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(1)哲学を知り実践するマインドフルネスSIMT(1) [2016年08月31日(Wed)]

哲学を知り実践するマインドフルネスSIMT(1)

 NHKで、何度もマインドフルネスが取り上げられましたので、日本のマインドフルネスである、自己洞察瞑想療法(SIMT)にも、新しい期待がよせられてきました。 マインドフルネスで、本当にうつ病、不安症などを改善できるスキルを持つひとが必要になります。「マインドフルネス瞑想療法士」Ⓡといいます。登録商標ですから、うつ病、意志作用の哲学とマインドフルネスの関係などのことを学習して、マインドフルネスの実践もして認定を受けたひとしか名のることはできません。

 今、連載中の記事と並行して、日本独自のマインドフルネスは、どういう哲学によっているのかを、入門編としてまとめてご紹介していきます。 2つの連載が並行するでしょう。

哲学を知り実践するマインドフルネスSIMT(1)

 自己洞察瞑想法/療法( SIMT:Self Insight Meditation Technology/Therapy )は、マインドフルネスの心理手法(MT:Mindfulness Therapy)の一種です。SIMTは日本で独自に開発されたMTの手法ですが、部分的に適用される「技術」でなくて、すべての局面で実践できる「生き方」です。アメリカで開発されたMTには、マインドフルネス・ストレス低減プログラム(MBSR)、マインドフルネス認知療法(MBCT)、アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)などがあります。

 SIMTもアメリカのMTも、マインドフルネス(自分の人生の目的にそった行動に意識を向ける心)とアクセプタンス(つらい事象を受けいれる心)の心の使い方を重視する心理的手法です。現在進行形で自分の心を観察してただちに建設的な行動をする反応パターンを形成する手法が用いられます。

 そういう心の使い方を向上させるという点では様々なMTのプログラムは似ていますが、種々の理論や技法が開発されてきました。各MTは、理論も技法も違います。SIMTは、禅と西田哲学、神経生理学を参照しました。西田哲学は、石川県宇ノ気村(現在のかほく市)に生まれた西田幾多郎(1870-1945)によって体系化された哲学です。自己とは何か、自己が生きる世界とはどういうものかを論理的に説明しています。

 アメリカのMTには、自己とは何かを問題にしているものと、あまり問題にしていないものがあります。MBSRでは根底に「全体性」があるといい、ACTでは「文脈としての自己」といいます。西田哲学は自己の階層性を説明していますので、アメリカのMTを理解しようとする場合にも、西田哲学が参考になるでしょう。

 西田哲学は、人生上のさまざまな悲しみ、苦しみを乗り越えようとした西田自身が深く自分、人間について洞察して、真の自己ということについて論理的に説明したものです。西田哲学の自己には、判断的自己、知的自己、意志的自己、叡智的自己、人格的自己などの階層性があると指摘していますが、割合浅い位置にある意志的自己の説明に導かれて、苦悩を実際に克服していく手順を構成したものがSIMTと言えます。一般的なうつ病や不安障害などを改善するセラピー(医療、心理療法)としてのマインドフルネスと言えます。しかし、SIMTの心の使い方は、健康な意志作用の使い方ですので、すべての人にとって活用されることが可能です。SIMTはあらゆる場での人の心を知ることに有用性を発揮するでしょう。

 また、精神疾患やさまざまな障害や問題行動を改善するためには、意志的自己を越えたセラピーとしてのマインドフルネスの開発も必要になります。また、西田哲学はセラピーに限定されることなく、深い叡智的自己、人格的自己を説明しています。東西の宗教、キリスト教、襌、念仏の宗教の根底も説明しています。こうした宗教哲学は、自己、人生、死生、世界についての見かたを教えるものでもあり、いかに生きるかということの指針ともなるでしょう。

 西田哲学は、さまざまなことについて説明していますが、この連載では、心理療法としてのマインドフルネス、心理療法を越えて自己、死と生、世界、人生などの探求としてのマインドフルライフともいうべきマインドフルネスに参考になる部分を西田哲学の中から取り出しました。あらゆる流派のマインドフルネスの参考になるでしょう。

 (注)「心理療法」は心理学の領域で用いられ、「精神療法」は医療系で用いられることが多いが、この連載では、同じ意味で用います。

(続く)
連続記事
「哲学を知り実践するマインドフルネスSIMT」


(1)目次・はじめに
第1章 マインドフルネスのための西田哲学 第2章 意志作用の哲学

場所の論理(1)
場所の論理(2) 作用と対象のおいてある場所
場所の論理(3) 深い作用を知るほどに見方がちがう
マインドフルネスには浅いものから深いものまである
西田哲学は西洋の学問と東洋の伝統とのつながり方を発見
東洋の鉄人= 深層の地平に置いて、その見地から眺めることのできる人

★NHK Eテレビで「日本仏教の歩み」再放送
★早稲田大学での講義

http://blog.canpan.info/jitou/archive/2342
★哲学を持つマインドフルネスを


(この連続記事は、どの流派のマインドフルネスの推進者であっても、すべてに関係します。どこかの出版社が本にしてくださらないでしょうか? テキストは、もっと詳細です。この記事は要約しています。)
「がん哲学外来」に寄せて ⇒目次

【目次】日本のマインドフルネスの再興を
Posted by MF総研/大田 at 21:44 | 新しい心理療法 | この記事のURL