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高史明さんと金光さんの対談(2) [2014年09月17日(Wed)]

高史明さんと金光さんの対談(2)
 =自殺、自分がわからない、仏教について語る(2)

 9月7日、NHK Eテレビで、作家高史明さんと金光寿郎さんの対談を放映しました。これにつて考えていますが、その続きです。

 金光さんはしきりに、「本当の自分は、対象的に考えられるものではない」 と言っていました。しかし、普通は、対象的に「自分はこういものだ」とか「見ている者」 「行動している者」「生きているという気がしている魂のような者」を自分だと思っています。 金光さんは、違うというのです。また、息子を自死で亡くした高さんも、そんな自己では救済されなかったのです。親鸞上人の教えに深く、はいっていったのです。
    (日本発のマインドフルネス、自己洞察瞑想療法では、この浅いレベルの「考えられた自分は真の自分ではないからストップしよう」という訓練も取り入れています。 うつ病の人には、自己嫌悪、自己評価の低い考えを渦巻かせることが多いからです。それは、症状を悪化させ、極限に自殺が起りますので。 『うつ・不安障害を治すマインドフルネス――ひとりでできる「自己洞察瞑想療法」』佼成出版社、121ページ)
    金光さんは、深い自己のことを言っていますが。


 次の言葉では、西田幾多郎は道元の言葉を引用して、道元と親鸞は、最も深い宗教的立場(真の自己は絶対に対象にならない、人格的 自己の立場)であるといっています。この深いところは、西洋の哲学にはあまりないのです。 欧米発のマインドフルネスも、ここまで到達できるような実践手法には言及していないようです。大変深い日本の哲学です。「自己をわするるなり」、つまり、自己脱落です。
     「道元は仏道をならうということは、自己をならうなり、自己をならうという は、自己をわするるなりという。それは対象論理的見方とは、全然逆の 見方でなければならない。元来、自力的宗教というものがあるべきでな い。それこそ矛盾概念である。仏教者自身もここに誤っている。自力他 力というも、禅宗といい、浄土真宗といい、大乗仏教として、もと、同じ立 場に立っているものである。」 (『場所的論理と宗教的世界観』旧全集11巻411頁)
 「自分はこういものだ」とか「見ている者」 「行動している者」「生きているという気がしている魂のような者」などはみな、対象論理的見方 であり、自己の真相ではないのです。自分の思考作用で想像したものを自分で嫌い、恐怖しているようなものです。
 本当の自分は、思考作用の対象にはならない、すべての意識現象の奥底にあって、対象的には見ることができないという。この絶対無に裏づけられた自己を人格的自己といいます。 意志的自己、叡智的自己のもっと奥です。日本のマインドフルネスは、深いところまでの扉が開かれています。金光さんと高さんが対談したようなところは、人格的自己レベルです。西田幾多郎が上記、引用文でいったところです。叡智的自己まで、宗教ではありません。 真剣に自己洞察できる人は、できるものです。
 NHKが放送したということは、深い自己の探求が自殺防止対策になるはずだという思いがあるのでしょう。息子さんが残したノートに「自分が信じられない」という言葉があったそうです。 虚無、自己不信、自己嫌悪が深まると自殺が起りえます。夏目漱石も同じようなことを言ったそうです。自分を知る、自己洞察ということがとても大切です。これがゆらいだら、社会の中に意味を見出して価値実現の行動ができても、なお、自己存在の闇を見るのですから、精神はやすまりません。

 日本の仏教や哲学は、本で記述された本を読む「思考レベル」になっていることが多いでしょう。 感覚、思考、意志的自己の意志作用、叡智的自己の直観、人格的自己の自由意志となりますので、 読む仏教、哲学勉強は浅い意識作用である認知、思考を使うので、解決できる苦悩は限定されるのは、論理的に推定できます。 坐禅や我執を捨てる実践があれば、行動レベルといえます。 「不安、動悸があっても電車に飛び乗ればいい」と認知、思考で理解できても、 現実の行動ができなければ、「広場恐怖症」は治りません。 西田は、思考よりも行動の方が深いといいます。 長引くと、就職、家事、家族と同伴の行動に支障があって、自己嫌悪からうつとなり、自己存在を消す自殺がおこりえます。 思考レベルと行動レベルは、大きな壁がたちふさがっています。その先の叡智的自己、人格的自己も大きな壁があります。 マインドフルネスも、浅い意識現象から深い自己存在そのものまでをマインドフルネスするものまでありそうです。これからの研究、開発の課題です。
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