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こどもと本ジョイントネット21・山口


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中原中也自筆原稿「含羞」「春の日の歌」 @ 中原中也記念館 特別展示 [2019年10月22日(Tue)]
10月16日(火)から27日(日)まで、中原中也記念館「含羞」「春の日の歌」の自筆原稿が展示されていますぴかぴか(新しい)
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中也の第二詩集『在りし日の歌』に収録された「含羞」「春の日の歌」「冬の日の記憶」「この小児」の直筆原稿を今年6月に所有者の岩田英子さんより寄託されたことを記念しての特別展示です。

「冬の日の記憶」「この小児」は2020年2月14日〜24日に特別展示されるそうです。


「含羞」の原稿は、中也が吹き出しや線を入れて、文字を挿入したり、書き直したりして、推敲を重ねてきた様子がわかります。
今では「古代の象の夢なりき」になっている「失せし獣の夢なりき」のところは鉛筆書きになっています。
編集者によって、「見開二頁」「七字下がりに組むこと」の指示が赤字で、「カット」「五字アキ」と黒字で書き込まれています。
活字の大きさを示す号数も、タイトルは「2」、名前は「4」、本文は「5号」と入っています。号数は現在ほとんど使われていませんが、これは、活字のポイント数の21pt、14pt、10.5ptにほぼ相当します。

「含羞」
 制作 1935(昭和10)年11月制作(推定)
 初出 雑誌『文学界』1936年1月号
活字のポイントやカットの指示がかきこまれた印刷用原稿。
中也の1935年11月13日の日記(『日記(雑記帳)』)に〈「文学界」と「紀元」に原稿を発送〉とありこの原稿がそれにあたると考えられる。
「文学界」に発表された本文では第二連四行目の〈失せし獣〉が〈古代の象〉に改変されているが、校正段階での推敲によると思われる。『在りし日の歌』では冒頭におかれ、詩集と同じ副題が付されている。
(館内表示)
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「春の日の歌」は、今回、その原稿が初めて公開されました。
同じく編集者によって、活字の大きさを示す数字なども書き込まれ、作品が実際に掲載されるまでの過程をうかがうことができます。

「春の日の歌」
 制作 1936(昭和11)年3月下旬制作(推定)
 初出 雑誌『文学界』1936年5月号
「文学界」掲載時の印刷原稿。
字間を分ける分かち書きの表記は詩人 岩野泡鳴の影響によるもと考えられる。
(館内表示)
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中原豊館長は「中也の筆跡や筆の勢いに、詩の息づかいが表れていて直筆の詩を読むと、また違った感覚で捉えられます」と話されていました。
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  含羞(はぢらひ)

なにゆゑに こゝろかくは羞ぢらふ
秋 風白き日の山かげなりき
椎の枯葉の落窪に
幹々は いやにおとなび彳ちゐたり

枝々の 拱(く)みあはすあたりかなしげの
空は死児等の亡霊にみち まばたきぬ
をりしもかなた野のうへは
あすとらかんのあはひ縫ふ 失せしの獣の夢なりき

椎の枯葉の落窪に
幹々は いやにおとなび彳ちゐたり
その日 その幹の隙(ひま) 睦みし瞳
姉らしき色 きみはありにし

その日 その幹の隙(ひま) 睦みし瞳
姉らしき色 きみはありにし
あゝ! 過ぎし日の 仄燃えあざやぐをりをりは
わが心 なにゆえに なにゆえにかくは羞ぢらふ……



春の日の歌

流(ながれ)よ、淡(あは)き 嬌羞よ、
ながれて ゆくか 空の国?
心も とほく 散らかりて、
エヂプト煙草 たちまよふ。

流(ながれ)よ、冷たき 憂ひ秘め、
ながれて ゆくか 麓までも?
まだみぬ 顔の 不可思議の
咽喉(のんど)の みえる あたりまで……

午睡(ごすゐ)の 夢の ふくよかに、
野原の 空の 空のうへ?
うわあ うわあと 涕くなるか

黄色い 納屋や、白の倉、
水車の みえる 彼方(かなた)まで、
ながれ ながれて ゆくなるか?



※詩は展示してある原稿をそのまま書き写しました。


今日22日は、中也の命日です。
中原中也記念館は無料開放されています。

特別展示の自筆原稿でぜひ中也の詩の息づかいを感じてください。

(写真はNHK「情報維新やまぐち」10月16日放映分)


10月26日付朝日新聞に掲載されました。
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