• もっと見る
«「20代の自殺」低い自己評価(2) | Main | 20代の自殺・低い自己評価(4)»
複雑性希死念慮〜20代の自殺・低い自己評価(3) [2014年09月27日(Sat)]

複雑性希死念慮
  〜 20代の自殺・低い自己評価(3)

 自殺予防デイ(9月10日)にちなみ、今月はNHK Eテレビが「20代の自殺」について繰り返し 報道しました。愛情をそそがれて育って、就職難、仕事がきつい、人間関係などによって「死にたく 」なるケースは、普通にみられるうつ病だと思います。死にたい、無価値感、低い自己評価は、うつ 病になり前頭前野、海馬などに病理が起きているため、つまり、うつ病の典型的な症状であると推 測できます。
 こういうケースは、前頭前野などの病理を回復するのが方針となるでしょう。薬物療法、マインドフ ルネス心理療法などが効果的でしょう。そして、就職について社会的な援助が必要です。

 もう一種、多いように見えたのは、生育環境によるもので、親が厳しく育てた、言葉による虐待とも いうべき環境で育ったケースです。子どもの当時も楽しい生活ではなかったはずで、子どもの頃か ら、長期間の心理的ストレスにより前頭前野などが機能低下しているのだろうと推測されます。 子どもの頃から、抑うつ症状や希死念慮があったのだろうということです。虐待や強いストレスが繰返されたた めにPTSDになった「複雑性PTSD」という概念がありますが、成人になってからPTSDの発症にならず、上記のような持続的な希死念 慮・自殺念慮が続く事例は、通常のうつ病とは違った治療方針が必要であると思います。 うつ病の分類に入れるべきなのか決まっていないでしょうから「うつ病」とは言わずに「複雑性希死 念慮」と呼んでおきます。

 そのような状態が治療の対象とならずに20代になっているのだとしたら、根底に持続的無価値 感、長期的希死念慮・自殺念慮があることになります。通常のうつ病は急性の発症で、薬物療法 やマインドフルネスで効果があります。 普通のうつ病は、出版したマインドフルネス心理療法(SIMT)で改善できます。1年ほどの呼吸法、 自己洞察法ができる人は、徐々に前頭前野などに影響を及ぼして回復していくのだと推測されま す。

 これに反して「複雑性希死念慮」は、長期間の実践が必要になると思われます。
 マインドフルネス心理療法(SIMT)で行うとしたら次のような解決方針になると思われます。

<目次> 20代の自殺・低い自己評価
Posted by MF総研/大田 at 07:19 | 自殺防止対策 | この記事のURL