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うつ病や不安障害の減薬、断薬 [2010年04月13日(Tue)]

うつ病や不安障害の減薬、断薬

 薬を服用している人は急に減薬、断薬してはいけません。離脱症状が起こり、危険です。  長期間の服用によって、それなりの安定をしているのに、急に減薬、断薬すると、脳内の神経伝達物質が変化しますので、種々の症状が起こり、心理療法を受けていない人は耐え難い場合があります。
 減薬、断薬に詳しい医者に相談しながら減薬してください。 医者が減薬、断薬は無理だといえば、無理でしょう。離脱症状の克服の心得の助言やカウンセリングも受けずに、自分の判断でしないように。 心理療法を受けずに、離脱症状のつらさに耐える心構え (不快事象の受容のスキル) がないのに減薬、断薬すると危険です。減薬、断薬は、薬物療法や心理療法を受けて、十分軽くなってから、少しづつ行うのがいいでしょう。
 当研究所の場合、うつ病でも不安障害でも、セッション10までおこなって(半年ほど)から、不快事象の受容のスキルが十分に身についてから(その人の症状の程度により、1年2年たってからの人もいる)、医者の了解を得て、少しづつ減らしていく方法を推奨しています(セッション10)。
 自己洞察瞑想療法( SIMT: Self Insight Meditation Therapy 、マインドフルネス心理療法の一派)を半年から1年ほど実習すると、症状が軽くなっており、不快事象の受容の心、不快事象が起きても機能的な行動を決意できる「意志作用」が活性化しているので、減薬、断薬による離脱症状の不快さも乗り越えることができるます。
 うつ病のある患者さんは、マインドフルネス心理療法を1年半やってから、減薬にとりかかり、減薬もさらに1年かかりました。この方は再発を繰り返したので慎重でした。減薬の期間は個人差があります。病気の期間、症状の程度、受容スキルの習得程度、軽くなっても(復帰後の)現状のストレスの有無などによって影響します。私の経験では、非定型うつ病、不安障害は減薬に長期間かかります。発作的な症状、身体反応、不安が起きるためと思われます。メランコリー型うつ病は症状が安定していますので、比較的、短期間に減薬できています。
 復帰した職場のストレスが厳しい場合には、少量の薬物療法を継続する人もいます。薬物療法と心理療法をうまく使っていけばいいと思います。症状がほとんど無くなって、現状のストレスが厳しくない場合には、心理療法を受けた後は、完全断薬も可能です。
Posted by MF総研/大田 at 09:37 | 薬物療法 | この記事のURL