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なぜ、マインドフルネスの自己洞察瞑想療法で治るのか [2013年06月19日(Wed)]
マインドフルネス心理療法の本
『うつ・不安障害を治すマインドフルネス
   ひとりでできる 「自己洞察瞑想療法」』
が出版されました。
  うつ病や不安障害などを治すための新しい心理療法が開発されまし た。 自己とは何かを探求した西田哲学を背景にした心理療法です。も ちろん、やさしく解説しています。本で紹介した課題を実践すると治 ります。
毎日、少しずつ実践して、脳内に生じていた変調に変化 をおこして症状が軽くなるのです。

なぜ、マインドフルネスの自己洞察瞑想療法で治るのか

   なぜ、自己洞察瞑想療法で治るのか、理論的なことを書きます。 マインドフルネスの心理療法には、外国で開発されたものもあります が、ここでいうのは、日本で開発されたものです。
 難しい人はこの記事はわからなくてもよろしいです。課題を実践す れば改善します。 リハビリテーションも理論がわからなくても、作業療法士のかたの言 うように実践していると改善するようなものです。(メタファー、た とえです)

現れる現実は不可測、動揺的、必然的

 うつ病や不安障害などになると、まず症状がつらいです。症状は、 五感といい、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚(痛みなど)など感覚に関わる ものが多いです。身体的な苦痛です。感覚は意識した瞬間に過去になります。過去はも う改変できません。必然です。(変えられるのは、現在と未来です。) 意識された感覚、症状は思考で何とかしようとしても、もう遅いです 。自分を否定されます。無数の他者の行為、自己の内的神経生理学的 な反応によって必然的に現れて、自己が否定されます。どのように崇高な願い、理論を持っていようとも 五感で意識される、身体的な苦痛によって自己が否定されます。社会が無数の人間の行動によって動く ので、自分の前に次の瞬間に何が来るか予測がつきません。必然性、他者性、未知性、不可測性、動 揺的です。
    (五感といえば、意識的自己が感じる感覚ですでに対象的に見ています。西田哲学によれば、 さらに深い事実がおきており、まだ自分が分裂していない事実(純粋経験)があります。自分がないので、「死」であり自己否定です。すぐに、自分と対象の分化が起ります。自己の根底に自己を越えたものを認めるのを人格的自己といいます。こういう深い自己は意志的自己レベルのSIMTを越えて、叡智的自己、人格的自己の探求のSIMTになります。)

衝動的な心理的反応パターンで苦悩し続ける

 ところが、心の病気になると、感覚的な症状がつらいので、さらに、状況を否定、嫌悪する嘆きの 思考を継続させがちです。それが、扁桃体を興奮させて陰性の感情 (怒り、悲しみ、嫌悪、不安。イライラなど) を起し て苦しみます。これらは、心理的な苦痛です。心理的な苦痛の反応は交感神経を興奮させ、ストレスホルモンを分泌させて、症 状が持続したり悪化させます。
 身体的な感覚ではなく、治らない、就職できない、仕事ができな いなどの「状況」を嘆く思考は心理的苦痛ですが同様です。他者ではなく、自分の思考によって自分を否定していることになるのです。否定的な内容を考えるのは自己否定です。そのために、感情、交感神経による反応などの苦の感覚もひきおこしています。
 思考の渦に入っている時には、意識の6種(五感と思考)の大部分が自分を否定しています。そういう思考をしなければ、新しく移りゆきつつある現在の別の姿が5感で意識されるはずですが、それをふさいでいます。自分の願いに向けてなすべきことが見えなくなります。あるがままの世界についての5感覚ではなくて、思考がひきおこした不快な感覚が意識を占領します。本来の症状の感覚とは別物です。これがつらく感じられます。
 つらいからといって、解決にならない嫌悪的思考や衝動的行動(価値崩壊の反応 )をしても、もっと苦しい、感覚と状況と感情が現れます。 これらは、身体や心理の苦悩です。

身体、心理に対抗して価値実現をめざす自由意志

 そこで、マインドフルネス心理療法では、 身体や心理の苦痛に振り回されず、これに対抗する意志作用を活性化させます。 身体疾的感覚、心理的状況はつらくても、それについて嘆く思考をス トップする(認知療法のように、認知を変える方法ではありません)という 意志作用の訓練を続けます。身体、心理の苦痛を感じても、治そうという目的を思いうかべて、改善効果のある課題(リハビリの行動に似 ていますね)を実践します。意志的行動です。価値実現の行動です。認知をあれこれ検討しません。 呼吸法を中核とした自己洞察瞑想や 効果ある行動をします。それが、前頭前野を活性化させ、 扁桃体や交感神経の興奮、ストレスホルモンの分泌を少なくします。
 2つの局面に分けるとわかりやすいでしょう。 つらい身体的な五感が意識されても、嘆く心理的な思考・感情の反応に距離を起き(観察し)衝動的反応パターンにはいらない、衝動的行動に移 らない訓練をします。身体的、心理的な苦痛のアクセプタンス、受容です。これも、意志作用の一部です。
 他者性、未知性、不可測性、動揺的な現実は必然的に、自己を否定してくるが 、自己には、自由意志があり、自分の願い、価値あると思う人生、世界を建設することができます。必然の世界は受容して、自由意志により自己の価値を実現できます。自己肯定、自己の価値実現です。喜びです。 願いに向けて行動する瞬間に苦しみはありません。
 しかし、行動すると、すぐに、環境から自己を否定してきます。 外的環境(内外の別はないというのが西田哲学ですが説明のため今はこういっておきます)は対人関係です。他者も自由意志により行動するので、こちらでは予測できない思いがけない反応をしてきます。内的環境、つまり身体内からの反応も思いがけない心理的反応が生じます。内外の環境が自分の願いを否定してきます。しかし、この瞬間にも自己の願いを捨てず、願いに向けての行動を決断して実行します。 必然の世界は、自 己を否定するが、自己は自由を持ち、自己の願う世界を創造する意志を行使できま す。価値実現の人には、自己否定と自己肯定の連続です。そのように動的に、受容と価値実現の行動をくりひろげていくの が、健康な生き方です。その生き方を習得しようというのがマインドフルネス心理療法の課題の訓練です。だから、静かな場所で、瞑想、 座禅するだけではありません。静かな場所でも、仕事の時も、対人場面でも、アク セプタンスとマインドフルネスをダイナミック(動的)に行使してい く心を訓練していくのです。
 こうした心得は、うつ病、不安障害、過食症などを改善するのは 、もちろんですが、すべての人が習熟すべき「生き方の基本」である と思います。 さまざまな場面で、自己否定、他者否定、人格否定の苦痛を感じておられる人がいます。 それが持続すると、この世から自己を消す自殺、他殺、暴力虐待という究極の自己否定、他者否定がおきるのです。 自己洞察瞑想療法(SIMT)は、 すべての人に考慮していただきたい生き方です。
 本『うつ・不安障害を治すマインドフルネス
   ひとりでで きる「自己洞察瞑想療法」』 は、こうした理論、哲学は前面に出さずに、実践本位で、やさしく書 いてあります。クライエントの人(患者さん)は、セッション1から順次実践していくと、 こうした反応パターン、生き方が次第に身についていきます。うつ病、不安障害などは治り、自分の願いを発見して、社会のために家族のために活躍していきます。西田幾多郎は、すべての人が「創造的世界の創造的要素」であるといいます。 支援者には、こうした理論、西田哲学やその生き方と神経生理学的な関連を深く学習していただき ます。

神経生理学的な変調

 うつ病や不安障害は軽くなってからも、集中力、記憶力、判断力、企画力などが回復せずに、職場復帰してもとのような仕事をするとうまく処理できずに悩み、再燃させることが多いです。背側前頭前野や海馬、帯状回の機能が十分回復していないためではないかと私は推測しています。認知療法は、思考を操作する(内側前頭前野)ので、十分に効果を発揮しない例もあるが、瞑想を中核としたマインドフルネス心理療法(SIMT)は、背側前頭前野や海馬、帯状回などの領域をリハビリの原理と同様に活性化させて治癒するのではないかと考えています。治療前後の画像解析で解明してくださる医療機関が現れることを期待します。薬物療法だけでは、こうした部位の回復が十分ではないために、うつ病や不安障害が長引くのだと思われます。うつ病、不安障害により長期に就職できないことや、自殺を減少させるためにも真剣な検討を期待します。
Posted by MF総研/大田 at 19:35 | 新しい心理療法 | この記事のURL