(22)西田幾多郎の実践論(梗概) [2015年09月18日(Fri)]
(22)現代的社会的創造的マインドフルネスへの実践とは
西田幾多郎の実践論(梗概)
現代的社会的創造的マインドフルネスの実践の方向づけのための哲学的根拠
およそ、次の論理的な西田哲学の主張を明らかにすることによって、
深いマインドフルネスを哲学的に根拠づけてみたいと思っています。
次のことを西田幾多郎は言っています。
- 従来の見方は「主観主義」と西田はいう。今、出回っている「禅」も主観的自己をそのままに残した主観主義的禅になっている。ブームのマインドフルネスと同じ。
- 自己と世界の根本的事実
- 真の自己、根本的事実、抽象的思想ではない、自己を越えたものがある、
- 自己と世界の真相、自己は意志により世界を否定しようとする
- 時は直線的にだけ流れるのではない、時が消え過去未来が同時にある円環的限定がすべての人の根底でおきている
- 真の当為(実践=マインドフルネス実践)は真の自己から
- 自己とは何かが決まらない限り、実践が決まらない
実在論から認識論、実践論へである。
意識的自己の立場の実践でなく、対象とならない真の自己の立場からの実践。
- 意識的自己は真の自己ではない。対象的自己からみた実践は真に世界を創造する自己ではない。我利我執の実践にすぎない。
- 具体的実践
- 歴史的地盤において(前の記事)
- 主観的自我の否定
- 物となって見、物となって働く
- 行為的直観から最終的には自覚的直観で
- ポイエシス的に社会創造。同時に、内面は、絶対的一者の表現点となる自己形成のプラクシス的実践。
- 身心一如的
- 仕事の大小高下ではない、
- 瞑想ではない(それはプラクシスのみだから、ポイエシスがない)
- 一般自己でない,類的一般者でない 社会(団体)的、国家的でない、唯一の人格的自己として,魂は他者の見解、集団の見解に依存せず。
- それぞれの生きる場所で、自分しかできない人格的自己として、個性的な社会創造の仕事がある。大小高下ではない。人格的自己の立場の子育てもある、医療もある、ゴミ拾いもある。人格的自己の立場で、トイレを掃除する人もいた。
- なぜそうするのか
- 人間の本質がそうであるから、根底に絶対的一者を持つ
- 自己が生きる世界だから
- 東洋道徳、日本人はそうしてきた、
- 悲哀、苦からの解放
- 他者に悲哀、苦を起こさないために
- 他者に楽を与えるのが慈悲だが、仏教者がいう慈悲とは違う西田哲学
◆だが、容易ではない
- 西田は、しきりに、禅が理解されていないと、書いていた。
今も、続いているのだろう。
- マインドフルネスがブームである。禅だという人もいる。ブームのマインドフルネスは対象的、主観主義的である。禅とは違うのだが。
- 人は世界(他者を含む)を否定して自己が世界になろうとする。西田哲学でさえも、否定する。
- 人は組織に縛られる、組織人は容易に説を変えない。(種的基体的)
団体の長老やある立場に立った他者の見解(絶対無でなく、その説法者の意識的自我の立場)に同調せず、たった一人で絶対者に対決する人格的自己となるのは、容易ではない。5年、10年、20年、真の自己を探求する根気強い人は少ない。
- 昭和までは、それぞれの時代に、それを探求した人がいた
- 日本には、それぞれの時代に深い絶対無の禅、最も深いマインドフルネスに生きた人がいた。世阿弥、利休、芭蕉、良寛などに、それがある。
- 日本の禅は、人間の根源はこれを自覚したのであるが、経済的社会的医療福祉的実践が弱かった。時代に影響したのである。現代の環境では、昔の禅にない自由を得た人格的自己として、社会創造に積極的に働く必要がある。
狭い集団内で、指導者が尊敬された位置で、瞑想するのが、西田哲学のいう創造的世界の創造的要素としての人格的自己ではない。
- 今は、専門家も否定されている。昭和の時代までは、すぐれた禅者がいて、その人たちしか、禅を説くことはなかった。
今は、誰でも禅を説いている。意識的自己(主観的自我を残したまま)の立場からである。本当は、西田哲学で紹介した深い禅ではない。
☆人も組織(人である)も、新しい見方を否定しようとする、旧を固守しようとする、自分の立場を固守しようとする。
人は世界(他者を含む)を否定して自己が世界になろうとするからである。
そういう中で、西田のいう世界を創造していくことは、容易ではない。
今、この環境で、どう生きるのが、その他多勢の一般的人間でなく、真に唯一の「人格」として、自分の根底にある絶対者に恥じない生き方ができるのか。
こういう西田哲学を
マインドフルネス精神療法研究会(D1)で、研究しながら実践し、体得していきます。日本には、実に深いマインドフルネスがあります。
【目次】西田哲学からみる科学学問、そして哲学
〜マインドフルネスSIMTと表裏
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Posted by
MF総研/大田
at 21:06
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深いマインドフルネス
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