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愛する人や社会に価値を発見して行動するスキルが重要 [2013年03月25日(Mon)]

愛する人や社会に価値を発見して行動するスキルが重要
 =価値実現の意志作用を習得するマインドフルネスの自己洞察瞑想療法(SIMT)

 生きる意味、人生の価値は、自己自身の内にはなく、 世界の中にあるという。世界は愛する人のいる家族社会や職場、近所、無縁の人々など との世界がある。 だから、そういう社会、世界を見て、その人たちのために行動できるという価値を発見し、その実現のために日々、刻々と目的を思いうかべて行動できないと、人は苦悩する。世界を回避していては人は満足できない。世界の中に生きているので、世界を創造したいと思うのが人間存在である。こうした価値は、創 造価値、体験価値と言える。

人間とは社会創造に参画する存在

 西田幾多郎によれば、すべて人は世界の中にいる。ひとが、世界を創造していく。神 、絶対者が世界を創造するのではない。自分は「創造的世界の創造的要素」である。 創造とは意志である。西田の弟子、久松真一によれば、「創造の原理は個体の中に あるのではなくして目的観念の中にあるのである。」(「神と創造」)という。人間の意志の中に創造の原理がある。 人は、目的観念、すなわち、目前の世界にないものを創造する目的を思い浮かべて行動して、目的を実現する。自己洞察瞑想療法(SIMT)では、この反応パターンを瞑想と、行動時自己洞察によって、習得するという構造を提案した。目的が実現すると、意志は消失す る。また、次に目的を思いついて、また意志作用を起す。こうして、人は自分の個性的な創造価値、体験価値の方向の中で、幾千万の目的を起し、意志的行動によって世界を創造していく。
 子育ても世界の創造価値である。人は、子育て、教育や仕事、恋愛、趣味などの領域に生きる価値を見出す。それは、 フランクルの分類では、多数の創造価値や体験価値である。一人の人が複数の価値を持つものである。 だから、昨日の池袋での会で、こういうことを申しあげた。外の世界や愛する人の中に 生きがいを発見しないと満足できないというのが人間存在の特徴であるようで、自分の内面 、症状、感情、解決のない苦悩の思考を見る(自己執着)ばかりではなく、たとえそれがつらくても 、外に目的を発見して意識を向けていく、自己解放から、価値実現へのマインドフルネスの心の使い方をトレーニングしていきましょうと 。こういう自己執着からの自己解放、価値実現の行為への志向、意志作用のトレーニングは、薬物療法では決して期待できないことである。 だから、薬物療法ばかりではなく、心理療法も必要なのである。うつ病、不安障害、過 食症、暴力行為、不登校、ひきこもりなどには、愛する家族を苦しめたり(暴力の場合 )、社会からの逃避・回避があるので、こういう問題の改善には、積極的に助言する心理療法 が効果的な場合が多いのだと思う。

早期に予防のトレーニングを

 小中学生のころから、不安、抑うつ、怒り、他者への暴力傾向(いじめもこれである)が現 れるが、早期に改善しないと、一生影響するかもしれない。義務教育段階で、マインド フルネスの心得を習得したほうがいいことが了解されるだろう。学問的知識だけがすぐ れていても、意志作用が体得されていないと、社会に出てから、苦労する。何か大きなストレス的な出来事に遭遇した時に、心の病気になったり、犯罪に向かっていく人がいる。 大学時代までに、マインドフルネスを習得したほうがいいと思われる。

手遅れということはない

 学生時代までに、マインドフルネスのような心の持ち方を訓練せずに発病してしまった人も、手遅れということはない。1−2年、真剣にやれば、軽くなる可能性があり、それでも消失しない症状、障害は、受け入れる心のスキルが身につく。大きな障害を持った人でも、その障害と同伴しながら、生きていかれる人が多い。壮年期に、心のスキルを成長させないと、60歳以降、喪失の苦悩が次々と来る時に、うつ病になってしまうリスクが高い。働き盛り、子育ての、20代、 30代、40代の人も、心の健康が大切である。

(注) SIMT:Self Insight Meditation Therapy。日本で開発されたマインドフルネス心理療法 の一種。5月下旬に本が出版される。


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タグ:生きる意味
Posted by MF総研/大田 at 23:03 | フランクル | この記事のURL