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人間の生命は常にいかなる事情の下でも意味をもつ [2013年04月04日(Thu)]

人生の苦しみにどう向きあえばいいのか・フランクル4回目(3)

 =人間の生命は常にいかなる事情の下でも意味をもつ

 NHK Eテレビ、3月27日、フランクルの「夜と霧」の4回目でした。それ について考えています。
 人生には苦悩がつきものである。仕事がない、あったのにうつ病になった、結婚できない、病気、愛するひととの別れ、自 分の死など苦 悩が必ずある。
 テレビの収録では、テキストを書かれ、解説された先生の思惑とは違う内容になってしまっ たようです。本番は、ゲストがおられて、自分一人ではないからでしょう。思いどおりに行か ない現実です。
 第4回目のNHKのテキストの重要なポイントをたどってみます。テキスト では「過去は決して消えない」という文脈ではありませんでした(他の本 にあります。フランクルもたくさんの哲学思想を述べているので、ひとつだけを切り取り強調するのは危険です。)。
  • (A)「苦しみの中でもっともつらいと感じる苦しみはどのようなもので しょうか。・・・愛する人との別れでしょうか。いじめや差別的な扱いを 受けていることでしょうか。」(p83)
    (こういうことよりも、次のほうがつらいという文脈になっています。津波で愛する人を失った人、いじめられている人には、厳しくきこえてしまいます。誰もが理解できる言葉ではありません。深い意味がありそうです。フランクルのロゴセラピーは、一部のうつ病、いじめによる苦悩などは、適応症にならないのかもしれませんね。)
  • (B)「人間にとってもっともつらい苦しみは、「自分がなぜ悩み苦しん でいるのか、その理由がわからないことだ」とフランクルは言います。」 (p83)
  • (C)「同じ悩むにしても、「本来的な悩み方」と「ゆがんだ悩み方」があ る」(p86)
  • (D)「苦悩を志向し、有意味に苦悩することができるのは、何かのため 、誰かのために苦悩するときだけなのです。つまり、苦悩は、意味で満た されるためには、自己目的であってはならないのです。・・・
    私たちは苦悩を受容することによって、苦悩を志向するだけではなく苦悩 を通り抜けて、苦悩と同一ではない何かを志向するのです。私たちは苦悩 を超越するのです。」(p86)
  • (E)「人間の生命は常にいかなる事情の下でも意味をもつこと、そして この存在の無限の意味はまた苦悩と死をも含むものである」(p90)
  • (F)「あなたがどれほど人生に絶望しても、人生のほうがあなたに絶望 することはない」(p92)
 これは、すばらしい言葉です。それでもなお、カウンセラーはすべての 人にこれを言うわけにはいきません。苦悩は個性的です。フランクルのい うことの全貌を理解していて、目前の人に待機説法になります。被災地の かたでも、医師のように仕事を奪われなかった人は、すぐ、それに意味を 見出すことができます。テレビで紹介されました。

被災の方は、これにあわない人も多いのでは?

 しかし、愛する人も死んだ、仕事も奪われた人は、これから意味を発見 することが必要になり、簡単ではありません。時間がかかります。それで も、目前の事情(それが実は過去の金庫でしょう(=現在現れているもの =人生)は無限の過去のつみかさねです)の方から働きかけてきているの で、発見してほしいといっているのでしょう。他人が決めることではなく 、自分でさがすしかないというのです。自分のためではなくて、「何かの ため、誰かのために」(D)できることを発見するのです。
 また、仕事もあった、愛する人も死んだわけではなく、被災地で働いて、 過労やトラウマなどで、うつ病やPTSDが重くなっている人にも難しいです。治れば復帰できる仕事、愛する人も失っていないわけです。でも、うつ病、PTSDは薬物療法だけでは治りにくい人がいます。生きる意味の問題ではありません。まず、 治すことが必要です。うつ病やPTSDの人が、意味の発見で、すぐに治るということはありません 。内面の解決のない苦悩の渦(「ゆがんだ苦悩」でしょう)は苦悩を深め るだけですが、「何かのため、誰かのために」(D)できることは、心の病気 が軽くなってからでしょう。もちろん、治す期間中にも、外向きのことを 行動することが、その時点での「意味」でしょう。意味は常に変化すると いいますから。 うつ病、PTSDでない前は、役場の職員、消防、警官だったのですし、治れ ばまた、そこに「意味」をもてます。そういう仕事が待っている人は、治 すことが「意味」でしょう。誰かのために働く仕事があり、心の病気にな っているために、死にたくなる。これは、治すことが使命です。
 仕事がなくなった人は厳しい事情が現れています。新しい意味を発見し なければなりませんので、簡単ではありません。しかし、「人間の生命は 常にいかなる事情の下でも意味をもつ」というのがフランクルです。 何かができると。 (続く)

フランクルのこと
Posted by MF総研/大田 at 22:06 | フランクル | この記事のURL