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(123)意識の深さ、苦悩の深さ、自己の深さ(1) [2016年08月25日(Thu)]

(123)意識の深さ、苦悩の深さ、自己の深さ(1)

 うつ病や不安症などは、種々のことからおきます。ひどくなるとどの場合でも、抑うつ症状がひどくなり、治らないと自殺のおそれがあります。対象となる意識、自己の階層に違うものがあるようです。

 西田哲学によれば、意識の階層からいえば、知識(感覚や思考)、感情、意志作用、行為的直観、自覚的直観だといいます。
 自己の階層では、判断的自己、知的自己、意志的自己、叡智的自己、人格的自己があります。

 抑うつ症状が強まるもの、自殺に至るものには、種々の階層からおきるようです。

 痛みは感覚です。意識作用としては浅いものですが、これからも抑うつ症状、自殺が起ります。たとえば、帯状疱疹後に持続する痛みや 線維筋痛症の強い痛みです。耐え難い痛みは抑うつ症状を引き起こします。 あまりに痛みが強いと、価値実現のことに意識を向けることが困難になります。 治る見込みがないと自殺も起りえます。感覚レベルの苦痛は自己の思惑と無関係におきるものと、自己の思考によっておきるものがあります。

 感覚よりも深いものが「感情」です。感覚や思考によって感情が起ります。この感情レベルの苦痛のうち、よく知られているものが不安症です。従って、感情を観察して、対処法を習得しなければなりません。これも「マインドフルネス」です。感情のマインドフルネスです。感覚や身体動作よりも深い意識の感情です。そのようなマインドフルネスを実践しなければなりません。西田哲学によれば、ここは知的自己、感情的自己であり、浅いものですが、このレベルの苦痛は多いのです。パニック症、広場恐怖症、社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)、PTSDなど、あります。感覚レベルのマインドフルネスでは解決できません。それよりも深い問題ですから。この感情レベルの解決ができなくても、抑うつ症状、自殺が起ります。パニック症、PTSDなどが治らないと、自分の価値実現を絶望して苦痛の思考を深めて、抑うつ症状、自殺があります。もう、感覚よりも深いので、感覚レベルのマインドフルネスだけでは改善できないでしょう。うつ病でも再発予防のマインドフルネスがあります。不安症を治すことができないマインドフルネスです。

 私はよく、「せき」をたとえにします。ただの風邪によるせき、気管支炎によるせき、肺炎によるせき、もっと別のせき(喘息、間質性肺炎など) あるようですが、治療法が違うでしょう。精神的苦痛も深い意識によるものは、浅い心理療法やマインドフルネスの介入では完治させる効果がないでしょう。

 マインドフルネスを実践する意識は、感覚でもなく思考作用でもなく、深い意志作用です。感覚、感情の苦痛の場合、意志作用を担う脳神経領域、背外側前頭前野が機能低下していなければ、マインドフルネスを実践できます。しかし、うつ病になると背外側前頭前野の機能低下があるので、マインドフルネスの実践は容易ではありません。 よく理解したマインドフルネスの臨床の支援者が必要です。月1回の支援では、完治までに1年もかかります。もっと短縮できないか研究しなければなりません。うつ病を治すスキルを持つ支援者がたくさん育成されて、集団で組織的に新しいマインドフルSIMTの適用のしかたを開発できないかと考えています。マインドフルネス瞑想療法士が多勢になって組織的な活動をしていただきたいと思います。

(このテーマは続く)
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「哲学を知り実践するマインドフルネスSIMT」

Posted by MF総研/大田 at 20:20 | 新しい心理療法 | この記事のURL