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(5)精神科医は薬物療法で生活できる [2018年09月13日(Thu)]
【連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】

(5)精神科医は薬物療法で生活できる
=日本ではうつ病、不安症などの心理療法を普及させようとは言いにくい

  (この記事は、欧米などで心理療法が発達しているうつ病や不安症、PTSDなどの領域に限ります。薬物療法しか効果がなく、 効果的な心理療法がない精神疾患には関係ありません。)

 ゴリ押し人間、忖度するメンバー、世間と社会、空気の議論に、 カストマー(サービスの対象者、ターゲット、マーケット)を加えたい。 各種の専門家が想定している範囲である。想定するサービス・購買対象者、クライアント、患者、学生、賛同者(フアン)である。総称として 「カストマー」としておく。(参照:図)

 日本人には狭い「世間」で「空気」を読んで、「忖度」して生きる、「社会」のために生きないという悪弊があると専門家が指摘している。よくわかる。世間にさからうといじめられる、排除される恐怖を感じる。自己保身せざるを得ない。
 製薬業界と医師集団とは、強い共生関係、利益共同体の関係にある。そして、医師集団を国は健康保険制度を通して支援している。
 精神科医は、原則として薬物療法しか知らない。だから、患者が来ると薬を処方する。それで、保険診療の報酬を得ることができる。薬は副作用があり、依存もある患者がいるがやむをえない。そうするしかない。「予防や再発予防」と違って、 うつ病などを完治するまで「治療」するためには、支援者側は大きな努力と時間を必要とする。 時間のかかる認知行動療法を提供しても、大変安い診療報酬しかはいらない。
 自分の生活のためにも、心理療法を普及させようとは言わない。狭い医師仲間と製薬業界を「世間」としている。そこを忖度して発言する。 カストマー(ターゲット、マーケット)は、薬物療法を希望する患者と家族である。しかし、参考書によれば、治る人もいるが、副作用で苦しみ続ける人もいる、薬には依存性があって、やめることができない。やめたくても離脱症状を起こすので、薬を服用し続ける患者がいる。治る患者はそれで関係が終わる。 しかし、長期間かかわる患者がいる。自殺も起こる。不満な患者、家族がいるが、状況が続く。

 国の制度によって、医師には、この現状を変えようという積極的な動機がみつからない。狭い「世間」で生きていくことができる。現状でよいと「忖度」してくれる人々がいる。現状で、一定の収入を得ることができる。軽症になってからは、薬の効果がないとか、つらい現象は、 うつ病の症状だけではなくて、薬の副作用で治らないように見える患者もいる(参考書)とはあえて言わないで処方し続ける。減薬・断薬の方向にすすみましょうとも言う医師は多いだろうか。あえて、変革させて、収入を不安定にするつもりはないだろう。

 こうした状況で、治りきらない不満な元患者、薬物療法ができない患者、家族はどうしたらいいのだろうか。薬物療法は軽いうつ病には効果がないようであるのに、薬を服用したために副作用に苦しみ、依存でやめたくてもやめられない患者がいる(参考書)。医師にはうつ手がない。 忙しくて心理療法はできない。家族、患者はどうしたらいいのだろうか。

 このような状況を責めることはできない。人は自分で好きな職業を選び、許された範囲で外部のために働く。精神科医だって、自由に生きる。うつ病などが「治る」ほどの心理療法はできない、あっても忙しくてやっていられない。心理療法を「好き」になれないからやらない。自然である、当然である。医師がやってくれないで不満不足を感じる患者、家族はどうすればいいのか。医師以外の他の専門家がだまっていても支援の対策をとってくれるだろうか。心理カウンセラーが、僧侶が、仏教学者が、マインドフルネスの専門家が?
 各種の「専門家」(心理カウンセラー、仏教僧、仏教学者、マインドフルネス推進者、自治体職員など)についての、「世間」と「忖度」を見たあとで、専門家はだれも積極的に動けないようだとわかる。どの専門家もうつ病などの支援活動を好きになれないようだ、みな他の好きなことをしたいのだ、それで忙しいのだ。そんな中での患者家族の対策の可能性を検討したい。

 医師一人一人は、忙しく、心理療法をできないからといっても、うつ病などが治らないひとがいる、通院中の患者に自殺されることも多いのは、精神科医にとっても、全く慚愧の感情が起きないわけではないだろう。連続記事の最後に医学界でも協力できるはずのことがあることを考えてみたい。

(続く)

(この記事の場合は、「自分」は精神科医、世間は同業者集団と製薬業界=忖度対象者を含む場、カストマーは薬物療法を受け続ける患者)
SIM-04-世間と忖度.jpg
http://blog.canpan.info/jitou/archive/3889
【目次・連続記事】【日本では、なぜうつ病などの心理療法が普及しないのか】
【うつ病など医療関係の忖度関連の参考書】
『テレビが報じない 精神科のこわい話』内海聡原作、くらもとえいる漫画、ユサブル
『医者の本音』中山裕次郎、SB新書
『精神科医は信用できるか』和田秀樹、祥伝社新書
『学者は平気でウソをつく』和田秀樹、新潮新書
『精神科医は腹の底で何を考えているのか』春日武彦
『精神医療ダークサイド』佐藤光展、講談社現代新書

【うつ病治療の現状を知る誠実な本と言えます】
『慢性うつ病は必ず治る』緒方俊雄、幻冬舎新書
『うつ病治療の基礎知識』加藤忠史、筑摩選書
『うつ病の真実』野村総一郎、日本評論社

【一般的な参考書:狭い世間しかみない、ごり押し人間、自己保身から「空気」を読む、忖度する】
http://blog.canpan.info/jitou/archive/3866
『忖度社会ニッポン』(片田珠美、角川新書)
http://blog.canpan.info/jitou/archive/3873
『「空気」の研究』(山本七平、文春文庫)
http://blog.canpan.info/jitou/archive/3875
阿部欣也の「世間」。記事の本のほか『「世間」とは何か』(講談社現代新書)
http://blog.canpan.info/jitou/archive/3853
【目次・書籍紹介】「正しさをゴリ押しする人」(榎本博昭、角川新書)

『日本型組織の病を考える』村木厚子、角川新書

『見て見ぬふりをする社会』マーガレット・ヘファーナン、河出書房新社
Posted by MF総研/大田 at 10:39 | エゴイズム | この記事のURL