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こどもと本ジョイントネット21・山口


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鬼の橋 [2018年04月03日(Tue)]
鬼の橋.jpg

伊藤遊さんのデビュー作の
『鬼の橋』(福音館書店 単行本1998.10 文庫版 2012.9)
を読んでみましたぴかぴか(新しい)
絵は太田大八さん揺れるハート

この世と地獄を往き来したと伝えられる平安初期の文人、小野篁の少年時代を主人公に、思春期の少年の揺れ動く心情が、勢いある筆づかいで力強く、さわやかに描かれます。「元服」という人生における大きな節目を苦しみながらもこえてゆく篁の姿は、現代に生きる子どもたちにも通じ、多くの読者の共感をよぶでしょう。作者が生まれ育った京都の四季や情景も、作品のなかに巧みに織り込まれ、物語にふくらみと陰影を与えています。
福音館書店HPより)

平安時代の京の都。妹を亡くし失意の日々を送る少年篁は、ある日妹が落ちた古井戸から冥界の入り口へと迷い込む。そこではすでに死んだはずの征夷大将軍坂上田村麻呂が、いまだあの世への橋を渡れないまま、鬼から都を護っていた。歴史上の人物、小野篁の少年時代を描いた第三回児童文学ファンタジー大賞受賞作、待望の文庫化。
福音館書店文庫版HPより)

『鬼の橋』は、第3回児童文学ファンタジー大賞を受賞し、出版されることになりました。
児童文学ファンタジー大賞は第1回が梨木香歩さん『裏庭』(理論社 1996.11)、第3回が『鬼の橋』が受賞したのみで、第23回(2017年)まで大賞が出て行ません。

第3回児童文学ファンタジー大賞選考委員長の河合隼雄さんの選評がこちら。

 「鬼の橋」は京都の小野篁の伝説を踏まえた創作である。(略)
 「鬼の橋」の主人公は小野篁の少年時代、十二歳のときから話が始まり、彼が「元服」という人生における重要な節目を、しっかりとこえようとするまでに、その内面においていかに凄まじいドラマが生じるかをよく描いている。それは、現代の少年たちにとっても、そのまま通じることである。現代の思春期の少年がいかに大変な内面生活をしているかは、最近の衝撃的な事件によって一般の人々にもある程度の認識を得ている。
 「鬼の橋」の篁少年は、この世とあの世の境目に立つ経験をする。しかし、これはある意味では、現代のすべての少年が経験していることと言ってよいことだ。ただ、そのような「現実」が通常はあまり見えない。そのために大変な悲劇が生じるのだ。そこで、そのような「現実」を何とか人々に伝えようとすると、ファンタジーという方法が非常に適切になってくる。ファンタジーというのは、現実と遊離した絵空事ではない。
 この作品の強いところとして、作者が京都の史実や伝説に詳しく、それをうまく作中に取り込んでいる点がある。ファンタジー作品を書くためには、現実の認識やその記述ということにすぐれていなければならない。
 「鬼の橋」についても言いたいことは沢山ある。非天丸という鬼が興味深くはあるが、これが十分に描かれていない。なぜ角の片方を祈られたのか。なぜあまりにも「よい鬼」にあっさりと変っていくのか。片角の鬼という存在は極めて重要な役割であるだけに、この非天丸のイメージをもう少し心のなかに抱いてみて欲しい。もう少しイメージが豊かに生き生きとしてくるのではなかろうか。(略)

第3回児童文学ファンタジー大賞 選後評より抜粋)

このHPには、神沢利子佐野洋子清水真砂子さんなどそうそうたる選考委員の方々の選評も載っていますので、是非、チェックしてみてください。

選考委員の方々の選評がそのまま私の読後の感想に通じます。
次作の『えんの松原』よりストーリーが、無理なくストーンと入ってきます。

ただ、鬼が人間へ徐々に変貌していくというせっかくの面白いキャラの非天丸の描き込みが今一つなのはとても残念です。

ですが、それを差し引いても、児童文学ですが、おとなも十分楽しめる内容です。「侮るなかれ、児童文学」です。児童文学だからといって、(児童文学だからこそ)決して、手を抜いていません。
むしろ、児童文学に対峙する作者の姿勢に圧倒されます。

そして、太田大八さんの絵が最高です。


物語の主人公は、小野篁
いわずとれた平安時代を代表する詩人にして、歴史に名を残す有能な文官でもあり、夜ごと井戸から冥府に降って閻魔大王の右腕を務めたという奇怪な伝説(『今昔物語集』『江談抄』など)の持ち主の元服前の少年時代を描いています。彼の成長物語です。

物語は、『篁物語』にある異母妹 比右子との悲恋をベースにしています。

重要なキャラクターの阿子那は、篁が隠岐島に流罪になった時の島の恋人の一人 阿古那からとったと思われます。

征夷大将軍坂上田村麻呂も、死後嵯峨天皇より従二位を追贈され、勅命により死してなお平安京を守護するように平安京に向かって甲冑武器を帯びた立姿(「甲冑・兵仗・剣・鉾・弓箭・糠・塩を調へ備へて、合葬せしめ、城の東に向けひつぎを立つ」)で埋葬された言われており、その話をストーリーの中にうまく取り入れています。
『えんの松原』の伴内侍(ばんのないし)に勝るとも劣らない魅力的なキャラです。

物語では、タイトルにある「橋」と「川」「井戸」が重要なファクターとなっています。

その「井戸」ですが、東山の六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)に残っています。
物語にも出てきましたが、このあたりは六道の辻と呼ばれていて、いにしえの葬送の地 鳥辺野に近く、この世とあの世の境目なのだそうです。

で、私は、2009年と2016年に行ったことがあります。
境内にはなんともいえない雰囲気が漂っていました。
特に、2008年の訪問時は、夕暮が近かったせいか、ただならぬ気配を確かに感じました。

それほど広くない境内に、本堂、閻魔堂、迎え鐘などがあります。
閻魔堂の格子から覗くと、左側に小野篁が彫ったと言われている閻魔大王の像が、右側に小野篁の像が安置されています。
閻魔大王は、迫力があり、ぞくっとしました。

格子戸の向こうに地獄(冥界)へ通じる井戸がありました。

もちろん、物語では、篁が冥府に通う時に使ったと言われる、高野槇(こうやまき)も、小道具として使われています。

蛇足ですが、六道珍皇寺から六波羅蜜寺に行く途中にみなとや 幽霊子育飴本舗があります。
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