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20代の自殺・低い自己評価(4) [2014年09月29日(Mon)]
★女性雑誌 anan の取材がありました。「1924号」に掲載されます。
10月1日発売(1924)号 の「諦める」の部分です。このテーマで3人の取材があり、うち一人が大田です。

20代の自殺・低い自己評価(4)

 自己評価が低くて、死にたくなっている人が多いようです。若いうちに改善していないと 30代〜60代になってからも自殺割合が高いグループになっている可能性があります。 自己評価が低いということは、自分を愛することができないということです。
 西田幾多郎は次のように言っています。
     「自己が自己を知るとは、自己が自己を愛するといふことでなければならない。或は知らないもの を愛するといふことはできないといひ得るであろう。しかし知るものを知るといふことが、自己を愛す ることである。」(西田幾多郎旧全集5巻365頁)
 何かを好きになる、愛するのはそれをよく知り意味を見出すからです。 それと似て、自己を嫌悪したり、自己評価が低いのは、「自己を知らない」からであるというのです。
 「死にたい」と思う人は自己を知らないのです。「自分はこうだ、だから嫌い」という場合、思考によ って考えられたものを自己と思って、それを嫌悪、否定しているが、違うのです。思考作用で描い た自己像を思考の野に映して、それを嫌悪しているのですが、真の自己は、そういう思考作用を起す ものです。真の自己は思考の対象にはならないのです。「自分とはこういうものだ」という思考作用 と、それを嫌悪する作用がありますが、その両方を見る働きをするものが奥にあります。 それは、思考の対象にはならないので、思考では掴むことができません。
 マインドフルネスには不快なものをあるがままに見て受容し、自己の価値実現の行動に 専心する心の用い方ですが、その不快さに浅い感覚的なものから、最も深いはずの自己存在まで あります。「自己評価が低い、生きている価値も喜こびもないために死にたい」という苦悩や「がん になった、死が近いのでは」という自己存在の苦悩は、痛みなどの感覚でもなく、対人関係の思考 レベルでもなく、もっと深いものです。感覚的なもの、思考的なものは、いやしの場所もあるでしょう が、自己評価の苦悩や自己の死の苦悩はいやされる場所がないように感じられます。ゆえに、浅 いものを対象とするマインドフルネスは、動機づけとならないのです。

  「複雑性希死念慮」もうつ病に似たところがあります。うつ病には次の精神症状があります。
  • @抑うつがある。(気分が重く沈みこむ) (ほとんど1日中、ほとんど毎日)
  • Aすべてに興味がない、何をしても喜びを感じない。 (ほとんど1日中、ほとんど毎日)
  • B死についてしばしば考える。自殺念慮がある。「消えたい」「死にたい」「死んだほうがましだ」と 考える。
  • C食欲の減退、体重の減少。
     または食欲、体重の増加(こちらの場合は、非定型うつ病かもしれない)。
  • D不眠。
     または睡眠過多(こちらの場合は、非定型うつ病かもしれない)。
  • E焦燥(いらいら)または制止(動きがにぶい)。(ほとんど毎日)
  • F疲れやすい。(ほとんど毎日)
  • G自分を責める気持ち、または、自分は価値がないという気持ち。(ほとんど毎日)
  • H思考や集中力の低下。決断困難。(ほとんど毎日)
  • I将来に希望が持てない。
 20代の若者が急性のうつ病でなく「複雑性希死念慮」がある場合、上記のうつ病の症状のうち、 1番の軽い症状、ほかに2番、3番、8番、10番の症状があると言えます。
 急性のうつ病は急性のストレスによって、脳内のさまざまな部位に変調が起きているのですが、「 複雑性希死念慮」になっている人は、生育期における長期間のストレスにより、やはり同様の脳内 の変調が生じていると推測されます。

 この仮説によって改善の支援をするとしたら、次のようになるでしょう。

「複雑性希死念慮」の改善の方針

 自己の構造を知る。意識された症状は意識作用が作ったもの、奥に作用がある。 さらにその奥にその作用を起す自分がある。
 「自分はこうだ、価値がない」というのは、 思考作用が作ったものにすぎない。他の症状も何かの作用の作ったものである、 自己自身ではない。
 そこで、呼吸法をする、自己否定の思考はストップする。簡単にはいかない、長期間かかるが何 とか生きたいという真剣な人は改善する可能性がある。 長期間、自己の哲学を帯びて呼吸法(自己洞察法)を実践していくと、脳内に変化をもたらすはず である。それによって持続していた抑うつ症状は改善し、それにつれて社会的な行動に強く関係 する前頭前野も回復してくるだろう。そして、自己について哲学的な智慧も体得(哲学が生活化さ れる)されれば、希死念慮も消失すると思う。

 実践してもらえるかどうかは、「複雑性希死念慮」の起きる脳科学、それとマインドフルネス心理療 法の哲学と実践法の関係を理解してもらうことと、実際に長期間実践できるかどうかにかかってい る。成人後の急性のうつ病は、若いころ希死念慮があったわけではなく、脳のネットワークがいったん順調に形成された後のストレスによる脳内の変調であるた めに、回復が容易であるように見える。1年程度で回復するが、「複雑性希死念慮」は、生育期から ストレスにさらされていたのであり、希死念慮を持った期間が長いのであるから、回復するにはもう少し長くかかるかもしれない。
 真の自己は、西田哲学によれば、知的自己(衝動的自己もこのレベル)、意志的自己、叡智的自己、人格的自己がある。どこまで深い自己を探求していかないと希死念慮・自殺念慮が改善するかわからない。個人によって違うだろう。 下図のように、西田哲学によれば、人格的自己は古来、日本人が襌で探求してきた深い自己であり宗教レベルである。 叡智的自己は宗教ではないが、人格的自己に迫る自己であり、自己を愛することができる。自己 評価の問題は解決する。
 仕事などを持っている人とそうでない人とは違いがある。仕事などを持たない人は、希死念慮の症状が回復 するほかに、意味あるものを見出すプロセスも必要になる。病理の回復ではなく、ロゴセラピー的な 意味発見の支援のカウンセリング、さらに、就職支援も必要である。関係機関の連携があればいいのだが 。

 このような仮説が正しいか、若者が真剣に実践できるかわからない。そのような若者が実践した 例をみたことがない。これに希望をもてる人がやってみてほしい。早々と絶望せずに試してみる価 値があると思う。

 埼玉や東京で、実習講演会を開催しています。 申し込みの時に「自己評価が低い」と伝えてください。そういう方の参加があれば、その方面の話もします。


 昨日は、日本マインドフルライフ協会の定例会でした。脳内のネットワークの話でした。マインドフルネスの実践との関連があると思います。 マインドフルネス心理相談員の講座で学習します。

20代の自殺が増加・低い自己評価 l8m-gutaiteki-s2.jpg
Posted by MF総研/大田 at 10:29 | 自殺防止対策 | この記事のURL