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(18)現在の仏教に欠けているもの「人間完成」 [2018年10月12日(Fri)]

(18)現在の仏教に欠けているもの「人間完成」
 =ブームの「マインドフルネス」も

 次の本は、日本の仏教者が信じているという大乗仏教は ブッダの仏教ではない、別の宗教だと指摘しています。そして、日本の仏教は大乗仏教の本道、核心から乖離していると指摘した。

『大乗非仏説をこえて』大竹晋、国書刊行会

 日本仏教が大乗仏教の本道から乖離しているという主な点は、「利他」が弱い、人間完成がない、自ら証明する「自内證」がない。
 この記事は、「人間完成」が失われている点についてみておく。ブームの「外国から輸入」の「マインドフルネス」も「人間完成」は含まれておらず、「技術」の性格が強い。それを裏づけるように、「マインドフルネス」の標榜者自身が、自分では「人間完成」の哲学をもっては常に実践していないだろう。教える時だけの感覚や感情、身体動作などの観察であろう。大乗仏教はそうではなかった。日本の古人も人格向上のひとが多かった。

 上記の本は、仏教徒が務めるべき「人間完成」をどういっているか。

 「部派仏教においては、声聞は現在世において罪悪も福徳をも積まず、現在世において阿羅漢になることを目指すが、大乗仏教においては、菩薩は現在世において福徳を積み、未来世においてブッダになることを目指すのである。」(p120)

 「「徳を積む」ことによって、大乗仏教の修行者は人としての完成に達し、さらに、その人がそこにいること自体が自然に周りの人々を人としての完成へと向かわせるような、そのような人になってゆくのである。」(p126)

 江戸時代の良寛が例としてあげられている(p127)が、彼は禅であって、大乗仏教ではないが。このあとに、P126とほぼ同じ文章がある。
 また、山岡鉄舟の参禅の師、由理滴水のスキのないようすを紹介している(p129)。山本玄峰、関精拙、通山宗鶴の悟った後の陰徳の逸話(p130-131)が紹介されている。 これらは、大乗仏教というよりは、教外別伝をいう禅の人である。
 (大乗仏教の人としては、「人間完成」の例の紹介は、みつけることができなった。)
 禅の人を紹介したあと、天台宗の僧、真言宗の僧のエピソードが紹介されている。輪廻のことである。

上座部仏教は人間完成を目指さない

 著者は、ブームになっている上座部仏教(ビパッサナー瞑想が修行法)は、人間完成を目指すものではないと警告している。(マインドフルネスには種々ある。ACT,SIMTは上座部のものとは別である)

 「こんにち、都市部においては、新来の上座部仏教団体が、変動する社会において救いを求めて浮遊する人々を、 瞑想を教えることによって惹きつけつつある。 上座部仏教は、現在世において人として完成していくことや、未来世において人を超えたブッダへと無限に向上していくことを 教えるものではない。人として完成していくことや、人を超えたブッダへと無限に向上していくことに関心を持つ人々がいるかぎり、大乗仏教はそのような人々のために生き続けるであろう。」(p135)

 「こんにち、都市部においては、新来の上座部仏教団体が、変動する社会において救いを求めて浮遊する人々を、 瞑想を教えることによって惹きつけつつある。 そのような人々のうち、科学崇拝との親和性が高い人は「仏教は宗教ではなく科学である」という 考えかたに親近感をいだきがちである。ただし、それはかならずしも多くの日本人ではあるまい。 (中略) 仮に「仏教は宗教ではなく科学である」という考えかたが日本を席捲する時が来るとすれば、それは 日本が日本でなくなる時であろう。」(p233)

 日本でも盛んになっている上座部も日本の仏教諸宗も大乗仏教のいうような「人間完成」を目指さない。

 だから、マインドフルネスの指導者は、哲学をしっかりと持つべきなのである。

http://blog.canpan.info/jitou/archive/2342
★マインドフルネス、仏教の専門家は自己自身、哲学を持たねばならない

 といっても、著者が言うように、日本の仏教諸宗が大乗仏教の本道に戻ることは容易ではない。

この問題に関して特別講演
2019年1月13日(日曜日)、午後1時30分から4時30分まで
 埼玉県さいたま市浦和区、埼玉会館で。

★最近明らかになってきた上座部仏教、日本仏教の問題を超えていくために
日本の社会問題の解決のための「利他=マインドフルネス」の危機
どういう道があるか。

講師:大田健次郎(マインドフルネス総合研究所、日本マインドフルネス精神療法協会)
【書籍紹介】『大乗非仏説をこえて』大竹晋、国書刊行会 【連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】
http://blog.canpan.info/jitou/archive/3889
【自己保身、「空気」を読む、忖度する】

http://blog.canpan.info/jitou/archive/3866
『忖度社会ニッポン』(片田珠美、角川新書)

http://blog.canpan.info/jitou/archive/3873
『「空気」の研究』(山本七平、文春文庫)

http://blog.canpan.info/jitou/archive/3875
阿部欣也の「世間」。記事の本のほか『「世間」とは何か』(講談社現代新書)

http://blog.canpan.info/jitou/archive/3853
【目次・書籍紹介】「正しさをゴリ押しする人」(榎本博昭、角川新書)

http://blog.canpan.info/jitou/archive/3918
『日本型組織の病を考える』村木厚子、角川新書

http://blog.canpan.info/jitou/archive/3916
『異端の時代 〜 正統のかたちを求めて』森本あんり、岩波新書

http://blog.canpan.info/jitou/archive/3461
『見て見ぬふりをする社会』マーガレット・ヘファーナン、河出書房新社

【連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】
http://blog.canpan.info/jitou/archive/3889
Posted by MF総研/大田 at 07:24 | エゴイズム | この記事のURL