(8)「リベラル」の問題とうつ病の心理療法
[2018年09月22日(Sat)]
【連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】
「リベラル」の問題とうつ病の心理療法メディアも権力を忖度して、発言の自由を抑制するかもしれません。 メディアの構成員も多数の人間からなるのですから、意見の違いがあるでしょう。 地位の高い者が、低いものの意見をつぶすかもしれません。メディアが自分自身で発表したものを批判するような意見が内部で起きたとしても 、力でつぶすかもしれません。「正しさをゴリ押しする人間」などでは、 内部の批判者は排除されるということが普通に起きていることを指摘していました。 「新潮45」は珍しく、内部の批判意見が公表された例でした。 自分で内部の問題を発表したように見える例として、次の本も注目されます。 「朝日ぎらい 〜 よりよい世界のためのリベラル進化論」橘 玲、朝日新聞出版 「朝日新聞が嫌い」という本やインターネット上の記事が多いそうです。それを当事者である朝日新聞社から出版されています。 https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20117 ★朝日新聞出版社の本の紹介 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56469 ★作者の言葉が紹介されている http://blogos.com/article/304638/ ★「朝日ぎらい」の「あとがき」全文 以上の記事で、本の内容がわかります。 「リベラル(進歩、革新」「保守」というと、政治からの議論ですが、注目したのは、 「リベラル」が、特定人間のエゴイズム、利益、自由の抑圧などの解放も含んでいるからです。 うつ病の心理療法が広まらない理由を考えていますが、この領域においても、「リベラル」のような理想と乖離している のだと思います。 著者は、「リベラル」をこう定義しています。
A普遍性(ダブルスタンダードの禁止) B進歩主義 (理想社会を目指す運動) Aの普遍性(ダブルスタンダードの禁止) は、外部向けには、口では偉そうなことを言っていながら、自分ではルールを守っていないか、他者が苦しめることをしている。「同じルールが平等に適用されなければならない」ということ。心を観察するのがマインドフルネスだといいながら、自分では自分のエゴイズムのこころを観察していない。 Bは「理想社会の実現に向かって努力していくべきだ」という信念。「すべてのひとが自分のもって生れた可能性を最大限発揮できる社会」 だとすれば、多くの組織での、思想行動の自由がない、性差別、いじめなどが続発している組織は「リベラル」でないことになります。 うつ病、不安症、PTSD、DVなどの心理療法がすすまなくて、治らない患者さんや家族が長く苦しむ人生、貴重な生命が自殺で失われていくのも、あちこちで努力が遅れているように感じられるのです。西田哲学は、人間の絶対平等をいい、他者の人格を否定するエゴイズムのこころを「観察」して、抑制すべきことをいいます。 日本の深い「マインドフルネス」、西田哲学は、単に「観察」方法でもなくて、すべての人が満足できる理想社会の実現を提案しているようにみえます。しかし、似たような宗教やマインドフルネスの組織、学問として研究する大学や学会の学問は、上記の方向への努力をしているのでしょうか。「若者に夢を与える未来を描くことなどできるはずはない。」とあとがきにあります。各組織の長老は若い人が夢を持てるような方向へ努力しているのでしょうか。 書評を見ると、この本にも、賛否両論の批評があります。おおむね肯定的です。ネット上では匿名であり、その組織に属していないのですから自由に意見をいうことができます。しかし、現実の組織では、批判的な意見をいうと、いじめられるので現実は生きにくい社会です。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/3889 【目次・連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】 |