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深い苦しみ [2012年09月16日(Sun)]

深い苦しみ

 一般的なうつ病、非定型うつ病は、自己洞察瞑想療法(SIMT)のセッション 10までのトレーニングで改善します。 それは、対象的なことが思いどおりでないことによる 不幸です。対人関係、経済、雇用、恋愛、健康、愛する人の死などです。 対象的なことです。愛する人の死は深い苦しみですが、多くの人は乗り越えます。しかし、深刻な苦は、自己自身の死、自己自身の否定でしょう。
 思考で考えられた対象的なことのマインドフルネではすまない深い苦しみがあります。自己存在そのものの 消滅(まもなく「死ぬ」かもしれない)、自己存在の無価値、自己存在の嫌悪などで 苦しむ問題です。がんの告知を受けた人や虐待や犯罪の被害者などがそうかもしれません。
 意志作用の奥に自己存在そのものがあることを、セッション10まででも示唆しています。真の自己は意志作用をする奥底にあります。思考作用、意志作用などで、対象的には把握できないものです。意志作用を越えた「直観」になります。 対象的な自己ではなく、自己が自己を直に見ることでしかつかむことができない奥底 の自己。対象的なものと思っているものが自己であるという、日本の昔からみられる「自他不二」です。 意志作用では解決しない自己存在そのものの苦脳があります。 西田哲学は、その方向を説明しています。 考えられた自分は、思考作用の対象にすぎない。自己は、思考作用をする奥にあるの で、思考ではわからない。思考で考えた自己が消滅する、嫌悪するから解決しない。苦しみ続けるでしょう。
 通常のうつ病のマインドフルネスでは解決できない問題には、もっと深いマインド フルネスにはいっていく道があります。 自我を残したままのマインドフルネス、アクセプタンスではありません。死の不安、自己否定があるのに、感覚に集中してはいられません。床下が燃えている家に住んでいるようでおちつきません。日本の宗教者、画家、詩人、哲学者など自己は自然と一つであるという自他不二的自己観を教えてくれています。そこに、単なる考えられた「自己」の苦脳を克服する道がありそうです。 そういう点で、日本は自己の苦悩や自己の哲 学という意味では、西洋にないマインドフルネスがあるようです。

さまざまな哲学による根底がある

 欧米のマインドフルネス者も心の深い部分について、言及している。 ACTの「文脈としての自己」、弁証法的行動療法の「賢明な心」、MBSRの「全体性」 がみられる。これらが、日本的霊性(絶対無、人格的自己)と同じである保証はない。 西洋は自己を残して世界を見る立場が多く、東洋は自己のないところ、世界から自己を見るようなところがある。(参照「西田哲学の基層」小坂国継、岩波書店)
 人の苦脳は、感情レベル、うつ、不安レベルでない、深い自己存在にかかわるものが多い。西洋のマインドフルネスも根底のものを基礎に持っている。 しかし、哲学者によれば、西洋と東洋では、2元観と一元観であるという。 深い問題、深い苦しみにマインドフルネスをという時には、この差異は決定的となる可能性がある。実践は、単なる思想の学習、知識習得にとどまるわけにはいかない。現実に苦脳する人が苦脳を克服しなければならない。マインドフルネスは単なる技法技術でとどまるわけにはいかないのだと思う。背景に自分の哲学をしっかりもたなければならないと思う。「なぜマインドフルネスか」「なぜアクセプタンス」かとクライエントに説明できないからである。上記の3つの流派には、背景に哲学がある。「その底」からのマインドフルネスである。それでいて、同じ哲学ではないようである。東西ではかなり違うと哲学者がいう。
Posted by MF総研/大田 at 19:43 | 自殺防止対策 | この記事のURL