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マインドフルネス心理療法とDMN(2) [2012年08月09日(Thu)]

マインドフルネス心理療法とDMN(2)

 心の病気や問題行動が発現したり、持続して改善しないとこ ろには、脳神経生理学的な基盤が影響しているようです。 デフォルト・モード・ネットワークの領域もそうですし、意識 的な行動を現在進行形で統合していくワーキングメモリ(作業 記憶)に関連するネットワークもそうです。
 心の病気や問題行動を改善するためには、何か積極的にトレ ーニングすることが効果があるとみられて、行動療法、認知療 法、認知行動療法が工夫されてきています。改善のためのこう すればいいという指針(認知を変える、行動を変える)も詳細 に記述されています。
 ところが、現実の脳神経生理学的な基盤が、その理想的な認 知や行動をすぐにとることが難しい状態になっているのではな いでしょうか。もちろん、支援者の話を何度もききながら、 トレーニングしていくのですから、「すぐに」というわけでは なくて、認知や行動を変えるトレーニングが続きます。
 それでも、そのトレーニングのハードルが高いと感じてでき ない人がいるのですが、神経生理学的な基盤がそれができるよ うには準備されていないのではないでしょうか。
 これまでの認知行動療法では、瞑想はリラクセーションの役 割程度でしか位置づけられていないのですが、 マインドフルネス心理療法は、瞑想を重視して、瞑想の中で、 従来の行動療法、認知療法で得られた指針をリハーサルしてい るようなものかもしれません。従来の精神分析や認知行動療法 の成果をゼロというのではなくて、その成果の中から、特定の 問題領域(うつ病、不安障害、その他の苦痛や問題の解決) の改善になるという指針(あるべき行動・認知・反応)を抽出 して、それができるように、 <瞑想の中で>(これが重要です)リハーサルしてみるように 、治療体系を組み立てていくのが、マインドフルネス心理療法 といえそうです。
 そういう瞑想の時間が多いと、DMNやワーキングメモリのネ ットワークに関連する領域(前頭前野、帯状回の前部および後 部、海馬など)に変化が生じて、それぞれの精神療法が推奨す る<あるべき行動・認知・反応> をすることができるようになるのではないでしょうか。
 さまざまな支援の領域において「こうすればいいのだが」と わかっているが、できない人がいるというところに、 瞑想の中で、リハーサルするトレーニングをしてみると その支援法が効果を高くするかもしれません。瞑想はDMNの領 域に変化を起すようだからです。瞑想を非科学的とか宗教実践 だとして排斥、嫌悪しないほうがいいと思います。 認知療法や行動療法と類似の意義を持つかもしれないのです。
 現在、プライドと自信を持って活躍している専門家が新しい ものを否定、嫌悪することが技術の発展を遅らせることがあり ます。西田哲学は専門家の我利我執を指摘しています。従来の 専門家が、自分の流儀を絶対視し執着して、新しいものに嫌悪 、否定、批判的になる傾向はあります。それが人間の本質だと 教えています。しかし、それによって、救済されるべき人の救 済が遅れるかもしれません。
 もう治ることのない障害、性格だと独断的な判断を専門家が している領域で、トレーニングによっては、改善するかもしれ ないのです。「ひきこもり」も別の積極的に助言する専門家によって解決dきるかもしれないのです。
 「もうだめだ、治らない」と絶望して自殺なさっ た、ひきこもり、うつ病、非定型うつ病、不安障害のかたも多いでしょう。 でも、マインドフルネス心理療法で改善する人がおられます。 その他の障害、問題も改善するかもしれないのです。 人はどこまで成長するかしれません。低いところにとめおくこ とを専門家はつつしまなければならないでしょう。専門家が、無知、善意、誠意 によって、ある立場を作り、つらい状況の枠組みの中にとめおくことさえもあることを西田哲学 が警告していると思います。
 西田哲学はかなり深く人間をみていますが、 私がまとめた自己洞察瞑想療法(SIMT)は、浅いものです。不十分なものです。限られた領域にしか適用できません。さまざまな精神療法や他の支援手法と併用して使えば、クライエントのためになると思います。私もマインドフルネスだけでいけないクライエントには、認知療法的アドバイスも加えます。クライエント(来談者)中心の支援とは、支援者側が、ある立場にはめないで、クライエントのためになる可能性があるなら、何でもとりいれることではないでしょうか。ただ、最初は、臨床試験のようになります。 クライエントのかたの同意が必要になります。効果がないかもしれないからです。しかし、 どこかでやらないと新しい手法が開発されません。日本は新しいことをやりにくいところなのでしょうか。精神療法の領域は、日本の独創が少なく、欧米のものの輸入が多いです。世界観が違う欧米と日本とではうまくいくかどうかわかりません。期限と構造化された手法と量を決めて、臨床試験を行ってエビデンスを得ることが必要です。
タグ:DMN
Posted by MF総研/大田 at 08:30 | 新しい心理療法 | この記事のURL