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(122)ジョン・カバット・ジンとマインドフルネス [2016年08月24日(Wed)]

(122)ジョン・カバット・ジン氏とマインドフルネス

 マインドフルネスを世界にブームにしたのはジョン・カバット・ジン氏(またはツイン氏)です。日本の紹介のしかたは、「宗教性を排除した」といいますが、 これは一種のあぶなさをもっています。
 マインドフルネスは浅いので、悩みを解決できないひとが、カルトや過激な思想に誘惑されるおそれがあります。宗教や哲学は重要です。浅いマインドフルネスは一部の人しか実践していかなくなるでしょう。今でも、指導者が毎日、瞑想やボディスキャンをやっておられるでしょうか。
 部下には「集中力向上」といって激励し、経営者はやっておられるのでしょうか。

 アメリカの医学者ジョン・カバト・ツィンが襌の実践や東洋哲学を応用して、痛みの緩和を主な目的として、マインドフルネスをベースにしたストレス緩和プログラム(MBSR)を開発しました。これが、他の問題の改善にも応用されています。
 正座瞑想、ヨーガ瞑想、ボディスキャンがMBSRの中核となる実践ですが、これらを実行する時に、次の態度で行うこととしています。 (1)自分で評価をくださないこと
(2)忍耐づよいこと
(3)初心を忘れないこと
(4)自分を信じること
(5)むやみに努力しないこと
(6)受け入れること
(7)とらわれないこと

 ツィンは、次のように述べています。道元の哲学、実践を応用して、心理学、心理療法にしたのです。

 「「マインドフルネス瞑想法」というのは、”今”という瞬間に注意を集中するという方法です。これは仏教における瞑想の中核といわれており、禅宗を初めとして、そのほかの仏教宗派でも非常に重んじられているものです。しかし、仏陀も強調しているように、「マインドフルネス瞑想法」は、仏教徒以外の人が普通の生活に広く応用できる普遍性を備えているものです。」

 「私は、長年、日本の文化から大きな影響を受けてきました。1960年代初期に、まだ学生だった私に初めて日本の禅というものを教えてくれたのは、鈴木大拙でした。その後、鈴木俊隆著”Zen Mind, Beginner's Mind(初心禅心)"に出会い、本格的に瞑想の精神を探求する道に足をふみいれることになったのです。13世紀の偉大なる禅師、道元 の優れた思想にも大きな影響を受けました。道元は次のように言っています。
 瞑想を行い、そこから様々な功徳を得ている人は数知れない。あまりにも単純な方法だからといって、その可能性を疑ってはならない。今、自分が存在している場所で真実を見つけることができないというなら、いったいどこに真実があるというのだろう。
 人生は短く、何びとも次の瞬間が何をもたらすかを知ることはできない。心を養いなさい。 その機会はいくらでも訪れる。やがて、すばらしい知恵を発見することになるだろう。そうすれば、今度はその知恵をほかの人びとと十分に分かちあい、彼らに幸福と平和を与えることができる。
 私は、道元が何を言おうとしているのかを真剣に考え、この言葉には、日本だけではなく西洋にも通じる、深い教えがこめられていると確信したのです。」

 ジョン・カバット・ジン氏は道元禅師を絶賛しています。それなのに日本人は、見捨てたままなのでしょうか。

 襌や東洋哲学には、ツィンがいうように、7つの態度のようなマインドフルネスの要素があります。また、 彼は、MBSRの根底には全体性があると言っています。こうした、特徴は、東洋哲学にあります。

  「”全体性”は、生まれたときからもっていたものです。つまり、 ”全体性”という視野をもつことで、今までとは違ったとらえ方がで きるようになり、分裂した思考も、恐怖、弱さ、不安なども乗り越え ることができるということです。絶望さえも乗り越えることができる のです。
 しかし、”全体性”や”内的な結びつき”を理解するのは、一生の 仕事です。瞑想トレーニングは、それらを理解するために意識的にふ みだした最初のステップにすぎないのです。」

 彼がいうのですから、深い全体性でしか救済されない人たちのためにも、さらに深くはいっていく必要があります。テレビでも紹介されましたが、うつ病については、再発予防やうつが深くなりそうな段階で重くなるのを防止する段階が主です。重いうつ病やがん患者さんのケアなどにはまだ欧米のマインドフルネスを使うことができません。 しかし、ジン氏がいうように、日本の禅は深いものがあります。それを研究しなければ、彼が学んだ禅のある日本の独自性がありません。
 日本文化や日本人には、深い禅が流れています。世阿弥、千利休、芭蕉、良寛、多くの人が禅を実践しました。悩みの解決でもすごいものがあります。専門家のエゴイズムも多いです。我見我執己見を捨てよと実践します。「死」のことまでも解決します。深いマインドフルネスです。
 二元観にゆきづまった西洋です。深いマインドフルネスは、自然と我が一体とか、自他不二的な実践のある日本が得意とするところです。

(注)引用文は、ジョン・カバト・ツィン,1993『生命力がよみがえる瞑想健康法』春 木豊訳、実務教育出版から。
「がん哲学外来」に寄せて ⇒目次

【目次】日本のマインドフルネスの再興を

連続記事目次
「哲学を知り実践するマインドフルネスSIMT」

Posted by MF総研/大田 at 18:42 | 新しい心理療法 | この記事のURL