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自己洞察法で再発防止 [2012年06月10日(Sun)]

うつ病は自己洞察法で再発防止できる

 =背外側前頭前野、背内側前頭前野の機能訓練になる瞑想でうつ病の再発防止

 マインドフルネス心理療法である「自己洞察瞑想療法(SIMT)」で、うつ病、非定型うつ病が治ります。しかし、治ったからといって、 自己洞察法をやめると再発するおそれがあります。
 なぜなら、自己洞察法をやめるということは、 心の洞察をしない、つまり、油断、無防備状態になるということです。 発病前の状況です。 何かの出来事があると、思考を暴走させて再発します。
 再発防止のためには、毎日(もちろん、厳密に毎日でなくてもいいですが)10−15分の自己洞察法と、行動時自己洞察は常時、続けるべきです。5年再発させないように。 その前に再発させると、うつ病をひきおこすような脳の神経回路が「死火山」になりません。休火山と活火山の繰り返しになります。
 30年ほど前、私もうつ病になって、坐禅(呼吸法、自己洞察法)を1年ほどやって治ったのですが、治ってからも、もっと深い自己探求を続けて(時間はもっと増やして)、6年たって一応の満足できました。この程度ならば、自分と同じような苦しみを持つ人を支援できると思えました。しかし、今もなお、続けています。支援者になろうという人が、クライエントさんに自信を持って、支援できる指導要領の実践的探求を続けていますが、終わりがありません。 ツインの”全体性”もそうですが、言葉で伝えられないものに関連しているからです。西田哲学でいう「多即一、一即多」(多数の個人(自己)がそのまま全体的一、全体的一がそのままで多数の個物(自己))というのが、 MBSRのツインもいう"全体性" だろうと思います。あいまいな言い方でないのが、西田哲学です。そこは、立場のない立場、個人の見方、利害でなく、世界の立場に立つことです。 「立場のない立場」は、現実世界が無限に変化するのですから、社会が変動するのですから、マインドフルネスの表面の「技術」は、すぐに陳腐化します。仏教は、時代の変化につれて、さまざまなものを生みました。今、仏教は、マインドフルネス、アクセプタンスの装いをもって、世界中にひろまりつつあります。仏教がそうであったように、マインドフルネスもさまざまなレベル、さまざまな領域があるのです。

前頭前野の神経生理学

 自己は、時代のものですから、その時代の諸科学と違背するものであっては、 世界の立場でなくなります。常に、最新の諸科学との整合性があるかどうかを見極めて、表面の技法も変化していくでしょう。現代は、医学、マインドフルネス、神経生理学、種々の心理学などの「多」と自己とが「不二」という方向にうごいているとみていいと思います。この流れから、ある立場に立つことの多い仏教学も再検討されるでしょう。マインドフルネスの実践や自他不二を言うのは、そもそも大乗仏教です。華厳経も「一即一切、一切即一」と言います。欧米のマインドフルネス心理療法者が、東洋の哲学であり、東洋的実践であると言っています。これを、日本の仏教学があまり教えてくれません。今のままでは仏教学が、マインドフルネスの支援者に、マインドフルネスの根底にある理論と実践についての情報を提供してくれません。
 欧米では、薬物療法による治療ばかりでなく、心理学で多数の精神疾患や心身症の改善をしています。役割の固定化も、ある立場の執着ではないでしょうか。薬では解決できない病気(心理が強く関係するもの)もあるでしょう。日本の国民と専門家が「病気を治すのは医者のみ」というとらわれから開放されない限り、精神疾患の改善、心身症の改善、自殺防止に、限界があると思います。
 うつ病は、前頭前野の機能低下と関連があります。瞑想を長期間する人の脳には変化があるという研究報告があります。これは、デフォルト・モード・ネットワークの背内側前頭前野、海馬などでしょう。瞑想時でない時、仕事をしている時は、背外側前頭前野を中心としたワーキングメモリを活発に使うでしょう。 次の連続記事に書きましたように、 瞑想や行動時自己洞察は、ワーキングメモリ(作業記憶)を使う実践です。ワーキングメモリは、 背外側前頭前野が中央実行系とされています。瞑想の時には、特にデフォルト・モード・ネットワークの背内側前頭前野、海馬のトレーニングになっているでしょう。  瞑想をする時に、背外側前頭前野、背内側前頭前野が動いていると推測されます。数年とか長期間やっていると、背外側前頭前野、背内側前頭前野の容積が増加すると考えられます。 ストレスのある出来事が起きても、うまく処理していくのは、ワーキングメモリ、背外側前頭前野の働きです。
 治っても、自己洞察法を継続していると、背外側前頭前野、ワーキングメモリの機能、および、デフォルト・モード・ネットワークがいよいよ活性化すると考えられます。再発しないのは、このためであると思います。 再発しないどころか、以前よりもストレスに強くなります。
 私も地獄をのぞきました。うつ病のつらさは、なったものしかわかりません。治すまでのスキルを持たないひとが、簡単に「うつ病を改善、支援」という看板をかかげるのは、患者さんに気の毒です。うつ病が治るまでに時間がかかります。しかし、真剣にやれば、自己は自己をあざむきません。 私の場合も、うつ病になってしまった時よりも、数年後、はるかに責任の重い、難しいプロジェクトの責任者になっても、再発しませんでした。自分の心と対人関係のあつかいかたが違いました。マインドフルネスの瞑想は、どこまでも成長します。マインドフルネスには、深さのレベルの違うものがあるのです。  治す段階では、意志作用の習慣化(ワーキングメモリ)のために、呼吸法は30分以上、必要です。しかし、再発防止のためならば10−15分でいいと思います。それをやっていれば、意志作用を確認するのですから、油断しません。意志作用の習慣を忘れません。再発防止ならば、その程度でいいでしょう。ただし、西田哲学によれば、意志的自己よりも深い自己があるといいます。叡智的自己、人格的自己に近づこうというつもりならば、もっとたくさんやってみるのもいいことです。もっと、深いレベルの心に目を向けて(=マインドフルネス)、もっと深い自己の探求になります。マインドフルネス(=自己自身ということの探求)を続けていくつもりならば、その全体方向を知るのもいいことです。自分の港周辺の「海図」を知るだけにすまさず、世界中の海の「海図」を知っておくことです。5,60年の余生の間に、行く先があること”全体性” を知っていることは大切でしょう。いざとなったら、行くところがあるということは、絶望しないことでしょうから。

深いマインドフルネスの探求

 マインドフルネス研究会は、深い自己を探求します。意志的自己よりも深いレベルのマインドフルネス、アクセプタンスです。
 マインドフルネス研究会は、3か月に1回くらい開催しますが、年に1回参加でもいいですから、自分の知らない自分があることを知る機会にしていただくのもいいのではないでしょうか。 たまに参加される人にもわかるように、毎回、全体展望と、それまでの部分の簡単な概観をします。 n1-wm-s2.jpg
Posted by MF総研/大田 at 19:03 | マインドフルネス心理療法 | この記事のURL