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不安障害にたちはだかる高い壁 [2012年01月24日(Tue)]

不安障害にたちはだかる高い壁

 =何かしようとすると爆発しそうになる爆弾をかかえているよう
 =パニック障害、PTSDの広場恐怖

 まだ病的レベルになっていない不安(帯状回に条件づけされていない場合と思われる)は、 1週間程度のマインドフルネスの手法で軽くなるかもしれません。しかし、 <不安障害>となったレベルの不安・恐怖は容易にのりこえられません。それが、PTSDやパニック 障害の広場恐怖、社会不安障害の回避・逃避です。
 長期間のマインドフルネス心理療法(SIMT)の課題の実践のすえ、ようやく電車に乗れた人のこと を紹介しました。   あなたの治った経験は、他の人の役にたつので、プライバシーを守る範囲で 公表させてほしいと許可を得ました。「私の経験でお役に立つことがあれば、何でも使ってくださ い。」ということです。どこの誰かがわからないように、また、プライバシーはさけてご紹介させていただきます。(治るまでの2年近くにわたるマインドフルネス心理療法による闘病記を出版していただきたいくらいです)
 広場恐怖、パニック障害、PTSD、社会不安障害などで、回避、逃避の行為が止まない人は参考にな さってください。

 この方は、自分の心理を詳細に記述できる人です。14駅の長距離の電車に乗るというさけられ ない事情が起きた時は、あれほど避けていた電車にあっさりと乗れたというので、 私は、こうたずねてみました。(心の病気の苦しみは経験者でないと理解できないようです。私は メランコリー型うつ病はわかりますが、不安障害には私はかかっていません。)
    「この心理療法を受けないと乗り越えられなかったのでしょうか。 それとも、受けていなくても、 今回のようにどうしても 行かなければならない状況になったら14駅乗れたのでしょうか。」
 その返事は、次のようでした。やはり、長い課題の実践があったからこそ「あっさりと」乗れた のですね。
    「今はっきり思うのは、マインドフルネス心理療法を受けていなければ 私は一人では電車におそら く14駅も乗れなかったと思います。 パニック障害は治っても、広場恐怖はずっと同じ状態だったの だろうと 思っています。
    電車には、今までも2・3年に1度や2度くらいは、親類の冠婚葬祭などで どうしても家族と乗らなく てはいけないことはあったので、たくさんの薬 (安定剤)を服用し、各駅電車で時には途中下車し ながら行ったことも ありました。(それでも行けなくて引き返したこともありました) たまたま 調子のいい時で行けたとしても、それは確実なものではなくて 「たまたま」でしかなく、ふと「不 安・恐怖」が頭をよぎったらもう 止められないし、それによって身体症状がどんどん出るので、爆 弾を抱えて 行動するという乗り方だったと思います。 その爆弾は、おそらく一生持ち続けること になっていたと思っています。
    マインドフルネスを受けて、その「爆弾」がなくなっていると思いました。 それには時間がかかり ますし、少しずつの変化ですが、考え方、捕らえ方が 以前と全く変わったし、自分のことや状況が 理解できていると、とにかく 冷静でいられるようになってきたからです。 」
    「今までのマインドフルネスの課題や時間が、私を変えたのだと思います。 パニック障害が治って くると、症状は治まる時期があるのだと思うのですが 長い間繰り返した広場恐怖は、自分の力や、 時間の経過だけでは克服できない ものと私には思えます。 私は、時期が来たら必要に迫られた場 合、自然に電車にも乗れるようになる とは思えません。 そして、たまたまなんとか乗れたとして も、その先がないのです。 マインドフルネスを受けて続けていると、着実に進んで行けて、その先 が開けて いくと感じています。 」
 不安障害の場合、前に立つ壁はとほうもなく高いようです。1,2か月の呼吸法ではとても、乗 り越えられません。
 東日本大震災、栄村大震災、脱線事故などで、パニック障害、PTSDになって、色々なところに行 けなくなるとか、フラッシュバックが起きる不安障害は、ただの長期記憶、つまり大脳皮質に記憶 されたのではないもの、帯状回情動領域に条件づけされた記憶は、容易には消えません。激しい不 安恐怖、身体反応が生じて、行動できません。しかし、 半年、1年、2年のマインドフルネス心理療法の課題の実践によって、新しい条件づけ(大丈夫と いう)が上書きされることで、広場恐怖が解消されていくのですね。10年、20年経過した広場 恐怖でも、1,2年のマインドフルネス心理療法で解決できそうです。ただし、ご本人のたゆまぬ 課題実践のたまものです。

 従来の認知行動療法では、長い助走期間のマインドフルネスとアクセプタンスのトレーニングをせずに、すぐに、エクスポージャー法を指導しますが、これではできない人が多いので、 欧米で、マインドフルネス心理療法によるエクスポージャー法が開発されたのです。それと同じ方針で行うのが自己洞察瞑想療法(SIMT)によるエクスポージャー法です。 この例の人が行ったものです。たまたまちょっとできることがあっても「爆弾をかかえている」という思いがあり、消えることはなかったということ、今後の治療に活かすことができます。 そういう「爆弾が不発弾になる」のですね。帯状回にきざまれた 記憶は、長い課題実践を通して、変わっていくのですね。
 セッションは10回くらいで終わりますが、さらに1年セッション10の課題を続けるか、セッション1から復習してください。脳内の神経がすこしづつ変化していくのです。そしてある時に、「あれえ。症状が軽くなっている。」という時が来ます。 また、完治しないうちに、あるいは、治ったつもりだったのに再発してという人は、さらに実践すると、また改善するはずです。治ってからは、時間を減らしていいですから、呼吸法を20分くらいは、ずーっと続けるといいのですが。(私は20数年前に発病して、治ってからも、今でも続けています。今は自分を治すためではありません、再発しないためでもありません。)

この人の例は、簡単には治らない広場恐怖の例です。
Posted by MF総研/大田 at 21:10 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
つらいですね(3)予期不安、広場恐怖、対人恐怖 [2010年12月19日(Sun)]

つらいですね(3)予期不安、広場恐怖、対人恐怖

  • (A)持続する症状・状況
    慢性的に症状がひどくつらい。抑うつ症状、鉛様麻痺感、起き上がれない 。痛い。あるいは、就職できていない状況、対人関係がつらい状況、いじめられ ている状況・・。 長い間、改善しなかったので、これからも治らないのではないか、変わらないの ではないか、と<考 える>と必ずついらい結果が加わります。ひどく、落ち込みます。それがひどい と、死にたくなります 。消えたくなります。もう、どうなっていいやと絶望的な行為をします。
  • (B)対人関係で感情的になり重い症状が出る
    拒絶過敏性の対人関係が起きた。非定型うつ病にある状況。家族や友人知 人、同僚との間での会話、情報によって、つらい状況になって、感情的になる( 1次、2次)。そして、その人と別れた後、10分後、2,3時間後、数時間後 、思いだして(想起)、推理、反論、批判、怒り、判断、比較、あきらめ、絶望 などを含む思考を持続させる。そうすると、その事後思考によって、つらい感情 (3次)が起こります。そして、おちこみ、気分が悪化して、ひどいと、死にた くなります。こういうことを 翌日、1か月後、1,2年後にも同じような思考をすることもあります。 非定型うつ病の場合には、急性の希死念慮、自殺念慮が起きることがあります。 何日か、何週間か、安定していても、完治しない状況では、こういう発作的な希 死念慮、自殺念慮が強まることがあります。
  • (C)予期不安、広場恐怖、対人恐怖
    予期不安、広場恐怖、対人恐怖があるために、したいことができない苦悩。 予期不安は、次の「必然的な結果推測」とは違います。現実には起らないのです 。そう認知でわかっていても、不安恐怖が強くて踏み出せない。長く続くと、非 定型うつ病になってしまう。
 自己洞察瞑想療法(SIMT)での対処方針を述べます。テキストや助言に書くので すが、ストレスの大きい出来事がカウンセリングの中間に起きて、「つらい」と いう状況になって、間に合 わなくて、直接助言できないことが起きるので、ここに書きます。課題を実行し ている方は、つらいでしょうが、のりこえていただきたい。

不安障害の共通の特徴

 次に、(C)の場合です。不安障害です。 マインドフルネス心理療法を始めても、途中でやめるとか、6カ月から1年程度 で完治しないうちに、やめてしまう。完治しないのでは、ボヤ状態が長期間続い てしまう。
 不安の感情、身体反応、主として心臓の動悸、はきけ、振るえなどのパニック 発作の兆候 のような(現実には発作が起きなくても「起きそうだ」と妄想して恐怖が大きく な る)身体反応におびえる、他者の視線や自分の視線態度が嫌われていると思い、 危機を思うから交感神経が興奮して情動性の身体反応が起きる。仕事から意識が それる、その場に い たたまれなくなる。過去にも、視線などの反応パターンを繰り替えした、つらい 経験をしたことが結びつけられている、習慣化している。
 こうした過去の出来事にとらわれて、不安恐怖が増大して、現在の仕事や遊び の行動の途中で逃げてしまう 「逃避」が習慣化する。そうなることを予期して最初から行動しない「回避」も 習慣化する。こうして、人 とのつきあいをおそれる対人恐怖症になる。人ではなくて、種々の場所をおそれ る広場 恐怖がある。両方とも、予期不安を伴う。 広場恐怖(乗り物、場所を逃避回避)、対人恐怖(人の集まりを逃避回避)があ るために、過去と未来を結びつける予期不安を起して、就職できないとか、外出 (乗り物に乗れない)で きない。こうした構造は類似するので、不安障害と総称される。パニック障害、 社交不安障害( 対人恐怖症、社会不安障害)、心的外傷後ストレス障害、全般性不安障害などが ある。強迫性障害がちょっと違う。不安によって同じ行為(回避、逃避ではない 行為=強迫行為)を繰り返すことにより 、通常の社会生活がそこなわれる。仕事に遅刻する、 仕事に集中できないなど。
 過去と未来にとらわれて、現在の役割行動において、力を発揮してのびのびと 生きることができない。
 こうした、不安障害は、薬物療法があるが、逃避、回避行動がなかなか完治し ないで、長期間就職できないで苦しむ。家族におけるふつうの役割を果たせなく て苦しむ。家族から責められて苦しむこともある。

薬物療法や認知行動療法

 心理療法でも認知行動療法がある。認知行動療法で一部の患者さんが治るが、 治らない人も多 い。回避逃避してはいけない、現実に死ぬのではないことは理屈(=認知)では わかるが、いざその瞬間の不安恐怖 、居心地悪さに(感情や身体反応が加わる)耐えることができない。何度も繰り 返して、これを乗り越えることができない。薬物療法で抗不安薬を服用しても、 認知 行動療法(第2世代)のカウンセリングを受けても治せない人がいる。薬物療法 でも認知行動療法でも治らないので「重症」といえる。

マインドフルネス心理療法でも治すには長期間かかる

 そこで、第三世代の認知行動療法としてマインドフルネス心理療法が開発され た。 この心理療法を始めても、短期間には治らない。長期間回避逃避をしてきた習慣 は根強い。習慣化そた心理的 反応パターンと脳神経生理学的変調(そういう反応パターンをする神経回路が過 敏)があるのだから、簡単には治らない。つらいだ ろうが、長期間、コツコツと心理的反応パターンを変える練習をして、脳神経生 理学的な領域まで も変化を起こすしかない。何を考え、どう行動するか、みな、脳神経生理学的反 応になる。「価値崩壊の反応パターン」ではなく、「価値実現への反応パターン 」を繰り返し練習するしかない。 「2か月,5か月もやったのに、完治しない」というよう な、うつになるような安易な不満の反応をしないことが大切である。回復が遅い ことに不満であると思うと、意欲 の低下やうつ病を併発して、治療もやめてしまう。これは、必然的な結果である 。課題をやめることは回復行動(「価値実現」)の逃避回避である。類似の苦し む反応パターンの再現である。 不安障害の場合には、種々の逃避回避が重層的にあるので、マインドフルネス心 理療法でも完治までには、うつ病よりも長くかかる患者さんが多い。長くはかか るが、やっただけ部分的に改善する。不安恐怖が軽くなる。広場恐怖の一部が解 決する。対人恐怖が軽くなる。「価値崩壊の反応パターン」が少し弱くなるかで あり、脳神経生理学的な変化が少し起きるあらである。1年から2年指導を 受けて、包み映す心、無評価観察、受容、意識の転換など、コツがわかったら、 あと、1,2年は自分で、回避逃避の解消に挑戦していけばいい。少し軽 くなったところで課題をやめてはいけない。残った問題を2,3年で完治させて ほしい。 いくつかの苦手なことを残していると、今は配偶者や親にささえられていて「そ れほど不自由ではなくなったからいい」なんて思うのは、現状が5年10年、ず っと持続する はずという誤解がある。5年、10年で、家族、経済、身体の健康などの状況が 変わる。完治していないボヤ状態であれば、おいこまれる出来事があっては、再 燃するおそれがある。おいこまれての不安障害の再燃であれば、うつも併発する お それがある。種々の変化が起きる、50代、60代の悲劇も多い。

自己洞察がない

 不安障害の背景にも、自分の種々の精神作用をよく知らず、不快事象の受容の 心のスキルがない、根底の自分を知らずに自信がないこと、自己評価が低いこと がある。精神作用を洞察すること、不快事象の受容、真の自己を探求して自己評 価を向上することが解決への方針である。回復が遅いことを嘆いてはいけない、 その反応はうつ的であり治療行動からの退却を招く。5年、10年も回避逃避の 反応パターンを繰り返したのだから、治すには、1,2,3年かかることを覚悟 していただきたい。
Posted by MF総研/大田 at 15:20 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
<目次>PTSD(心的外傷後ストレス障害)の記事 [2009年11月19日(Thu)]

<目次>PTSD(心的外傷後ストレス障害)の記事

 大きな事件、事故に巻き込まれて、瀕死の目にあった人が、その出来事が終わってから、精神 的に苦しみ、身体にも症状が出て苦しむことがある。交通事故にあうとか、幼い頃に遭遇した個 人的な恐怖体験もそうであるが、大規模に発病しているのでは、地下鉄サリン事件、和歌山カレ ー殺人事件、阪神淡路大震災、ハワイ原子力潜水艦沈没事件、ベトナム戦争の被害者、帰還兵な どに多くの症例がある。このPTSDの予防や治癒に、呼吸法を用いたマインドフルネス心理療法( 自己洞察瞑想療法も)も有効である。
 記事の目次です。

マインドフルネス心理療法で治した事例 PTSDとは 治るわけ 治療法 ◆災害の後に、PTSDも
◆「惨事ストレス」による不安障害の予防、治療
=PTSDの予防対策に新しい手法が
◆災震災ストレスで海馬縮小、自尊心の強い人はPTSDになりにくい
=PTSDの予防対策に新しい手法が
Posted by MF総研/大田 at 21:57 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
不安障害もマインドフルネス心理療法で改善します [2009年09月21日(Mon)]
不安障害もマインドフルネス心理療法で改善します。認知行動療法でも改善します。 薬物療法だけでは治りにくいので、認知行動療法やマインドフルネス心理療法を受けるとよろしいです。不安障害になると長期間(治らないと一生)苦しみますので、これを治療できるセラピスト(心理療法者=相談を受けるカウンセラーではない)が全国に必要です。
 認知行動療法がだめでも、マインドフルネス心理療法で治る人もいます。また、逆もあります。だから、一つの心理療法でだめだから、心理療法はみなだめだと思わず、他の心理療法、他のセラピストをさがすべきです。ひどいと、うつ病の併発、自殺もあります。一生、苦しむのはつらいです。
  • パニック障害
      (1)時々パニック発作が起きる=激しい動悸、過呼吸または息苦しさ、はきけ、 気が遠くなる感じ、 死ぬのではないかという恐怖感などが押し寄せる。
      (2)予期不安
      (3)種々の場面を回避(人ごみ、電車・バス・飛行機、高速道路、歯医者、美容院、狭い場所、ひとりでいる)
  • 社交不安障害(対人恐怖症を含む)
      (A)赤面恐怖=(人前で食事できない、会議などで発言できないなどの症状を伴う人もいる)
      (B)表情恐怖=(表情恐怖、態度恐怖など、面目つぶれの恐怖)
      (C)視線恐怖=(他人の視線による被害意識、自分の視線で他者を傷つけた加害意識、罪の意識、自己嫌悪の意識、など)
      (D)あがり症=人前で発言できない、そういう場面役割を回避
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)
      (1)外傷体験(トラウマ)の想起回避、回避行動、 (2)侵入的回想(フラッシュバック)、 (3)再三の悪夢
  • 全般性不安障害
      (1)A.(仕事や学業などの)多数の出来事または活動についての過剰な不安と心配、
      (2) 落ち着きのない、緊張感、 集中困難、心が空白となる、 睡眠障害など
      (3)仕事、学業、文化的社会的活動に支障
Posted by MF総研/大田 at 07:44 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
PTSDが治ったという連絡 [2009年08月18日(Tue)]

PTSDが治ったという連絡

 先日、嬉しいたよりがありました。ご紹介させていただきます。関東地方の ある県の I さんです。PTSDが完治したということです。
     「大変ごぶさたいたしております。3年ほど前にカウンセリングでお世話に なりました。交通事故でPTSDとなり、大変つらい日々でしたが、そちらでのカ ウンセリングを経て、先月ようやく心療内科の通院治療を終えることができ ました。薬の量を減らすのに1年以上の時間をかけたので長くかかりましたが 、そちらのカウンセリングで教わった呼吸法などがとても参考になり、その後 ヨガ通いを取り入れるなどの工夫をして、実践しております。完治のご報告と 共に、お礼申しあげます。本当にありがとうございました。」
 PTSD(心的外傷後ストレス障害)については、下記の記事があります。地震 や事故、事件で死ぬのではないかという恐怖体験を味わった被害者が、その出来事が終って後も、悪 夢、フラッシュバック、種々の場所にいけなくなるなどの症状が長く続いて、つらくて、学校に行けないとか仕事に行けないようになって、 薬物療法だけでは治りにくい病気です。不安障害の一種と位置づけられていま すが身体症状もあって、治りにくいです。認知療法が効果があるとされていま すが、アメリカではマインドフルネス心理療法も適用されています。
 3年前は、テキストがなく、2,3のプリントでしたね。  Iさん 治ってよかったですね。うつ病、パニック障害は完治後も数年はストレスによ って感情的にならないように油断なくくらしていないと再燃のおそれがありま すが、PTSDはそういうおそれは少ないでしょう。今度の経験によって自己洞 察がすすみ成長されているので、他の心理的ストレスも乗り越えていかれるで しょう。ご自分の願いに向けて行動できますね。おめでとうございます。
  私どもも、PTSDの方にもマインドフルネス心理療法をすすめています。うつ病でもパニック障害でも、だいたい、6か月から1年で習得していただいて修了となります。あとは、 カウンセラーに依存せず自分でやっていく人が大部分です。2,3年で完治されるようです。 「自己洞察瞑想療法」というように、自分を探求するので、他者への依存心が 克服されます。自分でケアできるようになります。今回も、 3年後に嬉しいおしらせをいただいたという気の長い「長期報酬」(金銭では なく治った喜びのおしらせを受けて喜びをもらう)の活動です。すなわち、すぐには、喜びの顔を見ることができないのです 。「あの人はどうしているかな」と気がかりな多くの人がいます。 治っていない人も連絡がほしい。もう一度最初からやりなおしてみるのもいいと思います。身近な人のそばにいて緊張のある人、気がねしている人、安らぐことができない人は治りにくいでしょう。受容の心得を練習します。
 PTSDとパニック障害は治ると、全く症状が消失しますので「完治した」という実感があり、心理的に後に尾をひきません。しかし、うつ病は深刻です。徐々に回復し、症状がほとんど消失しても、何か一抹のたよりなさが尾をひきます。 1,3年後に再発していないことを祈るのです。
 うつ病、パニック障害、対人恐怖症、PTSDは、それとわかった時、薬物療法と併用でも、すぐに心理療法を受けたほうがいいですね。薬物療法だけでながびくと、薬物の影響が強くあって、眠い、ぼーっとするなどのため、心理療法のトレーニングもつらいようです。薬物療法を開始して、半年たってもよくならないようであれば、並行して心理療法を受けたほうがいいと思います。また、高校、大学のころ、不安過敏、不登校気味の人も心理療法を開始したほうがいいと思います。心の不安なままで社会に出たり、結婚すると相手に気をつかったり共働きで仕事のストレスが強い場合、重い心の病気になるおそれがあります。 社会に出る前に、心の洞察を深めて、不安過敏なところを改善しておくことがおすすめです。
  • パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)をマインドフルネス心理療法で治す
  • PTSDが治ったという連絡
    マインドフルネス総研のホームページ
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)
  • Posted by MF総研/大田 at 17:25 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
    PTSD、トラウマの神経生理学的特徴 [2008年08月11日(Mon)]

    PTSD、トラウマの神経生理学的特徴とマインドフルネス心理療法

     PTSD(心的外傷後ストレス障害)も薬物療法だけでは完治しない人がいる。いくつかの脳神経領域に変調があって薬物療法が効果がない人や心理的な柔軟性に問題があって治りにくい人がいる。そこで、さらに新しい心理療法を試みるのであるが、神経生理学的な特徴を理解しておくことは治療方針や動機づけに役立つ。

    PTSD患者の前部帯状回、海馬、前頭前野に特徴

     PTSDの患者には前部帯状回(内側前頭前野)、海馬、前頭前野に特徴がみられる。
       「表8.5は、PTSD患者の脳局所体積の研究をメタ解析したKarlら(2006)の主な知見をまとめたものである。未成年と成人で異なるところもあるが、簡略化すれば、これらの知見のうち、海馬、前部帯状回、前頭前野の3つの部位の体積の小ささがとくに注目されてきたものである。
       海馬と前頭前野はエピソード記憶と意味記憶の符号化と検索に携わっていることから、その体積減少は陳述記憶システムの相対的劣性を生じやすい基盤となる。PTSD患者に認められた記憶と前頭葉機能に関する障害の多くもこれに関連しているものと解釈できる。 また、前部帯状回は扁桃体を調節することによる条件付けの消去に関与しているので、その体積減少はいったん恐怖体験によって条件付けられた反応を容易に消去できない基盤となる。」(参考書213頁)
     情動記憶システムは外的刺激の情動的価値(有害/無害)に関する情報を習得・貯蔵する潜在的記憶過程である。このシステムでは扁桃体が中心的な役割をになっている(208頁)。陳述記憶システムは、記憶内容が意識に上る記憶システムで海馬が中心的な役割を果たしている(210頁)。記憶の符号化(登録のこと)は海馬がにない、検索、想起は前頭前野背外側部がになっている。

      (参考書)「PTSDと解離性障害にみる記憶と自己の多重性」西川隆(大阪府立大学総合リハビリテーション学部)(「精神の脳科学」加藤忠史編、東京大学出版会、2008)。

    治療方針=前頭前野の活性化

     多くの研究によって、PTSDの場合、扁桃体が興奮して内側前頭前野(前部帯状回)が低い活性度 を示す。「しかしながら内側前頭前野と扁桃体のどちらの機能異常がより一次的であるのかは引き 続き検討が必要である」(689頁、上記注2)とするものの、どちらかというと、前頭前野の機 能不全(制御が不十分)のようである。
       「PTSD患者を対象とした脳画像研究の結果では内側前頭前野と扁桃体は一方の活性が高いと他方 の活性が低いという相反関係にあることが示唆された。動物実験の結果では内側前頭前野は恐怖の 消去に関わることが明らかにされている。したがってPTSDの病態を消去の失敗と捉えるならば、内 側前頭前野の機能不全が一次的原因となっている可能性がある。」(690頁、上記注2)
     こうした神経生理学的特徴を理解すると治療方針がたつ。神経生理学的フュージョン(連合)を 推測して、そこに心理療法的介入を試みる。パニック障害の広場恐怖も同様であろう。
     内側前頭前野の機能不全、すなわち、抑制機能の活性度が低いのであるから、抑制スキルを活性 化させることが主な治療方針となる。薬物療法でそれがうまく効かない場合でも、マインドフルネ ス心理療法で行う。「注意集中の訓練」「無評価で観察」「不快事象の受容」「不要刺激の解放」 などのトレーニングをして、意識的、無意識レベルの両方の「非機能的行動に連合させることの解 消」を行なうトレーニングをすることによって前頭前野の抑制機能を向上させることになる。
     PTSDにはフラッシュバック、悪夢のような単に心理的とは言えない症状がある。パニック発作も 就寝中に発作が起きる場合もあることから、これも単に心理的な問題であるよりは脳神経生理学的 な亢進があるとみられる。こういう場合、こういう発作の起きる頻度が少なくならないとエクスポ ージャー法を実行することはむずかしい。まずその責任部位の亢進がしずまるような対策(薬物療 法、心理療法)が治療方針となる。マインドフルネス心理療法では、呼吸法や運動に意識を集中す るトレーニング、非機能的な行動に移ることを抑制するトレーニングをすることが問題部位の機能 を向上させる機序は明確ではない(注4)ものの、基礎的なトレーニングを実行していると悪夢やフラッシュ バックの起きる回数が減少してくる。このようなトレーニングによって海馬や前頭前野に変化が起 きると推測される。
     次に第二の段階にはいる。基礎的なトレーニングで直接経験への無評価の観察、不快事象の受容 、不要刺激の解放などの基礎的スキルが習得され、発作的な症状が起きなくなって自信ができた段 階に至ってから、回避するものへのエクスポージャーを試みる。
     こうした治療に必要であるのは内側前頭前野の向上のトレーニングである。すなわち、呼吸法を 行いながら従来回避していたものに直面する。身体は反応するが無評価で観察を続ける。呼吸法を 行いながら「大丈夫だ」と繰り返しとなえながら長時間、呼吸法の中で無評価で観察し、やがて身 体反応が変化していくのを自覚する。これを何度も試みる。相当、マインドフルネスとアクセプタ ンスの基礎的トレーニング(注3)を行なってからでないとむずかしい。
      (注)
      • (3)構造化された自己洞察瞑想療法のプログラムの場合、セッション1から10までを修了し た後にトラウマにエクスポージャーする方法を試みる。軽い場合には途中でも自信ができてエクス ポージャー法を試みることができる場合もある。
      • (4) 「ストレスとはなんだろう」( 杉晴夫氏、講談社)によれば、大脳皮質には多くの抑制性のニューロンが眠っている。 「眠った神経連絡路」が目覚めてしまったのが、PTSDの種々の症状であり、これを治療するマインドフルネス心理療法の技法が効果のある理由も説明がつく。臨床をかさねてからそれをまとめたい。可塑性ある部位(反復性増強)を廃用性萎縮に追い込むのがマインドフルネス心理療法の種々の技法であるという仮説でトレーニングする。これは、うつ病、非定型うつ病、パニック障害、社交不安障害なども同様である。 「眠った神経連絡路」を眼ざまさせてしまった患者の亢進部位を抑制のトレーニングによって廃用性萎縮に追い込み、使用頻度が低いために抑制機能が低下していた眼窩前頭前野、背外側前頭前野などの適切使用による可塑性を形成する。これが、マインドフルネス心理療法の神経生理学的な有用性の根拠である。
    Posted by MF総研/大田 at 12:03 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
    PTSD、トラウマのフラッシュバック [2008年04月04日(Fri)]

    不安障害・非定型うつ病の不安・恐怖(3)

     =PTSD、トラウマのフラッシュバック

     不安障害や非定型うつ病に、不安発作がある。非定型うつ病、PTSD、トラウマには、フラッシ ュバックがある。恐怖体験がよみがえり、種々の場所、行動を回避する。
     PTSDには、再体験症状(侵入的想起、悪夢、フラッシュバックなど)がある。
       「些細な日常的刺激でさえもがトリガーとなって、突然に「思い出したくない事件」の生々し いフラッシュバックに見舞われ、恐慌状態に陥るということを繰り返す。」(1)
     PTSDの患者の脳においては、海馬、前頭前野、前部帯状回の容積が小さいという報告がある。 (2)
       「海馬と前頭前野はエピソード記憶と意味記憶の符号化と検索に携わっていることから、その 体積減少は陳述記憶システムの相対的劣性を生じやすい基盤となる。PTSD患者に認められた記憶 と前頭葉機能に関する障害の多くもこれに関連しているものと解釈できる。また、前部帯状回は 扁桃体を調節することによる条件付けの消去に関与しているので、その体積減少はいったん恐怖 体験によって条件付けられた反応を容易に消去できない基盤となる。」(3)
     薬物療法によって治ったPTSD患者の海馬の体積が、治療前と比べて増加したという報告もある (4)。

    前頭前野の脆弱から情動にひきよせられる

     PTSD患者は、選択的注意の障害(前頭前野の機能の脆弱性)があり、情動(感情)システムが 亢進しやすく、感情がおきると、選択的注意をひきつけることで、回避、過度の警戒心、などの 症状が起きると推測される。
     こうした構造がPTSDであるならば、前頭前野の機能、すなわち、抑制機能や選択的注意の正常 化、および、扁桃体の亢進を抑制する方針で心理療法も提供できるだろう。マインドフルネスは 、注意機能、抑制機能のトレーニングであり、扁桃体による日常的な感情の亢進やフラッシュバ ックなどがあっても嫌悪せずに、受け入れるところに、アクセプタンスの技法をトレーニングす るだろう。選択的注意が情動に向けられると注意資源の容量によって、価値ある行動にさくこと ができない。作業記憶にかかわる背外側前頭前野、前部帯状回、海馬の機能が向上すると症状が 軽くなることが推測される。海馬、前頭前野、前部帯状回の容積が小さいのであるから、これら をよく使うトレーニング手法を継続することになる。ちょうど、マインドフルネス、アクセプタ ンスのトレーニングは、まさに、作業記憶の活性化トレーニングである。

    • 「精神の脳科学」東京大学出版会、2008、198頁
    • (2)同上、213頁。
    • (3)同上、213頁。
    • (4)同上、214頁。
     
    Posted by MF総研/大田 at 23:07 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
    不安障害の不安・恐怖(2) [2008年03月22日(Sat)]

    不安障害・非定型うつ病の不安・恐怖(2)

     =PTSD,トラウマ  不安障害や非定型うつ病に、不安発作がある。PTSD、トラウマのフラッシュバックも、恐怖体験が再現される。 不安恐怖は、無意識に起きる。すばやい経路が活 性化する。不安障害、不安発作の克服、治療の方針を考えてみたい。
     (前の続きです。)

    治っても不安恐怖の部分は活性化したまま

       「このような理由から、そのような対象とFEAR(恐怖)システムとの結びつきは消すことができな いのですが、システムの出力が抑制されることは可能になっています。言い換えれば、連合は無意 識的に存続していても、その延長意識や自発的行動への影響が弱められたり、さらには完全に遮断 されたりするのです。第1章や第3章で言及したように、そのような抑制コントロールのための装 置は前頭葉、とりわけ腹内側野や眼窩野に位置しています。実験動物において恐怖ー不安反応の外 向きの表出が(行動変容技術によって示されるのは、完全な恐怖ー不安反応が 現われていたときとはほとんど同程度に強くFEARシステムが活性化され続けているということです 。二群間劇的に異なるのは、恐怖が抑制された群では前頭葉が同時に強く活性化されているという ことです。」(「脳と心的世界」マーク・ソームズ、オリヴァー・ターンブル、星和書店、198 頁)
     このことは、不安障害の心理療法で考慮される。パニック障害や対人恐怖などの不安障害が心理 療法で治ることがあるが、その時には、過敏な不安の回路(扁桃体)の亢進は弱まっていないのだ ろう。縫線核セロトニン神経や前頭前野の抑制力が強まっているから、行動が回避的にならずに、 「治った」という状態になったのだろう。抑制の強化なのであって、認知が修正されたわけではな いだろう。認知療法でカウンセリングした場合にも、前頭前野の抑制力が強化されたという報告が ある。不安障害は、抑制力の鍛錬をすることが、心理療法の技法としてすぐれているのかもしれな い。
     パニック障害もマインドフルネス心理療法で治療できるが、認知の修正の技法を用いないで、呼 吸法を用いる注意集中、思考の徹底的抑制、思考の解放が主な心理作用である。やはり、抑制の強 化が起きているのではないかと推測される。不安障害は、一般的な(恐怖の対象になっているもの の抑制でなくて)抑制力の強化で、症状が軽くなるようだ。
     恐怖の対象へのエクスポージャー法ではなくても、縫線核セロトニン神経や前頭前野の抑制が強 化される技法でいいわけだ。マインドフルネス心理療法は、呼吸法や運動によって、一般的な抑制 力の向上の作用によって、治癒するのだろう。治癒した時に、過敏な扁桃体は変わっていないよう だ。そうすると、前頭前野などの抑制力が再び低下すれば、再発するだろう。治った人は、呼吸法 や運動は継続したほうがいいのだろう。実際、そのように助言もしている。治っても、呼吸法など を続けたほうがいい。続けている人は再発が少ない。再発しても、軽くて、また治る。
      (続く)
    Posted by MF総研/大田 at 23:15 | パニック障害・PTSD | この記事のURL
    不安障害の不安・恐怖 [2008年03月20日(Thu)]

    不安障害・非定型うつ病の不安・恐怖

     不安障害や非定型うつ病に、不安発作がある。不安恐怖は、無意識に起きる速い経路がある。すばやい経路が活 性化する。だが、それを意識した後、意識で、その危険性を評価して、社会生活を回避しなければ、心の病気ということにならない。
     不安障害には、パニック障害、特定恐怖、PTSD、対人恐怖、全般性不安障害などがある。不安、恐怖におびえて、不登校、ひきこもり状態になる人が多い。 不安障害、不安発作の克服、治療について、マインドフルネス心理療法の治療方針を考えてみたい。

    不安恐怖の2つの経路

     不安障害(パニック障害、特定恐怖、PTSD、対人恐怖、全般性不安障害など)は、あるもの を危険とする不安、恐怖の反応がおきる。有害な刺激(怖がるべき対象)を恐怖ー不安反応と結び つける連絡がきわめて速やかに形成され、以後は延長意識の外側に保持される。以後は再び同じよ うな刺激に遭遇したときには、意識的に認識される前であっても不安恐怖システムはただちに自動 的に活性化される。すなわち、考える前に不安恐怖が起きる。扁桃体からPAG(中脳水道周辺灰白質 )に至る「速くていいかげんな経路」によって媒介され、皮質的な意識がまったく排除されるよう なものです。このような経路の存在は、患者がある種の状況においてなぜだかわからないが (「抑圧された」過去の経験や他の無意識的な連合に基づいて)不安を感じることがあるというこ とがどのような仕組みによるのかを説明するのに、重要な示唆を与えます。
    もうひとつは、より遅い経路で、この経路には(エピソード記憶で決定的に重要な役割を果たす) 海馬の皮質組織が含まれています。このことによって自伝的自己は起きたことを意識的に認識し、 そのことを振り返ってじっくり考えることができるようになるのです。
    (「脳と心的世界」マーク・ソームズ、オリヴァー・ターンブル、星和書店、196頁)

    連合が形成されると消しにくい

     このようなタイプの連絡がいったんつくられると、これらの連絡は消すことができません。 有害な対象、場所、あるいは状況が「危険な」ものというFEARシステムの目録に組み込まれたとい う事実は決して消すことができないのです。」
     「このような状況下になれば、いったん恐れるべきものとなった対象にくり返し新たに暴露され ることによって、完全な不安発作(圧倒的な戦慄の感じ、身動きできなくなること、逃避すること 、隠れること、動悸、呼吸促迫など)がずっと起き続けるようなことは、非常に具合が悪いでしょ う。」
    (同上、197頁)

    前頭前野眼窩部が抑制

     このような恐怖システムとの結びつきは消えないが、出力を抑制することができる。前頭前野である。
    (続く)
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