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全国にうつ病が治らない人がいる [2013年12月03日(Tue)]

全国にうつ病が治らない人がいる

 30日は、埼玉での実習の会でした。想像を越えた遠方から(飛行機で、宿泊して)のご参加がありました。 そこの 市でも、病院には患者さんが多く、診察は数分、薬がふえていく・・・。どこも同じように長引く患者さんがおられます。 これでは、自殺が減らない。 やはり、うつ病を「治す」スキルのある心理士、カウンセラーが全部の県に必要です。

 仏教は、経典、論書、一般的説法的な本があふれていますが、その解説者、著者が、うつ病さえも治すことができない状況になっています。 現実社会は激しく変化してるのに、 僧院の中でしか実践されなかったためと思われます。インド大乗仏教以後の 当時は封建社会であり、為政者が庶民に苦痛を与えていたために、苦悩の解決のための仏教ということはいえなくなりました。 現実に自分の実践と、現実社会の具体的問題の臨床応用実践がされてこないからと思われます。

 実際、現代においても、仏教の唯識の実践のとおりに<実践すれば>うつ病も治ると思われますが、唯識でうつ病の援助をする専門家はおられないでしょう。自己洞察瞑想療法(SIMT)は、大乗唯識とかなり似ています。もし、唯識の修道論によって、<実践>すれば、自己洞察瞑想療法(SIMT)と同じ程度にうつ病も治るはずです。 ところが、仏教、唯識によって、うつ病を治せる仏教者、研究者がほとんどおられません。 自分で実践してみて、実際にある領域(うつ病でもリハビリ現場でも病院でも)に具体的に適用できるように、やさしく翻案して援助するということが必要です。マインドフルネスも援助者の特定領域での実践による体得が必要です。アメリカのジョン・カバト・ツィン氏は「痛み」の緩和のために、具体的手法MBSRを開発しました。このように、現実の問題に具体的に実践適用してみる必要があります。MBSRは感覚レベル、身体の動きレベルですから、もっと深刻な苦悩には適用しても解決しにくいでしょう。たとえば、深刻なうつ病、暴力、パーソナリティ障害、死の覚悟などです。 問題をもたらす心の作用の深さが違います。アメリカでは、深いマインドフルネスも開発されています。

 マインドフルネスで現実の苦を改善する援助は、簡単ではないのです。相当な体力、気力、説明できるスキル、持続する使命感が必要です。お一人を引き受けたら、1年は援助しなければなりません。希死念慮・自殺念慮が1年続く人もいます。途中で援助を打ち切ったら、そこで絶望されるかもしれません。うつ病は簡単には治りません。援助を途中で放棄できません。だから、高齢になった私も、直接の臨床支援が難しくなってきました。若いマインドフルネス者の育成と深いマインドフルネスの開発も大切になってきました。
 マインドフルネスは、宗教レベルの人格的自己のマインドフルネスならば、実践仏教と同じく、自分の「死」の問題までカバーできるはずです。襌の悟りを得た人の言葉に「無我」「不生」「生きながら死人となりてなりはてて」「対象となるような自分はない」「私は死なない」といいます。大乗仏教や西田哲学がそこまであると示していますから。

 「マインドフルネス」も研究論文だけがあふれる状況にならないように 祈ります。現代人の苦悩は、思考レベルではありません。思考を越えた実践が必要です。そして、問題は複雑で同じ問題でも個々人の苦、理解力は違います。だから、援助者も実践した人でないと十分な援助ができないでしょう。現実の問題の解決のために、第一線で問題・苦悩をかかえる人にあい臨床できる援助者がどうしても必要です。

 同じような「せき」に見える病気に対して、風邪の薬を気管支炎、肺炎、 間質性肺炎に用いても治らないでしょう。外科医が講義を聴いただけで、手術できるはずがありません。実際の手術を指導医のもとで立会い、何度も実際を経験して、独り立ちしていくはずです。マインドフルネスも簡単ではありません。仏教の本は洪水のようにあるのに、具体的適用を研究試験、効果検証をしてこなかったから、一人のうつ病の人さえも治せない、・・・。 マインドフルネスが仏教と同じような状況にならないように痛切に祈ります。うつ病の患者さんは、死の瀬戸際におられます。

 本、『うつ・不安障害を治すマインドフルネスーひとりでできる「自己洞察瞑想療法」』 (佼成出版社、大田健次郎著)を出版しましたが、 自習できる人ばかりではなく、2,3セッションで脱落する人もおられます。直接対面で、援助できる人がいてほしいです。 来年は、関東から遠いところに、援助者を育成する方策を考えたいと思います。
 来年、総会の決議を経た後に実施しますが、1,2の県の心理学のある大学に数か月間、寄付講座を提供したいと思います。ほかにも、どこかの団体(日本マインドフルライフ協会が可能性あります)のご賛同が得られれば、協同して、マインドフルネスの援助できるスキルを実際の持つ人を育成することを企画していきたいという願いを持っています。ただし、すべての人がうつ病を治す深いレベルのマインドフルネスのSIMTまでは体得したいとは考えておられません。幅広い領域に適用できる浅く広い基本的なマインドフルネスのスキルを希望しておられると思います。まずは、そこでしょう(まだ決まっていません、私の希望です)。そして、うつ病などを治すセラピー(医療、心理療法)としてのマインドフルネス支援者の育成は、NPO法人マインドフルネス総合研究所で提供します。

(もし、他の団体との協同プログラムが実現しない場合、当研究所で浅く広いマインドフルネスのプログラムも企画するでしょう。浅いものほど簡単に習得できます。深いマインドフルネスは浅いマインドフルネスを包含します。浅いマインドフルネスは深いマインドフルネスを理解できません。西田哲学や唯識が、真の自己は、絶対に対象にならないと言っています。浅いマインドフルネスは対象となるものを扱います)
Posted by MF総研/大田 at 09:49 | 私たちの心理療法 | この記事のURL