辺玄英さんとともに、展示見学後、「季節」をテーマに詩の創作をおこなうというイベントです。

るんるん日 時るんるん 2019年2月23日(土)13:30〜16:30
るんるん会 場るんるん 中原中也記念館/山口情報芸術センター
るんるん講 師るんるん 渡辺玄英(詩人)
るんるん内 容るんるん 13:30 中原中也記念館(集合・見学) ー  バス移動 ー 
       14:20 山口情報芸術センター(詩創作ワークショップ) ー 
       16:30 バス移動 ー 中原中也記念館(解散)
るんるん対 象るんるん 高校生以上(要事前予約、先着順)
るんるん定 員るんるん 20名
るんるん参加費るんるん 要入館料 (一般 320円、学生 210円)
るんるん申 込るんるん 中原中也記念館 083-932-6430


かわいい渡辺玄英かわいい
1960年生まれ、福岡市出身。
1996年、詩誌「九」(北川透・山本哲也共同編集)に参加。
現代のサブカルチャーの「弱い、呟きのコトバ」を用いた詩集『海の上のコンビニ』(思潮社 2000.10)で注目される。
詩集『火曜日になったら戦争に行く』(思潮社 2005.11)は〈セカイ系詩〉として現代詩の外部でも話題になり、吉本隆明に「「無」の状態から意味論的に脱出しようという意図が感じられる」と評価される。
この他、詩集に『水道管のうえに犬は眠らない』(書肆山田 1991.10)、『液晶の人』(梓書院 1997.12)、『けるけるとケータイが鳴く』(思潮社 2008.10)、『破れた世界と啼くカナリア』(思潮社 2011.11)がある。
詩集評論集に『渡辺玄英詩集』 (現代詩文庫)(思潮社 2016.11)がある。
福田百合子が中原中也を語る 〜百合子先生を囲む中原中也の朗読+お話会〜 [2019年01月07日(Mon)]
中原中也記念館名誉館長の福田百合子先生が中原中也の詩の背景や解説、エピソードなどを話される「福田百合子が中原中也を語る〜百合子先生を囲む中原中也の朗読+お話会〜」が山口県立山口図書館で開催されますぴかぴか(新しい)

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るんるん日 時るんるん 2018年1月13日(日)、2月14日(日)14:00〜16:00 ※内容が異なります
るんるん場 所るんるん 山口県立山口図書館 2F 第1研修室
るんるん講 師るんるん 福田百合子(中原中也記念館名誉館長)
るんるん内 容るんるん 1月13日に取り上げる作品
  「サーカス」
  「帰郷」
  「悲しき朝」
  「夏の日の歌」
  「宿酔」
  「汚れっちまった悲しみに…」
  「生い立ちの歌」
  「早春の風」
  「六月の雨」
るんるん参加費るんるん 無料
  ※一部チラシに資料代500円となっていますが、「明日の文化人育成プロジェクト(やまぐち若手文化人等スキルアップ事業)」に採択されたため無料となりました。
るんるん定 員るんるん 40名(要申込)
  ※2日間参加できる方優先。
るんるん申込締切るんるん 2018年1月10日
  ※当初1月7日でしたが、延長されました。
るんるん申 込るんるん 葉書・メール・ファックスいずれかで、
  氏名・住所・電話番号(メールアドレス)を明記の上
  〒753-0815 山口市維新公園1-12-5 林伸一
  mail tohayashi@yamamaguchi-u.ac.jp
  fax to083-920-3459
るんるん問 合るんるん 090-6451-8203(林)
るんるん主 催るんるん 山口の朗読屋さん


かわいい当日、朗読されるテキストです
『中原中也 よごれっちまった悲しみに……』
(中原中也/詩 石井昭/影絵 福田百合子/監修 新日本教育図書 1998.8)
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【内 容】中原中也は三十歳という短い生涯に青春のうたともいうべき多くの素晴らしい詩を残した。その世界を美しい影絵で再現。
【収録詩】サーカス/帰郷/悲しき朝/夏の日の歌/宿酔/汚れっちまった悲しみに・・・/生い立ちの歌/早春の風/六月の雨/北の海/頑是ない歌/曇天/一つのメルヘン/幻影/村の時計/冬の長門峡/正午/童謡
12月、山口市はクリスマス市になる。…は今日で終わりです [2018年12月31日(Mon)]
クリスマス市も今日で終わりです。

今年もクリスマス市をクリスマスのイルミネーションが彩りましたが、
このツリーどこにあるかわかりますか?
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こちらからだとわかるのでは?
下の方にこのブログで何度かアップした石碑があります…。
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分からない人にはさらにヒント。
後ろの建物に「湯」「狐…」って文字があるのが分かりますか?
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そうでするんるん
中原中也記念館です。

前庭にある樹齢130年を超えるカイヅカイブキの木を、フィンランド国旗カラーである青と白のイルミネーションが彩っていますぴかぴか(新しい)
クリスマス・フィンランドプロジェクトだそうです。


建物の窓ガラスに写ったのもステキですよ。
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丁度ツリー先端部を飾る星のように中也の胸像があります。
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屋外展示もライトアップされています。
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るんるん点灯期間るんるん 2018年12月1日(土)〜31日(月)
るんるん点灯時間るんるん 日没〜22:00

ということなので、まだ、間に合いますよ。


このカイズカイブキにイルミネーションしてあります。
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「やまぐち朗読Cafe」〜朗読と蓄音器ジャズのクリスマスの夕べ〜を楽しみました [2018年12月18日(Tue)]
2018年12月13日(木)、ジャズスポット ポルシェ「やまぐち朗読Cafe」〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 を楽しみましたぴかぴか(新しい)
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中原中也記念館の中原豊館長の司会で進行しました。
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第1部 オープニング朗読

Oさんが「耳なし芳一」を朗読されました。B1C0FEB1-CA5B-4D01-97CA-86E414167AEC.jpeg

低く深みのある声で語られた怪談話で、寒い夜が、さらに寒くなりました雪
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第2部 蓄音器ジャズ

今日は、クリスマス音楽特集ですクリスマス

@ロイ・スメック「ジングルベル」(ビクター・レコード)クリスマス
レコードレーベルにクリスマスホーリーの絵が印刷されています。
ハワイアンバンドがスライド奏法で演奏しているので、一味違ったジングルベルでした。
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こちらのレコードは、袋はクリスマス仕様ですが、中身は全く関係のない曲だそうです。
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Aベニー・カーター(Benny Carter and His Orchestra)「ラブ・フォー・セール」(キャピトル・レコード)クリスマス
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Bドリス・デイ「イッツ・マジック」(コロンビア・レコード)クリスマス
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Cナット・キング・コール「ジャンピング・アップ・キャピトル」(キャピトル・レコード)クリスマス
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Dビング・クロスビー「ホワイト・クリスマス」(デッカ・レコード)クリスマス
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かわいいもう一度蓄音器でのレコードのかけ方のおさらいをしますかわいい
@レコードをターンテーブルにおく
Aハンドルを回す(@とAはどちらが先でもOK)
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Bサウンドボックスをレコードの上におろす
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C蓄音器の蓋を閉める
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今日は、演奏の後、巻いたゼンマイを開放するため、レコードをはずして、ターンテーブルを回していました。
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第3部 自由参加の朗読

@Nさんによる高等学校国語(国語総合)の教科書よりフランツ・カフカ『掟の門』
Nさんは基本的に国語の教科書を朗読されます。
毎回何をselectされるか楽しみです揺れるハート
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A『ピーター・パン』(ジェームス・マシュー・バリー『ピーター・パンとウェンディ』だと思うのですが確認できませんでした)
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B原さんによるポーランドのノーベル文学賞受賞詩人ヴィスワヴァ・シンボルスカ『橋の上の人たち』( 工藤幸雄/訳 書肆山田 1997)より
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C金子みすず「大漁」
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朝焼小焼だ
大漁だ。
大羽鰮
(おおばいわし)
大漁だ。


浜はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万の

(いわし)のとむらい
するだろう。


DTさんによる夏目漱石の随筆『硝子戸の中』(新潮文庫)より
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EHさんによる『もしも、ぼくがサンタクロースとともだちだったら…』(富安陽子/文 YUJI/絵 くもん出版 2009.10)
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FAさんによる『そらとぶ そりと ねこのタビー』(C・ロジャー・メイダー/作・絵 齋藤絵里子/訳 徳間書店 2016.10)
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GKさんによる日本の昔話より「ねこがねずみをおいかけるわけ」

HOさんによる紙芝居「若返り水」
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ISさんによる柴田トヨ『百歳』(飛鳥新社 2011.9)より「頁」「がまぐち」「百歳」
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JMさんによる長田弘『世界はうつくしいと』(みすず書房 2009.4)より「世界はうつくしいと」
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K自作詩「であい」

L中原館長による高森文夫『浚渫船』より「雪の夜」
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今夜の雪は、静かな綿のやうな雪…………
よもすがら雪は、張出し窓や屋根庇や、
鎧扉の一枚一枚にも、降り積るだらう、
今夜の雪は、静かな綿のやうな雪……………

このような晩、ウクライナ地方や、
コウカサスやモウスクヴァやペテルスブルグは、
さぞかし、大雪であらう……

シベリアの荒野に、降るような、
ともどめのない、雪のなかでは、
考へることも憶ひ出すこともなくなつてしまふだらう
酒場にも、部屋のなかにも、
煙草の煙は、一ぱいで、
ジプシィ女達は、踊り騒いでゐるだらう、

行って、過去や記憶を、
涯しない、雪の中に埋めたい、
わたしはたゞ、橇で走つてゐたい!
あのやうな、雪のなかでは、
考へることも憶ひ出すこともなくなつてしまふだらう
わたしはたゞ 橇で乗って走つてゐたい!

今夜の雪は、静かな綿のやうな雪…………
巷々や屋根屋根は、羽毛の外套に纏まつて、
人々は永い過去や記憶を、忘却してゐるだらう、
今夜の雪は、静かな綿のやうな雪……
今夜の雪は、静かな綿のやうな雪……



詩集『浚渫船』(由利耶書店)は1937年上梓され、中也の死後、1941年に第二回中原中也賞を受賞しました。

館長は、高森文夫の詩が山口で朗読されるのは初めてではないか、と言われていました。
私も中也と高森文夫の関係は知っていても、こうして詩を聴いたのは初めてです。

中也は「四季」1937(昭和12)年8月号に「詩集 浚渫船」と題して

 友人高森文夫の詩集、浚渫船が出た。
(略)
 今度出来て来た詩集をみると「浚渫船」とある。どういふつもりで付けたのかまだ訊ねてみないが、僕が勝手に想像する所では、無口でそつとしておいて貰ひたい男が、誰でもが多かれ少なかれ感じてはゐても余りに底深い、流れだとして殆んど全く触れないで過ぎる態の非情を、人目にも立たず浚渫してゐるといつた風の心得であらうと思ふ。
(略)
 僕は高森のことを想ふと、いつも一匹の美しい仔熊を聯想する。今日も彼は紺の背広を着て熊のやうにしづ/\と南国の夏の町を歩いてゐるのであらう。
(略)
 僕は彼の詩を茲に抜出して来てお目にかけたい。然し僕はどれを出すかに迷ふし、一つの詩の一部を抜出すといふやり方は高森の詩には適当でないし、結局沢山出さなければならないやうに思はれるから茲には割愛しなければならぬが、どうぞ此の落付いた稀特な詩集が、一冊でも沢山に売れるやう希望するものである。

と書いています。



次回の第10回「やまぐち朗読Cafe」は、2019年2月6日(水)20:00〜でするんるん
第9回「やまぐち朗読Cafe」〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 @ ジャズスポット ポルシェ [2018年12月13日(Thu)]
詩などの朗読と、蓄音器から流れるジャズを楽しむイベント「やまぐち朗読Cafe」が、今日13日20:00から、山口市の老舗ジャズ喫茶 ポルシェでありますぴかぴか(新しい)
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元々は中原中也記念館で開かれていた中原中也の時代の音楽をSP盤(78回転のレコード)で楽しむ「蓄音器と朗読の夕べ」をリニューアルしたイベントで、今回で9回目となります。
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るんるん日 時るんるん 2018年12月13日(木)20:00〜
るんるん場 所るんるん ジャズスポット ポルシェ
        山口市葵1-1-28           
        電話083-924-4616
るんるん内 容るんるん @オープニング朗読
       ASPレコードで聴くジャズ
       B自由参加の朗読
        ※詩でも小説でもエッセイでもジャンル不問
         お気に入りの作品を朗読
         もちろん、聞くだけでもOK
るんるん参加費るんるん ノーチャージ/1ドリンク
       お好きなドリンクをご注文ください
るんるん主 催るんるん 中原豊さん(中原中也記念館長)


かわいい前回第8回(2018年10月31日)の様子かわいい
朗読へのバックミュージックとして、アイリッシュ・ハープ演奏家のChifumi(上利千富美)さんによる即興ピアノ演奏が入りました。
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(写真は全て2018年10月31日撮影)
蓄音器で聴く中也ゆかりの音楽 @ 中也を読む会 [2018年12月12日(Wed)]
第175回中也を読む会のテーマは、「蓄音器で聴く中也ゆかりの音楽」ですぴかぴか(新しい)

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(▲中原中也記念館)

るんるん日 時るんるん 12月21日(金)13:30〜15:00(※今回は第3金曜日です)
るんるん場 所るんるん 山口情報芸術センター 2F 多目的室(※いつもと会場が異なります)
るんるんテーマるんるん 蓄音器で聴く中也ゆかりの音楽
るんるん参加費るんるん 無料
るんるん問 合るんるん 中原中也記念館
       電話083-932-6430
       fax to083-932-6431

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(10月31日ジャススポット ポルシェにて撮影)


かわいい中也を読む会かわいい
テーマに沿って中也の詩を読み込んだり、詩に曲をつけたものを聞いたり、記念館の展示を学芸員の解説とともに見学するなど、気軽におしゃべりしながら、中也の詩の世界を楽しく味わう会です。 詩にちょっと興味はあるけど、なんか難しそう…という方にお薦めです。
花の詩 @ 中原中也記念館 [2018年12月07日(Fri)]
中原中也記念館
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屋外展示 「花の詩」が展示替えになっていますぴかぴか(新しい)
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 盲目の秋

風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限の前に腕を振る。


その間かん)、小さな紅くれなゐの花が見えはするが、
  それもやがては潰れてしまふ。


風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限のまへに腕を振る。


もう永遠に帰らないことを思つて
  酷白
こくはくな嘆息するのも幾たびであらう……

私の青春はもはや堅い血管となり、
  その中を曼珠沙華
ひがんばなと夕陽とがゆきすぎる。

それはしづかで、きらびやかで、なみなみと湛たたへ、
  去りゆく女が最後にくれる笑ゑまひのやうに、

おごそかで、ゆたかで、それでゐて佗わびしく  
  異様で、温かで、きらめいて胸に残る……


      あゝ、胸に残る……

風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限のまへに腕を振る。



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 疲れやつれた美しい顔

疲れやつれた美しい顔よ、
私はおまへを愛す。
さうあるべきがよかつたかも知れない多くの元気な顔たちの中に、
私は容易におまへを見付ける。


それはもう、疲れしぼみ、
悔とさびしい微笑としか持つてはをらぬけれど、
それは此の世の親しみのかずかずが、
(もつ)れ合ひ、香となつて籠る壺なんだ。

そこに此の世の喜びの話や悲しみの話は、
彼のためには大きすぎる声で語られ、
彼の瞳はうるみ、
語り手は去つてゆく。


彼が残るのは、十分諦めてだ。
だが諦めとは思はないでだ。
その時だ、その壺が花を開く、
その花は、夜の部屋にみる、三色菫
(さんしきすみれ)だ。


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 (なんにも書かなかったら)

開いて、ゐるのは、
あれは、花かよ?
何の、花か、よ?
薔薇
(ばら)の、花ぢやろ。

しんなり、開いて、
こちらを、むいてる。
蜂だとて、ゐぬ、
小暗い、小庭に。


あゝ、さば、薔薇(さうび)よ、
物を、云つてよ、
物をし、云へば、
答へよう、もの。


答へたらさて、
もつと、開
(き)かうか?
答へても、なほ、
ジツト、そのまゝ?



第174回中原中也を読む会は、「屋外展示 花の詩(後期)―「盲目の秋」「疲れやつれた美しい顔」」というテーマで11月23日(金)に中原中也記念館で開催されました。
 

今、中原中也記念館の展示は、
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中也館の前の狐のあしあとには、こんな展示がありました揺れるハート

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 含羞(はぢらひ)
  ――在りし日の歌――

なにゆゑに こゝろかくは羞ぢらふ
秋 風白き日の山かげなりき
椎の枯葉の落窪に
幹々は いやにおとなび彳
(た)ちゐたり

枝々の 拱(く)みあはすあたりかなしげの
空は死児等の亡霊にみち まばたきぬ
をりしもかなた野のうへは
あすとらかん
(、、、、、、)のあはひ縫ふ 古代の象の夢なりき

椎の枯葉の落窪に
幹々は いやにおとなび彳
(た)ちゐたり
その日 その幹の隙
(ひま) 睦みし瞳
姉らしき色 きみはありにし


その日 その幹の隙(ひま) 睦みし瞳
姉らしき色 きみはありにし
あゝ! 過ぎし日の 仄
(ほの)燃えあざやぐをりをりは
わが心 なにゆゑに なにゆゑにかくは羞ぢらふ・・・・・・



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二十六。
中原中也トリビアです。
さて、この数字は何を表しているのでしょうか?

答え
山口を離れてからの引っ越しの回数。
二年間暮らした京都時代に七回。
その後、東京に移って昭和十二年に亡くなるまで、
最初に住んだ新宿を皮切りに
中野、杉並、渋谷など十七回も
引越を繰り返し、
最後は小林秀雄など友人のいた鎌倉へ。
その数、
十四年間で二十六回!
すごい引っ越し魔だったんだ……。



(写真は2018年10月21日に撮影)
ハロウィンに「やまぐち朗読Cafe〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜」を楽しみました @ ジャズスポット ポルシェ [2018年11月16日(Fri)]
10月31日、今年のハロウィンの夜はジャズスポット ポルシェで行われた「第8回やまぐち朗読Cafe〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜」を楽しみましたぴかぴか(新しい)
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中原中也記念館の中原豊館長の司会で進行しました。
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第1部 オープニング朗読

街の朗読屋さんのメンバーのFさんが
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10月29日付朝日新聞に掲載された宝島社企業広告 樹木希林の「あとは、じぶんで考えてよ。」を朗読されました。
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第2部 蓄音器ジャズ

今日は、コロンビアレコードのアルバム「The History of Jazz」(12枚24曲)より5曲です。
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蓄音器は、レコードをターンテーブルに置いて
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ハンドルを回して
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サウンドボックスを動かして
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……そんな音を出すまでの儀式がいいですかわいい
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今日も、1曲、途中で止まってしまいました。
中原館長によると、この蓄音器は、ハンドルをどこまで回せばいいのか、分かりにくいのだそうです。

@「High Society Rag」
King Oliver’s Creole Jazz Band
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A「Young Woman’s Blues」
Bessie Smith
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B「What’s your Story, Morning Glory?」
Jimmie Luncefourd楽団

C「One O’clock Jump」
Count Basie楽団
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D「Apple Honey」
Woody Hermon


休憩時間に蓄音機の中を見せていただきました。
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第3部 自由参加の朗読
今日は、アイリッシュ・ハープ演奏家のChifumi(上利千富美)さんによる朗読への即興ピアノ伴奏が入ります。
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@トップバッターのNさんは、兼好と頓阿の「沓冠の歌」の贈答かわいい

もすず
ざめのかり
まくら
そでもあき
だてなきか
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るもう
たくわがせ
てはこ
ほざりにだ
ばしとひま
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A『せかいいちのいちご』(林木林/作 庄野ナホコ/絵 小さい書房 2018.6)かわいい
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BKさんによる10月29日付読売新聞に掲載された宝島社企業広告 樹木希林の「サヨナラ、地球さん。」かわいい

C『あたらしいあたりまえ。』(松浦弥太郎/著 PHP研究所 2010.1)より「ブレーキ」かわいい
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DNさんによる『カウセリングとともに生きるー存在への勇気』(国分久子/監修 国分康孝/文 図書文化社 2018.6)よりかわいい

EHさんも、『カウセリングとともに生きるー存在への勇気』より「教育実習」かわいい
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F『イソップ物語』より「馬とロバ」かわいい

GAさんによる『最後だとわかっていたなら』(ノーマ・コーネット・マレック/著 佐川睦/翻訳 サンクチュアリ出版 2007.6)かわいい

HSさんによる『くじけないで』(柴田トヨ/詩 飛鳥新社 2010.3)より「かぜとひさしとわたし」「コオロギ」
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IOさんによる中原中也「臨終」「秋の愁嘆」かわいい

 臨終
 
秋空は鈍色(にびいろ)にして
黒馬の瞳のひかり
  水涸(か)れて落つる百合花
  あゝ こころうつろなるかな

神もなくしるべもなくて
窓近く婦(をみな)の逝きぬ
  白き空盲(めし)ひてありて
  白き風冷たくありぬ

窓際に髪を洗えば
その腕の優しくありぬ

  朝の日は澪(こぼ)れてありぬ
  水の音(おと)したたりてゐぬ

町々はさやぎてありぬ
子等の声もつれてありぬ
  しかはあれ この魂はいかにとなるか?
  うすらぎて 空となるか?



 秋の愁嘆

あゝ、 秋が来た
眼に琺瑯(はふらう)の涙沁む。
あゝ、 秋が来た
胸に舞踏の終らぬうちに
もうまた秋が、おぢやつたおぢやつた。
野辺を 野辺を 畑を 町を
人達を蹂躪
(じゆうりん)に秋がおぢやつた。

その着る着物は寒冷紗(かんれいしや)
両手の先には 軽く冷い銀の玉
薄い横皺
(よこじわ)平らなお顔で
笑へば籾殻
(もみがら)かしやかしやと、
へちまのやうにかすかすの
悪魔の伯父さん、おぢやつたおぢやつた。
        (一九二五・一〇・七)


JTさんによる夏目漱石『夢十夜』(新潮文庫『文鳥・夢十夜』)より「第六夜」

K最後に、中原中也「盲目の秋」をChifumiさん作曲のピアノ演奏と中原館長の朗読で楽しみましたかわいい
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 盲目の秋

風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限の前に腕を振る。


その間かん)、小さな紅くれなゐの花が見えはするが、
  それもやがては潰れてしまふ。


風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限のまへに腕を振る。


もう永遠に帰らないことを思つて
  酷白
こくはくな嘆息するのも幾たびであらう……

私の青春はもはや堅い血管となり、
  その中を曼珠沙華
ひがんばなと夕陽とがゆきすぎる。

それはしづかで、きらびやかで、なみなみと湛たたへ、
  去りゆく女が最後にくれる笑ゑまひのやうに、

おごそかで、ゆたかで、それでゐて佗わびしく  
  異様で、温かで、きらめいて胸に残る……


      あゝ、胸に残る……

風が立ち、浪が騒ぎ、
  無限のまへに腕を振る。


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次回第9回「やまぐち朗読Cafe」は2018年12月13日(木)20:00〜です。
第8回「やまぐち朗読Cafe」〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 @ ジャズスポット ポルシェ [2018年10月31日(Wed)]
詩などの朗読と、蓄音器から流れるジャズを楽しむイベント「やまぐち朗読Cafe」が、今日31日20:00から、山口市の老舗ジャズ喫茶「ポルシェ」でありますぴかぴか(新しい)
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今回で8回目になります。
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元々は中原中也記念館で開かれていた中原中也の時代の音楽をSP盤(78回転のレコード)で楽しむ「蓄音器と朗読の夕べ」をリニューアルしたイベントです揺れるハート
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るんるん日 時るんるん 2018年10月31日(水)20:00〜
るんるん場 所るんるん ジャズスポット ポルシェ
        山口市葵1-1-28           
        電話083-924-4616
るんるん内 容るんるん @オープニング朗読
       ASPレコードで聴くジャズ
       B自由参加の朗読
        ※詩でも小説でもエッセイでもジャンル不問
         お気に入りの作品を朗読
         もちろん、聞くだけでもOK
るんるん参加費るんるん ノーチャージ/1ドリンク
       お好きなドリンクをご注文ください
るんるん主 催るんるん 中原豊さん(中原中也記念館長)


かわいい前回第7回(2018年8月30日)の様子かわいい
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