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「叡智的世界」を読む(第2回) [2012年10月13日(Sat)]

「叡智的世界」を読む(第2回)

 今日は、マインドフルネス研究会の2回目でした。西田哲学の研究と実践の集まりです。西田幾多郎の「叡智 的世界」を読んでいます。日本で、マインドフルネス心理療法によって支援しようという人には、西田哲学のやさしい部分の理解は、必須だと思います。今日は、判断的一般者から自覚的一般者までの 説明を読みました。 人は、「自分」ということをよく知らずに生きて、よく知らずに死んでい きます。自己というものは何か、いくつもの見方があるといいます。

浅い自己観から深い自己観

 自分とは何かについて、人は、違うことを思っています。西田幾多郎に よれば、最も浅い自分が判断的自己。山、川、もの、電車(広場恐怖の人)、視線(社会不安障害の人)、他者、職場、他者の言葉(うつ病、非定型うつ病の人)が自分の外にあ ると思っている。それらが実在するものと思う。実在する自然、もの、他者と対立しているのが自己と見ている浅い自己観で す。
 少し、大人(小中学生くらい)になると、判断的自己が自分とは別にあ るとみていた外界のものが自分の意識作用の産物であると見る。もの、自然は、実在ではなく、作用的存在であると見る、自己は見るもの、聞くもの、つまり知るものであるとみる。少し成長した人間の自己観である。
 もっと深く自分を見るものが自覚的自己。さまざまな意識作用を見る意 志作用(西田は「作用の作用」「意識を意識する意識」という)をもって行動して目的を実現していく。自然界とみていたものは、 合目的的世界となる。今回、読んだ内容は、ここまででした。

意志的自己でないうつ病、不安障害

 西田幾多郎によれば、意志 的自己でもなおまだ真の自己ではないという。真の自己をつかんでいないので、 成功していたかのような人でも、意志では処理できない大きなストレスによってうつ病になり、自殺も起きる。
 対象的な問題によるうつ病や不安障害は、自覚的自己にめざめて、そのように行動できるよ うになれば、治ります。 医師から、あなたは、一生薬を飲みなさいといわれた人が、1,2年の意志作用の訓練によって、完全断薬もできる。 従来にない、心の訓練ですから、従来、不治とされた、うつ病、不安障害でもなおりますが、本人が真剣にならないと治りません。依存的、逃避的な傾向が強くて、訓練をさぼりますと治りません。難しいからとすぐに断念する(嫌悪、逃避)ようでも、課題から逃避するので治りません。自分を甘やかすことはやめて、真剣に実践しなければ治りません。
 対象的なこと、自己自身以外のことで苦しむうつ病や不安障害は、意志的自己の訓練によって、治ります。
 しかし、自覚的自己(意志的自己)は、自己自身のことを知りません。 世界を対象的にみて目的実現の世界として生きていきます。ひきこもるこ とはありません。  これが破綻しなければ、生きていけます。

うつ、不安による「ひきこもり」

 「ひきこもり」も、うつ的なこと、不安傾向によるもの (それによる体調不良を含む) が多いはずであり、そのタイプの「ひきこもり」は、マインドフルネス心理療法(SIMT)で治せるでしょう。 回復が 遅れては、治っても、学校、職業に復帰するのが心理的に難しくなるので、「ひきこもり」も、何によるものか正確にみきわめて、心理療法を受けるべきです。 うつ病、不安障害による「ひきこもり」ならば、効果的な治療をしないでいると、5年たっても、20年たっても、回復しないかもしれません。10年、20年、このままでいいのいでしょうか。 保護者がささえきれなくなったらどうなるのでしょうか。保護者は、「ひきこもり」を回復することができる専門家をさがすべきです。現状維持でよいと助言する人は、スキルがないのだと思います。さまざまな治療法があることを知らず、ある手法のみしか知らない専門家がそういう傾向があるでしょう。解決方法はさまざまなものがあるはずです。専門家は、自分の枠内にとどめてはいけないと思います。 自分で治せない問題は、「自分の力を越えているようです。他のもっといい方法をさがしてください」というのが親切だと思います。「ひきこもり」が、うつ病、不安障害傾向のものであるならば、認知行動療法、マインドフルネス心理療法(ほかにもあるでしょう)などがあるのですから、「そういうものを試してはどうですか」という助言がいいでしょう。病的ならば、それを改善するスキルを持つ人にゆだねるべきです。それは、クライエントの利益のために、心理カウンセラーの倫理ではないでしょうか。 自分の力不足を知り、それを告げることは勇気のあることですが、言わないのは、無知によるのか、プライドのためか、支援者も自分をよくみつめるべきでしょう。

自己存在に関わる苦悩

 しかし、ひきこもってはいないが、自己自身、自己存在に苦悩する人がいます。自 分自身がわからない、自分が不安だ、他者にすがってしか生きられない、 自分が嫌い、自分が消える(=死)恐怖、などの自己自身、自己存在の苦悩になると、意志的自己 ではとほうにくれる。意志作用の対象にならないものだから。 対象的な物質、他者では、その苦悩をうめることはなく、苦しみ続けます 。意志的自己、自覚的自己でもなお、自己自身がわからず、苦しみます。 多くの人がそうなります。
Posted by MF総研/大田 at 21:52 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL