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「いきがいとは」 [2013年01月10日(Thu)]

生きがいと自己実現(3)「いきがいとは」
 さまざまな領域に適用できる自己洞察瞑想療法(SIMT)

 「いきがい」とは何か。 精神科医の神谷美恵子は7種類に分類している。

生きがいについて

 心の病気になると「生きがい」を喪失するし、心の病気でなくても「生 きがい」を感じられなくなることがある。「生きがい」は、マインドフル ネスに深い関係がある。マインドフルネスとは、私は「たとえ不快事象が あろうとも、受容して価値実現のことに意識を向けて行動すること」と定 義しているからである。心の病気も不快事象であり、受容できなければ、 不幸になる。高齢期の不快事象は「難病」「介護情況」「死」であり、受 容できなければ、生きがいのある終末期を終えることができない。
 精神科医であった神谷美恵子は『生きがいについて』を書いている。宗 教心(彼女の場合、特定の形ある宗教ではない)の持つ意味の重要さにつ いてまで、述べている。

1)生きがいということば

 「生きがいということばは、日本語だけにあるらしい。こういうことば があるということは日本人の心のなかで、生きる目的や意味や価値が問題 にされて来たことを示すものであろう。」(B14)

2)生きがいを感じる心

 「りっぱな社会的地位につき円満な家庭を持っているひとが、理くつの 上では自分の存在意義を大いにみとめながら、心の深いところでは 生きがいが感じられなくて悩むことがある。パスカルのいうとおり心情に は理性とはまたべつな道理があるからである。」(B18)

 様々な「生きるよろこび」として、初めての子供を生んだ母親(B22 )、官能的快楽(B23)、仕事(B27)、勉学の喜び(B28)、愛 の喜び(B30)、宗教的うけとめかた(B30)についてふれれいる。

 「官能的な陶酔もまた生命力の発現であり賛歌であることはたしかであ るが、人格的な愛から切りはなされている場合にはその輝きは線香花火の ようにはかない。」(B23)
 「ひとは自分が何かにむかって前進していると感じられるときにのみ、 その努力や苦しみをも目標への道程として、生命の発展の感じとしてうけ とめるのである。」(B27)
 「人間はべつに誰からたのまれなくても、いわば自分の好きで、いろい ろな目標を立てるが、ほんとうをいうと、その目標が到達されるかどうか は真の問題ではないのではないか。ただそういう生の構造のなかで歩いて いることそのことが必要なのではないだろうか。その証拠には一つの目標 が到達されてしまうと、無目的の空虚さを恐れるかのように、大急ぎで次 の目標を立てる。結局、ひとは無限のかなたにある目標を追っているのだ ともいえよう。」(B28)

 生きがい感と幸福感は違う。生きがい感は、未来にむかう姿勢がある、 自我の中心にせまっている、価値の認識が含まれている。(B31)
 生きがいを失うと、心の病気(B34)、自殺(B34)、女性の更年 期症状(B36)がおこる。
 一ばん生きがいを感じる人は、「使命感に生きるひと」(B38)、 例えば、学校の先生、僻地医療、特殊教育の従事者、ナイチンゲール、シ ュバイツアー(アフリカでの医療)、宮沢賢治、ミルトン(政治)など。

 「しかし使命感のもたらすものは必ずしも人間の社会にとって建設的な ものばかりではない。前にもみて来たように、生きがい感には、自尊心の 昂揚からくる思いあがりがしのびやすいのであった。またある使命感が精 神医学でいう「過価観念」となって視野をせまくし、反省機能をにぶらせ ることもあるから、使命感の内容によっては反社会的なもの、病的なもの をもうみ出しうる。」(B48)
 反社会的宗教=カルトや、政治的独裁者がこれにあたる。「生きがい」 と求めるにしても、「生きがい」を強調するが、搾取する反社会的カルト には近づかないようにしなければならない。 健全な、「マインドフルネス」は、カルトの被害者を出さないためにも貢 献しなければならない。神谷がいうように、誠実な宗教もある。

 マインドフルネスの自己洞察瞑想療法(SIMT)は、セッション10まで、 さらに叡智的自己まで、宗教ではない。どのような宗教の人でも、無宗教 の人でも、自分の心を探求して、苦悩・問題を軽くできる。自己実現の心の基礎を身につけることができる。宗教に向かう かどうか、その後のことである。叡智的自己までのマインドフルネスは、宗教とは、大きな懸隔がある。宗教を信 じることは容易ではない。

    (注)(Bxx)は、「生きがいについて」神谷美恵子、みすず書房、のページ 。
(続く)
生きがいと自己実現
Posted by MF総研/大田 at 19:31 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL