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マインドフルネスの心理カウンセラーの育成 [2012年09月02日(Sun)]

マインドフルネスの心理カウンセラーの育成
 =欧米のマインドフルネスと違う日本のマインドフルネス心理療法

 マインドフルネス心理療法の一種、自己洞察瞑想法/療法(SIMT:Self Insight Meditation Technology/Therapy)は、 うつ病や不安障害(パニック障害、PTSD,社会不安障害など)などを治すことが できる。この心理療法のスキルを持つカウンセラーの育成は容易ではない一面がある 。坐禅に似ていて、毎日、相当実践しないと習得できない。 2か月位では習得できない。他の目的(うつ病や不安障害などを治すものではない)を目指すマインドフルネスなら簡単だろう。

欧米のマインドフルネスとの違い

 今年は、マインドフルネス・フォーラムが行われるので、欧米のMBSRと日本の自己洞察瞑想療法(SIMT)と、同じか違うのか、という質問がよくある。説明責任があると思うので、このブログでも、ホームページでも説明してきた。
 両方を学習してみれば違いはわかる。SIMTの本が今年年末に出版されるのでそれでわかっていただける。
 仏教としての「坐禅」をご存知の人も多いだろう。その坐禅にもさまざまなものが ある。目的を持たない坐禅というもの、真の自己とは何かという「悟り」をめざすもの・・。 後者は、習得するのに、十年もかかる。
 坐禅にさまざまなものがあるように、襌から開発されたマインドフルネスにもさまざまなものがある。どのような「目的」を持つかが重要である。さまざまなマインドフルネスがあり、 うつ病の心理療法であるものと、そうでないものがある。みな同じ手法ではない。 日本の多数の寺で行われる「坐禅」は、うつ病を治すものではない。MBSRも、それだけで、そのままでは、うつ病が治る保証はない。うつ病は、そんなに簡単に治る病気ではない。
 MBSRは、慢性疼痛の改善から始まり、広く、病気ではない領域にも活用されてきている。うつ病の治療には、そのままでは向かないだろう。MBSRは、ボディスキャン、ヨーガ瞑想、正座瞑想が柱であるが、起き上がっているときに、感情的になり問題行動をする、うつ病、不安障害の人には、 ボディスキャン、ヨーガ瞑想は用いにくいし、患者さんは、こうした型のある手法は、なかなか訓練の時間をとりにくい。うつ病や不安障害を治すには、自分をよく知ること、すべての生活場面(特殊な型ではなく)での、心の動きを洞察する方式が有効である。襌のいわゆる「動中の工夫」の考え方をとりいれた手法である。「行動時自己洞察」と名づけた。(宗教語をなるべく用いない)
 さまざまな手法をプラス、マイナスして、その問題に、うつ病、不安障害、○○の問題に、 高い効果のあるマインドフルネスを開発していかねばならない。さもないと、効果が現れなくて、 期待して参加するクライエントの方を失望させる。 「マインドフルネス認知療法」でさえも、「治療法」ではなく「再発予防法」である。 リネハンの弁証法的行動療法は、大変深いマインドフルネス心理療法であり、重い「パーソナリティ障害」でさえも、改善する深い、強力なマインドフルネス心理療法である。それだけに支援したい人が習得するには、2,3年かかるだろう。マインドフルネスには、さまざまなレベルがある。
 うつ病の患者さんが、坐禅を半年から1年やったら、うつ病が治ったという例もあるだろう。25年前の私がそうだった。だが、それゆえ、坐禅が「うつ病の心理療法」であるとは言えない。 偶然性では心理療法にならない。課題が標準化されて反復性があること、治療割合の高いこと、支援者の習得可能性、病因論と治癒理論の整合性があることなど条件がある。それは、すでに述べた。
 うつ病を治すマインドフルネス心理療法、自己洞察瞑想療法(SIMT)は、「うつ病を治す」という目的を持つ。 それだから、ただ、マインドフルネスをすればいいのではない。 支援者もかなり「うつ病」改善のマインドフルネス、アクセプタンスが現実にできないといけない。
 うつ病もさまざまな深さがある。就職に関連するうつ病、対人関係に関連するうつ 病、愛する人を失ったゆえのうつ病、死が近いと思うゆえのがん患者のうつ病、パー ソナリティ障害に伴う抑うつ症状、非定型うつ病・・。さまざまなうつ病がある。
 対人関係の不快さのマインドフルネス、アクセプタンスと、がん患者の死の不安のマインドフルネス、アクセプタンスでは、まるで違う。後者は、自己存在の消滅の苦脳の受容になるから、 容易ではない。ターミナルケアの問題である。対人関係のうつ病とは違う。
 深い苦脳によるうつ病、長引くうつ病を治すためには、支援者が相当のスキルを持つ必要がある。坐禅に似 た自己洞察の瞑想の実践をしなければならない。見る、聞く、痛みなどの感覚レベル のマインドフルネスと、上記の原因になるもののマインドフルネスでは、レベルが違 う。西田哲学では、その深さを何段階にも区分している。 わずか、8週間の学習で、うつ病が治るなら、薬物療法は不要になる。しかし、自殺の危険があるうつ病や不安障害は、そんなに簡単に治る病気ではない。うつ病、不安障害、過食症、パーソナリティ障害などを治すマインドフルネス心理療法を開発していかねばならない。統合失調症の軽減、認知症の予防のマインドフルネス心理療法も必要である。注意欠陥多動性障害にも効果のあるマインドフルネス心理療法も開発しなければならない。現在のMBSR,現在のSIMTも、そういう領域には、まだまだ不十分である。MBSRのジョン・カバト・ツィン氏もそれを認めておられる。

うつ病を治すほどのマインドフルネス心理療法の支援者には適性がある

 実践と、自己を深く探求することができる心理カウンセラーはやはり、 適性がありそうである。坐禅に似た自己洞察、瞑想法を毎日、半年は実践しないと身につかない。 8週間では、無理である。 そういう長期間の研修が必要になる自己自身の鍛錬を好きになれない人は、うつ病 を治すほどのマインドフルネス心理療法の実践者にはなれない。
 マインドフルネスの文献研究は別である。仏教も仏教の思想、文献の研究者と坐禅の実践者がい る。両者は大体、別の人が行っている。実践と研究の両方の人は極めて少ない。研究者は、実践ができないし、他者の指導をしない。
 うつ病を治すマインドフルネス心理療法には、どうしても、実践者が必要である。マインドフルネス文献、文字の研究者ばかりでは、患者さんを治せない。患者さんと直接あって、実践法を教 えるマインドフルネス心理療法者が多く育成されないと、うつ病が治らない。本を読んだだけのカウンセ ラーでは、重いうつ病や不安障害の人を支援できない。うつ病が治らないと自殺が減少しない。そういうことを理解して、うつ病、不安 障害の人を支援したい、実際に臨床の場に出たい(研究ではなく)、身近にうつ病の人がいて薬物療法で治らないがそれを治すための支援、助言をしてあげたい、がんになってうつ病も併発した人の支援をしたい、という人の出現が 望まれる。自殺対策の一つとしてどうしても必要である。
Posted by MF総研/大田 at 23:08 | 自殺防止対策 | この記事のURL