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専門家のエゴイズム(2) [2015年03月12日(Thu)]

板橋勇仁氏の西田哲学に学ぶ(11)

 専門家のエゴイズム(2)=マインドフルネス者にも

 マインドフルネスがブームである、といっていいのでしょう。マインドフルネスの専門家が多数あ らわれている。ブームの時には、エゴイズムも多くなる。困っている人が、マインドフルネスに期待して、マインドフルネスの専門家の支援を受けるのだが、うまくいかずに、悩みが解決しない、あるいは、もっと悩むことになる、専門家のエゴイズム。うつ病の人は死の瀬戸際にいる。被災なさったかたの苦悩も深く、死にたくなっておられる人も多いだろう。そういう人たちが、苦しみを深めるようなことをしてはならないのだが、善意でしてしまうことがおきる。善意であっても、無智、怠慢、不勉強(*)であれば、苦しみを深めてしまう。 うつ病は、実につらい。死ぬことを選びたいのだから。
 西田哲学は、専門家もエゴイズムを犯すという、板橋勇仁氏がよく解明指摘されている。ある立場、専門家自身、自分に都合のいい立場にたつからである。 マインドフルネスもブームとなっているから、泣かされるクライエントも多くなるだろう。それがあか らさまになって、ブームが去り、平穏になるのだろう。 マインドフルネスの専門家のエゴイズムを考えてみたい。

 ひとつは、支援者が問題の深さと習得したマインドフル手法の深さのギャップを知らずに、善 意で、または、知っていて悪意で(*金銭的収入が目当てか集団的立場上やむをえずか)支援すること、さらに、知っているが自分しか支援できずやむをえず支援すること・・・。効果は充分には現れ ないだろう。  V・E・フランクルも、表面の平面的な心理だけでクライエントを見ることの誤りを指摘し、人は立 体構造の「精神」を持つことを考慮しなければならないことを言った。 同じように見える「抑うつ症状」が、浅い心理によるものと、深い精神から起きているものがあるわ けであるが、根本のところに届かない手法、薬を用いると、一時的には改善しても、完治に導か れないだろう。
 「マインドフルネス」といえば、みんな同じではない。

(続く)
    (注) (*)こういうことは、仏教では、「煩悩」といった。マインドフルネスSIMTも、似たようなエゴイズムの心理に気づくトレーニングをする。「本音」という。欧米のマインドフルネスはこういうことをいわないで、浅い心理だけを扱う傾向がある。西田によれば、集団の悪もあるという。

    Pxxは、板橋勇仁「歴史的現実と西田哲学」(法政大学出版局、6480円)のページである。 原文には改行がないが、ここでは改行をいれた。(9,145)は(旧全集9巻145頁。
板橋勇仁氏による西田哲学研究

Posted by MF総研/大田 at 18:59 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL