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避難生活の男性・ひきこもり [2014年01月29日(Wed)]

避難生活の男性・ひきこもり

 東日本大震災の関連の報道がもう一つありました。NHKの首都圏ネットワーク(27日)で 、避難生活の男性にひきこもりが起きていると報じました。  岩手県宮古市にある仮設住宅で、男性のひきこもりが多いという。 ふれあいの行事、宴会、カラオケ、ボランティアによるマッサージのサービスを開催しても、 男性は参加しないという。 これは、ここだけの傾向でははないという。 女性は会話を楽しめるが、男性はそれはないという。

ある取り組み

 被災された方は、仕事、家族、家、故郷を失った苦悩におおわれています。東京に避難 している福島県のある男性は、 とじこもり、泣きながら酒を飲む日々でした。
 被災者支援をしているボランティアの人が、 その男性が家庭菜園が好きだったときき、空き地を利用した野菜作りを呼びかけた。 その男性はリーダー的な存在になり、元気よくなったそうです。他の人に頼られる存在になっています。
 こういうことが、V・E・フランクルが「苦悩を業績に転換」したというのでしょうか。震災にあい深刻な苦悩にあった人が、そこを抜け出ることによって、他の人に苦悩を克服できるモデルとなり、他の人に希望や感動を与えるという輝かしい「業績」であるように見えます。
 被災なさった方には、大きな苦悩があり、援助法も一筋ではいかなくて、マインドフルネスも限界があるでしょうが、一部の方には効果があるのではないかと思います。 薬物療法、認知行動療法、マインドフルネス心理療法、フランクルのロゴセラピーなど、それぞれ異なる場面に貢献できるのではないでしょうか。

男性はひきこもる傾向

 被災者の方に限らず、男性はとじこもる傾向があります。 私は高齢者の施設3か所で「心の健康体操」を行っているが、女性が圧倒的に多いです。 デイケア・サービスの施設では、男性はゼロです。男性が一人、2,3回出てきても続きませ ん。女性はおしゃべり、歌、折り紙、手芸などで楽しむことができます。しかし、男性は浮い てしまいます。

自発的な心の健康クラブ

 一方、年会費制の自発的な集まり、「心の健康クラブ」には、男性の参加者が多いです。 マインドフルネス心理療法の学習をしています。やさしい哲学 (やさしい自己洞察)の話しもします。 参加者はあまりしゃべる必要はありません。心の健康、自己洞察法、やさしい西田哲学の話しの説明などを聞き、呼吸 法を行います。黙っていても参加できる方式です。こういうところが男性にあっているせい か、定着率が高いです。今のところ宣伝もしないので、参加者は少ないのですが、今後、 高齢者の多いこの住宅団地ですから、広めていきたいと思っています。時間は、今は、月1回2時間ですが、回数をふやし、数時間(10時から3時)に拡大すれば、とじこもりがちな老父をみている女性の息抜きの時間を作れそうだと話しあうことがあります。

男性が参加できるデイサービス

 聞いてみると、高齢の父親を預かっている娘、嫁がとじこもりがちな父、義父を毎日、ケアし ているようです。老母ならば、デイケア施設に行くことを嫌がりません。しかし、 老父、老義父は、デイケアに行くことを嫌がります。それで、40−60代の女性(実娘、嫁)が 毎日、自宅で世話をします。自分の用事で外出することも自由にできなくなります。息抜きの日がありません。
 私が行く、高齢者施設でも参加者は女性ばかりですから、自宅でお世話している女性はかな りストレスをかかえているはずです。
 このような事情を察することができますので、ある人に「男性のためのデイサービスを 提供すれば、喜ばれるね」と話したら、賛同してくれました。男性が喜んで参加してくれる 内容、プログラムは何だろう、自己洞察か、人生のことか、哲学か、仏教か、襌か、文学か、芸術か、歴史か、温泉か、歴史散歩か、希望を 聞きながら、地域の人で協力してくれる講師をお願いすればいいのかなと思案しています 。月のうち、1−4回でも、高齢の男性を,数時間預かるデイサービスがあれば、 お世話している女性が助かるはずです。その間、自分のための時間を使うことができます。
 被災地でも、男性にいきがいを見つけてもらうとか、参加できるプログラムを考えないと、 ひきこもりから、生活不活発病、そして介護状況の悪化、また、喜びの無い生活の苦悩からうつ病、自殺になり かねません。人は、他者のために行動すること、何かに参加することで、生きがい、喜びを 感じる存在です(フランクル、西田幾多郎)。とじこもって、つらさを見つめているだけでは、生きている喜びを感じるこ とができません。多くの生きがい、人生の価値を失ってしまって苦悩の中にある被災地の方が何とか生きる意味をみつけていただきたいと思います。
Posted by MF総研/大田 at 22:13 | 災害とストレス | この記事のURL