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こどもと本ジョイントネット21・山口


〜すべての子どもに本との出会いを〜

子どもと本をむすぶ活動をしています


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銀龍草(ギンリョウソウ) × 西の魔女が死んだ [2019年05月14日(Tue)]
ウラシマソウを探しての山歩の途中、ギンリョウソウを見つけましたぴかぴか(新しい)
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葉が鱗状に変化した鱗片葉(りんぺんよう)に包まれている茎の先に、首をもたげたように下向きに咲く花の姿を銀色の竜に見立てて付けられました。
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すご〜いわーい(嬉しい顔) と喜んでいたら、少し離れたところに群生していました揺れるハート
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別名ユウレイタケといいます。
薄暗い林の中に、細く白く咲く姿が、幽霊のようにほのかに浮かび上がって見えることからこの名が付きました。
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ガラス細工のような繊細な美しさで、透き通っていることから水晶蘭という美しい別名もあります。
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葉緑素を持たない腐生植物(腐葉土の上に生えて、その養分を分解する菌と共生して成長する植物)です。
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ギンリョウソウというと梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』(楡出版 1994.4)(小学館 1996.3)(新潮文庫 2001.8)(愛蔵版『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』 新潮社 2017.4)を思い出します。
西の魔女が死んだ楡出版wKxysJ0cL.jpg 西の魔女が死んだ.jpg 西の魔女が死んだ 文庫本.jpg 西の魔女が死んだ愛蔵版.jpg

 穴の脇は更に深い洞のようになっていて、その一面に美しい銀色の花が咲いていたのだ。暗い林の奥の、そのまた暗い、ほとんど陽も届かないはずの場所に。その植物は二十センチくらいの、葉を持たない銀白色の鱗をつけた茎の先に、やはり銀細工のような小さな蘭に似た花をつけていた。それが何十本となく、まるで茸かつくしのように地面から生えているのを見るのは不思議な光景だった。
 まいはそこでしばらく我を忘れていたが、やがてかさこそと木々の合間を縫って雨の落ちる音を聞き、立ち上がった。膝が痛かった。その不思議な美しい花を一本採り、穴から出た。

(略)
「わたし、見たことのない花、見つけた。新種かもしれない」
(略)
「これは銀龍草です。(略)
(略)銀龍草は一輪差しに生けられて、おじいちゃんの写真の前に飾ってあった。(略)
「これはおじいちゃんの大好きな花でした。
おじいちゃんはこの花を鉱物の花と呼んでいました。(略)

(略)
 (略)雨がたっぷり降って、地が水を吸い込むとき、毎年甦るのです。この花は太陽は必要でないのです」
(略)
 まいは銀龍草を見つめた。――鉱物の精。光の届かない地の世界の美。(略)


「これを、飾ってあげてくれんか」
 銀龍草だった。
 まいは思わず、あっと声を上げた。そして、両手で受け取った。

(略)
 まいの手の中にあったのはあの銀龍草だった、銀細工のような不思議な花。二年ぶりで見るその花は、こんなときでさえ、まいの目をくぎづけにする。
 まいはおばあちゃんがしていたように一輪差しに銀龍草を生け、おじいちゃんの写真の前に飾った。

(以上、『西の魔女が死んだ』より銀龍草の部分を一部抜粋)



中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。新潮社HPより)


愛蔵版『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』には、まいの祖母のモノローグ「かまどに小枝を」という書下ろしが添えられています。

 虹の根元の一つは、ギンリョウソウのよく生えるところから出ているようだった。
 あの子の心の、奥深く窪んだところに、硬質な何かがひっそりと息づいている。それは、清らかでうつくしい。あの子の祖父も持っていたものだ。何者にも属さない、孤高のもので、同時に、ギンリョウソウのように、生きている存在の、あらゆるものを腐食させ、溶かし込む大地から析出されてくるものだ。生き難さのしるしのような何か。どうかそれが潰れてしまいませんように。行く先々で、小さな奇跡が虹のように起きて、あの子の道を開いてくれますように。



かわいい梨木香歩(ナシキ・カホ)かわいい
1959(昭和34)年生れ。小説に『西の魔女が死んだ』『丹生都比売(におつひめ)』『エンジェル エンジェル エンジェル』『裏庭』『からくりからくさ』『りかさん』『家守綺譚』『村田エフェンディ滞土録』『沼地のある森を抜けて』『ピスタチオ』『僕は、そして僕たちはどう生きるか』『雪と珊瑚と』『冬虫夏草』『海うそ』『岸辺のヤービ』など、またエッセイに『春になったら莓を摘みに』『ぐるりのこと』『渡りの足跡』『不思議な羅針盤』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』などがある。

【2019年4月23日撮影】
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