中原中也『夜汽車の食堂』をめぐる検討会 @ 山口の朗読屋さん
[2024年01月23日(Tue)]
1月30日(火)、大殿地域交流センターで、山口の朗読屋さんの主催による「中原中也『夜汽車の食堂』をめぐる検討会」が開催されます
日時 2024年1月30日(火)14:00〜16:00
場所 大殿地域交流センター 2F 講座室
特別講師 福田百合子先生(中原中也記念館 名誉館長)
内容
紙芝居『夜汽車の食堂』の実演
中原中也の童話『夜汽車の食堂』の鑑賞
中原中也の他作品との関連性を考える
〜詩「冬の夜汽車で」「湖上」「一つのメルヘン」「旅」「汽車が聞こえる」など〜
金子みすゞの作品との関連性を考える
〜「月」「星」などのキーワードを中心に〜
宮澤賢治の作品からの影響を考える
〜童話「銀河鐵道の夜」「氷河鼠の毛皮」「月夜のでんしんばしら」、詩「青森挽歌」など〜
参加費 500円(予約不要)
問合・主催 山口の朗読屋さん(代表 林伸一)
090-6415-8203
hayashix@yamaguchi-u.ac.jp
〒753-0815 山口市維新公園1-12-5
▼メルヘンかみしばい『夜汽車の食堂』
(中原中也/文 さとうみちこ/絵 山口の朗読屋さん/企画製作)
山口の朗読屋さんが、中原中也の「夜汽車の食堂」を紙芝居にされたというので、
前々から気になっていた中也の童話「夜汽車の食堂」について、思っていたことや調べたことをまとめてブログ記事としました。
https://blog.canpan.info/jointnet21/archive/2297
今回それを山口の朗読屋さんで取り上げ「中原中也『夜汽車の食堂』をめぐる検討会」を開催してくださいます。
またブログでは、原型と思われる中也の詩の提示と賢治作品との類似性や関連性を述べただけで、内容について言及していません。
「検討会」では、中原中也記念館の名誉館長の福田百合子先生をお迎えして、「夜汽車の食堂」の内容についてより深い理解や洞察を得るために、各自の考察や感想を述べ合う意見交換の場を設けてくださるそうで、それが、とっても楽しみです。
また、ブログでは取り上げていない中也のこんな詩との関連も検討されるとのことです。
湖上
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
――あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。
月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。
あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
洩らさず私は聴くでせう、
――けれど漕ぐ手はやめないで。
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。
一つのメルヘン
秋の夜は、はるかの彼方(かなた)に、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といつても、まるで硅石(けいせき)か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……
旅
夕刊売
来てみれば此処も人の世
散水車があるから
汽車の煙が麦食べた
実用を忘れて
歯ブラッシを買つてみた
青い紙ばかり欲しくて
それなのに唯物史観だつた
砂袋
スソがマクレます
パラソルを倒に持つものがありますか
浮袋が湿りました
(汽車が聞える)
汽車が聞える
蓮華の上を渡つてだらうか
内的な刺戟で筆を取るダダイストは
勿論サンチマンタルですよ。
※写真は、1月21日(日)ギャラリーカフェ つるかめでの「紙芝居御披露目会 中原中也『夜汽車の食堂』」(主催:山口の朗読屋さん & ギャラリー楓花)で撮ったものです。
日時 2024年1月30日(火)14:00〜16:00
場所 大殿地域交流センター 2F 講座室
特別講師 福田百合子先生(中原中也記念館 名誉館長)
内容
紙芝居『夜汽車の食堂』の実演
中原中也の童話『夜汽車の食堂』の鑑賞
中原中也の他作品との関連性を考える
〜詩「冬の夜汽車で」「湖上」「一つのメルヘン」「旅」「汽車が聞こえる」など〜
金子みすゞの作品との関連性を考える
〜「月」「星」などのキーワードを中心に〜
宮澤賢治の作品からの影響を考える
〜童話「銀河鐵道の夜」「氷河鼠の毛皮」「月夜のでんしんばしら」、詩「青森挽歌」など〜
参加費 500円(予約不要)
問合・主催 山口の朗読屋さん(代表 林伸一)
090-6415-8203
hayashix@yamaguchi-u.ac.jp
〒753-0815 山口市維新公園1-12-5
▼メルヘンかみしばい『夜汽車の食堂』
(中原中也/文 さとうみちこ/絵 山口の朗読屋さん/企画製作)
山口の朗読屋さんが、中原中也の「夜汽車の食堂」を紙芝居にされたというので、
前々から気になっていた中也の童話「夜汽車の食堂」について、思っていたことや調べたことをまとめてブログ記事としました。
https://blog.canpan.info/jointnet21/archive/2297
今回それを山口の朗読屋さんで取り上げ「中原中也『夜汽車の食堂』をめぐる検討会」を開催してくださいます。
またブログでは、原型と思われる中也の詩の提示と賢治作品との類似性や関連性を述べただけで、内容について言及していません。
「検討会」では、中原中也記念館の名誉館長の福田百合子先生をお迎えして、「夜汽車の食堂」の内容についてより深い理解や洞察を得るために、各自の考察や感想を述べ合う意見交換の場を設けてくださるそうで、それが、とっても楽しみです。
また、ブログでは取り上げていない中也のこんな詩との関連も検討されるとのことです。
湖上
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
――あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。
月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。
あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
洩らさず私は聴くでせう、
――けれど漕ぐ手はやめないで。
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。
一つのメルヘン
秋の夜は、はるかの彼方(かなた)に、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といつても、まるで硅石(けいせき)か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……
旅
夕刊売
来てみれば此処も人の世
散水車があるから
汽車の煙が麦食べた
実用を忘れて
歯ブラッシを買つてみた
青い紙ばかり欲しくて
それなのに唯物史観だつた
砂袋
スソがマクレます
パラソルを倒に持つものがありますか
浮袋が湿りました
(汽車が聞える)
汽車が聞える
蓮華の上を渡つてだらうか
内的な刺戟で筆を取るダダイストは
勿論サンチマンタルですよ。
※写真は、1月21日(日)ギャラリーカフェ つるかめでの「紙芝居御披露目会 中原中也『夜汽車の食堂』」(主催:山口の朗読屋さん & ギャラリー楓花)で撮ったものです。