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こどもと本ジョイントネット21・山口


〜すべての子どもに本との出会いを〜

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ムットーニからくり文学館A萩原朔太郎「題のない歌」より「題のない歌」 [2019年10月02日(Wed)]
【前回の続き】

青い垂れ幕の先に進みます。

➋からくり文学館

ここには、4つのそれぞれ趣向が違った作品が展示してあります。


最初は、萩原朔太郎『青猫』に所収された「題のない歌」


  題のない歌

南洋の日にやけた裸か女のやうに
夏草の茂つてゐる波止場の向うへ ふしぎな赤錆びた汽船がはひつてきた
ふはふはとした雲が白くたちのぼつて
船員のすふ煙草のけむりがさびしがつてる。
わたしは鶉のやうに羽ばたきながら
さうして丈 (たけ)の高い野茨の上を飛びまはつた
ああ 雲よ 船よ どこに彼女は航海の碇をすてたか
ふしぎな情熱になやみながら
わたしは沈默の墓地をたづねあるいた
それはこの草叢(くさむら)の風に吹かれてゐる
しづかに 錆びついた 戀愛鳥の木乃伊(みいら)であつた。



をモチーフにした「題のない歌」(2016年 世田谷文学館蔵)ぴかぴか(新しい)
詩と同名のタイトルです。
詩の中の言葉「夏草の茂つてゐる波止場」「赤錆びた汽船」「沈黙の墓場」「戀愛鳥の木乃伊」をキーワードに、ボックス・シアター(箱型劇場)で繰りひろげられる情景は、朔太郎のイメージそのままの哀愁を帯びたダンディズムが立体的に視覚化されていて、ノスタルジックな独特な世界が大胆に展開します。

場末の酒場で飲んだ一杯のウヰスキーが呼び起こす様々なビジョン。
「夏草の生い茂った波止場」
「赤錆びた汽船」
「沈黙の墓場」
忘れていた物語を紡ぐために、男はまたウヰスキーを口に運ぶ。
遠くで汽笛が鳴っている。
(入館者配布パンフレットより)

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「場末の酒場で、男が独り、ウイスキーのグラスを傾けている。」→「酒場の扉が開き、一人の女が入ってくる。」→「酒場の床は夏草の生い茂る地面となる。」→「波止場に転換する。」→「街灯に明かりが点り、汽笛が鳴って、赤錆びた汽船の巨大な影が近づいてくる。」→「沈黙の墓地。」→「女の肩から白い翼が生える。」→「戀愛鳥のミイラ。」→「汽船は遠ざかる。」→「女の姿も消える。」→「夏草の生えた地面は酒場の床となる。」→「男はまた独り、グラスを傾ける。」→「汽笛だけが遠くで鳴っている。」

言葉で書けばこんなところでしょうか。でも、これでは、きっと伝わりません。

数ミリ単位で動くその緻密さ・精巧さには息をのみます。
とにかく実物を見て、その空間を体感していただきたいものです。
動いていないときでも、場末の酒場の細部のつくりは、一見の価値ありです。
ドールハウス好きの人にもお薦めです。

【次回に続く】
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